相続後に必ず行うべき年金受給停止と未支給年金の請求手続き

年金

相続でよくある間違いとして年金の取扱いがあります。正しく理解をしていないと、もらえるはずの年金を受け取れなくなったり、反対にもらいすぎたりします。

1.公的年金の支給のされ方

国民年金、厚生年金などの公的年金の支給方法には特徴があります。相続時に正しく年金の手続きを行うために、支給方法の基本を理解しておきましょう。

(1)年金は2か月に1回支払われる

年金は1年間に6等分して支給されます。つまり2か月に1回という訳です。支給月は偶数月と定められており、原則として支給月の15日に支払われます。

(2)公的年金は後払い方式が採られる

支給される年金は、それぞれの支給月の前月までの2か月分が支払われます。たとえば4月15日の支給日に、2月と3月の2か月分が支払われます。
後払いであるため、最後の支給から死亡までの間の年金は受け取っていないことになります。これが「未支給年金」と呼ばれるもので、請求することが可能です。

(3)年金支給は日割りではなく月単位

月の途中で亡くなった場合、年金支給は日割りにはならず、その亡くなった月の分まで支払われます。
もし、3月15日に亡くなれば、2月・3月の2ヶ月分が未支給年金となります。4月2日に亡くなれば、2月・3月・4月の3ヶ月分が未支給です。

亡くなった月日によって、未支給年金の月数が異なります。

亡くなった日未支給年金の月数
2・4・6・8・10・12月の15日から月末の間亡くなった月の1ヶ月分
1・3・5・7・9・11月亡くなった月と前月の2ヶ月分
2・4・6・8・10・12月の1日から14日の間亡くなった月と前月、前々月の3ヶ月分

なお、上記以外にも亡くなった人が生前にもらっていなかった年金がある場合には、その分も未支給年金に含まれます。

2.未支給年金の請求手続き

(1)未支給年金を請求できる人・できない人

未支給年金は全ての人が請求できるわけではありません。未支給年金を受け取ることができるのは、年金受給者が亡くなった当時、その人と生計をともにしていた人となっています。

また、未支給年金を請求できる順位は次のように決まっています

  1. 配偶者(婚姻届が提出されていなくても事実上、婚姻関係にあったものを含む)
  2. 父母
  3. 祖父母
  4. 兄弟姉妹
  5. その他の3親等以内の親族

3親等以内の親族」については、年金事務所サイトに図で解説されています。

同じ順位の人が複数人いる場合には、そのうちの一人が代表して提出します。

(2)期限は年金支払日の翌月初日から5年以内

未支給年金の請求期限は最後の年金支払日の翌月初日から5年以内と定められています。住民票コードが登録されており、死亡届を提出しなくて良い場合には、未支給年金の請求を忘れがちです。5年以内であれば請求できますので、もし手続きし忘れていることに気づいたら、すぐに請求しましょう。

(3)年金事務所などに「未支給年金請求書」を提出

具体的には、「未支給年金・保険給付請求書」を作成して提出します。
提出先は、国民年金は住所地の市区町村役場、厚生年金は年金事務所や年金相談センターです。

未支給年金請求書のフォーマットは日本年金機構のウェブサイトからダウンロード可能です。また年金事務所でも受け取れます。後で述べる「年金受給権者死亡書(報告書)」とセットになっています。
未支給年金を請求する場合は下記の添付書類が必要になります。

  • 亡くなった方の年金証書
  • 亡くなった方との身分関係を証明できる書類(戸籍謄本など)
  • 亡くなった方と請求者が生計を共にしていたことを証明できる書類(住民票の写しなど)
  • 受け取りを希望する金融機関の通帳・キャッシュカードなど

請求書が提出されてから、未支給年金が支払われるまで、おおよそ3ヶ月程度かかります。

【出典】日本年金機構:年金を受けている方が亡くなったとき

(4)未支給年金は「一時所得」に含まれる

この請求手続きで受け取った未支給年金は、その受け取った人の一時所得としてみなされます。そのため、相続税は課税されませんが、所得税の対象になります。
他の一時所得と合わせて50万円を超えていたら、確定申告が必要になるケースがありますので、その場合は税務署にお問い合わせください。

3.年金受給停止の手続き方法

年金受給者が亡くなった場合、その故人には年金受給資格はなくなります。したがって、遺族が速やかに年金受給停止手続きを行う必要があります。

(1)年金受給停止が必要な人・不要な人

年金受給停止手続きが必要になるのは、基本的には全ての故人です。なお、平成23年7月以降に日本年金機構に住民票コードを登録した人は、原則として死亡届の提出を省略できます。

(2)国民年金は14日以内、厚生年金は10日以内

年金受給停止手続きの期限は国民年金では死亡日から14日以内、厚生年金では死亡日から10日以内です。葬儀を終えた後に、なるべく早く年金受給停止手続きをしましょう。

(3)年金事務所に「年金受給権者死亡書」を提出

具体的な手続き方法としては、「年金受給権者死亡書(報告書)」を作成の上、「未支給年金請求書」と同じ場所に提出します。
未支給年金請求がなく死亡届のみ提出する場合は、年金事務所、もしくは年金相談センターに提出します。

年金受給権者死亡書のフォーマットは日本年金機構のウェブサイトからダウンロード可能なほか、年金事務所などでも入手できます。「未支給年金請求書」とセットになっており、通常、同時に提出して手続きを行います。
提出時には下記の書類が必要になります。

  • 死亡した人の年金証書
  • 死亡の事実を証明できる書類(戸籍抄本や死亡診断書のコピーなど)

(4)年金受給停止手続きを忘れるとどうなる?

被相続人の死亡後、停止手続きを取らないままにすると、その後も年金を受け取り続けることになります。近年、年金の不正受給が問題になっていますが、それと同様の事態になってしまいます。

受給の権利がないにも関わらず受け取ってしまった年金は一括返済が必要になります。こうしたトラブルに巻き込まれないためにも、必ず忘れずに年金受給停止の手続きを行いましょう。

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監修
税理士相談Cafe編集部
税理士ライター、起業経験のあるFP(ファイナンシャル・プランナー)、行政書士資格者を中心メンバーとして、今までに、相続税や相続周りに関する記事を500近く作成(2023年4月時点)。
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