1.船橋市の相続税申告の特徴
船橋市は千葉県の北西部、東京都から市川市を挟んだ位置にあります。
船橋市を一躍有名にした「ふなっしー」は、ご記憶にあるのではないでしょうか。2011年に登場した船橋市のご当地キャラクターでありながら、市非公認という面白さとその可愛さで全国的に人気となりました。
2.船橋市の相続税申告状況
令和元年の相続税申告状況のデータによると、船橋市を管轄している船橋税務署の申告割合は14.31%、課税割合は10.98%、1件当たり納付税額は1,294万円となっています。
2-1.船橋市と千葉県全体との比較
千葉県全体の申告割合は11.06%、課税割合は8.50%、1件当たり納付税額1,395万円であることから、船橋市の申告割合と課税割合は県の平均を上回っており、納付税額については若干下回っています。
千葉県内における課税割合の順位は14エリア中2位で、お隣の市川市の13.84%に次ぐ高い数値となっています。
2-2.船橋市と全国の都道府県との比較
次に全国平均とも比較してみましょう。
全国では、申告割合10.71%、課税割合8.35%、納付税額1,714万円となっており、千葉県の課税割合8.50%の順位を47都道府県と比較すると9位になっています。
船橋市のみでの課税割合10.98%を都道府県の順位に当てはめてみると、4位の埼玉県10.12%を上回る3位に入ることになります。東京、愛知、神奈川と肩を並べる順位にあたるということから分かるように、船橋市は相続税が課税されやすいエリアになります。
それでは次項で、船橋市の特徴について詳しく見ていきましょう。
3.船橋市の特徴
船橋市は県内トップの課税割合を誇る市川市の東側に隣接し、南部には工業地帯や商業施設、中央部は住宅地、北部には自然豊かなエリアが広がります。
恵まれた立地条件を生かした充実の交通網が魅力の市であり、JR総武緩行線、総武快速線、武蔵野線、京葉線、東京メトロ、東葉高速鉄道、京成電鉄、新京成電鉄、北総鉄道、東武鉄道と10もの鉄道路線があります。
どこへ行くにも便利な環境には当然人が集まり、千葉市に次ぐ県内2位の人口を誇っています。
それでは、船橋市がどんな街なのか、それが相続税課税にどう影響するのか解説します。
3-1.ベッドタウンとして活用されている船橋市
船橋市は、東京都と千葉市の間に位置する便利な立地と優れた交通網、県下2位の人口を擁していることからもお分かりの通り、土地の大半が住宅地として活用されています。
ターミナル駅となる船橋駅周辺には、百貨店やイトーヨーカドーなどの大型商業施設、船橋市役所や船橋市中央図書館、企業のオフィスなどが集積され、中心市街地を形成しています。
海沿いの船橋競馬場駅周辺には、国内最大級の規模を誇る複合商業施設「ららぽーとTOKYO-BAY」、その他にも「ふなばしアンデルセン公園」、「ふなばし三番瀬海浜公園」など大規模なレジャー施設も充実しており、交通、生活利便性、レジャー、自然すべてがバランスよく揃っており、幅広い世代が住み続けやすい市であるといえるでしょう。
3-2.船橋市の地価
船橋市の地価は、1㎡あたり70万円で、市川市、浦安市に次ぐ県内3位となっています。高級住宅街が多いお隣の市川市や浦安市に比べて、1㎡あたりの地価が50万円程下がるため、都内や市川市、浦安市の土地には、なかなか手が届かないという人達のベッドタウンとして人気を集めています。
しかし、船橋市の70万円という金額も決して安いものではありません。船橋市にマイホームを構えるとなるとそれなりの収入が必要であり、富裕層とまではいかなくとも居住者の年収の高さが伺えます。
特に船橋駅周辺の地価は1㎡あたり202万円と非常に高く、マンションオーナーの相続には、相続税が課税される可能性があります。
3-3.船橋市に目立つ高級住宅街はない
千葉県内における高級住宅街の代名詞は、お隣の市川市の浦安市になるため、船橋市には有名な高級住宅街はありません。高級住宅街というステータスが欲しい富裕層は、ブランドのある市川市や浦安市に家を構えるからです。
「海神台」、「高花台」は昭和初期に高級住宅街として分譲されましたが、大きな邸宅を残しつつも、現在では多くの区画が分割されて販売され、一般住宅も建ち並んでいます。
東京都や市川市などにいるような、桁違いの富裕層は船橋市には少ないと考えられます。
4.船橋市の税理士情報
千葉県の税理士は千葉県税理士会に所属しており、その税理士登録者数は2,546人(令和3年12月末日現在)となっています。
このうち千葉県税理士会船橋支部にいる税理士数は約350人となっており、千葉県内の税理士のうち約15%が船橋市にいることになります。
船橋市の令和元年における相続税申告数は765件であることから、相続税申告1件当たりの税理士数は0.45人となり、1人の税理士が年間2件以上の相続税申告をこなしていることになります。
千葉県全体では0.36人で、全国平均の1.9人と比較すると、船橋市も千葉県全体も非常に税理士が不足している状況にあるといえるでしょう。
4-1.船橋市民の税理士の探し方
この数値を聞くと不安になるかもしれませんが、船橋市の立地を含めて考えてみましょう。
東京都には全国の税理士の3割にもなる約24,000人の税理士がおり、相続税申告1件当たりの税理士数は1.3人です。
全国平均の1.9人と比較すると、東京都も不足していると言えますが、申告1件に対して1人以上の税理士がいるということは、少なくとも相続税申告に関しては、余剰となる税理士もいるということになります。
東京都は税理士にとって、競争が激しいエリアであり、実力がない税理士は生き残ることができません。東京都内に事務所を構え続けられているという時点で、実力のある税理士である可能性が高いです。
また、隣市の市川市と浦安市は、千葉県内で最も相続税の課税割合が高い市であり、その分税理士も集中していると考えられます。高級住宅街があることからも、レベルの高い相続税申告をこなしている可能性が高く、実力のある税理士も多いでしょう。
船橋市は税理士探しにおいて非常に恵まれた環境にあります。
船橋市内、市川市、浦安市、東京都の税理士を選択肢として、相続税に強い税理士を見つけてください。
【参考サイト】税理士登録者数 | 日本税理士会連合会、千葉県税理士会HP、 千葉県税理士会 船橋支部HP