
1.香川県の相続税の概要
香川県は、相続税については、四国の中でも最も課税される割合が高く、もう少しで大阪に匹敵するくらいの割合となっています。
平成28年では、香川県全体の申告割合は9.01%で全国14位、そのうち実際に課税された課税割合は7.63%でこちらも同じく全国13位です。全国的に見ても、かなり高い方であることがわかります。
一方で、被相続人1人当たりの相続税額は、約962万円で全国36位であり、そこまで多くはありません。
2.地域別、相続税データ
平成28年度、高松国税局による相続税課税状況のデータです。
このデータを元にしながら税務署の地域ごとに各地の相続税の特徴について解説していきます。
税務署名 | 管轄地域 | 申告 件数 | 課税 件数 | 1件当り 納付税額 (万円) | 申告割合 | 課税割合 |
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高松 | 高松市 三木町 直島町 | 530 | 453 | 1,130 | 11.16% | 9.53% |
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丸亀 | 丸亀市 善通寺市 琴平町 多度津町 まんのう町 | 217 | 177 | 774 | 9.22% | 7.52% |
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坂出 | 坂出市 綾川町 宇多津町 | 121 | 101 | 779 | 9.26% | 7.73% |
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観音寺 | 観音寺市 三豊市 | 109 | 94 | 666 | 6.00% | 5.18% |
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長尾 | さぬき市 東かがわ市 | 75 | 64 | 1,104 | 6.16% | 5.26% |
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土庄 | 土庄町 小豆島町 | 21 | 20 | 699 | 4.47% | 4.26% |
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香川県計 | | 1,073 | 909 | 962 | 9.01% | 7.63% |
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2-1.高松市
香川県の中央に位置し、県庁所在地でもある高松市。高松市は瀬戸内海に面した見たと待ちであり、かつて本州と四国を結んでいた連絡船が就航していたことから、四国の玄関口として機能しています。そのため、高松市内には企業の本店や支店、国の行政機関が集中して建設されています。
高松市の1年間の相続税申告件数は530件、課税件数は153件です。相続一件あたりの納付税額は1,130万円、課税割合は9.53%となっています。香川県全体の申告件数や課税件数の約50%を高松市が占めており、一件あたりの納付税額と課税割合は県内1位の高さです。つまり、県内の相続は高松市を中心に起こっており、相続税への対策は必須といえるでしょう。
2-2.丸亀市、善通寺市
香川県の中西部に位置する丸亀氏と善通寺市。丸亀市は高松市に次ぐ香川県の重要都市として発展しており、西部地域の中心として機能しています。善通寺市は丸亀市のベッドタウンのようになっており、どちらかというと住宅街が広く形成されています。
丸亀市と善通寺市は、丸亀税務署の管轄地域です。この地域の1年間の相続税申告件数は217件、課税件数は177件になっています。相続一件あたりの納付税額は774万円、課税割合は7.52%です。経済の中心都市でありながら、一件あたりの納付税額はそこまで高くありませんが、課税割合は県内2位の数字です。
丸亀市は若年世帯が多く、善通寺市には高齢者世帯が多いため、相続の発生しやすさに違いがあります。さらに、丸亀市と善通寺市は地価が大きく異なっており、相続が発生しやすい善通寺市は地価が低くなっています。そのため、所得の状況などから相続税が課税されやすい地域なのですが、土地など課税対象の資産が安い傾向にあるため、課税割合は高く課税額が安いという特徴が生まれていると考えられます。
2-3.坂出市
香川県の北中部に位置する坂出市は、高松市と丸亀氏の間にある市です。かつては塩業が盛んでしたが、現在は石油製品たや石炭製品を扱う工業が発達しています。特に、番地区は造船業や化学工業が盛んで、埋め立てにより工業団地が形成されています。
坂出市の1年間の相続税申告件数は121件、課税件数は101件です。相続一件あたりの納付税額は779万円、課税割合は7.73%となっています。課税額と課税割合はそこまで高額ではありませんが、坂出市のみで丸亀とほぼ同程度の数字が現れています。そのため、坂出市の相続は平均を下回っていたとしても安心できず、的確な対策が求められます。
2-4.観音寺市、三豊市
観音寺市と三豊市は、香川県の西部に位置し、三豊市は県内で3位の人口が多い都市です。この地域では、工業に加えて農業や漁業が盛んに行われています。観音寺市ではレタス、三豊市ではブドウやももなどのフルーツなどが出荷されており、全国的にも名産地として知られています。
観音寺税務署の管轄である観音寺市と三豊市。この地域の1年間の相続税申告件数は109件、課税件数は94件です。相続一件あたりの納付税額は666万円、課税割合は5.13%となっています。この地域は農地が多く高齢化が進んでおり、その影響からか地価が下がっています。そのため、課税額や課税割合が低いのは、こうした地価の影響が大きく影響していると考えられます。
2-5.さぬき市、東かがわ市
香川県の東部に位置するさぬき市と東かがわ市。この地域では、製造業を中心とした工業が発展しており、特に東かがわ市は市の重要な産業として機能しています。さらに、東かがわ市では漁業や農業なども盛んに行われており、この地域の中心都市としての役割を担っています。
さぬき市と東かがわ市は長尾税務署の管轄となっており、この地域の1年間の相続税申告件数は75件、課税件数は64件です。相続一件あたりの納付税額は1,104万円、課税割合は5.26%となっています。注目すべきは一件あたりの納付税額で、高松市に次ぐ高額な課税額となっています。
これは、各産業が発達しているため、高所得者が多くなっていることが考えられます。その一方で課税割合は平均を下回っています。これは、地価の低さが影響しているといえるでしょう。つまり、課税される世帯は限られますが、課税される場合には高額な課税額を収めなければいけないため、資産の状況を正しくは把握しておき、しっかりとした対策を講じましょう。
3.香川県の相続税の特徴
3-1.香川県は各地域で相続税へ注意が必要
香川県全体の1年間の相続税申告件数は1,073件、課税件数は909件です。相続一件あたりの納付税額は962万円、課税割合は7.63%となっています。各地域の相続税のデータと比較すると、高松市で全体の半数以上の相続が起きており、その他のデータも突出しています。
また、丸亀や坂出は平均と同様の課税割合となっており、長尾では課税額が1,000万円を超えています。そのため、高松市以外にも相続税へ注意が必要な地域があり、課税額や課税割合が低いからといって安心はできません。きちんと自分の資産を確かめておき、状況に応じた対策を準備しましょう。
3-2.香川県の地価事情
香川県の中で最も地価が高額なのは、地価平均約6万345円の高松市です。次いで、約4万3,888円の丸亀市となります。相続税のデータと同じように高松市の地価は他の地域に比べて突出しています。実は、香川県の地価の特徴として、地域による地価の差が大きいことが挙げられます。
さらに、2017年から2018年への変動では高松市と直島町の2地点だけが上昇しており、他の地域では減少しています。そのため、今後は地域間の地価の差はより明確になり、相続税でも課税額が高額な地域や課税割合が高い地域など、今よりも各地の特徴が明確になる可能性があります。
4.香川県の税理士事情
香川県内の税理士事業所数は212件、在籍税理士数は545名です。税理士一人あたりの対応相続件数は1.97件となっています。四国の中では愛媛に次ぐ税理数となっていますが、税理士一人あたりの対応件数は四国が最も少なくなっています。
そのため、香川県内の税理士は不足しておらず、選択肢も比較的多いといえるでしょう。対応件数や実績などを考慮し比較しながら、最適な税理士を見つけることが大切です。ただし、県内の税理士の在籍状況には偏りがあり、高松市に多くの税理士が在籍しています。そこで、地元の地域だけでなく高松市でも税理士を探すようにして、実力があり信頼できる税理士へ依頼しましょう。