1．横浜市の相続税申告の状況

令和元年の相続税申告のデータを見ると、横浜市における申告割合は18.36%、課税割合は13.27%です。全国平均（申告割合10.71%、課税割合8.35%）より高くなっています。

横浜市は都心部ということもあって高所得者が多く、相続税の課税対象になる人が他の地域に比べて相対的に多い地域です。

横浜市全体では、1件当たり納税額は1,944万円で、全国平均1,714万円を上回っています。横浜市は高所得者が多い地域であり、相続税が課税された場合の納税額も高くなる傾向にあります。

【出典】：横浜市ホームページ

2．横浜市のエリア別相続税の申告状況

横浜市の行政区は18区ありますが、相続税の課税割合は税務署の管轄エリアごとに7エリアで公表されています。最下位の横浜南エリアでも10％を超えており、横浜市はその全域が相続税の要注意エリアになるため、7エリアを1つずつ確認していきましょう。

それでは、それぞれのエリアの特徴について課税割合の高い順に解説していきます。

2-1．神奈川エリア

神奈川区と港北区からなる神奈川エリアは、横浜市の北部に位置しており、横浜市の中心である西区と中区からほど近い場所にあります。

神奈川区は、駅周辺を中心に再開発が盛んに行われており、「横浜ベイクォーター」は有名な観光地の1つとなっています。

商業地である反面、東神奈川駅から横浜駅へ電車で3分という立地の良さから、西区へ通勤するサラリーマンにとって利便性が高く、住みたい街として人気があります。

港北区は、新横浜駅を中心とした再開発の真っ只中にあり、宅地や商業地などの利便性がどんどん増しています。人口も横浜市で最も多い区となっています。

このエリアの課税割合は18.60%で市内1位、納付税額は2,389万円で3位となっています。

このような高い結果となった理由は、高い地価と居住者の多さでしょう。

地価は神奈川区が市内3位、港北区が4位となっており、さらに西区や中区のベッドタウンとして居住している人の所得は高い傾向にあります。

【参考】神奈川区、港北区内の相続関連機関一覧

神奈川エリア内の相続に関連する各種機関の連絡先一覧をまとめました（2017年10月現在）。ただし、変更される可能性があることをご了承ください。

2-2．緑エリア

緑区、青葉区、都筑区からなる緑エリアは、横浜市の北西部に位置しています。

このエリアは東京都に隣接していることから、都内と横浜都心部どちらへの通勤にも利便性が高いエリアであり、ベッドタウンとして活用されています。

青葉区は都内への通勤者が市内最多となっており、高所得者も多く居住しています。特に、東急田園都市線の沿線にある「たまプラーザ美しが丘」、「あざみ野南」、「青葉台」は、超高級住宅地として有名です。

また都筑区は、開発がどんどん進んでいる区であり、港北ニュータウンをはじめとした新しいお洒落な街並みは、幅広い世代から人気を集めており、地価も年々上昇しています。

このエリアの課税割合は17.36%で、神奈川エリアと共に市内断トツのトップ2となっています。納付税額は2,541万円で神奈川エリアを上回る2位で、1位の横浜中エリアとほぼ同じ金額となっています。

地価は青葉区が市内5位、都筑区が8位、緑区が10位となっています。

緑エリアに関しても神奈川エリアと同様の理由が挙げられ、地価と所得の高さが相まって課税割合と納付税額の高さに影響しているといえるでしょう。

【参考】緑区、青葉区、都筑区の相続関連機関一覧

緑エリア内の相続に関連する各種機関の連絡先一覧をまとめました（2018年6月現在）。ただし、変更される可能性があることをご了承ください。

2-3．保土ケ谷エリア

保土ケ谷区、旭区、瀬谷区からなる保土ヶ谷区エリアは、横浜市の西部から中央部に位置しています。

このエリアは横浜市の中でも広く住宅地として活用されています。

都心部まで程ほどに近い距離間の割には、地価は市内11位から16位となっており、横浜市内では比較的地価が低く、憧れのマイホームを求める世代に人気のエリアとなっています。

課税割合は14.37%で前順位の緑エリアからは約3％も下落してはいますが、全国平均を大きく上回っています。納付税額は1,534万円と7位で下から2番目の低さとなっていますが、これは地価の低さが影響しているものと考えられます。

【参考】保土ケ谷区、旭区、瀬谷区内の相続関連機関一覧

保土ケ谷エリア内の相続に関連する各種機関の連絡先一覧をまとめました（2018年6月現在）。ただし、変更される可能性があることをご了承ください。

2-4．戸塚エリア

戸塚区、栄区、泉区からなる戸塚エリアは、横浜市の南西部に位置しています。

このエリアも住宅地がメインとなっていますが、前順位の保土ヶ谷エリアに比べて自然がより多く残っているエリアになります。大規模な商業施設はありませんが、スーパーやショッピングモールは点在しているため、生活に困ることはありません。

特に、市内最大の面積を有する戸塚区では、戸塚駅を中心とした再開発が進んでおり、田舎のベッドタウンというイメージから脱却しつつあります。

課税割合は11.74%で市内4位ですが、前順位からさらに3％近く下落しています。

納付税額は1,713万円で5位と市内にすると低めですが、全国平均並みであり決して低くはない金額です。

地価は戸塚区が市内9位、泉区が13位、栄区が最下位の18位となっており低い印象を受けますが、18位の栄区であっても1平米あたり19万円万円と県によってはトップにあってもおかしくない金額です。

また、ベッドタウンとして都心へ通勤する人も多いことから所得が高い傾向にあるため、横浜市内では中盤順位であっても、全域が相続税の要注意エリアです。

【参考】戸塚区、栄区、泉区内の相続関連機関一覧

戸塚区、栄区、泉区内の相続に関連する各種機関の連絡先一覧をまとめました（2018年9月現在）。ただし、変更される可能性があることをご了承ください。

2-5．横浜中エリア

横浜市のみならず神奈川県の中心地である中区と西区からなる横浜中エリアは、その名称通り横浜市の中央部に位置しています。

西区は市内で最も小さい区ですが、神奈川県の中心駅となる横浜駅があり、オフィス街や商業施設が集まる中核都市であり、人口密度は市内で2番目に高い区となっています。

地価は1平米あたり241万円と市内断トツ1位と突出した金額となっており、神奈川県の最高路線価である「横浜駅西口バスターミナル前通り」も西区にあります。住宅地が少ない分、居住している人は超高所得者層が多くなっています。

中区は、神奈川県庁や横浜市庁などの行政機関が集中し、横浜市の中心都市として機能しています。オフィス街や商業施設はもちろんのこと、住宅地も広がっており、バランスの取れた区です。地価は西区に次いで2位と高く、中南部の高台にある山手町は超高級住宅として知られており、富裕層が多く居住しています。

しかしながら、課税割合は11.64%で市内5位となっており、横浜市の中心地としては低い数値となっています。このエリアは商業地がメインであることから、高級住宅地があり富裕層が多いといえども居住人口自体は少ない点が影響しており、周辺のベッドタウンとなっているエリアの方が課税割合が高くなっています。

しかし納付税額は2,547万円と市内最高額となっており、高額な財産を所有している富裕層が多いことが分かります。

【参考】中区、西区内の相続関連機関一覧

横浜中エリア内の相続に関連する各種機関の連絡先一覧をまとめました（2018年2月現在）。ただし、変更される可能性があることをご了承ください。

2-6．鶴見エリア

鶴見エリアは鶴見区のみからなり、横浜市では1つの区からなる唯一のエリアです。

市の北東部に位置するこのエリアは、臨海部に大規模工業地帯を有していることから工業都市として発展してきました。

丘陵部は自然豊かなエリアで住宅地が連なっています。市内で最も東京都心部に近く、東海道本線や京浜東北線など交通の利便性も高いため、ベッドタウンとして広く活用されています。

課税割合は11.52%で市内6位ですが、4位の戸塚エリアは11.74％、5位の横浜中エリアは11.64%と僅差であり同水準であるといえます。

納付税額も1,991万円と高いため、生前の相続税対策が重要になります。

【参考】横浜市鶴見区内の相続関連機関一覧

横浜市鶴見区内の相続に関連する各種機関の連絡先一覧をまとめました（2018年6月現在）。ただし、変更される可能性があることをご了承ください。

2-7．横浜南エリア

南区、磯子区、金沢区、港南区の市南部に位置しているエリアです。

全域が住宅地として活用されているエリアで、他の区に比べて東京都からは離れることから地価も低いため、横浜市内に通勤する人のベッドタウンに適しています。

課税割合は10.20%、納付税額は1,350万円でいずれも市内最下位となっています。

地価は南区が7位と中位にありますが、その他は12位から17位と市内では低めであること、他のベッドタウンよりも東京都へ通勤する人が減るため、所得も少なくなることが理由として考えられます。

しかし、課税割合は全国平均をはるかに超えており、これまでのエリアと同様に相続税の要注意エリアであることは変わりません。

【参考】南区、磯子区、金沢区、港南区内の相続関連機関一覧

横浜南エリア内の相続に関連する各種機関の連絡先一覧をまとめました（2017年10月現在）。ただし、変更される可能性があることをご了承ください。

【参考】横浜南エリア内の相続関連機関一覧

横浜南エリア内の相続に関連する各種機関の連絡先一覧をまとめました（2017年10月現在）。ただし、変更される可能性があることをご了承ください。

3．横浜市の税理士情報

横浜市の税理士数は令和3年9月現在において約2,400人です。全国の税理士数は約79,000人であるため、そのうちの約3%が横浜市にいることになります。

また横浜市の相続税申告件数は6,169件であり、税理士1人あたりの件数は約2.5件です。全国平均の約1.9件を大きく上回っているため、横浜市には相続税に強い税理士が多くいると考えて良いでしょう。

税理士の分布状況をエリア別に見ると、税理士の数が特に多いのは中区や西区、神奈川区などの沿岸部の地域です。都心部では、相続税などの個人顧客向けの業務を行っている税理士だけでなく、法人税などの企業向けの業務を専門にしている税理士もいるため、税理士の数が多くなっています。

相続税の申告を税理士に依頼する場合は、相続税の申告経験がある税理士を探すようにしましょう。相続税申告に強い税理士に相談すれば、様々な提案を受けることができて申告手続きをスムーズに終えられます。

是非、本サイトをご活用いただき、横浜市の相続税に強い税理士をお探しください。

【参考】横浜市内の相続関連機関

横浜市全体に関連する各種機関の連絡先一覧をまとめました（2018年9月現在）。ただし、変更される可能性があることをご了承ください。