名古屋市で相続税対策や相続税申告にお困りの方、また土地や不動産の評価、事業承継について気になる方、税務調査が不安な方…[続きを読む]
1.三重県の相続税申告についての概要
三重県は日本列島のほぼ真ん中に位置しており、中部地方にも近畿地方にも属しています。
地方の区分には統一的な基準が設けられていないため、三重県は場合に応じて適宜、属する地方が変わる不思議な県となっていますが、地理的な要因から近畿地方とされる場合が多いようです。
1-1.三重県の相続税申告の状況
三重県の令和元年における相続税の申告件数は1,831件、そのうち相続税が発生した課税件数は1,513件で、近畿地方ではお隣の奈良県と同水準です。
課税割合は7.27%で全国17位、相続1件当りの納付税額は1,398万円で全国13位となっており高めですが、近畿地方自体がもともと課税割合が高いため、その中では6位(下から2番目)となっています。
全国における課税割合の平均は8.35%、納付税額は1,714万円と比較すると、三重県はいずれも下回っています。
1-2.課税割合が高いのは3エリアのみ
下記の表は、三重県の税務署の管轄エリアごとの相続税申告状況です。
三重県は紀伊半島の東側に位置しており、北勢、伊賀、中勢、南勢、東紀州の5つの地域で構成されています。
三重県の課税割合は、北勢エリアにある四日市、桑名、鈴鹿の3エリアが集中して高くなっており、平均的な数値の津を挟んで以降は、すべてのエリアが5%以下と急落しています。
申告件数を見ても、上位3エリアが三重県の申告数の半数を占めていることから、相続税の課税について注意すべきエリアは限定的といえるでしょう。
それでは次項にて、エリアごとの特徴を詳しく解説していきます。
税務署名 | 管轄地域 | 申告 件数 | 課税 件数 | 1件当り 納付税額 (万円) | 申告割合 | 課税割合 |
---|---|---|---|---|---|---|
津 | 津市 | 294 | 237 | 681 | 9.08% | 7.32% |
四日市 | 四日市市 菰野町 朝日町 川越町 | 481 | 386 | 2,012 | 12.80% | 10.27% |
伊勢 | 伊勢市 鳥羽市 志摩市 玉城町 度会町 大紀町 南伊勢町 | 207 | 167 | 1,354 | 5.98% | 4.83% |
松阪 | 松阪市 多気町 明和町 大台町 | 174 | 146 | 830 | 6.86% | 5.76% |
桑名 | 桑名市 いなべ市 木曽岬町 東員町 | 257 | 208 | 1,492 | 11.96% | 9.68% |
上野 | 名張市 伊賀市 | 126 | 113 | 1,383 | 6.14% | 5.51% |
鈴鹿 | 鈴鹿市 亀山市 | 240 | 211 | 873 | 10.27% | 9.03% |
尾鷲 | 尾鷲市 熊野市 紀北町 御浜町 紀宝町 | 52 | 45 | 3,990 | 4.04% | 3.50% |
三重県計 | 1,831 | 1,513 | 1,398 | 8.80% | 7.27% |
【出典サイト】「主要な視点場」三重県
1-3.三重県は不動産よりも貯蓄残高に要注意
総務省統計局が公表している、「都道府県別貯蓄現在高」によると、なんと三重県は第1位の東京都に次ぐ2位となっています(※)。
その金額は1,939万円で非常に高く、三重県民は貯蓄に熱心であることがわかります。
三重県は東京都に比べると地価が圧倒的に低いため、課税割合は落ちますが、この貯蓄残高の多さは、相続税が発生しやすくなる要因の1つになるため注意しなければなりません。
相続税申告において、貯蓄残高については残高そのものが評価額となります。相続が始まった後では、土地のように評価額をうまく抑えて節税することができません。そのため、貯蓄残高が多い方は、現金を不動産等の他の資産に組み換えするなどの生前対策がとても重要になります。
※【出典】「3 貯蓄・負債」|統計局ホームページ
2.各エリアの特徴と詳細
それでは、三重県の税務署管轄エリアごとに、それぞれのエリアに属する主要市町村の特徴や地価の状況を、課税割合の高い順に解説していきます。
2-1.四日市エリア
四日市市、菰野町、朝日町、川越町からなる四日市エリアは県の北部に位置し、滋賀県に隣接しています。
中心となる四日市市は、県庁所在地でないにも関わらず、約31万人の県内最大の人口を有し、中心都市として機能しています。
全国的にも有名な工業地帯や石油化学コンビナートがあり、多くの方が社会科の授業で四大公害病の1つである「四日市ぜんそく」を学んだのではないでしょうか。その経験を糧に、工業地帯周辺の大気状態は良好になってきています。
なお、四日市市は公害等の影響もあり、ドーナツ化現象や中心市街地の空洞化が進行している状態であり、相続税が発生しやすいと考えられる高所得者層は中心地から分散して居住しているケースが多くなっているようです。
このエリアの課税割合は10.27%で県内1位、10%を超える唯一のエリアです。納付税額も2,012万円で2位と、いずれも高い結果となっています。
地価も四日市市は県内1位、その他の3町についても3~11位とエリア全域が高めとなっています。
市町のどこに居住していても、相続税には注意しなければならないエリアです。
2-2.桑名エリア
桑名市、いなべ市、木曽岬町、東員町からなる桑名エリアは県の北端部、四日市エリアの北部に隣接しています。
このエリアは、愛知県に隣接しており名古屋市にも電車で30分と近いことから、名古屋市のベッドタウンとして人気です。職場は都会が良いけれど、住むのは静かな田舎が良いという場合にピッタリなエリアです。
そんな理由から、このエリアは、県内でも比較的高収入を得ている世帯が多いとされています。
課税割合は9.68%で県内2位、納付税額は1,492万円で3位です。
地価は桑名市が2位と高いですが、他はそれほど高くはなく、相続税は桑名市を中心に発生していると考えられますが、全域で所得が高いエリアになるため、地価の低さだけに安心せず、貯蓄残高など不動産以外の財産にも注意しましょう。
2-3.鈴鹿エリア
鈴鹿市と亀山市からなる鈴鹿エリアは県の北部、四日市エリアの南部に隣接しています。
三重県の課税割合1、2、3位はすべて北勢地域と呼ばれる三重県北部に集中しており、偏りがあることが分かります。
鈴鹿市といえば、まず、F1も開催される鈴鹿サーキットが思い浮かびます。市街地には住宅地が広がっているほか、企業や工場もあります。市街地から離れると農業が盛んな地域となり、田畑や茶畑が広がります。
亀山市は、東名阪自動車道、名阪自動車道、伊勢自動車道など新名高速道路など、抜群の交通網を有していることから、交通や物流の要衝都市として機能しています。工業団地も多く、大手企業の大規模な工場も誘致されています。
このエリアの課税割合は9.03%で県内3位と高いですが、その反面、納付税額は873万円と下から3番目の低さとなっています。
地価は鈴鹿市が6位、亀山氏が15位となっており、上位2エリアに比べて低くなります。また、名古屋市からも距離ができるため、桑名エリア程ベッドタウンとして利用されることも減るため所得も下がることから、低い納付税額に繋がっていると考えられます。
2-4.津エリア
津市のみからななる津エリアは、県の中央部に位置し、鈴鹿エリアの南部と隣接しています。
津市は三重県の県庁所在地であり、東は伊勢湾に、西は奈良県境までと広大な面積を持つ市です。三重大学をはじめとする名門校が揃い、三重県有数の文教都市でもあります。
全体的に自然の多いエリアですが、鉄道や国道が十分に通っているため利便性はあり、都会過ぎない環境が魅力となっています。
課税割合は7.32%で県の平均並みですが、納付税額は681万円と県内最下位の低さとなっています。
津市の地価は県内4位で、四日市市や桑名市ほど高くはありません。また産業も輸送用機械、情報通信機械、食料品の製造業が主要産業となっており、市内で所得を得る人が多いことが、低い数値となった理由でしょう。
しかし、大谷町、観音寺町といった津駅の西側は高級住宅地となっており、相続税が発生しやすい地域もあるため注意が必要です。
2-5.その他のエリア
三重県の課税割合の平均を下回る4エリアについては、課税割合が5%以下となっており、相続税に大きな注意を払う必要はありません。
パワースポットとして有名な伊勢神宮がある伊勢市や、松坂牛の産地として有名な松坂など、市街地というよりも、広大な土地を活用した自然が多いエリアが並んでおり、どこも地価が低いのが特徴です。
ただし、尾鷲、上野、伊勢は課税割合の低さに対して納付税額が高額である点に注意しましょう。相続税の発生頻度は少ないけれども、発生する人には高額の相続税がかかる可能性が高いということになります。
税務署名 | 管轄地域 | 1件当り 納付税額 (万円) | 課税割合 |
---|---|---|---|
松阪 | 松阪市 多気町 明和町 大台町 | 830 | 5.76% |
上野 | 名張市 伊賀市 | 1,383 | 5.51% |
伊勢 | 伊勢市 鳥羽市 志摩市 玉城町 度会町 大紀町 南伊勢町 | 1,354 | 4.83% |
尾鷲 | 尾鷲市 熊野市 紀北町 御浜町 紀宝町 | 3,990 | 3.50% |
最も相続税を課税されるおそれがあるのは、尾鷲エリアです。
半島の美しいリアス式海岸と、世界遺産に登録された熊野古道など、手つかずの大自然が溢れているエリアです。地価や所得が高いエリアではないため、課税割合は3.5%と非常に低くなっていますが、納付税額は3,990万円と東京23区の上位に匹敵する驚異的な数値となっています。高級住宅街があるわけでもないため、広大な土地を所有している地主や、別荘を所有している人に対する課税と考えられます。
これらのエリアに居住しており、直感的に自身の相続に心配を感じた場合には、一度税理士に相談し相続税発生の有無を確認しておきましょう。高額な相続税が発生すると判断される場合には、生前の早いうちからの相続税対策がとにかく有効です。相続税は早くから行動することが、節税のカギとなります。
3.三重県の税理士情報
それでは最後に、三重県の税理士の所属状況と探し方について解説します。
3-1.三重県の税理士数
三重県の税理士は東海税理士会(三重県、愛知県、静岡県)に所属しており、その税理士登録者数は4,405人(令和3年9月末日現在)にのぼり、このうち三重県の税理士数は777人(令和3年7月現在)です。
三重県の令和元年における相続税の申告は1,831件であったことから、申告1件当たりの税理士数は0.42人、税理士1人当たりの相続税申告数は2.34件になり、三重県の10倍の申告数がある愛知県と同等の数値です。全国的に見ても、不足している数値ではありません。
3-2.三重県の税理士の分布状況
また、三重県の税理士分布の特徴として挙げられるのが、税理士の分布が北勢エリアに集中していないという点です。
尾鷲エリアは非常に少ないですが、課税割合の低さと人口の少なさから考えると妥当でしょう。
支部 | 税理士数 |
---|---|
桑名 | 115 |
四日市 | 205 |
鈴鹿 | 68 |
上野 | 43 |
津 | 147 |
松坂 | 79 |
伊勢 | 104 |
尾鷲 | 16 |
計 | 777 |
3-3.三重県の税理士の探し方
三重県の税理士探しは、地元でも選択肢が多くなっていますが、相続税は北勢エリアに集中して発生していることから、愛知県の税理士も候補に入れることも一考です。
特に、税理士が集中している名古屋市では、相続発生件数が圧倒的に多いため、相続税申告に慣れている税理士が数多くいます。名古屋市から北勢エリアまでは交通の便も良いため、対応可能な税理士は十分にいるはずです。
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