1.茨木市の相続税申告の特徴
茨木市は大阪府の北部、大阪市と京都府に移動が便利な位置にあります。
戦後に大阪市のベッドタウンとして開拓され、1970年の大阪万博を機に、一気に市街地化した都市です。駅周辺に建ち並ぶマンションからは、ベッドタウンとしての人気をうかがい知ることができます。
閑静で品の良い住宅地が多く広がっている北摂エリアにあり、府民憧れのステータスエリアに位置していることから、相続税課税も多いと考えられます。
それでは今回は、茨木市の相続税申告について、その地の特徴と絡めながら詳しく見ていきましょう。
1-1.茨木市の相続税申告状況
令和元年の相続税申告状況のデータによると、茨木市を管轄している茨木税務署、大阪府、全国における相続税申告状況は次の通りとなっています。
申告割合 | 課税割合 | 相続1件当 納付税額 | |
---|---|---|---|
茨城税務署 管轄エリア | 14.35% | 11.15% | 1,423万円 |
大阪府平均 | 10.65% | 8.40% | 1,881万円 |
全国平均 | 10.71% | 8.35% | 1,714万 |
1-2.茨木市は税理士に一度は相談してほしいエリア
茨木税務署の申告割合と課税割合は、大阪府と全国いずれも大きく上回っています。
大阪府の課税割合は、47都道府県のランキングで12位となっており、それを大きく上回っている茨木税務署は、全国トップクラスに相続税の課税に注意しなければならないエリアであるということになります。
納付税額については300~400万円下回っていますが、これも47都道府県ランキングでは12位となっており、決して低くはありません。
茨木市にお住まいの方は、一度は税理士に相談し、相続税が課税されるかどうかを確認しましょう。もしも相続税が課税そうな場合には、相続税対策へと進みます。
1-3.茨木税務署の管轄内はすべて超注意エリア
ただし、茨木税務署は高槻市、茨木市、島本町を管轄しており、上記の数値はこれらの平均値です。
いずれの市町も同じような人気のベッドタウンであり、しかも高級住宅地もあることから、課税割合に大きな差はないと考えられます。
茨木市のみでの課税割合は公表されていませんが、茨木税務署の課税割合とほぼ同じでしょう。
2.茨木市の特徴
茨木市は面積76.52㎢、人口約28万人を擁する都市です。市街地の中心は路線が通っている南部で、北部は自然が残るエリアとなっています。
周辺には高級住宅地として知られる箕面市、優良住宅地の豊中市や高槻市などがありますが、茨木市はそれらを有しながらも比較的地価が割安なエリアもあり、公共施設、商業施設、学校、公園など、すべてが程よく揃った茨木市は、幅広い世代が住める街として人気を得ています。
それでは次に、茨木市の特徴とそれが相続税課税へどのように影響しているのかを見ていきましょう。
2-1.茨木市の土地柄
茨木市は大阪市に比べると田舎になりますが、たくさん残された緑は住環境としては最適でしょう。
市内にはJR京都線、阪急京都線、大阪モノレールの3つの路線が走っており、阪急の準急も停車するため、都心への通勤者に不便がない交通網となっています。
2-2.茨木駅周辺は高級エリア
JR茨木駅周辺は、「イオンモール茨木」や「TSUTAYA」、スーパー、コンビニ、娯楽施設など便利なエリアです。
駅の繁華街を抜けると、一戸建てやマンション、学校などが広がる閑静な住宅地になります。
阪急茨木市駅とJR茨木駅は徒歩15分程度の距離にあり、その間には行政機関や公園などが密集し、阪急京都線とJR京都線の2線が利用できることから特に人気の居住地となっています。
中高層マンションや、タワーマンションが多く立ち並んでいることから、駅周辺の居住者は富裕層が多いでしょう。
2-3.茨木市のその他高級住宅街・優良住宅街
茨木駅周辺以外には、北春日丘、紫明園、大字千提寺、玉瀬町、大同町、西安威、西中条町、野々宮、南春日丘、室山、山手台、彩都あさぎなどが富裕層の多いエリアとなっています。
特に、南春日丘3丁目及び4丁目、山手台5丁目及び6丁目、彩都あさぎ3丁目及び4丁目は、超富裕層が居住している高級住宅街となっています。
2-4.阪急茨木市駅西口駅前周辺の再整備
2030年を目途に、阪急茨木市駅西口駅前周辺の再整備計画が進められています。
超高層タワーマンションを目玉に、公共交通と一般交通を分離した駅前広場など、大規模な再開発となっており、大幅な地価の上昇が予想されます。
何十年も前に購入した土地であれば、相続を迎える頃には思いがけない評価額となる可能性があるため注意しましょう。
2-5.茨木市の地価
茨木市の平均地価は1㎡あたり19万5,529円で、大阪府全43位中6位の金額となっています。
大阪第2の都市である堺市北区の21万円にすら近い金額であり、北摂エリア及び茨木市の人気が分かります。
茨木税務署の同じ管轄内である高槻市は17万円で7位、島本町は17万円で8位となっており、6、7、8位と並んでいることから、課税割合は同程度であることが予想されます。
市内で最も地価が高いエリアはJR茨木駅で1㎡あたり29万円、2位は阪急茨木市駅で27万円となっており、地価から見てもやはりこのエリアが茨木市の中心地であり、高級居住地であることが分かります。
新型コロナウイルスの影響による地元消費の増加や、再開発の影響もあり、JR茨木駅と阪急茨木市駅どちらの地価も上昇傾向にあります。相続が近い世代は、動向に十分な注意が必要なエリアです。
反対に最も地価が低いエリアは市街地から離れる彩都西で、1㎡あたり10万となっています。
茨木市はJR茨木駅と阪急茨木市駅の地価が極端に高く、北部に行くにつれて低くなっていくことが分かります。
しかし、彩都西であっても決して低い金額ではなく、不動産以外の資産状況によっては十分に相続税課税の対象になるでしょう。
3.茨木市の税理士情報
全国には令和4年3月末日時点で80,163人の税理士がいます。
そのうち近畿税理士会(大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県、滋賀県)には15,219人の税理士が所属しており、茨木市が管轄されている近畿税理士会茨木支部(高槻市、茨木市、島本町)には約330人が所属しています。
茨木税務署の令和元年における相続税申告件数841件で、税理士1人あたりの相続税申告数は0.39件です。
大阪府全体では0.95件(日本税理士会連合会 平成30年5月発行税理士界)であることから、茨木市は税理士が不足している状況ではありますが、北摂の中では若干多いエリアとなっています。
それでは最後に、茨木市での税理士の探し方について解説します。
3-1.茨木市の税理士探しの選択肢
茨木市は大阪へ12分、今日へ22分という好立地にあることから、市内での税理士探しはもちろんですが、大阪市と京都市も選択肢に入れると、より効率的に相続税に強い税理士を見つけ出すことができるでしょう。
3-2.茨木市内の税理士は早めに探す
地元税理士はその土地の事情に詳しいため、相続税評価を行うにあたって有利に影響する場合があります。
また、やはりインターネットが普及した現代においても、近くにいる、何あった時にすぐ来てもらえるという距離感には安心感が得られます。
茨木市には高級住宅街が複数あり、富裕層が多く暮らしています。特にJR茨木駅と阪急茨木市駅の周辺で、長年に渡って相続税専門税理士の事務所を構えている税理士は、高確率で相続税に強い税理士でしょう。
ただし、市内には100人程度の税理士しかいないため、早めに探し出して依頼の枠を確保しておくことが重要になります。
まだ先のことと思わずに、相続税のことが気になりだした今から動いても早くはありません。
3-3.大阪市・京都市は税理士数が圧倒的に多い
大阪市には約5,000人、京都市には約3,000人の税理士がいます。
近畿税理士会茨木支部の約330人と比較すると圧倒的な数であり、その分、税理士探しを行いやすい環境にあるといえるでしょう。
またいずれの都市も全国に名だたる高級住宅街を多数抱えており、相続税申告数は桁違いです。
そしてその内容も非常に複雑で、実際に相続が起こるまで何年もかけて相続税対策を行ってきたという人が大多数でしょう。
都市部であれば相続税に強い税理士が多く、さらには相続税に強い税理士数人を比較して自身に合う先を決めることまでできます。
相続財産が多い場合には、大阪市や京都市での税理士探しをおすすめします。
【参考サイト】「税理士登録者数 」| 日本税理士会連合会、近畿税理士会HP、近畿税理士会 茨木支部HP