羽村市の相続税申告の特徴

羽村市は東京都の北西部位置しており、都心部から約45キロメートル圏にあります。

市の南西部を多摩川が流れ、その周辺に広がる武蔵野の面影を残す緑と触れ合える街です。

コンパクトな市域はおおむね住宅地として活用されていますが、北東から東部にかけては日野自動車の羽村工場と、その関連工場が広がっており、工業の街としての一面も持っています。

そんな羽村市の相続税申告について詳しく解説していきます。

1-1．羽村市の相続税申告状況

令和元年の相続税申告状況のデータによると、羽村市を管轄している青梅税務署、東京都、全国における相続税申告状況は次の通りです。

1-2．青梅税務署は全国平均を超えている

青梅税務署の数値は全国を若干上回り、東京都の数値には遠い結果となっています。

東京都の中では、相続税の課税が少ないエリアであることは事実です。しかし、東京都は全国の中で圧倒的な数の相続税の課税が行われているという点に注意しなければなりません。東京都の数値が平均をかなり上回っているのです。

全国平均の課税割合が8.35%というのも、東京都の数値が底上げしているからこそであり、この数値を全国47都道府県ランキングにあてはめてみると、12位の大阪府8.40％に次ぐ13位の位置にあたります。平均といっても決して中盤ではありません。

それを超えている青梅税務署の9.31%は、同都道府県ランキングにおいて7位にあたることから、羽村市は東京都では目立つ存在ではありませんが、全国的には相続税対策が必要なエリアであるということになります。

1-3．青梅税務署の管轄エリアは広い

青梅税務署は都内でも多くの市町村と広い面積を管轄している税務署になります。

青梅税務署の管轄は、羽村市以外にも、福生市、青梅市、あきる野市、瑞穂町、日の出町、檜原村、奥多摩町の4市3町1村をカバーしていることから、上記の数値はこれらの平均値となっています。管轄エリア数が多い程、1市あたりの数値は薄れています。

青梅税務署の管轄エリアは、東京都の中では田舎と認識される市町村です。西部に行くほどその傾向は強くなり、檜原村、奥多摩町では課税割合の平均を引き下げていることが予想されます。

羽村市はこの管轄エリア内においては都市部であり、大手自動車工場もあることから高所得者も居住していると考えられ、課税割合の平均値を底上げしている側でしょう。

2．羽村市の特徴

羽村市は面積9.90㎢、人口は都内最少の約55,000人の街です。

面積は全国7番目の小ささで、大部分が住宅地、その他は工業地、商業地、レジャー施設がバランスよく集約されたコンパクトシティとなっています。

それでは、羽村市の特徴とそれが相続税課税へどのように影響しているのかを見ていきましょう。

2-1．羽村市内には青梅線の駅が2つ

羽村市の市域の中央部には南北にJR青梅線が走っており、「羽村駅」と「小作駅」の2つの駅があります。

中心駅となるのは羽村駅で、周辺には24時間営業のスーパーやドラッグストア、ビジネスホテル、カラオケ、塾などが揃っています。派手な駅前ではありませんが、生活に困ることはないという印象です。

都心から約45キロメートル圏にあるため、新宿まで約1時間程度とそれなりの時間は要しますが、立川駅から中央線に乗り換えると東京駅まで直行できる便も多く、日々の通勤に大きなストレスはないでしょう。

2-2．沿線に住宅地

JR青梅線の沿線を中心に住宅地が広がっています。駅前には10階ほどのマンションもありますが、戸建てが中心となる街です。

新築の建売住宅の相場は3,000万円前後で、一般的な所得層のサラリーマンが多く居住していると考えられます。

2-3．西東京工業団地

市の北部から東部にかけては、青梅市にまたがるように西東京工業団地が広がっており、総面積は166.2ヘクタールにもなる大きな工業団地です。

ここに日野自動車羽村工場やカシオ計算機など、日本を代表する大手企業が工場を構えています。したがって、羽村市に居住地を構える理由には、西東京工業団地で働くためというのが多いと考えられます。

大手企業であり所得が高い可能性と、都心まで出て行く必要がないため必要経費も少なくなると考えられることから、不動産よりも貯蓄資産への相続税の課税が懸念されます。

2-4．羽村市の地価

羽村市の平均地価は1㎡あたり15万6,412円で、東京都全59位中46位の金額となっており、都内にしては非常に低額なエリアです。

市内で最も地価が高いエリアは市の南部にある福生駅周辺で、1㎡あたり20万円となっています。お隣の福生市にある駅ですが、大きな商業施設もあり栄えていることから、羽村市でもそこに近いエリアは地価に影響を受け、高くなっています。

反対に最も地価が低いエリアは、意外にも中心駅となる羽村駅周辺で、1㎡あたり13万となっています。市内にあるもう1つの駅、小作駅は14万円であることから、市内の住宅地の地価にはあまり大きな差はないと考えられます。

羽村市の住宅相場からすると、マイホームを所有しているだけであれば、相続税の基礎控除「3,000万円＋600万円×法定相続人の数」を超える可能性は低いでしょう。

住宅にお金がかからないことから、預貯金や株式などの財産について注意が必要です。

2-4．羽村市の地価は税務署管轄内で2番目に高い

羽村市の地価は東京都のランキングの中では低い部類にあたりますが、青梅税務署の同管轄エリアにおいては2番目のエリアとなっています。

あきる野市、瑞穂町、日の出町、檜原村、奥多摩町については10万円を切っており、檜原村にいたっては1万円となっています。

ベッドタウンとしては不便な立地にあることから、所得は低いと考えられ、相続の税課税はほとんど起こっていないと推測されます。

それでも青梅税務署の課税割合は9.31%という結果になっているということは、福生市と羽村市の相続税の課税の多さをうかがうことができます。

羽村市単独での課税割合は、10％は超えているのではないでしょうか。

3．羽村市の税理士情報

全国には80,054人（令和4年2月末日時点）の税理士がいますが、その3割にあたる23,841人が東京都にいます。そして羽村市には、その中のわずか33人しかいません。

青梅税務署の管轄と同じ4市3町1村をカバーする東京税理士会青梅支部には、羽村市の33人を含めて130人が所属しています。

青梅税務署での相続税申告件数は611件で、それを税理士130人に割り当てると、年間4.7件もの相続税申告を行っている計算になります。税理士1人あたりの相続税申告数にすると0.21件で、東京都全体での平均値0.76件の3分の1以下になります。

それでは最後に、税理士不足が著しい羽村市での税理士探しについて解説します。

3-1．多摩地区には東京都の税理士の1割しかいない

羽村市や東京税理士会青梅支部の税理士数を知るとびっくりしてしまいますが、これは東京都にいる税理士の9割が東京23区に所属していることが理由です。

広い多摩地区には1割の税理士しかいないということになり、さらに同じ多摩地区でも武蔵野市や三鷹市など東京23区に近づくほど税理士が多くなるため、羽村市など西部に位置しているエリアは極端に税理士が少ないという状況に陥ってしまうのです。

3-2．羽村市の税理士探しは東京23区で

前述した通り、羽村市内にはわずか33人しか税理士がいません。

また、住宅相場を考えると一般的な所得層の人が多く居住している街であるため、相続税課税が発生するとしても、基礎控除を少し超える程度の申告が大半であると考えらます。富裕層の複雑な相続税申告が発生することは稀でしょう。

よって、相続税専門税理士としては生き残りにくい環境であり、相続税に強い税理士は少ないと思われます。

そこで羽村市の税理士探しは市内ではなく、都内の税理士の9割が集中している東京23区で探すのが良いでしょう。

東京23区には高級住宅街が数多く点在しており、23区のみの課税割合は17.44%にもなります。亡くなった方の5人に1人近くが相続税を支払っているのです。

相続税専門税理士への需要も高く、人気の税理士はどんどん腕を上げていける環境にあるため、年間100件以上の相続税申告を行っているような税理士が東京23区内には多数います。

羽村市から都心までは1時間程度かかりますが、実際に依頼する税理士を決めたあとは、税理士の方に出向いてもらうこともできます。

また、これだけインターネットが普及している現代ですので、ビデオ会議などで対応している税理士も多いでしょう。

3-3．羽村市では多額の相続税は発生しにくい

東京23区には相続税に強い税理士が多く、全国トップレベルの実力を持っています。

このような税理士に依頼することができれば、可能な限りの節税対策を講じることができ、安心して相続税申告を任せられるという点は間違いありません。

ただし、税理士報酬との関係には注意しなければなりません。

相続税に強く人気がある税理士は、それなりのサービスを提供する代わりに税理士報酬が高額である可能性があります。

相続財産が億を超えるような場合には節税幅が広く、得られる節税額も大きいため、高い税理士報酬を払ってでもそれを超える効果が得られる場合が多いです。

しかし、羽村市に多いと考えられる、基礎控除額を超えるか否かの相続財産の場合には、大きな節税ができる余地がないにもかかわらず、ただ高い税理士報酬を支払わされたという状況に陥ることも考えられます。

税理士探しのコツは、むやみに最高の税理士を探すことではありません。

【参考サイト】「税理士登録者数 」| 日本税理士会連合会、東京税理士会 HP、東京税理士会 青梅支部