小金井市の相続税申告の特徴
小金井市は東京都のほぼ中央、都心から約25キロメートル圏内に位置しています。
東側は武蔵野市と三鷹市、西側は国分寺市、南側は府中市と調布市、北側は小平市と西東京市の7市にぐるっと囲まれています。
小金井市を管轄している武蔵野税務署は、その他に武蔵野市と三鷹市も管轄しています。
立地からも分かるように都心へ抜群の交通アクセスを有しているほか、小金井公園など緑が多く落ち着いた環境はどの世代にも暮らしやすい街であり、東京の穴場のベッドタウンとして人気が高まっています。
新型コロナウイルスの影響によってリモートワークが促進されていることもあり、今後はさらに需要が高まると予想されます。
今回は、そんな小金井市の相続税申告について詳しく解説していきます。
1-1.小金井市の相続税申告状況
令和元年の相続税申告状況のデータによると、小金井市を管轄している武蔵野税務署、東京都、全国における相続税申告状況は次の通りです。
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申告割合 | 課税割合 | 相続1件当 納付税額 | |
---|---|---|---|
武蔵野税務署 管轄エリア | 33.73% | 23.74% | 3,108万円 |
東京都平均 | 22.56% | 16.25% | 3,029万円 |
全国平均 | 10.71% | 8.35% | 1,714万円 |
武蔵野税務署の数値は、全国平均はもちろん、東京都の平均をも3つすべてにおいて上回っています。
東京都の課税割合の数値は、全国都道府県で順位2位に当たる愛知県の13.93%を圧倒的な差を付けた1位です。その東京都を大きく上回っている武蔵野税務署は、東京都の中でも課税割合が高いエリアであるということを示しています。
1-2.武蔵野市と三鷹市が相続税課税の中心
ただし、前述した通り、武蔵野税務署は小金井市、武蔵野市、三鷹市の3市を管轄しています。
武蔵野市と三鷹市は、同じ多摩地区にありますが、練馬区、杉並区、世田谷区に隣接してることから、感覚的には東京23区内にいるのと変わりません。
特に、武蔵野市には数多くの高級住宅街があり、富裕層が居住しています。「吉祥寺」は全国でも知らない人はいないほどの、有名な高級住宅街です。
三鷹市は武蔵野市のような高級住宅街こそありませんが、その立地と住環境の良さから、それなりの収入がなければマイホームを手に入れることはできないエリアとなっています。
一方で小金井市は、この2市とは様相が違っており、どちらかという庶民的なエリアになります。そのため、武蔵野税務署の高い課税割合を考えたときに、小金井市は、平均値を下げる役割にあると考えられるます。
ただし、東京都内においては課税割合の高いエリアに入ることは間違いなく、相続税の課税については注意をしたほうが良いことに変わりありません。
2.小金井市の特徴
小金井市は、面積11.30㎢、人口124,497人(令和4年2月1日現在)の街です。
西東京市、武蔵野市、三鷹市を挟んで東京23区に接しており、小さな市域の中央を、JR中央本線が東西に走っているため交通アクセスは良く、市域全体に住宅地が広がっています。どこに住んでも不便はない市ですが、三鷹市方面の東部には西武多摩川線が南に延びているため、より利便性が高くなります。
それでは三鷹市の特徴と、それが相続税課税へどのように影響しているのか解説していきます。
2-1.小金井市は緑が多い住宅都市
小金井市は、市域が狭いこと、JR中央本線が市域の中央を走っていることにより、ここは便利、ここは不便といったエリアによる差があまりなく、全域が住宅地として発展しています。
都立小金井公園や都立野川公園などの公園が多く、都心に近いながら緑をしっかり感じることができ、また、湧き水でも有名な市であり、東京の名湧水にも選定されたスポットもあるほど緑と水に恵まれた街です。
都心で働くけれども、プライベート時間は穏やかに過ごしたい人におすすめの市です。
2-2.武蔵小金井駅が人気
武蔵小金井駅は市の中央部に位置しており、駅周辺は住みやすいことで人気が高い街となっています。
新宿駅までは快速で20分程度、東京駅までは乗り換えなしで40分程度で行くことができ、通勤には問題ないエリアでしょう。
また、乗降客数がさほど多くないため、通勤ラッシュによるストレスがありません。
今現在、武蔵小金井駅では再開発が進行中で、2020年には「SOCOLA 武蔵小金井クロス」がオープンしました。駅裏には、「プラウドタワー武蔵小金井クロス」という大型の高層マンションが建設され、都会的な街並みに生まれ変わっています。
今後も再開発が進んでいくことで、さらなる発展が期待される街であり、相続税課税の観点から見ると、相続発生時には購入時よりも高い評価額になることが懸念されます。
不動産価値の動向を常に注視しておくことが重要です。
2-3.小金井市は文教都市でもある
小金井市内には東京農工大学、法政大学、東京学芸大学や、研究施設があり、文教都市の側面も有しています。
文教地区にはパチンコ店や麻雀店、ナイトクラブなどの教育に相応しくない施設は出店することができないため、治安が良くなります。
騒音も少なく閑静な住環境であるとともに、小金井市は、さらに交通利便性の高さも併せ持ちます。
このように都心から近い文教都市というのは、それだけでブランド価値があり、不動産価値が低下しにくい傾向があります。
また、子供の教育にお金をつぎ込める教育熱心な親が集まり、所得も高くなることから、相続税が課税される可能性が高まります。
2-4.小金井市の地価は全域が高い
小金井市の平均地価は1㎡あたり46万6,000円で、東京都全59位中23位の金額となっています。
小金井市と同じ武蔵野税務署の管轄内にある武蔵野市の地価は、127万円、三鷹市は60万円となっており、小金井市は3市のうちで最下位ということになります。
市内で最も地価が高いエリアは国分寺駅で、1㎡あたり47万円、2位は武蔵小金井の45万円となっています。
市の西部に位置する国分寺駅は、武蔵小金井と同様に再開発が進んでおり、周辺は便利さと落ち着きを併せ持つ住宅地となっています。
一方で、最も地価が低いエリアは市の東部に位置する東小金井で、1㎡あたり36万円となっています。
地価の最高額と、最低額にあまり差がないことは、小金井市が全域において発展しているという証拠でもあります。
そういう意味では小金井市は、どこに住んでいても相続税が課税される可能性があると言えるでしょう。
3.小金井市の税理士情報
全国の税理士数は80,011人(令和4年1月末日時点)、その3割にあたる23,809人が東京都にいます。
そして東京都の税理士のうち、小金井市、武蔵野市、三鷹市を管轄している東京税理士会武蔵野支部に所属している税理士は約400人、このうち小金井市の税理士数は84人(令和4年2月14日時点)となっています。
武蔵野税務署管轄エリアの相続税の年間申告数は1,229件なので、このエリアにおける税理士1人あたりの年間申告数は0.32件です。
東京都全体の税理士1人あたりの年間申告数は0.76件であり、武蔵野税務署の管轄エリアの税理士は、これと比較して不足していることが分かります。
ただし、これは、東京都の税理士23,809人のうちの9割が東京23区に集中していることが理由です。そのため多摩地区は慢性的な税理士不足に陥っています。
それでは、税理士の少ない小金井市では、どのように税理士を探すと良いのでしょうか。
3-1.小金井市の税理士の探し方
東京税理士会は次の8つのブロックに分かれており、東京23区をカバーする第1~7ブロックには、東京の税理士数の9割が所属しています。
第1ブロック | 千代田区、中央区、港区 |
---|---|
第2ブロック | 品川区、大田区 |
第3ブロック | 新宿区、中野区、杉並区 |
第4ブロック | 文京区、台東区 |
第5ブロック | 世田谷区、目黒区、渋谷区 |
第6ブロック | 板橋区、練馬区、豊島区、北区、荒川区 |
第7ブロック | 足立区、墨田区、葛飾区、江戸川区、江東区 |
第8ブロック | 23区以外 |
よって、小金井市の立地を考えると、市内の税理士に限定して探すのは得策ではないでしょう。
東京都23区内では、千代田区がおすすめです。
千代田区は一般の人が土地を購入して住むなど考えられないエリアであり、居住者は代々の名家揃いです。課税割合も38.52%と驚異的で、都内トップの数値となっています。
相続税に強い税理士の需要も高く、その税理士数は武蔵野市の比にならないでしょう。
ただし、実力とブランドを兼ね備えている分、他のエリアよりも税理士報酬が高い可能性があるため、検討する際には注意しましょう。
3-2.武蔵野市の税理士は相続税に強い可能性が高い
武蔵野市の地価は非常に高く、小金井市の3倍近くもありました。武蔵野市にある吉祥寺は全国的にも有名な高級住宅街であり、その他にも数多くの高級住宅街を有しています。
東京都の富裕層が集中して居住しているエリアであり、特に吉祥寺には相続財産額が桁違いになる超富裕層が居住しているでしょう。
また、小金井市、三鷹市、武蔵野市はベッドタウンとして機能しているエリアであり、企業は少なめです。
よって、武蔵野支部の税理士は相続税に特化した人が比較的多いと推測できます。そしてその中でも、武蔵野市の超富裕層の複雑な相続税申告を、年何本もこなしている税理士は相続税への強さが卓越しているでしょう。
【参考サイト】税理士登録者数 | 日本税理士会連合会、東京税理士会 公式サイト、東京税理士会武蔵野支部