1．三鷹市の相続税申告の特徴

三鷹市は東京都のほぼ中央、東京23区の西隣に位置しています。

みなさんご存じのスタジオジブリの美術館である「三鷹の森ジブリ美術館」は、三鷹市にあることで有名です。

抜群の交通アクセスの良さと、都心とは思えない豊かな緑が魅力の市であり、憧れの街の代表格である吉祥寺がお隣にあることからも、都心へ通勤する高所得サラリーマンが多く居住していることが予想できます。

今回は、三鷹市の相続税申告について詳しく解説します。

1-1．三鷹市の相続税申告状況

令和元年の相続税申告状況のデータによると、全国と東京都、東京都を細分化して、三鷹市を管轄している武蔵野税務署（※）の申告割合における相続税申告状況は次の通りです。

※ なお、武蔵野税務署は三鷹市以外にも、武蔵野市と小金井市が管轄エリアとなっており、上記の数値は3市の平均です。

課税割合の全国順位では、東京都は2位の愛知県13.93%に圧倒的な差を付け堂々1位となっていますが、武蔵野税務署の数値はその東京都をさらに大きく上回っています。

多摩地区に属してはいますが、東京23区の課税割合順位に当てはめてみると、8位にランクインする程の高い数値となっています。

ただし、武蔵野税務署が管轄する3市の中で、最も課税割合が高いのは数多くの高級住宅街がある武蔵野市であると考えられます。

反対に、小金井市は武蔵野市と三鷹市より東京23区から離れるため、平均値を下げる側にあるでしょう。

三鷹市単体での数値は公表されていませんが、恐らく、平均値相当もしくは少し低い数値になるでしょう。

2．三鷹市の特徴

三鷹市は東京都の中央部に位置し、東京23区と多摩地区の境に位置しています。

市域は16.42平方キロメートル、人口は約19万人（令和4年1月1日現在）で、東側に杉並区と世田谷区、北側に武蔵野市、西側に小金井市、南側に調布市と隣接しています。

「水と緑の公園都市」をキャッチフレーズにしているだけあり、井の頭公園をはじめとして自然を感じられる場所が充実し、さらに道にも多くの木々が生えています。都会でありながら癒される環境で、すべての世代に住みやすい街です。

お隣の武蔵野市とは、JR三鷹駅を共有している状況からも分かるように、緑が多い品のある雰囲気も似ています。

それでは三鷹市の特徴と、それが相続税課税へどのように影響しているのか解説していきます。

2-1．多くの人が住みたい好アクセスの住宅地

三鷹市は、通勤や通学、買い物に便利な街として、都心へのベッドタウンとして発展しています。

主要駅はJR三鷹駅、京王電鉄井の頭公園駅、京王電鉄三鷹台駅の3駅で、中心駅となるJR三鷹駅にはJR中央線、JR中央本線、JR総武線の3路線が乗り入れており、さらにJR中央線は特別快速が停まるため、新宿や東京駅などへ20分もかからず行くことができます。

特に三鷹駅はJR総武線の始発駅であるため、座って通勤できる点は大きなメリットです。

このように東京の居住地として快適に暮らせる要因が揃っていることから、三鷹市は多く世代から人気を集めています。

2-2．教育レベルが高い

三鷹市には杏林大学や国際基督教大学など4つの大学があり、特に杏林大学は多くの医師を輩出しています。

また三鷹市の小中学校は、平成18年から小中一貫校に移行しているのが特徴です。教員が小学校中学校を通して指導しており、環境の変化などから不登校やいじめの問題が発生する「中1ギャップ」の解消に取り組んでいます。

現代は、より良い教育環境のために、小学校の校区を決めてから引越しをする「公立小移民」と呼ばれる現象が起きています。

教育レベルの高い市には、子供の教育にお金をつぎ込める余裕のある世帯が集まるため、相続税申告の可能性がある居住者が多くなります。

2-3．高級住宅街はない

三鷹市は比較的所得の高い世帯が居住していますが、際立った超富裕層は少なく、これといった高級住宅街はありません。

これは武蔵野市にある吉祥寺の存在によるものと考えられます。

吉祥寺には絶対的なブランドがあり、都内の超富裕層が居住している地です。お隣に面している武蔵野市と三鷹市ですが、地価には倍の差があります。

地価については次項で詳しく解説します。

2-4．三鷹市の地価

三鷹市の平均地価は1㎡あたり60万3,187円で、東京都全59位中20位の金額となっています。

なお、武蔵野市の地価は1㎡127万円であることから、同じような立地で隣り合う市でも、高級住宅地の有無で倍以上の差があることが分かります。

市内で最も地価が高いエリアは下連雀で1㎡あたり89万円と、2位の三鷹駅85万円を上回っています。

下連雀は三鷹駅と武蔵野市の間にあり、吉祥寺にも近い閑静な住宅地です。吉祥寺ほどの高級住宅地ではありませんが、高級スーパーも点在していることから、所得の高い層が居住していると推察されます。

最も地価が低いエリアは市の南部にある深大寺で、1㎡あたり27万円となっています。

27万円といっても100坪あれば9,000万円を超える地価であり、土地1つ所有しているだけで、相続税が課税される可能性が高くなります。

三鷹市は全域において相続税への注意が必要なエリアです。

3．三鷹市の税理士情報

全国の税理士数は令和4年1月末日時点で80,011人、その3割にあたる23,809人が東京都にいます。

さらにそのうち、三鷹市にいる税理士は、東京税理士会武蔵野支部に所属している約400人ということになりますが、この人数は、三鷹市の他に武蔵野市と小金井市も含んでいるため、その3市での合計人数である点に注意して下さい。

地価の高さや富裕層の数などを考慮すると、3市の中で武蔵野市が突出していると考えられることから、約400人の税理士の大半は武蔵野市にいると推測できます。

東京都の税理士1人あたりの相続税申告数は0.76件であり、相続税申告1件に1人の税理士もいないということになります。

同じ計算を武蔵野税務署の申告数1,229件と税理士数400人でしてみると、なんと0.32件となり、東京都の平均の半分にも足りないということになります。

東京都には23,809人もの税理士がいるにも関わらず、武蔵野支部にはわずか400人しかいないため、当然の数値といえるでしょう。

これほど税理士が少ない三鷹市では、どのように税理士を探すと良いのでしょうか。次項で詳しく解説します。

3-1．三鷹市の税理士の探し方

東京税理士会は次の8つのブロックに分かれており、第1～7ブロックに該当する東京23区には全体の9割になる約21,500人の税理士が所属しています。

残りの1割になる約2,300人が、三鷹市を含む多摩地区の第8ブロックに所属していることから、少ない税理士をさらに多くの市で分け合っているため、三鷹市の税理士が少ないということになっています。

3-2．三鷹市内より武蔵野市

武蔵野市の地価を見ると分かるように、この地に土地を購入して居住できるのは富裕層がほとんどであり、さらに吉祥寺の高級住宅街ともなれば、相続財産額が桁違いの金額になる超富裕層に限定されます。

よって、武蔵野支部に所属している400人の税理士の中には、相続税に特化した税理士事務所も多いと考えられ、複雑な相続税申告を行うことができる相続税に強い税理士が数多くいると予想できます。

相続税申告は土地柄に強い地元税理士が良いという考え方がありますが、三鷹市は武蔵野市と隣接しており、さらにはセットで取り扱われるほどの関係であることから、税理士においても同様の傾向があると思われます。

三鷹市での税理士探しは、まず武蔵野市で行うことをおすすめします。

3-3．武蔵野市に並行して第1ブロック内も

東京税理士会武蔵野支部に所属している税理士はわずか約400人であり、東京都内の税理士の1.6%程度になります。

優秀な税理士であるほど人気があり、早くから仕事が埋まってしまうため、母体数の少ない武蔵野市内の税理士だけでは、なかなか相続税に強い税理士に出会えない可能性もあります。

そこで課税割合が高い区が集中している第1ブロックの、千代田区、中央区、港区も候補に入れましょう。

第1ブロックには東京都の税理士の約4割にもなる約8,500人の税理士と税理士法人が所属しており、さらに武蔵野市以上に複雑な相続税申告が発生していると考えられることから、相続税に強い税理士の数は武蔵野市の比にならないはずです。

三鷹駅から都心までは短時間のアクセスが可能であり、隣町へ行くという感覚は薄いのではないでしょうか。

東京都であること、東京23区に近いことなど、他県にはできない有利な環境を存分に生かした税理士探しをしてください。

【参考サイト】税理士登録者数 | 日本税理士会連合会、東京税理士会 | 公式サイト、東京税理士会武蔵野支部HP