相続税と贈与税を比較検証、どちらがお得か?

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生前贈与

相続税の節税対策として、「生前贈与」が大きく注目されています。生前に少しずつ財産を贈与することで相続財産となる財産を減らし、相続時の相続税を少なくする方法です。

贈与税の税率は相続税の税率よりも大きいため、1回だけで見たら、当然、贈与税のほうが大きくなり贈与は不利になります。
ただ、相続は1回だけで終わるのに対して、贈与は何年にもかけて行うことができます。毎年贈与する金額が少なければ贈与税は少なくて、もしくは、ゼロですみますので、長い間にわたって少しずつ贈与することで、相続税の節税対策が可能です

それでは、実際、1回の相続税と、生前贈与した場合の贈与税のどちらがお得なのか、具体例を利用して比較検証してみます。
なお、生前贈与そのものの節税効果を検証したいため、相続税の計算において配偶者控除は考慮しません。

相続税・贈与税の具体的な計算方法の解説は下記をご覧ください。

【参照】簡単にできる相続税の計算
【参照】簡単にできる贈与税の計算

パターン1:生前贈与なし

・相続財産(課税価格):2億円
・相続人は配偶者と子供2人(子供は2人とも20歳以上)

生前贈与が全くなしで、全額、相続財産として課税された場合です。
贈与税はありませんので、相続税額だけ計算します。

課税遺産総額を計算します。

基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 3人 = 4,800万円
課税遺産総額 = 2億円 - 4,800万円 = 1億5,200万円

各人の法定相続分は配偶者が2分の1、子供がそれぞれ4分の1ですから、課税遺産総額にそれぞれの法定相続分をかけると次のようになります。

配偶者 1億5,200万円 × 1/2 = 7,600万円
子   1億5,200万円 × 1/4 = 3,800万円
子   1億5,200万円 × 1/4 = 3,800万円

相続税の速算表を用いて、各人の税額を計算します。

配偶者 7,600万円 × 30% - 700万円 = 1,580万円
子   3,800万円 × 20% - 200万円 =  560万円
子   3,800万円 × 20% - 200万円 =  560万円

各人の税額を合計します。

1,580万円 + 560万円 + 560万円 = 2,700万円(①)

相続税額は、2,700万円です。
(配偶者控除は考慮していません。)

パターン2:生前贈与あり、毎年110万円

・相続財産(課税価格):2億円
・相続人は配偶者と子供2人(子供は2人とも20歳以上)
・3人に毎年110万円ずつ、10年間贈与

贈与税額がゼロですむギリギリの金額110万円を毎年贈与するパターンです。
まず、贈与税額を計算します。

課税価格(1人分) = 110万円 - 110万円(基礎控除額) = 0円
贈与税額(1人分) = 0円

贈与税額(3人分) = 0円
贈与税額(10年間) = 0円(②-1)

10年間で贈与された金額は、

110万円 × 3人 × 10年 = 3,300万円

課税される相続財産は、

2億円 - 3,300万円 = 1億6,700万円

ここからは、相続税額の計算をします。

課税遺産総額 = 1億6,700万円 - 4,800万円 = 1億1,900万円

各人の法定相続分をかけて、

配偶者 1億1,900万円 × 1/2 = 5,950万円
子   1億1,900万円 × 1/4 = 2,975万円
子   1億1,900万円 × 1/4 = 2,975万円

相続税の速算表を用いて、各人の税額を計算します。

配偶者 5,950万円 × 30% - 700万円 = 1,085万円
子   2,975万円 × 15% -  50万円 =  396万2,500円
子   2,975万円 × 15% -  50万円 =  396万2,500円

各人の税額を合計します。

1,085万円 + 396万2,500円 + 396万2,500円 = 1,877万5,000円(②-2)

贈与税額はゼロですので、相続税額と贈与税額の合計も、1,877万5,000円(②)です。
よって、生前贈与なしの場合からの節税額は次のようになります。

2,700万円(①) - 1,877万5,000円(②) = 822万5,000円

パターン3:生前贈与あり、毎年310万円

・相続財産(課税価格):2億円
・相続人は配偶者と子供2人(子供は2人とも20歳以上)
・3人に毎年310万円ずつ、10年間贈与

贈与税率が最低の10%ですむギリギリの金額310万円を毎年贈与するパターンです。
まず、贈与税の速算表を用いて贈与税額を計算します。直系尊属から20歳以上の子への贈与ですので、特例税率を利用します。

課税価格(1人分) = 310万円 - 110万円(基礎控除額) = 200万円
贈与税額(1人分) = 200万円 × 10% = 20万円

贈与税額(3人分) = 20万円 × 3人 = 60万円
贈与税額(10年間) = 60万円 × 10年 = 600万円(③-1)

10年間で贈与された金額は、

310万円 × 3人 × 10年 = 9,300万円

課税される相続財産は、

2億円 - 9,300万円 = 1億700万円

ここからは、相続税額の計算をします。

課税遺産総額 = 1億700万円 - 4,800万円 = 5,900万円

各人の法定相続分をかけて、

配偶者 5,900万円 × 1/2 = 2,950万円
子   5,900万円 × 1/4 = 1,475万円
子   5,900万円 × 1/4 = 1,475万円

相続税の速算表を用いて、各人の税額を計算します。

配偶者 2,950万円 × 15% - 50万円 = 392万5,000円
子   1,475万円 × 15% - 50万円 = 171万2,500円
子   1,475万円 × 15% - 50万円 = 171万2,500円

各人の税額を合計します。

392万5,000円 + 171万2,500円 + 171万2,500円 = 735万円(③-2)

相続税額と贈与税額の合計は
600万円(③-1) + 735万円(③-2) = 1,335万円(③)

よって、生前贈与なしの場合からの節税額は次のようになります。

2,700万円(①) - 1,335万円(③) = 1,365万円

全パターンの比較

最後に、生前贈与しない場合と生前贈与した場合のそれぞれのパターンをまとめてみます。

共通条件
・相続財産(課税価格):2億円
・相続人は配偶者と子供2人(子供は2人とも20歳以上)

パターン1パターン2パターン3
条件生前贈与なし3人に毎年110万ずつ3人に毎年310万ずつ
相続税額2,700万円1,877.5万円735万円
贈与税額0円600万円
合計2,700万円1,877.5万円1,335万円
節税額822.5万円1,365万円

一般論としては、ある程度長期間にわたって贈与税が低い税率の範囲内で生前贈与をすると、結果的に節税となることがわかります

ただ、もともとの相続財産がいくらか、相続人の構成はどうか、何年にわたってどのくらいの金額を贈与するのかで、節税できる金額は変わってきますので、実際の金額に基づいての検証は行う必要があります。

なお、上記の相続税の計算において、生前贈与加算、配偶者控除等は考慮していませんので、ご注意ください。
相続開始より3年以内に贈与した財産については、贈与ではなく相続とみなされて、相続税がかかります。人がいつ亡くなるかはわかりませんので、生前贈与を行う場合は、できるだけ早めに開始して早めに終えておくことが望ましいです。

また、毎年同じ金額を贈与すると、定期贈与とみなされて、贈与した合計金額全体に対して贈与税をかけられる可能性がありますので、ご注意ください。適切に生前贈与を行う方法については、下記を参照ください。

【参照】相続税・贈与税を脱税するとばれるか? 定期贈与を回避するための対策とは

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