2018年(平成30年)の基準地価を発表!27年ぶりの上昇
国土交通省が2018年7月1日時点の基準地価を発表しました。東京オリンピック、パラリンピックの開催まで約2年、各地で盛り上がりを見せている日本国内の土地はどのように変化したのでしょうか。
今回はその基準地価について、今後の予想を含め、じっくりと見ていきます。
1.2018年(平成30年)の基準地価
1-1.基準地価とは
基準地価とは全国各地にある基準地の土地価格のことで、毎年9月にその年7月1日時点の金額を国土交通省が発表します。 基準地価は、地価の適正な価格や動向を知る目安となり特に土地取引に活用されます。
この他、基準地価に似たような名前で、「公示地価」や「路線価」があります。
公示地価と基準地価は、金額や利用目的に大きな差はありません。
ただし、公示地価の対象が都市計画区域とその他土地取引が見込まれる区域であるのに対して、基準地価は都市計画区域外を含む全域であるため、公示区域外の地価を知りたいときには、基準地価が重要な指標となります。
また、発表される時期が毎年3月であり、その年1月1日時点の金額であるため、参照する時期によっては基準地価よりも近い動向を反映しています。
路線価には「相続税路線価」と「固定資産税路線価」がありますが、一般的に路線価というと相続税路線価を指します。
相続税路線価は、相続税や贈与税を計算する際の土地評価に使用される基準のことで、毎年7月にその年1月1日時点の金額が国税庁から発表されます。
固定資産税路線価は、土地の固定資産税評価額を決める際の基準となります。
基準地価 | 公示地価 | 路線価 | |
---|---|---|---|
判定機関 | 都道府県 | 国 | 国税庁 |
発表時期 | 9月 | 3月 | 7月 |
評価時点 | 7月1日 | 1月1日 | 1月1日 |
調査地点 | 2万強 | 約2万6千 | 33万強 |
目的 | 土地取引の目安 | 土地取引の目安 | 相続税、贈与税の計算 |
公示地価の補完的役割 |
1-2.2018年の基準地価
国土交通省が今年9月18日に発表した最新の基準地価は、全国の対前年平均変動率の用途別で、住宅地△0.3%、宅地見込地△0.3%、商業地+1.1%、工業地+0.5%となり、前年比で27年ぶりの上昇に転じました。
【出典】土地・建設産業:平成30年都道府県地価調査の実施状況及び地価の状況 - 国土交通省|第2表
地価上昇の大きな要因は、年々増え続けている外国人旅行者です。彼らが全国各地で行う観光やショッピング、宿泊などにより恩恵を受ける店やホテルがある商業地が3年連続で伸びています。
これに対して住宅地は27年連続の下落という結果になってはいますが、低金利などの対策により9年連続で下落幅は縮小しており、資産デフレ解消に向けて年々進歩しています。
2.都道府県別変動率
【出典】土地・建設産業:平成30年都道府県地価調査の実施状況及び地価の状況 - 国土交通省|第4表
この表から変動率が大きい都道府県を挙げると次の通りであり、日本を代表する観光地が名を連ねているのが分かります。
- 宮城
- 東京
- 愛知
- 京都
- 大阪
- 広島
- 福岡
- 沖縄
中でも商業地の上昇率1位となったのが新宿区の歌舞伎町1丁目で、ミラノ座の跡地に新宿エリア最大級の高層ビルが建設される計画の影響が大きいと思われます。
地価が最も高かったのは、毎年ほぼ変わらず東京・銀座2丁目の「明治屋銀座ビル」です。1㎡あたり4,190万円で前年比7.7%上昇しています。
3.今後の展望
2018年基準地価は27年ぶりの上昇というプラスイメージが先行していますが、住宅地においては半数以上が下落しており、都会田舎を問わず、高い地域と低い地域の二極化が続いています。
2019年には消費税10%への増税が待ち受けており、現在住宅購入の駆け込みが続いています。これがなくなったときの需要減も問題です。
また今回の調査には、西日本豪雨や北海道地震、近畿関西の台風被害などの影響が反映されておらず、風評被害を含めて地価にどれ程影響するのかが懸念されます。
都市部については、2020年の東京五輪に向けて開発が進むためまだまだ上昇の余地がありそうですが、東京五輪が終わった後はやはり下落するとの意見が多いです。
理由の1つとして、中国をはじめとした外国人が東京五輪に向けた地価の上昇を狙って投資目的で購入している土地は、オリンピック前後でいったん利益確定をするからです。多くの売り土地が出てくることで価格は下がっていきます。
景気と同じように、土地にも循環サイクルがあります。この上昇が終わるタイミングが2020年東京五輪なのかもしれません。
まとめ
2018年の基準地価について解説しました。この結果を踏まえ、来年はどのような変化があるのか、そんな予想をしながら土地の購入や売却をすると良いかもしれませんね。