遺留分減殺請求の対策として生命保険金が有効

★ お気に入りに追加
遺留分 お金

遺留分減殺請求された場合、生命保険金が効果的な対策となります。
相続人間での遺産相続を平等にするための制度ですが、被相続人の意思を示す遺言書との兼ね合いから揉めてしまうことが多い遺留分減殺請求。

なぜ、生命保険金を活用することが、遺留分を巡るトラブルの対策となるのか解説します。

1.遺留分減殺請求をされたらどうなる?

遺言書を残すとき、遺産相続で覚えておくべき制度が、遺留分と、遺留分を得るための権利である遺留分減殺請求権です。
もしあなたが他の相続人から遺留分減殺請求をされた場合、どのように対処すればよいのでしょうか?遺留分の基本から一緒に考えていきましょう。

1-1.遺留分減殺請求とは

平等な遺産相続を行うための制度として、相続人には「遺留分」というものが認められています。これは、どの相続人でも必ず財産を相続できる部分を保証している制度です。
遺言書などで特定の相続人以外が遺産を相続できないように指定されている場合でも、遺留分に関して必ず相続できるようになっています。

そして、遺留分を他の相続人へ請求することを「遺留分減殺請求と呼び、請求された場合は原則として必ず従う必要があります。遺留分に相当する金額を、相手へ渡さなくてはいけません。
ただし、遺留分と法定相続分は異なっているため、法定相続分と同じ金額を相続することはできません。

遺留分として認められているのは、「法定相続分の1/2」です。例えば、子供が相続人となるケースでは、法定相続分である遺産総額の1/2の1/2、つまり1/4が遺留分となります。遺留分減殺請求では、このように定められた相続分しか請求することができません。

【関連】相続基礎シリーズ7:遺留分とは?配偶者・兄弟・子供とその割合

また、定められた割合以上の金額を請求された場合、遺留分のみを渡すことで請求に応じたとみなされます。加えて、それでも納得しないようであれば、請求に従う必要もなくなります。
遺留分減殺請求は非常に大切な制度ですが、法律上の縛りや解釈に必ず従う必要があります。

そのため、自分で請求する場合は十分に注意が必要ですし、請求された場合も必要以上の金額を渡さないようにしましょう。

1-2.現金を相続しない or 少ない場合はどうなる?

遺留分減殺請求は、遺産総額に対して決められた割合の金額を請求します。ですが、ここで気になるのが、相続した財産がお金以外の場合です。
相続の対象となるのは不動産や骨董品など、ほぼ全てのものが対象となりますので、現金を相続しない場合や少額しか相続しない場合もあります。

このような場合に遺留分減殺請求をされた場合、どのように対応すればよいのでしょうか?遺留分を相手に渡す場合、現金以外でも物納によって代返できると決められています。
つまり、遺留分に相当する不動産や骨董品があれば、それを渡すことで現金での支払いの代わりにできます。

ただし、不動産や骨董品など、素人が判断して簡単に価値が分かるものではありません。場合によっては、遺留分以上の価値があるものを欲しがることもあります。
こうした場合は、第三者の鑑定人によって適切な評価をしてもらい、適切な物品を渡しましょう。もちろん、評価が決定する前に相手に渡してはいけません。

1-3.遺留分減殺請求権の時効と借金の相続

遺留分減殺請求で注意が必要なことが「時効」です。
遺留分減殺請求権は、権利者が相続の開始、もしくは贈与や遺贈があったことを知ったときから「1年」で時効を迎えて失ってしまいます。ですので、明らかに時効の期間を過ぎてから請求してきた場合、その請求に従う必要はありません。

また、相続には「マイナスの相続」といわれることもある、債務の相続も含まれています。つまり、財産と一緒に借金も同時に相続しなければいけないのです。
もちろん、財産だけを選んで相続することはできず、借金を放棄する場合は財産も同時に放棄しなければいけません。

では、借金がある相続に対して遺留分減殺請求を行う場合、割合に応じた借金も相続するのかというと、答えはNOです。
そもそも、遺留分減殺請求を行う場合、遺言書などにより特定の相続人以外へ相続させない、というケースが大半です。

そして、それが被相続人の意思となります。ですので、遺言書で指定された相続人が、借金を含めて全てを相続することを被相続人が望んでいるとみなされ、その人以外の相続人は遺留分のみを相続します。つまり、借金がある場合に遺留分減殺請求を行っても、借金を相続することはありません

ただし、遺留分の計算の基となる金額は、財産から借金を引いた残りの金額です。もし財産より借金のほうが多ければ残念ながら遺留分はありません。

2.遺留分減殺請求には生命保険金で対処する

遺留分減殺請求を最も手軽に解決するのは、遺留分相当額を現金で渡してしまうことです。そこで効果的なのが、生命保険金を活用する方法なのです。

遺留分減殺請求 生命保険金

2-1.生命保険金は手軽に手に入る非課税の現金

生命保険金は、簡単にいうと被相続人が亡くなった際に受け取ることができるお金です。つまり、現金を相続できない場合でも、現金を手軽に用意できる方法です。
そのため、この生命保険金を利用し、遺留分の代償金として渡すことで、遺留分減殺請求に対して簡単に対応できます。

また、生命保険金には相続税が非課税となる制度があります。これは、「500万円×法定相続人の数」までが非課税となる制度です。
例えば、2人法定相続人がいれば1,000万円までが非課税となります。

ただし、この非課税枠が認められるのは、生命保険金が相続財産として認められる場合です。
そのため、生命保険の被保険者を被相続人、生命保険金の受取人を該当の相続人、という条件で生命保険へ加入しておくことがおすすめです。この条件での生命保険金ならば、相続財産として認められます。

このように、遺留分の代償金を遺産相続とは別のルートで手に入れられるのが生命保険金の特徴です。自分の貯金などを崩さず遺留分減殺請求に対応できるため、知っておくだけでも非常に有効な手段です。

【関連】相続対策での生命保険の活用法

2-2.生命保険金は遺留分減殺請求の対象にならない

さて、生命保険金が相続財産として認められる場合、このお金も相続したことになります。つまり、生命保険金も遺留分の対象となる相続財産とみなされるのか、心配になる方もいるかもしれません。

実は、法律上、生命保険金は相続財産としてみなされず、固有の権利として認められています。矛盾しているように見えますが、簡単にいうと遺産分割の対象ではないのです。
最高裁でも、生命保険金は「民法に規定された遺贈または贈与にはあたらない」と判決が下されています。

ですので、生命保険金が遺留分の対象となることはなく、改めて生命保険金に対して遺留分減殺請求をすることはできません。
生命保険金のこうした特性が、遺留分の代償金として最適だとされている理由です。相続する遺産総額や自分の貯金を減らさずに遺留分を解決できるため、もしものときに活用できるよう、忘れずに覚えておきましょう。

生命保険

2-3.生命保険金が遺留分の対象となる場合

生命保険金は固有の権利のため、遺留分の対象とはなりません。というのが原則なのですが、一定の条件を満たす場合には、遺留分の対象として扱われてしまうことがあります。

それは、「特別受益」に該当する場合です。特別受益とは、全ての相続人が平等な相続ができるように定められたルールとなります。
例えば、生前に結婚や進学などの費用を肩代わりしてもらっていた場合、これらの費用も遺産総額に加えます。

その後、生前に援助していた金額と相続額の合計金額が、他の相続人の相続額と平等になるように、改めて遺産分割協議を行います。その結果、被相続人からもらう利益が、全ての相続人の間で平等になるのです。

生命保険金が特別受益に該当する場合で多いのが、受け取る金額が高額過ぎる場合です。生命保険金の総額が相続財産の総額よりも高額になっている、比較したときの割合が著しく多い場合などは、特別受益とみなされてしまいます。

ただし、最高裁では生命保険金に対しては、原則として特別受益を認めないと決定しています。つまり、生命保険金が遺留分の対象となるのは極めて稀なケースだけなので、安心して遺留分の代償金に充てましょう。

相続税に強い税理士が問題を解決いたします

相続税申告は税理士によって力量の差がはっきりと現れます。
相続税について、下記のような不安・課題を抱えている方は、相続税に強い税理士にご相談ください。

  1. 相続税をなるべく安くしたい
  2. 税務調査が怖い
  3. 評価が難しい土地がある
  4. 相続関連のいろいろな手続きが面倒で困っている
  5. 生前対策をしたいが、何をしたら良いかわからない

相続発生前後を問わず、相続に関連する問題に対して、税理士はあなたの味方になりますので、まずは気軽に相談されることをオススメいたします。

この記事が役に立ったらシェアしてください!
生命保険を利用した生前贈与による相続税対策 »

GoogleAdsense関連コンテンツ