マイナンバーの本人確認方法、大家さん&クラウドワーカーの場合

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マイナンバー

マイナンバー制度は2016年(平成28年)1月から施行されていましたが、2016年(平成28年)分の所得に関する書類を税務署に提出するのは翌年になりますので、実質、2017年(平成29年)から本格的にマイナンバー制度が運用され始めたと考えても良いでしょう。

マイナンバー制度では、税務署などの公的機関に書類を提出する書類に12桁のマイナンバー(個人番号)を記入するのですが、会社が従業員や報酬を支払った個人からマイナンバーを教えてもらうには、単純にマイナンバーを伝えてもらうだけでなく、本人確認が必須となります。

会社も従業員(個人)も、本人確認が一番大変な作業になると思われますので、本人確認の方法を説明します。
また、大家さんやクラウドワーカーの場合は、どうすればいいのかについても考えてみます。

1.マイナンバーの本人確認と7つの事例

従業員に給与を支払った場合や、源泉徴収が必要な業務で個人に報酬を支払った場合は、翌年1月末に源泉徴収票報酬の支払調書など(合わせて法定調書といいます)を税務署に提出する必要があります。その際にはマイナンバー(個人番号)を記載しなければなりません。そこで従業員/個人からマイナンバーの提示を受ける必要があります。

マイナンバーの提示を受ける際には、本人確認として下記の2点を確認します。

  • (1)番号確認:正しい個人番号であることを確認する
  • (2)身元確認:番号の提供者が正しい持ち主であるかを確認する

ただし、人によってマイナンバーカードを持っていたり、持っていなかったりと状況が異なります。また、提示方法が対面であったり、ウェブ上など様々です。そこで、国税庁作成の資料の中から、頻度が多いと思われるパターンを抽出して、本人確認の方法を解説します。

【出典】国税庁:国税分野における番号法に基づく本人確認方法

下記の1~4.は主に従業員の場合、5~7.はそれ以外の場合がメインとなります。

1.対面でマイナンバーカード所持の場合

対面によってマイナンバーカード(個人番号カード)の提示を受ける場合についてです。この場合は「マイナンバーカードのみ」で番号確認と身元確認の両方が行えます

マイナンバー

※マイナンバーカードとは、個人が役所に申請すると発行される写真つきのカードです。自宅に配布されたものは「通知カード」といい、マイナンバーカードとは別ものですので、間違えないようにご注意ください。

マイナンバーカードの表面には氏名・住所・生年月日などの個人情報、および顔写真が掲載されていますので、これを見ることで「(2)身元確認」ができます。
また、マイナンバーカードの裏面には個人番号が記載されていますので、これを見れば「(1)番号確認」も行えます。
したがって、マイナンバーカードがあれば、これ1枚で手続きが完了します。

2.対面でマイナンバーカードを所持せず、写真つきの身分証がある場合

対面ですがマイナンバーカードを所持しない場合についてです。この場合は「通知カード」と「写真つき身元確認書類」の2つを提示します

通知カードとは国民全員に配られたマイナンバーが記載されているカードです(「カード」という名前がついていますが、まったくカードらしくない薄い紙です)。これを提示すれば「(1)番号確認」が可能です。

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ただし、通知カードのみでは身元確認が行えないため、併せて運転免許証や住民基本台帳カード、パスポート、身体障害者手帳、在留カードなどの写真つきの本人確認書類を提示します。学生証、社員証、資格証明書なども写真がついていればOKです。これにより「(2)身元確認」の手続きが可能です。

本人確認に有効な書類は他にも多くありますので、下記をご参考ください。

【出典】東京都主税局:マイナンバー(個人番号)を記載した申告書等の提出時の本人確認について

3.対面でマイナンバーカードを所持せず、写真つきの身分証がない場合

前項と同様で、対面ですがマイナンバーカードを所持せず、かつ身元確認書類に写真表示がない場合です。この場合は「通知カード」と「身元確認書類2つ」を提示します

通知カードを提示すれば「(1)番号確認」ができるのは説明済みですが、「(2)身元確認」は、身元確認書類2つで行います。
公的書類としては、印鑑登録証明書、健康保険被保険者証、国民健康保険証、地方公務員共済組合の組合員証があります。その他、写真のない学生証、社員証、資格証明書などもOKです。

4.通知カードと知覚による確認の場合

知覚による確認とは対面による確認の一種です。マイナンバーの提示主が控除対象配偶者や従業員の場合は「身元確認書類」の提示に代わって知覚でも確認できます。

知覚とは簡単に説明すると、目視による確認(見て判断する)方法です。これによって本人であることに相違ないと判断できるので、「(2)身元確認」とすることができます。
たとえば、会社の部署のマイナンバー担当者は従業員個人を見れば本人であるとわかりますし、また、従業員に扶養されている控除対象配偶者は、従業員が見れば本人であるとわかります。

あとは、通知カードなどを提示すれば「(1)番号確認」が済みます。

なお、この方法を利用する場合には、採用時などに番号法や税法で定められているものか同等の身元確認書類(運転免許証、写真付き学生証等)による身元確認を行っている必要があります。

5.マイナンバー提供の依頼書を使う場合

事業者が継続的に取引を行う顧客からマイナンバーの提供を受ける場合が想定されます。たとえば、証券会社に証券口座を開設する場合などです。

事業者がマイナンバー提示者に対して、マイナンバーを提示するように依頼する書類を送ります。この場合は、送付された依頼書に「通知カードの写し」などを貼って返送すれば良いです。
この方法では依頼書を送る相手方が「本人だと間違いない」ことの確認を行っていることが前提となります。

返送された通知カードの写しなどから「(1)番号確認」ができます。
また、依頼書等に印字した宛先などの個人識別情報と通知カードの写しなどの個人識別情報を照らし合わすことで「(2)身元確認」を行えます。なお、依頼書などには個人識別情報(氏名・住所)が正しく印字されていなければなりません。

6.メールにより個人番号の提供を受ける場合

事業者が報酬を支払った個人(講師、ライターなど)から法定調書作成のためにマイナンバーの提供を受ける場合が想定されます。

メールにより個人番号の提供を受ける場合は、撮影もしくはスキャナによるイメージデータ化によって提出を受けることができます。この場合、もし提供者がマイナンバーカードを持っていれば、表面と裏面を送信することで本人確認とします。
マイナンバーカードを持っていない場合には、通知カードと身元確認書類の2つをデータ化し送信することで本人確認となります。

継続的な契約関係にある場合には、提供を受けたマイナンバーを法定調書作成のために保管しておき、次回改めてマイマンバーの提供を受ける必要はありません。

なお、メールによる送受信は情報漏洩リスクが発生しますので、個人情報の扱いについて必要な措置を講じなければなりません(送信ファイルを暗号化しパスワードをかける、送信間違いを防止する、送信するPCのウィルスチェックをするなど)。

7.インターネットの専用ページを利用する場合

インターネットの専用ページにて、あらかじめ本人確認をした上で発行されたID・パスワードによりログインし、そこにマイナンバーのデータをアップロードしてもらうことも可能です。ただし、これはあらかじめ運転免許証などで本人確認を行っておく必要があります。

マイナンバー提供者がID・パスワードでログインしたことをもって「(2)身元確認」とします。
また、専用ページで通知カードをデータ化してアップロードすることで、「(1)番号確認」が行えます。

専用ページについては、クラウドのマイナンバー管理サービスがありますので、それらのクラウドサービスを利用するか、または独自で作成することも可能です。

なお、あらかじめ本人確認を取っており、その上でID・パスワードの発行が行われていないと、この方法を利用できません。

2.特別な人の本人確認方法

上記で説明した本人確認方法は、国税庁作成の資料に掲載されている内容ですが、だいたいマイナンバー提供者が従業員もしくは顧客(口座開設)の場合を前提に書かれています。
それでは、相手が大家さんやクラウドワーカーなど、特別な人の場合はどうなるのでしょうか?

マイナンバーの収集が難しいためマイナンバーを記載しないということも考えられますが、しかし、事業者には「マイナンバーの提供を受けるべく努力する」ことが課せられていますので、マイナンバーの記載がない場合には税務署から理由を質問される可能性があり、やはりマイナンバーの収集が必要になってくるでしょう。

税務署による正式見解がないため正確なことは申し上げられませんが、ここでは現実的な解決策を探ってみます。
なお、以下はあくまでも本サイトでの独自見解になりますので、ご参考としていただき、実際に実施される際には、税務署や税理士によくご相談のうえでそれぞれの判断で行ってください。

大家さんの本人確認

困った 年配法人または個人の不動産業者が、個人の大家さんから事務所や駐車場を賃貸していて家賃支払金額が年間15万円を超える場合、「不動産の使用料等の支払調書」を税務署に提出しますが、平成28年分からは大家さんのマイナンバーの記入が必要です。

ところで、事務所の賃貸ではたいてい不動産管理会社の仲介で行いますので、普段連絡をすることはほとんど全くないですし、そもそも大家さんと一度もお会いしたことがないというケースもあるでしょう。もちろん、契約書に相手の氏名・住所は書いてありますが、大家さん相手にマイナンバーと身分証明書の提示を依頼するのはやや気がひけるかもしれません。

また、大家さんには高齢の方が多く、マイナンバーの趣旨をよく理解していない方もおられるでしょう。突然、賃借人からマイナンバーと身分証明書を提示してと言われたら拒否反応を示す人もいるかもしれません。

そこで手っ取り早くは、大家さんからのマイナンバー取得と本人確認を不動産業者に依頼してしまう方法があります。不動産業者が仕組みを理解していないと説明に時間をとられますが、わかっている業者であればだいたい了承してくれるものと思われます。ただし、あくまでも不動産業者は代理で行うだけであり、マイナンバーを利用するのは契約当事者である賃借者側になりますので、不動産業者が確実な手順を踏むことと個人情報漏洩をしないように監督をする必要が出てきます。もし、不動産業者が了承してくれない場合には、自ら行うしかありません。

不動産業者、賃貸者どちらが行うにせよ、おそらく「5. マイナンバー提供の依頼書を使う場合」に準じて行うことになるでしょう。相手の氏名・住所を知っていますし、本人だという前提で家賃を払っているのですから、この方法で実施できると思われます。

今後、新たに賃貸借契約をする際には、契約時に、大家さんからマイナンバー取得と本人確認を済ませてしまうのが良いでしょう。

クラウドワーカーの本人確認

ソーシャル上記で説明した方法のうち、「6.メールで提供」以外はすべて、本人と対面できること、もしくは、本人の個人情報(氏名・住所)があらかじめわかっていることが前提となっています。

それでは、クラウドソーシングで個人に業務を依頼しているなどで、本人の氏名も住所も全くわかっていない場合はどうなるのでしょうか?
たとえば、ライティングやデザインの業務を依頼して報酬を支払った際には源泉徴収が必要になり、年間支払額が5万円超ではマイナンバーを記載して支払調書を税務署に提出することになりますが、実際のところ、受注者の本名も住所も知らないというケースが多いと思われます。

クラウドソーシング運営会社が代行して行ってくれれば良いのですが、それも現状は難しそうですので、本人と連絡をとって協力していただくしかないでしょう。

【参考】クラウドソーシングにおける源泉徴収の問題と解決策

方法①メールを利用する

「6.メールで提供」と同じ方法です。

クラウドソーシングでは基本的には運営会社のウェブサイト上でやりとりしますので、相手のメールアドレスも知らないことも多いですが、まずはメールアドレスを教えてもらい、マイナンバー提示を依頼して、メールで送信してもらう方法があります。

ただし、個人情報を扱うため、情報漏洩リスクには十分注意する必要があります。
提供者には、イメージデータを必ず暗号化しパスワードをかけてもらうようにします。ZIPファイルによる暗号化、あるいは、Word、Excelファイルにイメージデータを貼り付けて読み取りパスワードをかけるという方法があります。
さらにメール送信の際には、SSL/TLSを使用するメールサーバを利用していただき、当然ながら受信側もSSLを利用します。
ファイルを開くパスワードについては、ファイルと同時には送信せずに、別のメールで分けて送っていただくようにします。

送信側/受信側ともメール送信に利用するパソコンにはアンチウィルスソフトを導入しデータベースを最新にしてチェックをかけたうえで行うのが良いでしょう。

方法②ファイルアップロード機能つきのクラウドストレージを利用する

「7. インターネットの専用ページを利用する場合」に近い方法です。国税庁の資料では、あらかじめ本人確認がとれている必要があると記載されており、厳密にはこの方法は不可能ですが、セキュリティ面を考慮すると、メール利用よりも安全な方法と考えられます。

メール利用の場合でも、そのメールアドレスが本当に本人のアドレスか確認はとれていませんので、あらかじめ本人確認がとれていないという状況はメール利用の場合と同じです。

クラウドストレージには無料/有料各種のサービスがありますが、Dropbox、firestorage、GigaFile便など無料のものは利用を避けたほうが良いでしょう。アップロードされたデータがどのように管理されているかわからないからです。

機密情報のやりとりに適しているのは、ファイルアップロード機能つきのクラウドストレージです。たとえば、有料ですが「KDDI ファイルストレージ」というサービスがあります。

本サービスでは、ファイルアップロード用のフォルダを作成でき、フォルダにアップロード回数制限や有効期限を設けたりパスワードをかけたりできます。ファイルがアップされると即座に担当者にメール通知が飛ぶように設定できます。

長いアルファベット&数字の羅列のURLが発行されますので、マイナンバー提供者にアクセスして、マイナンバーがわかる書類と身分証明書の両方をアップロードしてもらいます。事業者はファイルを受領したらすぐにフォルダごと削除します。

ただし、正式な方法ではありませんので、実施に当たっては、税務署や税理士とご相談のうえで行うようにしてください。

方法③郵送で行う

「5. マイナンバー提供の依頼書を使う場合」と似ていますが、やはり本人確認がとれていませんので、厳密には不可能な方法です。ただ、他に本人確認のしようがありませんし、書留郵便であればインターネット利用よりも安心感がありますので、妥当な方法ではないかと思われます。

まずは氏名と住所を教えていただき、マイナンバー依頼書を送り、マイナンバーが記載された書類のコピーと、身分証明書のコピーを貼りつけて返送してもらいます。返信用封筒を用意したり切手を貼ったりすると、手間も費用もかかりますが、多くの人に納得してもらいやすい確実な方法ではあります。

ただし、こちらも正式な方法ではありませんので、税務署や税理士とよくご相談ください。

3.マイナンバーの利用、提供、収集の制限

番号法では、情報漏洩や悪用などのリスクから特定個人情報を守るために、マイマンバー(個人番号)の利用を厳しく制限しています。

利用制限

マイナンバーの利用範囲は、番号法に定められた社会保障、税及び災害対策に関する事務に限定されています。
ですので、これ以外の用途、たとえば、社員番号に代わる社員管理用としての番号、顧客管理番号などの用途に利用することはできません。

提供制限

番号法に定められた場合を除き、マイナンバーを提供してはいけません。
たとえば、関連会社に出向してその関連会社から給与を支払う場合、会社間でマイナンバーをやりとりしてはならず、直接従業員本人から関連会社にマイナンバーを提供しなければなりません。

収集制限

番号法に定められた利用目的を除いて、マイナンバーを収集してはなりません。
収集する際には、利用用途を明示する必要があります。一般的には次のような事務内容があります。

  • 源泉徴収票作成事務
  • 健康保険・厚生年金保険届出事務」
  • 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書作成事務
  • 不動産取引に関する支払調書作成事務
  • 配当等に関する支払調書作成事務

保管制限

マイナンバー提供者から提示されたマイナンバーの保管義務はありませんので、マイナンバーの写し(コピー)を残しておく必要もありません。ただし、継続的に取引する相手からマイナンバーの提供を受けている場合には、その番号を保管しておくことはできます。

逆に、マイナンバーには利用制限がありますので、退職や契約解除などで利用する必要がなくなった際には、それぞれ定められた期間(たとえば源泉徴収票なら7年間)が経過したら、廃棄する必要があります。紙ならばシュレッダー、データならば論理的あるいは物理的な削除が必要になるでしょう。

マイナンバーを保管する場合には安全管理措置を適切に行わなければなりません。不適切な利用や情報漏洩に関しては、懲役刑または罰金の罰則があります。事業主は個人情報の扱いに気をつけて、正しくマイナンバー制度を活用していく必要があります。

4.通知カードを紛失してしまったら?

マイナンバーの確認は、マイナンバーカードまたは通知カードで行いますが、マイナンバーカードを申請しておらず通知カードもなくしてしまったらどうすればいいのでしょうか?

その場合、「マイナンバー記載の住民票」で代用することができます。「マイナンバー記載の住民票」とは、通常の住民票にマイナンバー(個人番号)が記載されているものです。
発行に当たっては、通常の住民票と同じようにお住まいの市区町村役場の交付窓口で、身分証明証を提示して申請すれば発行してもらえます。ただし、利用目的を質問されますので、利用用途を回答ください。

あと、通知カードをなくしたことに関しては個人情報漏洩につながるおそれがありますので、必ず市区町村役場の該当窓口で、マイナンバー通知カード再発行手続きを行ってください。もし、自宅以外で紛失したのであれば、警察署への「遺失物届」の提出も必要です。

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