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2016年4月から期間限定ですが、多世帯同居リフォームの特例措置が適用されはじめました。これにより三世代(祖父母・父母・子)等の同居が進むと期待されています。
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多世帯同居リフォームの特例措置は2016年4月より実施されはじめた所得税減税の特例制度です。この制度は新・三本の矢の1つである「日本の希望出生率1.8」の実現のために設けられました。
以前から出産や子育ての悩みが少子化の要因の一つになっていると懸念されていました。そこで世帯間の助け合いをすることで、その不安をなくそうという試みの下に始まったのです。
新・三本の矢とは2015年9月に安部政権から打ち出された方針です。この三本には「名目GDP600百兆円」「希望出生率1.8」「介護離職ゼロ」があります。その2番目の「希望出生率1.8」を実現すべく、多世帯同居リフォームの特例措置を実施したのです。
すでに居住している住宅で他の世帯と同居するために必要なリフォーム工事を行った場合に、特例措置を受けることができます。
多世帯同居リフォームの特例措置は2つの種類があります。
2つの違いは借入の有無です。投資型は、借入金がなく自己資金でリフォームを行った場合に適用します。控除対象限度額は250万円で、そのうち10%を所得税額から控除できます。つまり、最大25万円の所得税控除額となります。
また、ローン型は、借入をしてリフォームを行った場合に適用します。控除対象限度額は1,000万円で、多世帯同居リフォームのために支出した金額の2%(限度額250万円)と、それ以外の用途の住宅借入金の1%(限度額750万円)を控除できます。多世帯同居リフォームだけだと1年間で最大5万円ですが、他の住宅用とも含めると1年間で最大12.5万円、5年間継続できるので最大62.5万円の控除が受けられます。
その年の合計所得金額が3,000万円以下の納税者に限ります。対象者はいずれの措置でも同じです。
多世帯同居リフォームの特例措置は2016年4月1日から2019年6月30日までです。この期間中にリフォームをする必要があります。
特例の対象になるリフォームは下記の全てを満たす場合です。
多世帯同居リフォームの特例措置を活用するメリットやデメリットについても確認しておきます。
この特例措置のメリットとしては、三世帯の同居がしやすくなる点です。投資型であれば最大25万円、ローン型であれば最大62.5万円の所得税控除が受けられます。したがって、リフォームがしやすくなると言えるでしょう。
また、同居をしていれば相続時に小規模宅地等の特例を活用できる可能性もあります。つまり、相続税の節税効果も期待できます。
このように所得税と相続税の節税効果が期待できるのが、メリットと言えるでしょう。
この特例のデメリットは控除の恩恵が受けられる可能性が少ない点です。
そもそも、対象になる物件は納税者が所有している建物に限ります。つまり、祖父母世帯が所有している物件に、親世帯がリフォームしても、あくまで祖父母の所得税控除がされるだけです。したがって、所有者に十分な所得税がない場合には控除の恩恵はありません。
また、仮にリフォームをしても親世帯、子世帯が同居しない可能性もあります。こうなると、たとえ控除の恩恵があったとしても、単なる無駄な出費になってしまいます。そのため、あらかじめ同居の意思があるかを確認しておく必要があります。
多世帯同居リフォームの特例措置には2種類ありますが、どちらの特例措置を使うべきなのでしょう。それぞれにオススメのケースを紹介します。
リフォーム投資型減税を選択した方が良い場合は、まずリフォーム代金を現金払いできる時です。また、借入金が250万円以下で、年間25万円以上の所得税を納めている場合も、投資型を選択するべきです。これらの場合だと投資型の方が特例の恩恵を受けられます。
リフォームローン型減税を選択した方が良い場合は、まずローン払いで250万円超の場合です。また、借入金が250万円以下でも、所得税額が年間25万円未満の場合はローン型を選択した方がいいケースが多いです。
多世帯同居リフォームの特例措置は2016年4月から実施されはじめました。これから三世帯で同居を考えている人は、所得税や相続税の節税効果が狙えるので制度を活用するといいでしょう。
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