相続税の税務調査の流れと事前にしておくべき対策

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調査

相続税の税務調査はほとんどの人が初めての経験であり自宅に来られるため、どこまで何をチェックされるのか、どんな対応をしたら良いか不安があります。
どのような内容でどこまでチェックされるのか、どのような対策をしておけばよいのかを、詳しく解説します。

1.相続税の税務調査とは

相続税の税務調査とはどのようなものを指すのでしょうか、以下でその流れとともにみていきましょう。

1-1.税務調査とは

税務調査とは、特定の納税者の課税標準(課税される対象の金額)や税額等を認定する目的で、質問検査等を行い申告内容を確認する調査のことを指します。

なお、税務調査ではありませんが、似たようなものとして、提出された申告書に計算誤り、転記誤り、記載漏れ及び法令の適用誤り等の誤りがあるのではないかと思われる場合に、納税者の方に対して自発的な見直しを要請した上で、必要に応じて修正申告書の自発的な提出を要請する場合があります。これは単に行政指導の一環であり、国税通則法に基づく調査の規制の対象ではありません。

1-2.税務調査の流れ

ここでは、税務調査の流れを簡単に説明します。

まず、税務署から事前通知があり、その後、税務署から調査担当者が自宅にやって来て実地調査を行います。
そのうえで申告内容に全く誤りがないようであれば、申告是認の通知があり終了です。

もし、申告内容に誤りがある場合には、修正申告をするように勧められます。
それに応じて修正申告をするか、もしくは修正申告に応じなければ更正決定がなされます。

税務調査 流れ

以下、それぞれのステップを詳しく解説していきます。

2.事前通知

税理士が関与していなければ、大体、税務調査日の3週間から2週間前までに、税務署の調査担当者(資産課税の第2部門や第3部門あたりから、相続税の申告書の内容を確認させてほしいので、自宅を訪問させてほしいことと、調査担当者の氏名及び人数、調査候補日の提示が行われます。
一方、税理士が関与している場合には、税理士に対しその旨の連絡が入ります。

なお、平成27年7月1日以後に行う事前通知については、納税者の方に税務代理人(税理士)が数人いる場合に、これらの税務代理人のうちから代表する税務代理人を定めたときは、代表する税務代理人に対して事前通知が行われます。

このためには、事前通知が行われることを希望する税務代理人が税務署に提出する税務代理権限証書に、その税務代理人が代表する税務代理人である旨の定めをしておく必要があります。
もし、代表する税務代理人の定めがない場合には、事前通知が行われる税目について委任を受けている全ての税務代理人に事前通知を行うこととなります。

3.実地の調査

実施の調査とは、相続税の調査においては、被相続人宅に調査担当職員が訪問して、相続人・顧問税理士等から質問検査権に基づき事情を聴取すること、書類その他の物件の提出を求めることなどをいいます。

3-1.事前に準備すること

3-1-1.相続財産の確認

実地の調査の流れは上図のとおりですが、事前に準備すべきことは、申告財産についてかなり詳細なことが聞かれますので、例えば預金通帳や保険証書などを準備しておく必要があります。

次に、被相続人の居室などを捜索されることになりますので(あくまでも相続人の同意があることが前提となります)、被相続人の居室に何があるのかを事前に確認しておく必要があります。さらに、家族に関することを詳細に聞かれますので、時系列にまとめておかれてもいいかもしれません。

3-1-2.税理士への依頼

相続税の申告を税理士に依頼せずに行った場合で、調査対象となってしまったような場合には、税理士に依頼することも可能です。

ただし、税理士の立場からすると調査の連絡からわずか2~3週間で、準備をするのはかなりハードな仕事になりますので、それなりの報酬は求められると思います。また、この場合には調査担当職員に対し調査に税理士を立ち会わせてほしい旨を連絡する必要があります。

できれば申告の段階から税理士に依頼しておくのが望ましいでしょう。

3-2.実地調査の質問事項

ここからが、当日の対応です。
実地の調査の質問事項等については、下図のとおりです。

税務調査 質問

①自己紹介

調査担当職員との名刺交換など行います。なお、来所するのは、税務署からの調査である場合には、上席国税調査官又は国税調査官といった中堅どころです。

②被相続人についての質問

被相続人の出生、職業、被相続人の親族についての質問です。

なお、職業についての質問の意図は、例えば、会社員であれば給料水準から所得形成がどの程度で行われるのかわかるので、その所得形成と申告財産の額が不当に小さいものではないかを確認しています。

次に被相続人の親族についての質問の意図は、相続財産の分散先が他にないかを事後的に確認するために確認の範囲を確かめているのです。

③相続人の家族構成、職業についての質問

まず、相続人の家族構成についての質問の意図は、相続人における相続財産の分散先がどの程度の広がりがあるのかを確認していることと、その範囲で財産が移転されていないかを確認するための質問です。

次に、職業についての質問の意図は、相続人の所得形成の水準を図りこれと申告相続額との比較を行って、不自然に低いものではないかを確かめることにあります。なお、付随して相続人の子どもに関する質問、つまりどこの学校に通っているのか、別居しているのか同居しているのか、結婚はしているのかというものです。

この趣旨は、典型例は教育費ですが、被相続人から子どもにお金が流れていないかを確認するものです。子どもにお金がかかり、それが親である相続人の収入では賄いきれない場合には、被相続人が援助している可能性があり、これが申告に反映されているかを確認するのです。

④被相続人の財産に関する質問

被相続人が使用していた金融機関、所有不動産、保険、債務、貴金属その他の財産の所有の有無、その額についての質問です、昨今では、相続税対策として生命保険を用いることが多いので、生命保険に関する質問がなされます。その意図は、申告財産との一致があるかを確認するものです。

おそらく、ここで被相続人の居室はどこですか等の質問があり、相続人の居室の捜索が行われます。要するに申告財産以外の財産があるか、またはその端緒になるようなものはないかを捜索されます。ただし、あくまでも任意です。

⑤相続人の財産に関する質問

相続人の所有する預金、不動産、保険等の財産に関する質問並びにその子ども及び配偶者の財産に関する質問がなされます。相続人及びその家族が所有している財産が、彼らの所得では到底取得できないものであった場合には被相続人からお金が流れている可能性が高いので、そのことが申告に反映されているのかを確認する趣旨です。

⑥その他

例えば、遺産分割について裁判調停が行われているのであればその状況がどうなっているのかに関する質問がなされます、

また被相続人の愛人の存在などがうかがえるのであれば、その旨も質問されます、その意図は、被相続人からその者へ金が流れていないか又は愛人との間に子どもがいれば、その子どもに対し金が流れていないかを確認する趣旨です。

自宅 和室

4.実地調査その他

4-1.お茶出しや食事の準備は必要か?

調査担当職員に対しては、お茶出しや、食事の準備は全く必要ありません。たとえこれらを出しても当該職員は、手を付けないです。飲食等の饗応について一切受けないことと内規で定められているからです。また駐車スペースの準備も不要です。

要するに約束の時間に事前連絡の際に出席すると告げた相続人がそろっていること以外の準備は不要です。

4-2.書類の預かりと返還

例えば、相続人の居所等に十分なスペースがない場合や、検査の必要がある書類等が多量なため検査に時間を要する場合のように、調査担当者が帳簿書類等を預かって税務署内で調査を継続した方が、調査を円滑に実施する観点や納税者の方の負担軽減の観点から望ましいと調査担当者が判断した場合には、当該調査担当職員は書類等を預かる(留め置き)ことを依頼することがあります。

ただし、調査担当職員は、書類等の預かりについては、相続人等の承諾なくしては、行うことができません。したがって、これは警察等が令状により捜索差押えをする場合とは異なります。

4-3.金融機関への調査

税務調査の範囲として被相続人の金融機関に対する調査も当然のように行われます。それだけでなく、相続人または相続人ではない第三者で被相続人から財産を承継したと疑われる第三者の金融機関に対する調査も行われます。

5.調査結果の説明と修正申告の勧奨

5-1.調査結果の説明

調査担当職員は、税務調査の結果、更正決定等(国側で処分により税額を確定させる行為)をすべきと認められる事由がある場合には、調査対象者である相続人に、更正決定等をすべきと認める額やその理由などの内容を説明します。

そして、調査担当職員は、説明は原則として口頭で行いますが、必要に応じて、否認対象の項目や金額を整理した資料を提示して説明することもあります。対象者から質問等があった場合には対応します。
なお、調査対象者からの要望に応じて調査結果の内容を記載した書面を交付することはありません。

5-2.修正申告の勧奨

調査担当職員は、調査の結果、更正決定等をすべきと認められる事由がある場合には、上記調査結果の説明の際に、基本的には、修正申告(又は期限後申告)を勧奨することとしています。
これは、申告に問題がある場合には、調査対象者である相続人が自ら是正することが、申告納税制度の趣旨に適うものと考えられるためです。

ただし、相続人が修正申告の勧奨に応じるかどうかは、当該相続人の自由の意思に委ねられています。他方、相続人が修正申告の勧奨に応じて修正申告書を提出しなかった場合には、税務署は、調査結果に基づき更正等の処分を行うこととなります。

なお、修正申告を行った場合には、更正の請求をすることはできますが、不服申立てをすることはできませんので、こうした点をご理解いただいた上で修正申告を行ってください。

6.税務調査終了後

6-1.修正申告の勧奨に応じた場合

この場合には、修正申告書を提出します。その上で、なお、修正申告の内容に不服がある場合には、修正申告自体に対し不服申立てを行うことはできません。この場合には、更正の請求を行うことになります。

6-2.修正申告の勧奨に応じなかった場合

修正申告の勧奨に応じなかった場合には、税務署長等は、更正決定等を行います。これに対し不服がある場合には、当該税務署長に対する再調査の請求を行うか、国税不服審判所長に対し審査請求を行うことになります。

更正決定から審査請求に至るまでの流れについては、複雑になりますので、下記で解説しています。

【関連】相続税に関する国税不服審判所の審査請求等の不服申立手続の流れ

まとめ

以上のとおり、相続税の税務調査について見て参りましたが、初めて税務調査を受ける方にとってはかなり負担のある内容です。

調査の事前連絡を受けた場合には、税理士等の専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

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