実は身近なデリバティブ取引、その基礎と種類

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デリバティブ

デリバティブと聞くと、どんなイメージを思い浮かべるでしょうか?「難しそう」、「危険では?」、「私には全く関係ない」、「聞いたことはあるけど・・・」、「株式や投資信託はわかるけど、デリバティブは全然わからない」などが多いのではないでしょうか。

しかしながら、今やデリバティブは私たちの日常生活と密接に関係しています。デリバティブ取引の基礎知識や、デリバティブと相続について解説します。

1.デリバティブについて

皆さんの周囲に「デリバティブに詳しい人」はほとんどいないのではないでしょうか?FP(ファイナンシャル・プランナー)や税理士、弁護士など士業でも、デリバティブに関する知識を持ち合わせている人はほとんどいません。金融機関、例えば証券会社勤務の人でも、デリバティブ部門に従事していない限り、デリバティブについては実は詳しくないのです。

なぜなら、デリバティブは株式や債券、投資信託などとは性質が全く異なる商品だからです。気軽に始められる商品ではありませんし、NISAやつみたてNISA、iDeCo(イデコ=個人型確定拠出年金)とも無縁です。

しかしながら、今やデリバティブは私たちの生活に欠かせないものとなっています。そして、デリバティブの仕組みは実はそんなに難しくありません。詳しく見てみましょう。

1-1.デリバティブとは?

デリバティブとは、「基礎商品(原資産)から派生した取引・商品」のことです。

例えば、日経平均株価(原資産)から派生したデリバティブには、日経225先物や日経225オプションなどがあります。TOPIX(東証株価指数)から派生したデリバティブには、TOPIX先物やTOPIXオプションなどがあります。

これだけではわかりにくいかもしれませんが、原資産とデリバティブの関係について、一例として、「観光地」と「お土産屋さん」の関係で考えてみましょう。
つまり、観光地が原資産で、観光地から派生したものがお土産屋さんです。そう考えると、何となく理解できるのではないでしょうか。

作家で経済評論家でもある堺屋太一氏は、デリバティブについて「民意を反映した価格決定には、デリバティブは必要不可欠」と述べています。
例えば、一般市民が石油の値決めに参加することはできませんが、原油先物のようなデリバティブ取引なら参加することが可能だからです。そして、このデリバティブの価格は、少なからず原資産に影響を与えます。

1-2.デリバティブの基礎商品(原資産)

デリバティブの基礎商品(原資産)には、次のようなものがあります。

  • 株式
  • 債券
  • 金利
  • 外国為替
  • 商品

これらに加え、ウェザー(天候)や災害、クレジット(信用)なども原資産に含まれます。また、最近ではCO2排出権デリバティブや不動産デリバティブなどもあります。

1-3.デリバティブ3形態

デリバティブは、次の3つの形態に分けられます。

  1. 先物
  2. オプション
  3. スワップ

原資産と各デリバティブの関係をまとめると、次のようになります。

原資産デリバティブ
先物オプションスワップ
金利預金
債券
金利先物
債券先物
金利先物オプション
債券先物オプション
金利スワップ
通貨為替通貨先物通貨オプション
通貨先物オプション
通貨スワップ
株式株価指数
配当指数
株価指数先物
業種別株価指数先物
配当指数先物
株価指数オプション
株価指数先物オプション
エクイティ・スワップ
商品原油、金等
商品指数
商品先物
商品指数先物
商品オプションコモディティ・スワップ
気象
災害
天候
地震
天候デリバティブ
(気温・降雨・降雪)
地震デリバティブ
信用クレジット
(デフォルトリスク)
クレジット・スプレッド・オプションクレジット・デフォルト・スワップ
(ファースト・トウ・
デフォルト・スワップ)

なお、デリバティブの主力商品である先物とオプションの商品内容については、別の記事で詳しく解説します。
また、スワップについては、個人で投資することはほとんどありませんので、同じく割愛します。

1-4.私たちの身近にあるデリバティブ取引

実は、私たちの身の周りには、デリバティブの仕組みを応用した事例がたくさんあります。
例えば、

  • おせち料理の予約(先物取引の側面あり)
  • カシミヤコートの予約(先物取引の側面あり)
  • 定期保険(死亡保険)への加入(オプション取引の側面あり)
  • 握手会イベントのチケットがついたCDを購入(オプション取引の側面あり)
  • Yシャツをクリーニングに出し、チケットで支払い(オプション取引の側面あり)
  • マンションを購入する(オプション取引の側面あり)

などです。どれもごく身近にある出来事ですね。何となくイメージがつかめてきたのではないでしょうか。
では次に、具体的なデリバティブ商品を見てみましょう。

1-5.大阪取引所に上場されているデリバティブ商品

大阪取引所には、2017年10月16日現在、日経225先物やTOPIX先物、日経225オプションを始め、28のデリバティブ商品が上場されています。 2016年7月には、東証マザーズ指数先物取引が上場されるなど、上場商品は近年増加傾向にあります。なお、2014年3月24日に、東京証券取引所のデリバティブ市場は、大阪取引所のデリバティブ市場に統合されています。

デリバティブ オプション

2.デリバティブが組み込まれた金融商品

自身で直接デリバティブ取引を行わなくても、デリバティブが組み込まれている金融商品はたくさんあります。デリバティブが組み込まれていることを知らずにその商品を購入していることもあるかもしれません。そのなかから一部を紹介します。

2-1.レバレッジ型ETF(上場投資信託)

日経平均レバレッジ・インデックスJPX日経400レバレッジ・インデックスなどを対象指標(指数)とし、値動きが原資産(日経平均株価やJPX日経インデックス400など)の前日比変動率の2倍になることを目指すETF(上場投資信託)です。原資産の前日比変動率の-2倍になることを目指すインバース型もあります。

個人投資家に大人気で、1570の日経レバETFは、売買代金が一時期、連日東証1部の上位を占め、話題になりました。日経225先物やJPX日経400先物など、株価指数先物を投資対象としており、現物株式には投資しません。

2-2.仕組預金

中途解約が禁止されている代わりに、高い金利が設定されている定期預金です。金利は通常、段階的に上昇します。その他にもいろいろな制限条項が付されている場合があります。

万一、中途解約する場合は、高い解約控除率が適用されるため、通常、大きく元本割れしてしまいます。この仕組預金には、コールオプションの売りが内包されています。金融機関により名称は異なります。

2-3.日経平均連動債(リンク債)

将来の日経平均株価の水準によって満期時の償還金額が変わる仕組債です。設定条件によっては早期償還もあり得ます。想定シナリオどおりに株価が動けば大きな収益をあげることができますが、逆に動いてしまうと大きな損失を被ることもあります。このため、過去、社会問題になったこともあります。

ノックイン水準(あらかじめ定められた株価の水準で、これを下回るとノックインが発生し、株価に連動して償還金額が変動するので、元本割れしてしまう可能性が高くなる)のプット・オプションの売りが内包されているため、このオプション・プレミアムの上乗せにより、利率が通常の債券より高くなっています。

株価 計算

3.デリバティブと相続

デリバティブと相続は、一見何の関係もないように見えます。確かに、高齢者でデリバティブを手掛けている人は少なそうな印象があります。

しかしながら、実は違います。NISA口座の開設者の年齢を見ると、60歳代以上が多くを占めていることからもわかるように、資産運用に積極的な高齢者は多いのです。実際、デリバティブに関するセミナーには、資産運用にある程度精通している高齢者、株式投資以外にも投資のレパートリーを広げようとしている高齢者が多く参加しています。

加えて、先ほどのレバレッジ型ETFや仕組預金、日経平均連動債(リンク債)についても、高齢者が購入している事例が多く見られます。
特に、仕組預金と日経平均連動債については、商品内容をよく理解しないまま高齢者が購入して損失が発生し、訴訟に発展しているケースも見られます。デリバティブと高齢者は決して無関係ではありません。

このように、高齢者がデリバティブに関わるケースは意外と多いのです。そのため、相続が発生し、デリバティブ(およびデリバティブ関連商品)を相続する可能性は十分考えられます

4.まとめ

見てきたように、デリバティブは、基本的な仕組みは決して難しくありません。なかなかとっつきにくいかもしれませんが、今やデリバティブは世の中に浸透しており、デリバティブによく似た取引、デリバティブを応用した取引はたくさんあります。

将来、相続の場面で遭遇することもあるかもしれません。資産運用に関心がない人にとってはハードルが高いかもしれませんが、これを機会に、デリバティブの基本的な仕組みだけでも覚えておくとよいのではないでしょうか。

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