仮想通貨の特徴・メリットと今後の日本や金融機関の動向

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今年2017年は「仮想通貨元年」ともよばれ、新聞、テレビなどメディアで仮想通貨について報道されることが多くなりました。マネー誌でも仮想通貨がたびたび取り上げられ、仮想通貨で大きな利益を得た人は、SNSでは「億り人(おくりびと)」と呼ばれたりもしています。

こういった動きを受け、大手金融機関も本格的な対応を開始しました。このように、仮想通貨は私たちの日常生活に少しずつ浸透しはじめているように見えます。仮想通貨の動向について解説します。

1.仮想通貨とは

仮想通貨とは、インターネット上で決済や取引に使われる電子データのことです。「通貨」といっても、実際の紙幣や硬貨などの物理的な裏付け、いわゆる「実体」があるわけではありません。このため、円やドルといった法定通貨とは異なり、政府や中央銀行はその発行には一切関与していません。

仮想通貨には、決済手段のみならず投資・投機商品としての側面があるため、特に2017年になってから急速に注目を浴びています。

1-1.仮想通貨の特徴・メリット

仮想通貨には、次のような特徴・メリットがあります。

決済の利便性、コストの安さ

日本国内でも、仮想通貨で買い物ができる店舗は急速に増えており、決済の利便性が高まっています。また、一般的な金融機関を利用する場合に比べ、特に送金コストが安いことが特徴です。

匿名性、無国籍性

仮想通貨は、高度な暗号技術を用いることによって取引データが守られており、匿名性があるといえます。また、特定の国が発行しているわけではないので、短時間のうちに国境を越えて世界中に仮想通貨を送付することができます。このため、無国籍性もあります。

なお、仮想通貨では、取引データを暗号化し、鎖のようにつないで管理しています。この仕組みを「ブロックチェーン」といい、データの改ざんが極めて難しいため、仮想通貨の基幹システムになっています。このブロックチェーンシステムは「画期的な発明」といわれ、仮想通貨の普及に大きな役割を果たしています。

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仮想通貨そのものの価値

「仮想通貨元年」の名のとおり、仮想通貨はまだ普及が始まったばかりです。このため、今後のさらなる仮想通貨の需要拡大を見込んで、投資・投機の対象として仮想通貨を買う人が多くいます。仮想通貨そのものに価値があるとみなされているため、仮想通貨の価格は日々大きく変動しています。値動きの激しさは株式や債券を大きく上回ります。

1-2.仮想通貨のデメリット

仮想通貨には、次のようなデメリットがあります。

犯罪に利用されやすい

仮想通貨は、前述の決済の利便性や匿名性から、犯罪に利用されやすいという側面があります。例えば、マネーロンダリング(資金洗浄)への悪用やテロ資金への供与に利用されるといったリスクがあります。最近では、詐欺的なコインが出回ったり、「仮想通貨は儲かる」と購入を勧誘する悪質商法も散見され、消費生活センターなどへの被害相談が増えています。

利用者保護が不十分

仮想通貨は、取引所を通じて購入しますが、2014年に起きた「マウントゴックス事件」を覚えている人も多いでしょう。当時、世界最大の取引所であったマウントゴックスは、経営者の横領などで経営破綻し、マウントゴックスを通じて仮想通貨を購入していた人は大きな被害を受けました。
これを受け現在は、仮想通貨の取引所は「仮想通貨交換業者」として登録され、金融庁のホームページでも確認できるようになりました。

【外部サイト】金融庁:仮想通貨交換業者登録一覧

しかしながら、それ以外でも、取引所が破綻するリスクや、不正アクセスによりビットコインが消失するリスクや、秘密鍵(いわゆる暗証番号)が盗まれるリスクなどは残ります。利用者保護についてはまだまだ不十分といえます。

1-3.電子マネーとの違い

では、仮想通貨は、例えばSuica(スイカ)やnanaco(ナナコ)といった電子マネーとはどう違うのでしょうか。
今年4月に改正資金決済法が施行され、仮想通貨の定義が明確になりました。それによると、仮想通貨とは、次の性質を持つ財産的価値のこととされています。

  1. ①不特定の者に対して、代金の支払い等に使用でき、かつ、法定通貨(日本円や米ドル等)と相互に交換できる
  2. ②電子的に記録され、移転できる
  3. ③法定通貨または法定通貨建ての資産(プリペイドカード等)ではない

Suicaやnanacoといった電子マネーは、上記要件のうち②を満たしますが、①および③は満たさないため、仮想通貨には該当しません。また、ブロックチェーンシステムの活用の有無は、仮想通貨の要件には関係がありません。

1-4.仮想通貨の種類

仮想通貨の代表格といえば、ビットコインでしょう。しかしながら、ビットコインは、現在、世界で1,000種類以上あるともいわれる仮想通貨の一つにすぎません。では、他にはどのような仮想通貨があるのでしょうか。

1-4-1.時価総額ベスト10

2017年10月24日現在の仮想通貨の時価総額は、次のようになっています。(出所:CoinMarketCap)

順位仮想通貨名時価総額(単位:ドル)
1位Bitcoin96,056,694,519
2位Ethereum29,351,428,953
3位Ripple7,805,834,749
4位Bitcoin Cash5,472,660,352
5位Litecoin3,091,949,097
6位Dash2,269,088,944
7位NEM1,885,212,000
8位NEO1,511,810,000
9位BitConnect1,438,013,148
10位Monero1,346,542,756

時価総額は、ビットコインが圧倒的に大きいですが、その他の仮想通貨の順位は日々目まぐるしく変動しています。仮想通貨では分裂が起こることもあるため、自分が保有している仮想通貨の動向は常にチェックしておく必要があります。

1-5.ビットコイン

ここで、仮想通貨の中心的存在であるビットコインについて触れておきましょう。

1-5-1.ビットコインの発祥

ビットコインは、2008年にサトシ・ナカモトという人物が、「Bitcoin:A peer-to-peer Electronic Cash System」という論文を発表したことが起点といわれています。論文ではプログラムコードも公開されました。しかしながら、このサトシ・ナカモトがどのような人物なのか、日本人なのかについては未だにわかっていません。

翌2009年には、この論文に賛同した研究者たちがビットコインの発行を開始しました。2010年5月18日に、米フロリダ州在住のプログラマーが、交流サイトに「ピザ2枚を1万ビットコインで交換しないか」と投稿し、同年5月22日にあるピザ店がこれに応じたことが、ビットコインによる世界初の商取引とされています。

1-5-2.ビットコインの仕組み

1-4-1.のとおり、ビットコイン(BTC)は現在、仮想通貨において世界最大のシェアを持っており、その価格は2017年に入り急騰しています。2017年10月24日現在、1ビットコイン=約5,734ドル(約65万円)となっています。約10分毎に新しいBTCが発行されますが、最終的な発行上限は2,100万BTCと決まっています

ビットコインは、法定通貨のように中央銀行が集権的に管理していないため、取引参加者が個々の取引の信頼性を担保する仕組みになっています。具体的には、採掘者(マイナー)と呼ばれる集団が、高性能の演算処理装置を使って暗号を解読し、取引を承認する作業(採掘=マイニングといいます)を行っています。そして、最も早く取引の正しさを確認したマイナー集団には、報酬としてビットコインが支払われるシステムになっています。

1-5-3.ビットコインの分裂

ビットコインは、システム改良を巡る意見の対立(「ブロックサイズの変更」か「ソフトの改良」かの対立)から、2017年8月にビットコインとビットコインキャッシュ(BTC)に分裂しました。

そしてビットコインは、同年10月24日から、今度はビットコインからビットコインゴールド(BTG)を分裂させる作業も始まりました。他の仮想通貨でも、過去にビットコイン同様、分裂した事例は見られます。今後も同様の動きが続く可能性があります。

なお、ビットコイン以外の仮想通貨を、総称としてアルトコインといいます。アルトは「~以外の」を意味する「alternative」の略です。

2.仮想通貨を巡る動き

日本において、仮想通貨を巡る動きは官民問わず活発になっています。主なものを見てみましょう。

2-1.日本国内における普及の動き

ビットコインを始めとする仮想通貨を利用できる店舗は急激に増えています。その代表例は家電量販店のビックカメラでしょう。ビックカメラではすでに全店でビットコインによる決済が可能になっています。

またそれ以外にも、首都圏中心ではありますが、飲食店や呉服店、自動車学校、法律事務所などでもビットコインが使えるところがあります。店側にとっても、クレジットカードと比較した場合の手数料の安さや、海外送金時の利便性が高いなどのメリットがあります。
インフラ整備という課題はありますが、今後、仮想通貨を使える店舗は拡大していくものと思われます。

2-2.金融機関の動き

金融機関側も、仮想通貨への対応を急ピッチで進めています。
みずほフィナンシャルグループは、円と等価交換できる仮想通貨「Jコイン(仮称)」の創設を目指すことを表明しました。このプロジェクトには、ゆうちょ銀行や多くの地銀も加わる見込みです。

三菱UFJフィナンシャル・グループは、みずほ陣営より前にすでに新しいデジタル通貨「MUFGコイン」の創設を表明していますが、今後、他の陣営もこのプロジェクトに合流してくる可能性があります。システム構築には莫大な費用と時間がかかり、邦銀連合で臨む方がコスト的に有利になるからです。みずほ、三菱UFJの両陣営が、将来的に連携する可能性もあるといえるでしょう。

なお、2017年10月28日付の日本経済新聞朝刊では、みずほフィナンシャルグループ、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループのメガバンク3陣営が、前述の各デジタル通貨につき、連携に向けた協議会を立ち上げた旨報じられています。このように、メガバンクグループの動きは、ますます目が離せなくなっているといえるでしょう。

他にも、SBIホールディングスは、米ヘッジファンドと組んで仮想通貨に投資するファンドを組成することを表明しています。また、GMOインターネットは、次世代型7nmの半導体チップを活用してビットコインのマイニング(採掘)事業に参入することを表明しています。高度な採掘技術を用いることにより、先行する海外のマイナー勢に対抗する狙いがあります。

このように、金融機関の動きは激しさを増しています。今後さらに新しい展開が見られるかもしれません。

2-3.金融庁の動き

仮想通貨の注目度が増す一方、改正資金決済法の施行後も、利用者保護の観点から、金融庁は監視の動きを強めています。2017年10月からは「仮想通貨モニタリング長」を置き、専門チームも立ち上げました。

しかしながら金融庁は同時に、仮想通貨を始めとする金融とITの結合、いわゆるフィンテックのイノベーション(技術革新)を見守るスタンスも示しています。当面、規制と育成の両面から、仮想通貨に向き合っていくものと思われます。

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3.今後の動向

3-1.仮想通貨の今後

仮想通貨の将来については、金融技術に詳しい識者の間でも見方は異なります。アメリカでは、仮想通貨に対する金融機関のスタンスは割れており、大手でも消極的なところはあります。

しかしながら、サトシ・ナカモトの論文発表から約9年が経過し、ここまで膨張した仮想通貨マーケットが、収束してゼロになるとは考えにくいのが実情です。数々の問題に直面しながらも、仮想通貨マーケットは発展していく可能性が高いでしょう。アメリカでは、ビットコインETF(上場投資信託)の実現を目指す動きも広がっています。

ただし、仮想通貨の数は非常に多く、現在は「乱立している」といえるため、こちらについては徐々に淘汰されてくものと思われます。同様に取引所についても再編・淘汰が進むものと思われます。

3-2.ICO(イニシャル・コイン・オファリング)

仮想通貨の将来と併せ、ICO(イニシャル・コイン・オファリング)についても触れておく必要があります。

ICOは、IPO(株式新規公開)やベンチャー・キャピタル、銀行融資などに代わる新しい形態の資金調達手段で、ここ1~2年急速に拡大しています。企業は「トークン」とよばれる電子記録を発行して資金を調達します。投資家は主に仮想通貨でトークンを購入します。

ICOについては、中国をはじめ海外では規制強化の動きもあるものの、やはり今後拡大していくものと思われます。ICOの拡大も仮想通貨の発展に今後大きく寄与するでしょう。

4.まとめ

仮想通貨については、会計や税制も含め、今後ルール作りに着手しなければならない項目がたくさんあります。しかしながら、私たちの生活に仮想通貨は徐々に浸透しています。リスクも高いので、理解しないまま投資する必要は一切ありませんが、極端に食わず嫌いになる必要もないでしょう。

場合によっては、被相続人が仮想通貨を所有していて、それを相続人が引き継ぐことも十分にありえます。
仮想通貨の基礎知識だけでも身につけておけば、将来いろいろな場面で役に立つかもしれませんね。

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