セルフメディケーション税制を受けるには?確定申告書の書き方と添付書類

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2017年1月よりセルフメディケーション税制がスタートし、その確定申告は2018年が初めてとなります。
セルフメディケーション税制の基本から確定申告の方法まで、詳しくわかりやすく解説します。

1.セルフメディケーション税制について

セルフメディケーション税制の導入が決定した時などには、多くのテレビ番組や雑誌などで特集されました。詳しくは知らないけれど、何となく知っているという人も多いのではないでしょうか。
「セルフメディケーション」という言葉は、軽い病気や怪我を医師の治療を受けることなく、市販薬などを使って自分で治療する自己治療のことをいいます。
自己治療に関する税制とはどのような制度なのでしょうか。基本から確認していきましょう。

1-1.概要

セルフメディケーション税制とは、従来からある医療費控除の特例という形で、2017年1月1日から2021年12月31日までの5年間導入される所得控除の1つです。
簡単には、ドラッグストアで売っている風邪薬などのOTC医薬品(※)と呼ばれる市販薬の年間購入総額が12,000円を超える場合に、12,000円を超える金額を、88,000円を限度として所得金額から差し引くことができる制度です。適用を受けるためには確定申告が必要になります。

導入の目的としては、軽度な身体の不調を市販薬などにより自ら手当てすることにより、国民の自発的な健康管理や疾病予防の取り組みを促進し、国の財政を圧迫している医療費の適正化に繋げるためなどが挙げられます。

※OTC医薬品とは、薬局や薬店、ドラッグストアなどで販売されている医薬品のことをいいます。OTCとは、Over The Counter(オーバー・ザ・カウンター)の頭文字を取った略称で、カウンター越しに医薬品を販売する形を表しています。

1-2.医療費控除との違い

市販薬の購入費を所得から控除することができる制度といえば、まず医療費控除が思い浮かぶ人が多いでしょう。
このセルフメディケーション税制と医療費控除の違いは、対象となる医療費と控除額です。

1-2-1.対象となる医療費

医療費控除の医療費とは、病院での治療費や薬代、通院の交通費、ドラッグストアなどで購入する市販薬代など、身体を治すためにかかった費用であればほとんどが対象となります。
これに対して、セルフメディケーション税制の対象は市販薬に限られます。

1-2-2.控除額

医療費控除は、医療費の年間総額が10万円以上である場合に適用を受けることができ、最高控除額は200万円です。
(ただし、その年の総所得金額が200万円未満の場合、最高控除額は総所得金額の5%の金額。)

これに対して、セルフメディケーション税制は市販薬の年間購入総額が12,000円以上である場合に適用を受けることができ、最高控除額は88,000円です。

1-3.医療費控除との併用はできない

セルフメディケーション税制の対象となる市販薬は、医療費控除の対象にもなっていますが、併用はできないので注意しましょう。
両者の試算をしてみて控除額が大きい方を選択しましょう。控除額が大きいということはそちらの方が最終的な所得税が安くなります。

国税庁の確定申告特集ページで、どちらがお得か、簡単に減税額のシミュレーションができますのでご利用ください。
【外部サイト】国税庁:重要なお知らせ <医療費控除が変わります>

1-4.意外と超える12,000円

医療費控除は、年間医療費が10万円以上となかなか高いハードルとなっています。若い人や若い家庭では病院で診療を受けることが少なく、あまり縁がないでしょう。受けたことがないという人も多いはずです。

しかし、このセルフメディケーション税制のハードルは12,000円です。病院での診療を受けることがなくても、ドラックストアや薬局で購入している該当する市販薬の合計が、12,000円を超えていることは意外とあるかもしれません。2017年のレシートが残っている人は今すぐ確認してみましょう。
配偶者や子供などの扶養家族がおられる方は、家族が購入した市販薬も対象です、

セルフメディケーション税制は、日頃病院をあまり受診せず、市販薬を利用することが多い人にとっては嬉しい制度なのです。

【関連】12,000円超の薬購入で所得税を還付、OTC医薬品の医療費控除制度

2.注意点

セルフメディケーション税制は、誰でもどんな薬でも適用される訳ではありません。適用を受ける際の注意点を確認していきましょう。

2-1.適用対象となる薬

この制度は、すべての市販薬が対象ではなく、指定されたOTC医薬品にのみ適用されます。
指定のOTC医薬品は1,671品目(2017年12月28日時点)あり、ドラッグストアなどでよく見る代表的なものは次の通りです。

  • イブ(エスエス製薬株式会社)
  • カコナールカゼブロックUP錠(佐藤薬品工業株式会社)
  • ガスター10(第一三共ヘルスケア株式会社)
  • コンタック600ファースト(佐藤薬品工業株式会社)
  • セルベール(エーザイ株式会社)
  • 大正胃腸薬S(大正製薬株式会社)
  • ベンザブロックIP(武田コンシューマーヘルスケア株式会社)
  • 龍角散せき止め錠(小林薬品工業株式会社)
  • ロキソニンS(第一三共ヘルスケア株式会社)

全ての対象品目については、厚生労働省のサイトに掲載されています。
【出典】セルフメディケーション税制対象品目一覧

購入したい医薬品が上記の対象品目一覧に入っているかどうかを、毎回確認するのは大変です。
そこで、簡単に判断するための方法が2つ設けられています。

2-1-1.共通識別マークの表示

対象品目に含まれる医薬品については、箱などに次のようなマークが記載されていますので、一目で判断することができます。

2-1-2.レシートの表示

対象品目を購入した際に貰うレシートには、一目で対象品目であることが分かるように、次のようなマークが付いています。
マークは「#」や「★」など販売店によって異なります。セルフメディケーション レシート

2-2.適用対象となる人

この税制の適用を受けることができるのは、所得税や住民税を納めていて、かつ「健康の保持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行っている方」と定められています。
この一定の取り組みとは、具体的には次のような取り組みをいいます。

  • 定期健康診断(勤務先での健診)
  • 健康診査(保険者が実施)
  • 特定健康診査(いわゆるメタボ検診)
  • 予防接種
  • がん検診

会社員であればほとんどの人が通常定期健康診断を受けていますので、この条件は問題なくクリアしているでしょう。

3.確定申告の方法

セルフメディケーション税制による所得控除の適用を受けるには、一定の書類を添付した確定申告書を期限までに提出する必要があります。
申告に必要な書類は次の通りです。

  • 確定申告書AまたはB
  • セルフメディケーション税制の明細書
  • 源泉徴収票(会社員の場合)
  • 対象のOTC医薬品の領収書、レシート
  • 一定の取組を行ったことを明らかにする書類(健康診断書や健康診断料の領収書など)

具体的には、2017年1月から12月までの間に購入した対象となる医薬品が12,000円を超える場合には、2018年1月(※)から確定申告を行うことができます。
これを申告することで所得税の一部が還付され、更に2018年度の住民税が軽減されます。

※確定申告の一般的な受付期間は、2月16日から3月15日ですが、還付申告の場合には1月から行うことが可能です。

3-1.確定申告書の書き方

3-1-1.確定申告書の種類

確定申告書は所得の種類に応じて、確定申告書Aまたは確定申告書Bを使用します。
確定申告書Aは、給与所得、雑所得、配当所得、一時所得のみの人が使用する申告書で、会社員などが該当します。
確定申告書A

確定申告書Bは、所得の種類にかかわらず全ての人が使用できる申告書で、個人事業主などが該当します。
確定申告書B

各種の様式はこちらから入手することができます。
【外部サイト】国税庁:確定申告書などの様式・手引き

3-1-2.医療費控除の欄

セルフメディケーション税制で記入するのは2か所です。

確定申告書 医療費控除

①区分は、「1」と記入します。
平成29年度(2017年度)の確定申告書からこの区分欄が設けられました。医療費控除は空欄、セルフメディケーション税制は1です。

②後で紹介する「セルフメディケーション税制の明細書」のDの金額を転記します。

確定申告書 支払医療費③「支払医療費等」、「保険金などで補填される金額」は「セルフメディケーション税制の明細書」のAとBの金額を転記します。

3-2.明細書の書き方

セルフメディケーション税制の適用を受けるためには、上記の確定申告書に次の明細書を添付する必要があります。
セルフメディケーション税制の明細書

様式はこちらから入手することができます。
【外部サイト】国税庁:セルフメディケーション税制の明細書

3-2-1.申告する方の健康の保持増進及び疾病の予防への取組の欄

セルフメディケーション税制の明細書

①該当する取組に✓マークを付けます。
②取組を証明する書類の発行者の名称を書きます。(○○クリニックなど)

3-2-2.特定一般用医薬品等購入費の明細

セルフメディケーション税制の明細書

③医薬品を購入した薬局やドラッグストアなどの名称を書きます。領収書などが複数枚ある場合には、支払先ごとにまとめて記入することができます。
④購入した医薬品の名称を書きます。同じ支払先で複数の医薬品を購入した場合には、下段も使って全て書きます。
⑤購入金額を書きます。複数購入の場合には合計額を書きます。
⑥生命保険金や健康保険法などの給付金を受け取った場合には、その金額を書きます。
⑦⑤の金額の合計を書きます。
⑧⑥の金額の合計を書きます。

3-2-3.控除額の計算

セルフメディケーション税制の明細書

⑨⑦の金額を転記します。この金額が上記の確定申告書の③の金額になります。
⑩⑧の金額を転記します。この金額が上記の確定申告書の③の金額になります。
⑪⑨から⑩を差し引いた金額を書きます。
⑫⑪から12,000円を差し引いた金額を書きます。この金額が上記の確定申告書の②の金額になります。

3-3.一定の取組を行ったことを明らかにする書類について

確定申告書には、次の3つが記載された書類を添付しなければなりません。
①氏名
②取組を行った年
③事業を行った保険者、事業者もしくは市区町村の名称または診察を行った医療機関の名称、もしくは医師の氏名

具体的には次のような書類をいいます。

  • インフルエンザなどの予防接種の領収書または予防接種済証
  • がん検診の領収書または結果通知表
  • 定期健康診断の結果通知表
  • 特定健康診査の結果通知表
  • 人間ドックなどの各種健診の領収書または結果通知表

3-3-1.提出するのはコピーで良い?

領収書を証明書類として提出する場合は原本です。結果通知表の場合はコピーでの提出が可能となっています。

3-3-2.健診結果を知られたくない場合

結果通知表を提出する場合には、健診結果部分を黒塗りや切り取って提出することが可能です。

3-4.領収書の5年保管義務

従来の医療費控除は、領収書を確定申告書に添付して提出する必要がありましたが、今回の2017年分確定申告から不要になりました。
その代わり、確定申告期限の翌日から5年を経過する日までの間、該当の領収書を保管しなければなりません。
(2017年分確定申告の場合、2023年3月15日まで保管必要)

保管していること自体を確認されることは珍しいですが、税務署が明細書の記入内容に疑問が出たときなどに、領収書の提示または提出を求められる場合がありますので、忘れない場所に保管しておくようにしましょう。
保管義務は5年間ですので、それを過ぎれば破棄して問題ありません。

確定申告訴求文言

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  • 所得控除、扶養控除、医療費控除などの各種控除に関する解説
  • 申告書/申請書の書き方(年度別)
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記入例などは、極力画像やサンプルを用意して、分かりやすく解説するよう努めています。 下記に一覧を用意していますので、確定申告に関する各種手続き・制度についてもっと調べたい方は、ぜひチェックしてみてください。

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