藤沢市、茅ヶ崎市の相続と税理士事情

神奈川県の中でも全国的に人気を集める湘南地域に属している藤沢市と茅ヶ崎市。夏の定番になっている海岸を要する2つの市では、さまざまな特徴を持つ街づくりが行われています。そこで、地価や所得などのデータを踏まえながら、藤沢市と茅ヶ崎市の相続税の特徴を解説します。
目次
1.藤沢エリアの相続事情
神奈川県の藤沢市と茅ヶ崎市はどちらも藤沢税務署の管轄地域となっています。そのため、相続税に関するデータも2つの市の合計データが発表されています。藤沢エリアの1年間の相続税申告件数は1,096件、実際の課税件数が794件です。
相続1件あたりの納付税額は約2,400万円、課税割合は14.17%となっています。神奈川県の相続税の平均データでは、1件あたりの納付税額が約2,000万円、課税割合は12.39%です。このデータと比較すると、藤沢エリアの各相続データは平均よりも大きく上回っていることがわかります。
藤沢市の相続データは、神奈川県内でも非常に高い数字となっており、1件あたりの納付税額は6位、課税割合は5位と上位3/1に入っています。ですので、藤沢エリアの各市では、しっかりとした相続税対策を行い高額な相続税に備えておく必要があるのです。
2.藤沢エリアの地価事情
課税額も課税割合も高い藤沢エリア。こうした相続税の特徴がどうして作られたのか、その背景を地価から考えてみましょう。
2-1.藤沢エリアの代表的な地域と地価
2-1-1.藤沢市
神奈川県の南部中央に位置し、相模湾と接している藤沢市。このエリアは湘南ともいわれており、藤沢市はその中心的な役割を果たしている市です。さらに、湘南地域の中では最大の人口を誇る都市でもあります。
藤沢市は中心部には大型商業などが立ち並ぶ繁華街が形成されていますが、市内には住宅街も広がっている地域もあります。加えて、湘南地域や江ノ島を中心とした観光産業も盛んで、非常に幅広い特徴のある都市づくりが行われています。
藤沢市の地価平均は約23万円、最も地価が高額なのは約39万円の石上です。石上は藤沢駅の南部を指しており、繁華街が広く形成されている地域です。この藤沢駅は藤沢市の中心駅であることから周辺は大きく発展しており、特に北部よりも南部の方が商業施設や飲食店が密集しているのが特徴です。
ですので、南部の方が人も多く集まっており、人気が高いことから地価も高額になっているのです。なぜ南部の繁華街が賑わっているのかというと、観光地である相模湾が市の南部にあり、ちょうど石上から南部へ向かう江ノ島電鉄が出発します。そのため、藤沢駅から南部の石上へ向かう人が多く、その人の波に合わせて、繁華街が形成されたのだと考えられます。
2-1-2.茅ヶ崎市
藤沢市の西部に隣接し、藤沢市と並んで湘南地域の中心地域となっている茅ヶ崎。夏を表す名曲などに地名が使われていることから、全国的にビーチの知名度が高い市です。夏になると模湾に面した湘南海岸には全国から多くの人が集まり賑わっています。
茅ヶ崎市は夏のイメージが強いのですが、実はそこまで高温になりにくい地域です。加えて、冬は暖かい地域ですので、一年を通して住みやすく、横浜や東京へのアクセスの良さからベッドタウンとしても人気を集めています。
茅ヶ崎市の地価平均は約20万円、市内で最も高額な地域が約46万円の茅ヶ崎駅周辺です。茅ヶ崎駅は横浜や東京都心部へアクセスでき、湘南海岸の最寄り駅となっています。ですので、茅ヶ崎駅は市内の中心駅として機能しており、周辺には大型商業施設が立ち並んでいます。
また、茅ヶ崎市=海というイメージが強いことから、マリンスポーツに関連したお店や雑貨店が多く、個人で経営をしているお店も多いです。そのため、不動産だけでなく商店の継承が伴う複雑な相続が発生する可能性もあり、通常の遺産相続以外にもさまざまな面を考慮した相続税対策が必要です。
2-2.藤沢エリアの地価の特徴
藤沢エリアの地価は、藤沢市、茅ヶ崎市という順になっており、それぞれ神奈川県内で4位と6位の地価の高さです。つまり、藤沢エリアの地価は神奈川県内でも高額な地域ですので、土地に課税される相続税額も高額になりやすいといえるのです。
これは、藤沢エリアが東京や横浜のベッドタウンとしての要素が強いからだと考えられます。さらに、アクセスの良さや住みやすさに加え、海に近いという景観の良さが、ベッドタウンとしての機能に付加価値を与えることで、より多くの人気を集めているのです。
また、藤沢市は一大観光である江ノ島へ行くときに通らなければいけない市であり、特に神奈川県北部から江ノ島へ行く場合には、藤沢駅を経由することが必要です。そのため、休日には藤沢駅を中心に県内県外から多くの人が集まっています。
こうした背景から、神奈川県の都心部から離れていても、藤沢市の地価は高い水準でキープされています。加えて、江ノ島だけでなく湘南海岸を目指す観光客が藤沢市から茅ヶ崎駅へ移動するため、どちらの市も地価が下がりづらくエリア全体の地価が高額化しています。
3.藤沢エリアの所得と富裕層
土地への課税と同様に、財産への課税も相続税額を決定する大きなポイントになります。そこで、藤沢エリアの2つの市の所得や富裕層の分布についても見ていきましょう。
自治体名 | 相続税の納税義務者数 | 課税対象所得 | 1人あたりの所得 |
---|---|---|---|
藤沢市 | 約20万2,400人 | 約7,900億円 | 約390万円 |
茅ヶ崎市 | 約11万1,200人 | 約4,100億円 | 約369万円 |
2つの市の2016年の所得は上記のようになっており、藤沢市の方が所得が高額になっています。神奈川県内では藤沢市が6位、茅ヶ崎市が8位と県内でも非常に高額な所得を受け取っています。さらに、2017年の所得状況もほぼ横ばいとなっていますので、所得が下がっていることはありません。
この背景として考えられるのは、藤沢エリアがベッドタウンとして機能していることから、横浜や東京で働いている人が多いため所得が高額化していることです。加えて、藤沢エリアは観光産業が活発に行われているため、市内での経済活動による所得も増加しているとも考えられます。
つまり、どちらにしても高額な給料が発生しやすい場所で働いている人が多いため、藤沢エリアで生活している人は高所得者が多いといえるのです。特に、主要駅の周辺や海岸に近い住宅街は地価が高くなる傾向にありますので、こうした地域には富裕層が多いと考えられます。
4.藤沢エリアの税理士事情
所得も地価も高額な藤沢エリアでは、税理士による相続税対策が重要です。そこで、エリア内にどれくらいの税理士が在籍しているのかも、しっかり確かめておきましょう。
自治体名 | 在籍税理士数 |
---|---|
藤沢市 | 217名 |
茅ケ崎市 | 73名 |
藤沢エリアの1年間の相続税申告件数は1,096件、課税件数は794件です。それに対し、藤沢エリア全体の在籍税理士数は290名ですので、エリア内の税理士は不足しているといえるでしょう。特に、茅ケ崎市は極端に少ないため、藤沢市に在籍している税理士も候補となります。
ただ、どちらの市でも税理士が不足気味であることから、横浜など多くの税理士が集まるところでも、相続に強い税理士を探しておく必要もあります。また、藤沢エリアでは自営業者も多く見られるため、事業の継承などでも異なる手続き必要な可能性があります。ですので、相続に強いだけでなく、弁護士と連携していることなどをポイントにして税理士を探すのも良いでしょう。
藤沢エリアは住宅街が広いというだけでなく、駅前には繁華街が形成され、南部には観光産業が活発に行われるなど、さまざまな様相を見せるエリアです。だからこそ、都市開発や土地の需要に敏感な地元の税理士が心強い存在となります。そのため、生前からしっかりと相続に強い地元の税理士を探し始め、確実に依頼ができるように準備を整えましょう。
【参考】藤沢エリア内の相続関連機関一覧
藤沢エリア内の相続に関連する各種機関の連絡先一覧をまとめました(2018年4月現在)。ただし、変更される可能性があることをご了承ください。
機関名 | 住所 | TEL |
---|---|---|
藤沢税務署 | 〒251-8566 神奈川県藤沢市朝日町1番地の11 | 0466-22-2141 (代表) |
藤沢県事務所 | 〒 251-8534 神奈川県藤沢市鵠沼石上2-7-1 | 0466-26-2111 (代表) |
藤沢市役所 | 〒251-8601 神奈川県藤沢市朝日町1番地の1 | 0466-25-1111 (代表) |
茅ヶ崎市役所 | 〒253-8686 神奈川県茅ヶ崎市茅ヶ崎一丁目1番1号 | 0467-82-1111 (代表) |
横浜地方法務局 湘南支局 | 〒251-0041 神奈川県藤沢市辻堂神台二丁目2番3号 | 0466-35-4620 |
藤沢公証役場 | 〒251-0025 神奈川県藤沢市鵠沼石上2-11-2 湘南Kビル1階 | 0466-22-5910 (代表) |
横浜家庭裁判所 | 〒231-8585 神奈川県横浜市中区寿町1-2 | 案件により異なる HP参照 |
神奈川県司法書士会 | 〒231-0024 神奈川県横浜市中区吉浜町1番地 | 045-641-1372 |
横浜弁護士会 | 〒231-0021 神奈川県横浜市中区日本大通9番地 | 045-211-7707 (代表) |