アルバイトでも所得税がかかるの?確定申告しないといけない?

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アルバイト

 働いてお金を稼いだら「納税の義務」があるというのは、誰もが知っていることだと思います。しかし、アルバイトとして働いている場合でも、正社員と同様に課税されてしまうのでしょうか? 多くの人が経験するであろうアルバイトの知っておきたい「税」の知識を詳しく解説していきます。

1.所得税はいくらからかかる?

1-1.税金の種類 所得税とはなにか

ひとくちに税金といっても、日本には数多くの種類の税金があります。
国に支払う税金を国税、都道府県や市町村など地方公共団体に支払う税金を地方税といいます。国税には、法人税や所得税、消費税などがあります。また、地方税には、固定資産税や住民税、法人住民税などがあります。

数ある税金の中で、「所得税」とは個人が1年間に獲得した所得に対する国税のことです。サラリーマンの給与や個人事業主の売上や収入などに基づき、所得を集計して、所得税が計算されます。所得税には、以下のような3つの原則があります。

  • 個人単位課税の原則…家族ではなく、個人を単位として計算する。
  • 暦年単位課税の原則…1年間を単位として計算する。
  • 応能負担の原則…収入の内容や金額を考慮して、税金の計算形態を決める。

1-2.個人には、どんな税金がいくらからかかるか

個人が支払う代表的な税金は、所得税と住民税です。では、所得税や住民税はどれぐらいの収入があればかかってくるのでしょうか。

所得税や住民税には基礎控除や扶養控除、生命保険料控除など、さまざまな控除があります。その中でだれでも受けられるのが、基礎控除です。所得税では38万円、住民税では33万円の控除があります。そのため、基礎控除以内の所得であれば、所得税や住民税はかかりません。例えば、個人事業主の場合は収入から経費など(青色申告の場合は青色申告控除も差し引く)を差し引いたもうけ(所得)が38万円または33万円以下の場合は、税金がかかりません。

住民税の場合は、別に非課税限度額の計算があり、35万円以下の所得の場合は住民税がかかりません(自治体によって、均等割がかかる場合あり)。

1-3.アルバイト(給与所得者)の場合

では、アルバイト(給与所得者)の場合はどうなるのかを確認しましょう。アルバイト(給与所得者)の場合は、原則、経費の計上を認められていません。その代わりに、1年間のアルバイトの収入に応じた一定金額の控除があります。この控除を給与所得控除といます。つまり、アルバイト(給与所得者)の場合は、必ず給与所得控除と上述した基礎控除の2つの控除があります。給与所得控除の金額は、最低65万円です。そのため、所得税の場合は1年間に、給与所得控除65万円+基礎控除38万円=103万円以下の収入の場合は税金がかかりません。

住民税の場合は、1年間に、給与所得控除65万円+非課税限度額35万円=100万円以下の収入の場合は税金がかかりません。これ以外に、学生でアルバイトをしている場合は、勤労学生控除を受けることができるので、所得税では1年間のアルバイト収入が130万以下、住民税の場合は126万円以下の場合(自治体によって、均等割がかかる場合あり)は税金がかかりません。

2.アルバイトの立ち位置

2-1.アルバイトの法的意義、立場

アルバイトとは、一般的に学生など本業が別にある人で、勤める会社と期間の制限のある契約を結び、決められた通常の労働時間より短い時間を働く労働者のことをいいます。法律的には、パートタイム労働法の対象となるパートタイム労働者になります。パートタイム労働者とは、「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」のことです。

2-2.アルバイトと正社員、パートとの違い

正社員とは、法律上特別な定義はありませんが、一般的には雇用期間の定めがなく、所定労働時間をフルに働く労働者のことです。三六協定の範囲で残業も義務づけられています。アルバイトと正社員の違いは、主に雇用期間に制限があるかどうかと、フルタイムで働くかどうかの違いです。

アルバイトとパートは、一般的にはアルバイトが学生などで、パートが主婦というイメージがありますが、どちらも法律的には、パートタイム労働法の対象となるパートタイム労働者になり、違いはありません。

2-3.納税の際の法的責任者は誰か

アルバイトの場合、もちろんアルバイトをしている人がその所得に対して税金を支払います。しかし、自分で税金を納付している人は少ないでしょう。実は、勤めている会社は、アルバイトに毎月給料を支払う際には、その税金を計算して給料から天引きし、後で天引きした税金を税務署に納める義務があります。

3.申告は必要なのか?源泉徴収の仕組み

3-1.アルバイトは、申告が必要なのか

アルバイトをしている場合は、毎月の給料から所得税が天引きされています。そのため、通常の場合は、確定申告は不要です。ただし、アルバイトを掛け持ちしている場合や、ある月だけ多く働いた場合などは、1年間を通して見ると、アルバイト収入に対して余分に所得税を差し引かれていることがあります。その場合は、確定申告すれば、所得税の還付を受けることができます。

3-2.源泉徴収の仕組み アルバイトでの源泉徴収の有無について

アルバイトをしている場合は、毎月の給料から所得税が天引きされています。これを「所得税の源泉徴収」といいます。通常、会社では、アルバイト従業員の毎月の給料の額(社会保険料が引かれている場合は、社会保険料控除後の金額)と扶養家族の人数を「源泉徴収税額表」の甲欄にあてはめて、給料から差し引く所得税の金額を計算しています。扶養家族がない場合は、月のアルバイト収入が88,000円未満の場合、差し引く税金がなく、88,000円以上になると、源泉税が差し引かれます。

源泉徴収では、1つの会社でその給料を12か月間もらった場合を想定して差し引く所得税の金額が決まっています。例えば、毎月88,000円未満の場合に所得税が差し引かれないのは、87,000円×12か月=1,044,000円と1年間の給料が所得税のかからない103万円前後の金額にあり、生命保険料控除など他の控除などでおそらく所得税がかからないであろうと想定されているからです。

では、2つのアルバイトを掛け持ちしている場合はどうなるのでしょうか。極端な話をすれば、どちらのアルバイト先でも月に88,000円未満になるように調整すれば、源泉徴収はされません。そうしたことを防ぐために、1つの会社では通常通りの計算で源泉徴収し、もう1つの会社では、88,000円未満であっても源泉徴収し、しかも通常より税率が高く設定されています(源泉徴収税額表の乙欄)。アルバイトをする人は、源泉徴収税額表の甲欄で源泉徴収してほしい会社にのみ、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出します。

3-3.源泉徴収の過払いがあったら

1つの会社で、源泉徴収の過払い(徴収されすぎ)があった場合は、会社が行う年末調整で徴収されすぎの所得税が会社から返金されます。しかし、2つの会社でアルバイトしている場合は、確定申告を行い、国から徴収されすぎの所得税の返金を受ける必要があります。

3-4.マイナンバー制度の導入による変化

マイナンバー制度の導入により、国民一人ひとりに個人番号が付与されました。個人の場合、税や社会保険、災害に対してマイナンバーを利用します。税金についてマイナンバーの利用が認められているため、今まで以上に、申告漏れや税金の納付漏れなどが発覚しやすくなるでしょう。

4.親の扶養控除に要注意

4-1.扶養控除とは

アルバイトを行う場合、本人の税金だけでなく、親の税金についても気にする必要があります。その1つが扶養控除です。扶養控除とは、扶養している家族(配偶者を除く)がいる場合に受けることができる控除のことです。
扶養控除が適用される条件は、同一生計で年間の合計所得が38万円以下の親族がいることです。「同一生計」は同居していることが原則ですが、仕送りしている場合など、同居していない場合も同一生計と認められる場合があります。親族とは、6親等内の血族と3親等内の姻族までのことをいいます。あまり例はありませんが、自分の兄弟や叔父、叔母などを扶養している場合は、扶養控除を受けることができます。

アルバイトをしている人の親が扶養控除を受けるには、アルバイトをしている人の年間収入が103万円以下である必要がありますまた、控除される金額は扶養家族の年齢によって異なります。控除額は次のとおりです。

年齢所得税住民税
16歳未満控除なし控除なし
16歳以上19歳未満380,000円330,000円
19歳以上23歳未満630,000円450,000円
23歳以上70歳未満380,000円330,000円
70歳以上480,000円380,000円
70歳以上で同居580,000円450,000円

4-2.もし限度額を超えてしまったら

もし、アルバイトをしている人の年間の収入が103万円を超えた場合は、親が扶養控除を受けることができません。扶養控除から外れると、例えば扶養家族の年齢が16歳以上19歳未満の場合、380,000円の控除がなくなります。

所得税率が10%とすると親の税金が単純計算38,000円増えることになるので注意が必要です。このように、年間の収入が103万円を超えた場合は親の税額が変わるので、すぐに親に知らせる必要があります。親が会社で年末調整する前であれば年末調整で、年末調整後であれば確定申告を行い、増税分を支払う必要があります。

5.社会保険の加入要件にも注意

5-1.社会保険とは(家族の扶養)

アルバイトを行う場合、親の税金以外に、親の社会保険についても気にする必要があります。社会保険とは、サラリーマンが加入する健康保険と厚生年金保険のことです。個人事業主などが加入する国民健康保険や国民年金には扶養という考え方はありません。国民健康保険は世帯の収入や人数が増えれば保険料が高くなりますし、国民年金は一人ひとりで支払う必要があります。一方、社会保険には家族の扶養という考え方があり、簡単にいうと、扶養家族が増えても、保険料の支払額は変わらないということです。

社会保険の健康保険では、配偶者、子、孫および兄弟姉妹、父母、祖父母などの直系尊属(ここまでは同居の必要なし)と、それ以外の同居している3親等内の親族が扶養になることができます。厚生年金保険は配偶者のみが扶養になることが可能です。

5-2.アルバイトの稼ぎ額と社会保険扶養

では、親の扶養になるためには、いくらまでアルバイトで稼げるのでしょうか。社会保険の扶養になるためには、年間収入130万円未満である必要があります。所得税では年間収入103万円以下の場合に扶養にできるため、所得税よりは基準が高くなっています。しかし、社会保険では、雇用保険の失業等給付、公的年金、健康保険の傷病手当金、出産手当金といった、所得税では収入に加えないものも年間収入に加えるので注意が必要です。

また、2016年10月の法改正で、週20時間以上、月額88,000円以上のアルバイト収入がある場合で、勤務期間1年以上(見込みも含む)、501人以上の従業員がいる、もしくは500人未満でも労使合意が行われている企業でアルバイトしている場合は、アルバイト先で社会保険に加入する必要があります。そのため、年間収入130万円未満でも親の社会保険の扶養から外れることになるので、こちらも注意が必要です。

5-3.自分で加入した場合

では、親の社会保険の扶養から外れる場合は、どうなるのでしょうか。この場合はアルバイト先で社会保険に加入するか、自分で国民健康保険に加入するかのどちらかになります。

アルバイト先で社会保険に加入する場合は、上述した週20時間以上、月額88,000円以上などの条件に当てはまる必要があります。しかし、複数のアルバイトを掛け持ちしていて、合算して年間収入が130万円以上になるような場合は、アルバイト先の社会保険加入条件を満たさないケースもあります。そんなときは、自分で国民健康保険に加入します。国民健康保険の加入手続きは、住んでいる自治体の担当窓口で行います。

まとめ

今回、解説したことがらは当然知っていることとして、税金が課されます。所詮アルバイトだから、と考えていると、思わぬところで損していたり、過少申告や脱税という罪に問われてしまう可能性もあります。働いてお金を稼ぐ以上は、1人の社会人として責任を持って行動することが大切です。

所得税って意外と難しい!?

所得税、固定資産税、住民税などは、消費税などに比べるとマイナーですが、調べてみると「意外と面白い!」と感じる人も多いです

当サイトでは相続税や贈与税をはじめ、色々な税金に関する「オトク」で「役に立つ」コラムを掲載しています。興味がある方は是非他のコラムも読んでみてください。

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気になったコラムを読んでもらえると、新しい発見があるかもしれません。

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