横浜市保土ケ谷区、旭区、瀬谷区の相続と税理士事情

横浜市の中でも住宅街としての様相が強く現れている保土ヶ谷区、旭区、瀬谷区。中心市街地のベッドタウンとしても機能している保土ケ谷エリアでは、どのような相続の特徴が現れているのでしょうか?
目次
1.保土ケ谷エリアの相続事情
横浜市の中域にある保土ケ谷区、旭区、瀬谷区の3つの区。これらの区はすべて保土ケ谷税務署の管轄となっており、相続税に関するデータも合計されたものが発表されています。
保土ケ谷エリアの相続税申告件数は874件、実際に課税された件数は622件です。相続1件あたりの納付税額は約1,650万円、課税割合は11.46%になっています。神奈川県全域を含めたデータによると、1件あたりの納付税額が約2,000万円、課税割合は12.39%が平均値として発表されています。
この平均値と比較すると、保土ケ谷エリアは1件あたりの納付税額、課税割合どちらも平均をやや下回っていることが分かります。保土ケ谷エリアの数字は決して低いものではありませんが、神奈川県内には神奈川区や緑区、鶴見区に鎌倉など納付税額や課税割合が突出して高いエリアが多く存在しています。
つまり、相対的に低く見えてしまい、その結果保土ケ谷エリアのデータは平均を下回ってしまっているのです。ですので、保土ケ谷エリアでは高額な相続税が課税される危険性が低いと考えてしまうことが多いのですが、本当は適切な対策と準備が必要となる要注意エリアなのです。
2.保土ケ谷エリアの地価事情
それでは、保土ケ谷エリアの相続の特徴を地価の特徴から考えていきましょう。
2-1.代表的な地域と地価
2-1-1.保土ケ谷区
横浜市の中央部に位置し、海岸沿いから離れた内陸部に位置している保土ケ谷区。神奈川や横浜という華やかなイメージとは違って、地域の大半は住宅地として活用されています。そのため、スーパーなどの商業店舗が多いのが特徴的で、キャベツやじゃがいもなどの農業も区の主な産業として発展しています。
保土ケ谷区の地価平均は約21万、最も地価が高額なのは約31万8,000円の天王町です。この地域は西区との区境に位置しており、天王町駅から西横浜駅まで1駅、横浜駅までは3駅と、横浜市の中心都市まで非常に近い地域です。
ですので、都市部で働く人々にとっては保土ケ谷区の玄関口にもなっており、駅周辺には商業施設や飲食店が多く建設されています。また、横浜ビジネスパークを始めとしたオフィスビルや金融機関も多く、都市部に近いことからビジネス地としても人気を集めています。
一方で、横浜新道や横浜横須賀道路など高速道路のインターチェンジがある新桜ケ丘などは、建物や鉄道路線が制限されます。その結果、この周囲の地域だけが地価が上がりづらく減少傾向にあるため、これらの地域では高額な課税が起きる危険性が少し低くなると考えられます。
2-1-2.旭区
保土ヶ谷区の北西部に位置している旭区。旭区は古くから横浜市の中心都市部や京浜工業地帯への通勤者のための宅地化が進んでおり、ベッドタウンとして機能していました。そのため、大規模な団地が相次いで建設されており、その結果人口が急増した区です。
さらに、1994年には日本最大級のよこはま動物園ズーラシアが開演し、2007年には鶴ヶ峰駅南部の再開発が完了するなど、近年になっても魅力が衰えることはありません。特に、鶴ヶ峰は横浜市の副都心のような機能を誇っており、重要な生活拠点として機能しています。
旭区の地価平均は約19万8,000円、最も地価が高額なのは約22万円の南万騎が原駅周辺です。実は、この地域は商業施設などが立ち並ぶ繁華街などではなく、工場を中心とした大規模な団地や広大な自然公園が存在しています。ですので、住宅街でありながら地価が最も高いという高額な課税が起こる可能性がある、相続税対策が特に重要な地域となっています。
また、繁華街としては二俣川駅や鶴ヶ峰駅周辺が大きく発展しており、およそ20万円前後の地価を記録しています。つまり、住宅街や繁華街など土地の利用方法に限らず地価が高額になる可能性が高く、価格の地域差があまりないことが旭区の地価の特徴といえるでしょう。
2-1-3.瀬谷区
旭区の西部に位置し、南北に細長い形が特徴的な瀬谷区。昔は北部にあった国鉄の所有地を活用した工業団地が建設され人口が増えた区です。。現在では東名高速道路のインターチェンジや国道に近いことから、より工場の立地条件として優秀になっており、工業団地が特に集中している地域となっています。
さらに、陸路での運搬が手軽にできることから、各企業の物流拠点が点在しており、立地を活かした工業や物流産業が活発に行われています。一方で、区内には開発されていない土地も多く、その土地を活用した農業も盛んに行われています。
瀬谷区の地価平均は約18万5,000円、最も地価が高額なのは約20万9,000円の三ツ境です。この地域は瀬谷区の南部に位置し、旭区との区境にあたります。三ツ境駅は横浜中心都市部への重要なアクセス拠点となることから地価が上昇しています。
加えて、旭区の繁華街である二俣川駅などにも手軽にアクセスできることも、地価が大きく上昇している要因と考えられます。また、区内には三ツ境駅と瀬谷駅の2駅しかないことから、鉄道交通の重要な拠点にもなっており、駅周辺には繁華街が形成されています。
2-2.保土ケ谷エリアの地価の特徴
保土ケ谷エリアの各区を地価の高い順に並べると、保土ヶ谷区、旭区、瀬谷区という順になります。さらに、保土ケ谷エリアの地価は横浜市内でも低く下位に位置しており、瀬谷区は下から2番目という低さです。
これは、横浜市全体が地価が高いことが影響しており、特に西区や中区などの地価が高額であることから中心市街地の地価上位になっています。そのため、住宅街がメインである保土ヶ谷エリアは上位に入り込むだけの地価の上昇が起こることが難しく下位になってしまうのだと考えられます。
また、中心市街地では高額なマンションが多いことから、生活拠点としては土ケ谷エリアへ人気が集まっているのも事実です。交通網がしっかりと整備されており、手軽に中心市街地へアクセスが可能なことも、保土ケ谷エリアのベッドタウンとしての人気に拍車をかけているといえるでしょう。
加えて、相続税は相続の発生に伴い課税されるため、住宅街が中心に課税される可能性が高くなる税金です。保土ケ谷エリアは比較的高齢の人々の人口割合が高い傾向にありますので、不動産の相続における高額な相続税が発生する確率も高く、相続税への適切な対応が求められ地域となっています。
3.保土ケ谷エリアの年収と富裕層
次は、保土ケ谷エリアの年収の状況から、相続税や富裕層の動向を確かめていきます。保土ヶ谷エリアの3区の年収状況は以下のようなデータが発表されています。
自治体名 | 平均年収 |
---|---|
保土ヶ谷区 | 約550万円 |
旭区 | 約590万円 |
瀬谷区 | 約530万円 |
上記のデータは2014年のものであり年収ですので、各年代や税金の影響により現在の所得とは異なります。ただ、地価とは異なり旭区がエリア内で最も高額な年収となっているという興味深いデータが現れています。
横浜市の中心市街地へアクセスが手軽なのは保土ケ谷区なのですが、住宅街が中心となり区内の産業があまり活発でないという特徴があります。一方旭区は、中心市街地へは距離ができてしまうものの、区内では工業や物流業が活発に行われています。
つまり、ベッドタウンとしての機能は劣るものの、区内での経済活動が活発なことから高い収入を得る機会が多いため、それが区の平均年収に現れているといえるのです。そのため、保土ヶ谷区内では旭区は富裕層が生活拠点して活用している可能性が高い地域だと考えられます。
また、3区の地価に大きな差が現れていないことから、年収による差が大きな影響を与えているともいえます。ですので、旭区、保土ヶ谷区、瀬谷区の順に富裕層が多く、相続税への意識もこの順番で強く持っておくことが重要になるでしょう。
4.保土ケ谷エリアの税理士事情
最後に相続税対策には必須となる税理士の在籍状況などを確かめていきましょう。
自治体名 | 在籍税理士数 |
---|---|
保土ケ谷区 | 95名 |
旭区 | 64名 |
瀬谷区 | 14名 |
保土ケ谷エリアの各区の在籍税理士数は上記のようになっており、合計すると169名がエリア内に在籍しています。保土ケ谷エリアの1年間の相続税の申告件数は874件、課税件数は622件で、件数の50%を下回っていることからエリア内には税理士が不足しているといえるでしょう。
保土ケ谷エリアに税理士が少ない理由は分かりやすく、市内の交通網が整備されているため、中心市街地に税理士が集中しているからです。特に、税理士の業務の中では相続税など個人を対象にするものよりも、企業向けの業務が多いため、ビジネスの中心地には税理士が集中することが多いのです。
また、横浜市の中心市街地は非常に多くの人が訪れ、東京都とも距離が近く簡単にアクセス可能です。こうした人の動向や立地の良さからも、住宅街である保土ケ谷エリアの税理士は減少しやすいのです。
ただし、地価や再開発などの状況を逐一把握できるのは、さまざまな情報に精通している地元の税理士です。ですので、第一に地元で相続税に強い税理士を探し、その後依頼できなかった場合などのために、都市部の税理士探しを始めることが最適です。相続税対策は税理士の実力に左右されることも多いため、いくつもの税理士事務所を訪れて、確かな実力があり信頼できる税理士を見つけましょう。
横浜市保土ケ谷区、旭区、瀬谷区の相続税に強い税理士
【参考】保土ケ谷エリア内の相続関連機関一覧
保土ケ谷エリア内の相続に関連する各種機関の連絡先一覧をまとめました(2018年6月現在)。ただし、変更される可能性があることをご了承ください。
機関名 | 住所 | TEL |
---|---|---|
保土ケ谷税務署 | 〒240-8550 神奈川県横浜市保土ケ谷区帷子町2丁目64番地 | 045-331-1281 (代表) |
保土ケ谷県税事務所 | 〒240-0023 神奈川県横浜市保土ケ谷区岩井町143-2 | 045-711-3011 |
保土ケ谷役所 | 〒240-0001 神奈川県横浜市保土ケ谷区川辺町2-9 | 045-334-6262 (代表) |
旭区役所 | 〒241-0022 神奈川県横浜市旭区鶴ケ峰1-4-12 | 045-954-6161 (代表) |
瀬谷区役所 | 〒246-0021 神奈川県横浜市瀬谷区二ツ橋町190番地 | 045-367-5656 (代表) |
横浜地方法務局 神奈川出張所 (保土ヶ谷区) | 〒221-0061 神奈川県横浜市神奈川区七島町117 | 045-431-5353 |
横浜地方法務局 旭出張所 (旭区、瀬谷区) | 〒241-0835 神奈川県横浜市旭区柏町113-2 | 045-365-1300 |
横浜東京家庭裁判所 | 〒231-8585 神奈川県横浜市中区寿町1-2 | 案件によって異なる HP参照 |
神奈川県司法書士会 | 〒252-0236 神奈川県横浜市中区吉浜町1番地 | 045-641-1372 (代表) |
横浜弁護士会 | 〒231-0021 神奈川県横浜市中区日本大通9番地 | 045-211-7707 (代表) |