川崎市多摩区、麻生区の相続と税理士事情

川崎市の北西部に位置している多摩区と麻生区。この川崎西エリアは東京都に近いことから、神奈川県でありながら東京都との関係が密接な地域です。では、東京都との関わりが深い川崎西エリアでは、どのような相続税の特徴が見られるのでしょうか?
目次
1.川崎西エリアの相続事情
川崎市の北西部に位置している多摩区と麻生区。これらの川崎西エリアは、川崎西税務署の管轄となっており、相続税に関するデータも2つの地域が合計された数字が発表されています。
川崎西エリアの1年間の相続税申告件数は609件、実際に課税された件数は427件です。相続1件あたりの納付税額は約2,500万円、課税割合は16.44%となっています。そして、神奈川県全体の平均では、1件あたりの納付税額は約2,000万円、課税割合は12.39%です。
川崎西エリアとこの神奈川県の平均データを比較すると、1件あたりの納付税額と課税割合の両方が平均データを上回っています。実際に、1件あたりの納付税額も課税割合も県内で3位という非常に高い数字です。つまり、川崎西エリアでは高額な相続税が課税されやすい地域であることが数字として現れており、適切な相続税対策が求められている地域であることが分かります。
2.川崎西エリアの地価事情
それでは、川崎西エリアの相続税の特徴を地価から考えていきましょう。
2-1.代表的な地域と地価
2-1-1.多摩区
斜めに細長い川崎市の北西部に位置している多摩区。最北端でもあるこの地域は、世田谷区や調布市と隣接していることから、東京都内との交通網が発達している地域です。その一方で、川崎市の中心部へは距離ができていることから、どちらかというと東京都との関係が深い地域となっています。
区の北部に流れている多摩川は市境にもなっているのですが、この豊富な水資源を利用した農業が現在でも盛んに行われています。特に多摩川梨やのらぼう菜などは区の重要な名産品となっており、全国的にも人気を集める品種となっています。
多摩区の地価平均は約25万7,400万円、最も地価が高額なのは約42万4,000円の登戸です。この地域はちょうど狛江市との市境になる地域で、登戸駅や向ヶ丘遊園駅などが建設されています。登戸駅にはJR東日本と小田急電鉄、合計で4線が乗り入れており、東京都心部や川崎市街地のどちらへもゆくことができる起点駅として機能しています。
そのため、登戸駅を経由して各市街地へ通勤・通学する人が非常に多く、始発から終電まで絶えず人が集まっています。こうした駅の特性から、駅の周辺には商業施設が集まる繁華街が形成され、繁華街から少し離れると落ち着いた住宅街が形成されています。こうした商業地と住宅地、どちらの需要も高いことから、登戸の地価が飛び抜けて高額になっているのです。
2-1-2.麻生区
多摩区の西部に位置しており、横浜市や東京都とも隣接している麻生区。麻生区は多摩市から分裂することでできたのですが、川崎の地形上行政機関などが集まる市の中心部へは距離があり、気軽に行くことが難しいという問題を抱えていました。
そのため、麻生区では川崎市の中心部へ行くのではなく、距離も近い東京都心部への交通網の整備に力を入れていました。その結果、麻生区は東京のベッドタウンとしての機能が強く現れており、現在でも発展を続けている程の人気を集めています。
麻生区の地価平均は約24万円、最も地価が高額なのは新百合ヶ丘で約34万9,000円のちかを記録しています。この地域は麻生区の中心部に位置しており、小田原方面、東京方面、多摩市方面の3方面に分岐する新百合ヶ丘駅が建設されています。
ですので、新百合ヶ丘はちょうど麻生区の交通網の拠点としての役割を持っているのです。また、区の大半は住宅街が形成されているのですが、多くの人が訪れることから駅の周辺には市街地化されており、交通の利便性や住みやすさが高いことから地価が上昇しているのだと考えられます。
2-2.川崎西エリアの地価の特徴
川崎西エリアの地価は多摩区の地価のほうが高く川崎市内での順位は全7区中多摩区が6位、麻生区が7位と非常に低い順位となっています。川崎市が神奈川県内で最も地価が高額な市であり、区の中でも行政機関が集まる中心部の地価が非常に高くなっています。
そのため、川崎西エリアの地価は市内で最下位というデータとなっているのです。ただ、川崎西エリアの地価は鎌倉市全体の地価平均と同額であり、県内で比較すると上位に位置する価格です。つまり、川崎市内の順位を基準にしてしまうと、予測を大幅に外してしまう可能性があるのです。
また、川崎西エリアは駅周辺に繁華街が形成されていますが、エリアの大半は住宅地として整備されています。地価が関係する不動産の相続は、都市部よりも住宅街を中心に起きており、相続の発生率も住宅街が高くなっています。
ですので、川崎西エリアの課税額や課税割合が非常に高いという特徴は、こうした住宅地でありながら高額な地価を記録していることが影響しているのだと考えられます。地価の高い都市部にばかり目が行きがちですが、相続が起こる住宅地の地価のほうが相続税には大きな影響を与えているのです。
3.川崎西エリアの所得と富裕層
次は、川崎西エリアの所得状況から相続税との関係を見ていきましょう。今回は、神奈川県内の年収の高い学区の調査結果をベースにして、それぞれの区の所得状況を考えていきます。
自治体名 | 平均年収 |
---|---|
多摩区 | 約850万円 |
麻生区 | 約960万円 |
年収の状況は地価とは反対に麻生区のほうが高くなっています。実は、川崎市は神奈川県の中にも高所得者が集まっている地域であり、麻生区はその中でも2番目に高い年収だといわれています。麻生区は交通網がしっかりと整備された住宅街であるため、都内への通勤が手軽であることから、高所得者が移住しやすい地域であると考えられます。
また、住宅地でありながら地価が高額になっているのは、地価が高くなっても移住できる人や世帯が多いため、需要が下がらないからだとも考えられます。そのため、川崎西エリアは地価から予想できないような富裕層が多く集まる地域となっており、財産への課税が行われやすい地域でもあるのです。
そして、川崎西エリアは住宅街が広く、一軒家を所有していることが多いため、相続が起こると不動産と財産の両方へ課税が行われる可能性が高い地域です。ですので、課税額や課税割合が高い数字になっており、さまざまな方面からの相続税への対策が重要となっています。
4.川崎西エリアの税理士事情
相続税対策が必須な川崎西エリアですが、適切な対策を行うためには税理士の力を借りることが必要です。では、川崎西エリアにはどれくらいの税理士が在籍しているのでしょうか?
自治体名 | 在籍税理士数 |
---|---|
多摩区 | 73名 |
麻生区 | 86名 |
川崎西エリアには合計159名の税理士が在籍しています。そして、1年間の相続税申告件数は609件、実際に課税された件数は427件ですので、在籍している税理士はやや不足しているといえます。ただ、地域による差はあまりありませんので、どちらの区でもしっかりと税理士探しを行えます。
また、川崎西エリアは東京都との関わりが深いことから、川崎市内で税理士を探すよりも東京都で探したほうが便利な場合があります。ですので、通勤先などに応じて、日頃から訪れる頻度が高い地域で税理士を探すこともおすすめです。
川崎西エリアは、不動産だけでなく財産への課税が行われやすく、相続税対策もそれぞれに対応していなければ的確な効果を生み出せません。多くの実績がある相続に強い税理士へ依頼するためにも、いくつもの事務所を訪れ比較しながら信頼できる税理士を見つけましょう。
【参考】川崎西エリア内の相続関連機関一覧
川崎西エリア内の相続に関連する各種機関の連絡先一覧をまとめました(2018年6月現在)。ただし、変更される可能性があることをご了承ください。
機関名 | 住所 | TEL |
---|---|---|
川崎西税務署 | 〒215-8585 神奈川県川崎市麻生区上麻生1丁目3番14号 川崎西合同庁舎 | 044-965-4911 (代表) |
高津県税事務所 | 〒213-8515 神奈川県川崎市高津区坂戸3-2-1 KSP(かながわサイエンスパーク) イノベーションセンタービル西棟 | 044-833-1231 |
多摩区役所 | 〒214-8570 神奈川県川崎市多摩区登戸1775-1 | 044-935-3113 (代表) |
麻生区役所 | 〒215-8570 神奈川県川崎市麻生区万福寺1-5-1 | 044-965-5100 (代表) |
横浜地方法務局 麻生出張所 | 〒215-0021 神奈川県川崎市麻生区上麻生一丁目3-14 川崎西合同庁舎 | 044-955-2222 |
横浜東京家庭裁判所 川崎支部 | 〒210-8559 神奈川県川崎市川崎区富士見1-1-3 | 044-233-8171 |
神奈川県司法書士会 | 〒231-0024 神奈川県横浜市中区吉浜町1番地 | 045-641-1372 |
神奈川弁護士会 川崎支部 | 〒210-0007 川崎市川崎区駅前本町3-1 NMF川崎東口ビル11階 | 044-244-5039 (代表) |