所得税を間違えて申告してしまったらどうなるの?

税金 ペナルティ

現在の日本の制度では、所得を確定させてから申告する必要があります。特に自ら事業を営む人は、確定申告の作業を自分で行うことになります。所得税の申告は非常に複雑なので、誤った申告をしてしまうことがあります。そんな時どうすればいいのか、またどんなペナルティを受けるのか、詳しく解説していきます。

1.所得税の納税までの流れ

1-1.確定申告制度

所得税を間違えて申告してしまった場合を見る前に、まずは、所得税の納税までの流れを確認しておきましょう。
日本では、収入が給料のみのサラリーマンなどを除き、原則、1年間の収入や所得(もうけ)を納税者自らが計算し、国に申告・納税する「申告納税制度」を採用しています。そのため、個人事業主は毎年自ら確定申告を行い、所得税を納付する必要があります。

1-2.所得税の申告

所得税の申告までの流れは次のようになります。

①日々の取引の領収書等の整理や帳簿付け

1年間の収入や所得(もうけ)、税金を計算するためには、その基となる資料が必要です。
個人事業主は、確定申告の時期が来るまでに日々の領収書等を整理したり、取引の帳簿付けを行い、準備をしておきます。

②確定申告

毎年、翌年の2月16日~3月15日(2月16日や3月15日が土日の場合は、翌月曜日)が確定申告の期間です。

※税金の還付がある場合は翌年1月4日から提出することができます。

1-3.確定申告書の提出方法

確定申告書の提出方法は、主に次の3つの方法があります。

住所地等の所轄税務署の窓口に持参

一般的な確定申告の提出方法です。所得税の確定申告書を作成し、住所地等を所轄する税務署の窓口に提出します。原則、提出用と控えの2部を作成・持参し、控えに受付印を押して返却してもらいます。

郵送で所轄税務署に提出

確定申告書は、郵送でも提出することができます。この場合は提出用と控えの2部のほかに、必ず返信する宛先を記載し、切手を貼った返信用封筒を同封します。後日受付印の押された控えが郵送で返信されます。

郵送の場合の提出期限は、消印の日が3月15日までです。提出期限ぎりぎりの場合は、郵便物の回収の時間によって、消印が3月15日に間に合わないこともあるので、郵便局に持参しましょう。また、万が一郵便物の紛失のことも考え、簡易書留で送付したほうが良いでしょう。

e-Taxで提出

近年普及してきたのが、e-Taxによる申告です。e-Taxとは、紙ではなくパソコンからデータで申告書を提出することです。
あらかじめ電子申告する旨を税務署に届け出ておく必要がありますが、国税庁のホームページにある確定申告書作成コーナーなどから、e-Taxによる申告ができたり、マイナンバーの導入により、手続きが簡単になることが予定されており、今後さらに一般的な提出方法になっていくことが予想されます。

2.間違えた申告をしてしまったら

2-1.間違えて申告してしまったら・・・

では、所得税の計算を間違えて申告してしまったら、どうなるのかを見ていきましょう。
「間違えて申告」とひとくちにいっても、大きく3つのケースに分かれます。

  • 本来の税額よりも少なく申告したケース
  • 本来の税額よりも多く申告したケース
  • そもそも申告しなかったケース

それぞれのケースで対処方法が異なります。ケースごとに対処方法を見ていきましょう。

2-2.修正申告:本来の税額よりも少なく申告したケース

本来の税額よりも少なく申告したケースの対処方法が「修正申告」です。

修正申告とは、確定申告の期限が過ぎてから、既に提出済の確定申告の内容に誤りがあり、納めた税金が少なかった場合、または還付される税金が多すぎた場合に、その修正を行うための申告です。修正申告で必要な書類は、確定申告書第一表第五表(修正申告用)です。
第一表には、修正後の収入や所得、税額などの正しい情報を、第五表には、修正前の収入や所得、税額などの情報、修正申告によって異動(修正)した事項や増加した税額などを記載します。

ちなみに、確定申告の期限までに誤りに気づいた場合は、正しい確定申告書を提出し直せば、後に提出した確定申告書がその年の確定申告とみなされるので、修正申告をする必要がありません。

修正申告の2パターン

修正申告には、自分で誤りに気付いて申告する場合と、税務調査で誤りが分かり申告する場合の2つがあります。

①自分で誤りに気付いて申告する場合

自分で誤りに気付いた場合は、すみやかに修正申告をする必要があります。この場合は、延滞税のペナルティがあります。

②税務調査で誤りが分かり申告する場合

税務調査で誤りが分かった場合は、税理士や税務署の調査官と相談しながら、修正申告を行います。この場合は、延滞税のほかに過少申告加算税のペナルティがあります。

【参考サイト】国税庁:修正申告書等のフォーマットや書き方

2-3.更正の請求:本来の税額よりも多く申告したケース

本来の税額よりも、多く申告したケースの対処方法が「更正の請求」です。

更正の請求とは、確定申告の期限が過ぎてから、既に提出済の確定申告の内容に誤りがあり、納めた税金が多かった場合、または還付される税金が少なすぎた場合に、その税金の還付を請求するためのものです。

更正の請求をするためには、所得税の更正の請求書に「事実を証明する書類」を添付して、所轄の税務署に提出します。事実を証明する書類は、例えば、生命保険料控除が抜けていれば、その控除証明書など、更正理由により異なります。

更正の請求書には、更正の請求をする理由や、当初申告していた所得や所得控除、税額などの情報と、更正する所得や所得控除、税額などの情報を記載します。更正の請求の有効期間は、法定申告期限から5年以内です。更正の請求では、税金を多く納めすぎているためペナルティはありません。
そのため、確定申告をする際に、提出期限までに計算などが間に合わない場合は、いったん多めの税額になるように申告し、後に更正の請求を行うという方法をとることも可能です。

【参考サイト】国税庁:[手続名]所得税の更正の申出手続

2-4.申告するのを忘れたら…

ここまで、確定申告をして納めた税額が間違っていた場合について確認してきました。では、そもそも確定申告をするのを忘れていたらどうなるのでしょうか。

申告するのを忘れていたことに気づいたら、すみやかに通常の確定申告を行います。この場合は、修正申告ではなく、通常の確定申告を期限後に行うことになります。期限後申告の場合は、状況により延滞税や5%~20%の無申告加算税などのペナルティがあります。

3.所得税のペナルティ

3-1.ペナルティの種類

所得税の計算を間違えて申告してしまった場合には、ペナルティがあります。ペナルティには大きく分けて、過少申告加算税重加算税延滞税の3つがあります。
ここでは、その3つのペナルティについて見ていきましょう。

3-2.過少申告加算税

過少申告加算税とは、税金を過少申告していたことに対するペナルティです。

税務調査が入り、期限内に提出していた確定申告書に対して、修正申告を行う必要がある場合に支払うことになります。過少申告加算税の税額は、原則、新たに納めることになった税金の10%相当額です。ただし、当初の申告で納付した金額と50万円を比べ、その多い金額を超えている場合は、その超えている部分については15%になります。

例えば、当初の申告で納付した金額が40万円、修正申告で追加で支払う税金が60万円の場合で見てみましょう。
当初の申告で納付した金額40万円と50万円をくらべると、50万円の方が多くなります。
そのため、修正申告で追加で支払う税金60万円のうち、50万円までが10%、残りの10万円に対して15%の過少申告加算税がかかります。

また、過少申告加算税は、自分で誤りに気付いて申告する場合はかかりません。税務調査では、原則、事前に税務調査を行う旨を通知し、その後日程を調整し税務調査を行います。では、この事前通知と税務調査の間に修正申告を行った場合はどうなるのでしょうか。この場合、以前までは、過少申告加算税はかかりませんでしたが、平成28年の税制改正で、現在は、50万円までは5%、50万円を超える部分は10%の割合を乗じた金額の過少申告加算税がかかるようになりました。

3-3.重加算税

重加算税とは、事実を隠ぺいしたり仮装した場合など、特に悪質と認められたときに課されるペナルティです。

重加算税は基本、過少申告の場合35%、無申告の場合40%となっています。ただし、過去5年間に重加算税や無申告加算税を課されたことがある場合は、税率が高くなり、過少申告の場合45%、無申告の場合50%となります。

3-4.延滞税

延滞税は、ペナルティの中では最も軽いものです。税金を納付期限までに納付しなかった場合、法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じてかかる、利息の意味合いの強いペナルティです。

延滞税は原則、納期限の翌日から2月を経過する日までは年7.3%、納期限の翌日から2月を経過した日以後は年14.6%となっています。しかし、実際は財務大臣が告示する特例基準割合等を使って計算するため、そこまで高くなることはありません。

平成30年1月1日から平成30年12月31日までの期間では、納期限の翌日から2月を経過する日までは年2.6%、納期限の翌日から2月を経過した日以後は年8.9%となっています。

まとめ

今回は、所得税の申告に間違いがあった場合の処理方法について解説しました。申告にミスがあると、このようにいろいろな手続やペナルティを受けることになってしまいます。また一度このようなことがあると、相続や贈与があった際にも税務署からマークされることになります。自分で申告するのが難しいと思ったら、税理士に相談するなどの対策をするのがよいでしょう。

この記事が役に立ったらシェアしてください!

あなたへおすすめの記事

GoogleAdsense関連コンテンツ