死亡退職金が確定していないとき相続税申告はどうする?

★ お気に入りに追加
年金 退職金

不慮の事故や病気などで、現役中に亡くなってしまったとき、会社から死亡退職金が支払われる場合があります。 しかし、金額の確定にはしばらく時間がかかることがあり、相続税の申告期限に間に合わないこともあります。
そのようなとき、相続税申告はどのように対応すればよいのでしょうか。

1.死亡退職金の取り扱い

死亡退職金の税務上の取り扱いは、その支給金額がいつ確定したのかが非常に重要となります。

1-1.死亡退職金はみなし相続財産

死亡退職金は被相続人が生前に所有していた相続財産ではありませんが、被相続人の死亡によって遺族に支払われるものです。
よって、相続財産と同じようなものであると考えられ、みなし相続財産として相続税の課税対象になります。

ただし、死亡退職金の具体的な金額が確定した日が、被相続人の死亡後3年を超えている場合には、受取人の一時所得となり所得税の課税対象になります。
この3年という境界線は、金額が確定した日です。支払われた日ではありませんので注意しましょう。

1-2.非課税額がある

死亡退職金には残された家族のその後の生活を支える役目があります。
よって死亡退職金はその支給額全額に相続税が課税されるわけではなく、次の算式による非課税限度額が設けられています。

500万円×法定相続人の数=非課税限度額

すべての相続人が受け取った死亡退職金の合計が、非課税限度額以下である場合には相続税はかかりません。
例えば、死亡退職金3,000万円、法定相続人4人である場合には、

500万円×4人=非課税限度額2,000万円
死亡退職金3,000万円-非課税限度額2,000万円=課税対象額1,000万円

となり、1,000万円に対して相続税がかかります。

ただし、この非課税限度額は相続人にのみ設けられている制度であり、相続人以外の人が死亡退職金を受け取った場合には、非課税限度額はありませんので注意しましょう。

2.申告期限までに確定しなかった場合

死亡退職金は死亡後すぐに金額が確定するとは限りません。様々な事情により遅れることがあります。会社の経営不振で資金繰りが悪いなどの理由であれば、何年経っても支給額が決まらないということもあります。

ただ、相続税の申告期限は被相続人死亡から10ヶ月であり、退職金が確定しないからといって待ってはくれません。 このような場合の申告はどうしたらよいのでしょうか。

2-1.死亡退職金なしで申告する

いったん、死亡退職金はないものとして申告期限までに申告納税を行います。
申告期限を過ぎてしまうと、無申告加算税や延滞税などのペナルティがかかってしまいます。金額が確定するまで相続税の申告を待つ必要は全くありません。

2-2.修正申告する

被相続人の死亡後3年以内に死亡退職金の額が確定した場合には、既に申告している相続財産に死亡退職金を加算して相続税の再計算をするため、修正申告を行います。

通常の修正申告であれば、追加分の相続税に対して延滞税がかかりますが、この場合には延滞税はかかりませんので安心してください。
金額が確定していないのであれば、退職金なしとして、いったん申告してしまいましょう。という理由がこれです。期限内申告+修正申告であっても、何も損はないのです。

3.遺産分割が確定しなかった場合

相続人が複数いる場合、申告期限までに遺産分割が確定しないというのはよくある話です。
死亡退職金の額は確定しているけれど、誰が相続するかが申告期限までに決まりそうにない場合には、どうしたらよいのでしょうか。

3-1.法定相続分で申告する

死亡退職金を、いったん法定相続分で相続したと仮定して申告納税を行います。
この場合もやはり遺産分割が確定するまで申告を待つ必要はありません。無駄なペナルティの税金を取られる前に、とりあえずの金額で期限内に申告してしまいます。

ただ、死亡退職金が分割されていない状態で、それぞれ相続税を納める必要があるため、あまり遺産分割協議が長引くと、仮納税とはいえ大きな負担になってしまいます。

3-2.修正申告する

遺産分割が確定したら、それぞれが取得する死亡退職金の金額に修正申告を行い、納め過ぎていた人は還付を受け、不足していた人は追加で納税します。

4.注意点

4-1.死亡退職金を返金した場合も課税対象

遺族が退職金を受け取った後、辞退することにして会社に返金した場合であっても、会社は死亡退職金の支給を決定して支払っているため、相続財産であることには変わりありません。
手元に退職金がなくても相続税が課されてしまいますので注意が必要です。

会社が死亡退職金の支給決定を取り消したことにより、遺族が返金した場合には死亡退職金はなかったことになり、相続税は課されません。

4-2.弔慰金の取り扱い

弔慰金とは、被相続人への弔いとその遺族を慰めるために会社から贈られる見舞金であり、原則として非課税です。

ただし、金額問わず全額非課税としてしまうと、節税に利用されてしまう可能性があるため、弔慰金にも非課税限度額が設けられています。これを超える部分の金額については死亡退職金と同じであると考えられ、課税対象になります。

非課税限度額の算式は、被相続人の死亡原因が業務上にあるか否かによって異なります。

  • 業務上の死亡
    被相続人の死亡当時の普通給与(※)の3年分
  • 業務上以外の死亡
    被相続人の死亡当時の普通給与(※)の6ヶ月分

※給料、賃金、扶養手当など各種手当の合計額で、賞与は含まれません。

例えば、給与の月額30万円の人が業務上で死亡した場合の非課税限度額は30万円×36ヶ月=1,080万円、業務上以外の場合には30万円×6ヶ月=180万円となり、大きな差があります。

4-3.【参考】生前退職は2回課税される可能性

生前に退職した場合には、受け取った退職金には所得税が課税されます。 もしも、その退職金を受け取ったあとすぐに亡くなってしまった場合には、その退職金はほぼ使われていないまま相続財産になり、相続税も課税されてしまいます。

人の寿命は誰にも分かりませんし、サラリーマンの場合には対策の取りようがありません。ただ、会社経営者などで自分の裁量で退職金を決めることができる場合には、可能な限り慎重な判断をしましょう。

まとめ

「死亡退職金が貰えそうなのに、申告期限までに確定しない!申告できない!」と焦る必要はないことがご理解いただけましたでしょうか。

また、退職金の額が確定した日が死亡前なのが、死亡後なのか。死亡後であれば3年以内か3年超なのか。という点も税金の種類が変わる非常に重要な点です。

退職金は金額が大きい場合が多く、判断を誤った時の損失も比例して大きくなりがちです。税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

相続税に強い税理士が問題を解決いたします

相続税申告は税理士によって力量の差がはっきりと現れます。
相続税について、下記のような不安・課題を抱えている方は、相続税に強い税理士にご相談ください。

  1. 相続税をなるべく安くしたい
  2. 税務調査が怖い
  3. 評価が難しい土地がある
  4. 相続関連のいろいろな手続きが面倒で困っている
  5. 生前対策をしたいが、何をしたら良いかわからない

相続発生前後を問わず、相続に関連する問題に対して、税理士はあなたの味方になりますので、まずは気軽に相談されることをオススメいたします。

この記事が役に立ったらシェアしてください!

あなたへおすすめの記事

GoogleAdsense関連コンテンツ