かわいい孫にお年玉で相続税対策
年末年始は実家に帰ったり、逆に、子供や孫が実家に帰ってきていて、家族みんなで一緒にテレビを見ながら年明けを待っている人も多いのではないでしょうか。
かくいう筆者も、妻の実家にて、クイズ番組を見ながらこの記事を書いています。
さて、この季節、小さな子供たちが楽しみにしているのがお年玉です。ふだんはあまり会えない、おじいちゃん、おばあちゃん、あるいは、おじさんやおばさんが、小さな袋に入れたお年玉をくれると、なんだかとても得意な気分になります。欲しかったおもちゃ、ゲーム、漫画などが頭に浮かんできます。
ときには、直接お店に連れて行って欲しいものを買ってくれる親戚もいます。おじいちゃん、おばあちゃんの方はかわいい孫を久しぶりに見ると何でも買ってあげたくなるかもしれませんね。
お年玉の金額自体も昔から比べると高額になりつつあり、一万円札が入っていることも当たり前になってきています。子供には高額すぎる、教育上良くないという意見もあり、もらった子供の親も逆に恐縮して素直に喜べないところもあるかもしれません。
お年玉の適切な金額というのは難しいですが、財産がたくさんある、おじいちゃん、おばあちゃんの方々は、逆にもっと高額なお年玉をあげて相続税対策を考えられてはいかがでしょうか。
高額なお年玉と贈与税
お年玉をあげると贈与になります。贈与をすると、もらった側に贈与税がかかりますが、1年間にもらった財産の合計額が110万円以下なら贈与税はかかりません。
たとえば、孫が3人いて、それぞれ100万円、計300万円のお年玉をあげても、贈与税は発生しません。
贈与税がかからない場合の規定もあり、「個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物又は見舞いなどのための金品で、社会通念上相当と認められるもの」であれば贈与税はかからないとされています。
ただし、数百万円のお年玉となると、社会常識をはるかに超えた金額であり贈与税がかかってしまいますので、やはりここは110万円以下に抑えるのが良いでしょう。
孫に100万円のお年玉といったら高額すぎて気がひけるかもしれませんが、本当に孫にそのまま渡すわけではありません。孫に実際に渡す現金は1万円くらいにしておき、残り99万円は振込で行います。
この際、注意点としては、子供の親の口座に振り込むのではなく、ちゃんと孫の口座を作っておき孫の口座に振り込むことです。
口座の印鑑も親のものとは別に孫独自の印鑑を利用します。そうでないと、親への贈与と判断されてしまい、親が子供に渡すときには、また贈与が発生してしまいます。
さらに、孫への贈与を証明する贈与契約書を作成して証拠として残しておきます。確実な証拠にするためには、あえて110万円以上、孫に贈与して、贈与税を少し納めるのが良いでしょう。
孫が小さい場合は自分で口座を管理したり契約書を理解することはできませんので、親が代理で行います。
ただし、小さい子供といっても一人の人間であり、孫へ贈与されたお金は孫が所有するものですので、親が勝手に使ってはいけません。子供が小さいうちは通帳、印鑑を親が管理しますが、子供が成長してきちんとお金の管理をできるようになったら、子供に渡します。
そうすれば、子供も自分のお金をちゃんと管理してくれた親に感謝することと思います。
以上、孫へのお年玉を活用した相続税対策ですが、祖父母、親、孫が一緒になって行う必要がありますので、みんなが一堂に会しているこの年末年始に、ぜひ一度、話し合ってみて下さい。