1.前橋市の相続事情
前橋市の2019年度(令和元年度)の相続税申告件数が486件、課税件数は416件です。相続1件あたりの納付税額は約1,503万円、約10.58%となっています。群馬県全体の平均データでは、1件あたりの納付税額が約1,194万円、課税割合は7.66%です。
前橋市の相続税のデータはこの県の平均データよりも大きく上回っており、1件あたりの納付税額は県内3位、課税割合は県内1位の数字です。つまり、前橋市は高額な相続税が課税されやすい地域といえるのです。
また、群馬県の税務署は複数の自治体を1つの税務署が管轄していますが、前橋市の管轄である前橋税務署は前橋市のみが対象となっています。つまり、前橋市だけでこれだけ高い相続税のデータが現れているということを指しており、他の市よりも相続税への備えが重要であるといえるのです。
2.前橋市の地価事情
課税額も課税割合も高い前橋市の相続税の特徴を、相続税額への影響が高い地価から考えていきましょう。
2-1.代表的な地域と地価
2-1-1.中央前橋
名前のように前橋市の中央に位置している中央前橋。この地域は、中央前橋駅を中心にした辺りを指しており、前橋市役所や中央郵便局など重要施設が集まっています。駅の周辺にはホテルがいくつもあり、観光客などをターゲットにするためか飲食店が多いのも特徴の1つです。
中央前橋の地価平均は約10万円、前橋市で最も地価が高額な地域です。この地域は飲食店意外にも大型商業施設や銀行などが建設されていおり、広く市街地化しています。特に、前橋市の中でも大きなビジネス街が形成去れていることから、平日休日問わず多くの人で賑わっています。
また、全ての地域が市街地化しているというわけではなく、駅の西側に商業施設などが集中しています。一方駅の東側は比較的住宅街の様相が強く現れており、駅を挟んで街並みが大きく変わります。
さらに、市街地の中にもマンションなどがいくつも形成されており、駅や周辺施設の利便性を活用した便利な生活が可能な地域でもあります。そのため、商業地ビジネス地として人気の地域ですが、生活拠点としても利便性が高いことから地価が伸びていると考えられます。
2-1-2.前橋駅
市の名前を持ち、中央前橋の南部に位置する前橋駅。この周辺の地域にも大型商業施設やホテルなどが建設されており市街地化が進んでいます。駅から少し距離はありますがけやきウォーク前橋や文化会館なども建設されており、休日には多くの人が訪れています。
前橋駅周辺の地価平均は約9万円、前橋市の中で2番目に地価が高額な地域です。前橋駅は確かに市の中心駅なのですが、近くになる中央前橋駅は始発駅でもあります。ですので、多くの人が訪れやすく、利便性が高いことから主要施設は中央前橋周辺に集まっています。
その結果、前橋駅の周辺にはオフィスビルなどが少なく、地域の大半がマンションやアパートが集まる住宅地として活用されています。つまり、この土地活用の差が土地の需要にも影響し中心駅でありながら地価が低くなっていると考えられます。
ただし、中央前橋駅と前橋駅の間には鉄道が通っておらず、高崎市など県内の他の地域へアクセスするには前橋駅を利用しなくてはいけません。そのため、前橋駅の需要は下がっておらず、中央前橋駅との差別化ができていることから、市内で2位という高い地価を維持しているのです。
2-1-3.城東
中央前橋駅から東へ進んだところにある城東駅。駅の南東部には大きな面積を持つ前橋こども公園が建設されており、緑が豊富な地域です。中央前橋駅とは違って、城東駅周辺の地域は主に住宅地として利用され、商業施設などはほとんどありません。
城東駅周辺の地価平均は約6万9,000円、市内で3番目に地価が高額な地域です。中央前橋駅や前橋駅と比べると大きく価格が下落しており、この理由として考えれるのが土地の活用方法の違いです。
一般的に住宅地は安く、商業地やビジネス地は価格が高くなる傾向にあります。そのため、周辺地域の大半が住宅地として利用されており、かつ大きな団地がいくつか形成されている城東駅周辺は地価が上がりにくい傾向にあると考えられます。
しかし、中央前橋駅と違って、この地域の地価は変動率0%とここ数年横ばいが続いています。実は、中央前橋駅などは変動率がマイナスとなっており、徐々に地価が下落傾向にあります。ですので、市内では住宅地としての城東の需要は変わらず人気があるといえます。
2-2.前橋市の地価の特徴
前橋市全体の地価平均は約5万7,000円で、群馬県内で2番目に高額な地域です。前橋市は県内で地価が最も高い高崎市と古くから比較されており、前橋市は行政や文化の街だといわれています。
一方高崎市は商業の街といわれるほど市街地化が進んでおり、高崎駅周辺には商業施設が多く建設されています。前橋駅と高崎駅はそこまで離れておらず、前橋駅へ行くためには高崎駅を経由しなければいけない地域もあります。そのため、前橋駅周辺には商業施設が少なく、住宅地がメインの街づくりが行われていると考えれます。
また、前橋市の地価は前年から0.29%マイナスになっており、1994年から毎年マイナス成長を見せています。この地価の下落傾向は群馬県全体で見られており、前橋市全体の地価だけでなく、市内の各地域でもこのマイナス成長が確認されています。
ただ、前橋市内では唯一前橋駅がプラス成長を記録し、城東や三俣、前橋大島が横ばいとマイナスを記録していません。ですので、前橋市内では市街地よりも住宅地への需要が伸びており、特に利便性の高い住宅地を中心に地価が上昇していく可能性が高くなっています。
3.前橋市の所得と富裕層
続いて、相続税額への影響が大きいもう1つの要素である所得の状況を確かめていきましょう。前橋市の2016年の所得税納税義務者数は約14万9,000人、課税対象所得は4,820億円です。1人あたりの所得は約323万円です。
前橋市の所得金額は県内で2位の高さですが、3位の嬬恋村の金額とはわずかな差しかありません。さらに、2017年度のデータでは前橋市の所得はより上昇しており、1位の高崎市との差が非常に縮まっています。
所得には毎年波があるため一概にはいえませんが、住宅地としての需要が伸びている前橋市へ他市や他県からの移住者が増えたことで、所得も増加したと考えられます。同時に、前橋市は世帯年収が500万円以下の世帯が多いため、富裕層は多いものの二極化しているともいえます。
また、地価と合わせて考えてみると前橋市は地価の高い地域にも住宅街が形成されています。ですので、財産と同時に不動産への課税が行われやすく、それが前橋市の高い課税割合を作り上げているといえるでしょう。
4.前橋市の税理士事情
課税額と課税割合、どちらも高い前橋では税理士による相続税対策が必須の地域です。では、前橋市に在籍している税理士はどれくらいいるのでしょうか?
前橋市に在籍している税理士は201名です。前橋市の1年間の相続税申告件数が421件、課税件数は333件ですので、不足しており依頼できない状況に陥ることはないでしょう。また、群馬県全体での在籍税理士数は829名です。全体の約4/1が前橋に在籍していることからも、前橋市には税理士が多く在籍しているといえるでしょう。
ただ、在籍税理士数が多いということは、それだけどこへ依頼するのか迷ってしまう可能性があるということも表しています。ですので、前橋市で税理士を探す場合には事前にインターネットなどで情報を集めておき、相続に強い税理士を見つけるようにしましょう。
そして、早くから税理士探しを始めることで、複数の税理士事務所をまわることができ、じっくりと比較や検討ができます。そのため、いつでも依頼できるよう油断せず、心から信頼できる税理士を見つけられるように、いち早く税理士探しを始めましょう。
【参考】前橋市内の相続関連機関一覧
前橋市内の相続に関連する各種機関の連絡先一覧をまとめました(2018年7月現在)。ただし、変更される可能性があることをご了承ください。
機関名 | 住所 | TEL |
---|---|---|
前橋税務署 | 〒371-8686 群馬県前橋市大手町2丁目3番1号 前橋地方合同庁舎 | 027-224-4371 (代表) |
前橋行政県税事務所 | 〒371-8501 群馬県前橋市上細井町2142-1 | 027-234-1800 |
前橋市役所 | 〒371-8601 群馬県前橋市大手町二丁目 12番1号 | 027-224-1111 (代表) |
前橋地方法務局 | 〒371-8535 群馬県前橋市大手町2丁目3番1号 | 027-221-4466 (代表) |
前橋公証人合同役場 | 〒371-0023 群馬県前橋市本町1丁目3-6 | 027-223-8277 |
前橋家庭裁判所 | 〒371-8531 群馬県前橋市大手町3-1-34 | 027-231-4275 (代表) |
群馬司法書士会 | 〒371-0023 群馬県前橋市本町1丁目5-4 | 027-224-7763 |
関東信越税理士会 前橋支部 | 〒371-0026 群馬県前橋市大手町3丁目3-1 群馬県中小企業会館3階 | 027-234-6131 |
群馬弁護士会 | 〒371-0026 群馬県前橋市大手町3-6-6 | 027-233-4804 |