1.茨城県の概要
まず茨城県といえば、誰もが思い浮かべるのが水戸の納豆です。茨城県は県北から県央にかけて那珂川が流れていて、大昔はこの川がよく氾濫したせいで水害が多く、その影響として早めに収穫が可能な小粒の大豆がよく作られていました。小粒の大豆は味噌や豆腐には不向きだったため、そこで誕生したのが納豆で、これが茨城県の小粒納豆の発祥となったのです。今では茨城県の面積のうちおよそ4,440haが大豆作りにあてられているそうです。
また、茨城県は農業全般も盛んで、れんこん、白菜、エシャレット、みずな、ピーマン、チンゲンサイなどは全国1位の出荷量となっています。
茨城県内の地域区分としては、主に5つに分かれます。具体的には日立市、ひたちなか市などのある県北地域、水戸黄門でおなじみの水戸市がある県央地域、学園都市としても有名なつくば市がある県南地域、古河市がある県西地域、そして鹿島アントラーズでおなじみの鹿嶋市がある鹿行地域に区分されます。
なお茨城県は東京都心からのアクセスが非常に良く、宇都宮線、湘南新宿ラインなどを使えば1時間程度で東京につくため、茨城県から東京に通っているサラリーマンも少なくありません。
そんな茨城県ですが、相続税の事情はどうなっているのでしょうか。
2.茨城県の相続税発生件数は北関東では1位
茨城県の相続税申告件数は、平成27年の関東信越国税局の都道府県別相続税課税状況のデータによると2,151件で、近隣の埼玉県や千葉県などと比べれば非常に少ない件数ですが、北関東で見た場合は栃木県1,641件、群馬県1,953件で若干ながら一番多い件数となっています。
死亡者のうち相続税を課税された割合を示す課税割合は5.60%:29位で、だいたい全国平均をやや下回るレベルです。北関東の中では人口が多いので、相続税対象となる人の割合はそれほど多くはないといえます。
3.地域別課税データ
平成28年度の税務署管轄別の課税データです。
税務署名 | 管轄地域 | 申告 件数 | 課税 件数 | 1件当り 納付税額 (万円) | 申告割合 | 課税割合 |
---|---|---|---|---|---|---|
水戸 | 水戸市 笠間市 小美玉市 茨城町 大洗町 城里町 | 413 | 351 | 1,351 | 8.09% | 6.88% |
日立 | 日立市 高萩市 北茨城市 | 200 | 162 | 1,964 | 6.67% | 5.40% |
土浦 | 土浦市 石岡市 つくば市 かすみがうら市 つくばみらい市 | 450 | 364 | 824 | 8.75% | 7.08% |
古河 | 古河市 坂東市 五霞町 境町 | 216 | 187 | 1,076 | 8.38% | 7.26% |
下館 | 筑西市 結城市 下妻市 常総市 桜川市 結城郡 | 253 | 207 | 677 | 6.39% | 5.23% |
竜ケ崎 | 龍ケ崎市 取手市 牛久市 守谷市 稲敷市 美浦村 阿見町 河内町 利根町 | 359 | 285 | 915 | 7.97% | 6.33% |
太田 | 常陸太田市 ひたちなか市 常陸大宮市 那珂市 東海村 大子町 | 252 | 207 | 1,060 | 6.16% | 5.06% |
潮来 | 鹿嶋市 潮来市 神栖市 行方市 鉾田市 | 155 | 122 | 3,069 | 5.10% | 4.01% |
茨城県計 | 2,298 | 1,885 | 1,214 | 7.32% | 6.00% |
最も相続税申告件数が多いのが、土浦エリアの420件で、ついで県庁所在地がある水戸エリアの411件となっています。茨城県が相続税において特徴的なのは、その相続税発生件数の分布にあります。他の都道府県では県庁所在地を中心に相続税が発生しやすい地域に大きな偏りが発生するのに対し、茨城県内はこれと言った偏りがなく、比較的まんべんなく相続税が発生する可能性があると言えます。※以下の説明は平成27年度データの内容になりますが、更新予定です。
なお、つくばエクスプレスが開通したことで近年土地の値段が上昇したのが守谷市で、茨城県内で最も地価が高いエリアとなっています。そのほかにもつくば市なども地価が高いエリアとなっており、場所によっては高級住宅地を形成しています。
これらのエリアが比較的相続税発生の可能性が高いと言えますが、これについてもそこまで大きな偏りは発生しないでしょう。
4.茨城県は東京の税理士が対応可能なケースもある
税理士事務所の設置数を見ると、茨城県は北関東の中で最も少なく382件(平成26年時点データ)にとどまります。茨城県は東京都心へのアクセスが良いため、茨城県内で発生した相続税申告を東京の税理士に依頼することも可能な環境にあるため、そこまで茨城県内の税理士にこだわらなくても良いのかもしれません。
茨城県は全国的に見れば相続税発生件数が多いほうではないため、税理士についても相続税が得意な税理士とそうでない税理士の差が大きくなる傾向にあるでしょう。そのため、近隣に相続税に強い税理士事務所が見つからない場合は、思い切って東京の相続税経験が豊富な税理士に依頼するという手段もあります。
東京の税理士事務所でも、場所によっては茨城県内にも対応しているケースがありますので諦めずに探してみましょう。
【参考】相続税の申告に強い東京都の税理士