岩手県の特徴
岩手県は人口約123万人の東北6県のうちの1つです。
県は大きく「盛岡・八幡平エリア」「県北エリア」「県央エリア」「県南エリア」「北部陸中海岸エリア」「陸中海岸エリア」の6つにわかれています。
岩手県の相続関連データの紹介
まず、岩手県の相続関連のデータを紹介します。
課税割合は低率「相続税が課税される可能性は低い」
岩手県の2020年度に課税された被相続人数は748人で、死亡者数は17,204人でした。死亡者数に占める被相続人数の割合「課税割合」は4.35%(全国41位)で、全国平均の8.77%を大きく下回ります。
課税割合が大きいほど、相続税が課税される可能性が高くなるので、岩手県は相続税が課税される可能性は低い県といえるでしょう。
他の東北の県では、宮城県31位6.17%、福島県34位5.26%、山形県42位4.18%、青森県46位2.97%、秋田県は最下位47位2.51%でした。
相続税の申告割合も低迷
岩手県の2020年度の相続税申告件数は901件でした。死亡者数(17,204人)に占める相続税申告件数の割合「申告割合」は5.24%(全国41位)で、こちらも全国平均11.15%を大きく下回りました。
申告割合が大きいほど、相続税申告が必要になるケースが多くなります。
他の東北の県は、宮城県31位7.71%、福島県33位6.31%、山形県42位5.04%、青森県46位3.57%、秋田県は最下位47位3.08%でした。
被相続人1人当たりの相続税額は46位
2020年度の被相続人1人当たりの相続税納付税額は、岩手県は1,028万円で全国31位でした。1位の東京都は2,913万円で、岩手県の約3倍です。全国平均は1,739万円でした。
青森県44位824万円、宮城県16位1,287万円、山形県42位857万円、福島県26位1,102万円、秋田県43位851万円でした。
相続での注意点
岩手県で相続するときと相続されるときの注意点を紹介します。
「使いそうにない」と思った不動産は早めに処分を
被相続人(故人)が岩手県内に住んでいて、相続人(遺族)が東京などの離れた都会に住んでいる場合、岩手県内の土地や住宅が相続財産になることがあるでしょう。
このとき相続人がそれらの不動産を「当面の間、使いそうにない」と思ったら、早めに処分することをおすすめします。その理由は2つあります。
- 「当面の間」と思っていても地方の不動産は実際はずっと使わないことが多い
- 地方の不動産は売却しにくいので「早め」かつ「長期」で売却活動をしたほうがよい
ずっと使わないと、土地は雑草が生い茂り、住宅は朽ちていきます。そうなると近所迷惑になります。しかも所有し続ける限り、維持費や固定資産税がかかります。
そして地方の不動産は、よほどの住宅地や商業地にないと売りにくい状態にあり、「負動産」と呼ばれるのはまだましで、ときに「腐動産」と呼ばれる物件もあります。1円でも売れないことは珍しくありません。
そのため、ほしいと名乗り出てくれた人に真っ先に売却するのが鉄則です。
そして、相続してから時間が経過してしまうと「売れ残り」感が出てしまい、さらに売りにくくなります。
農地の相続は意外に「やっかい」
相続人が農業を引き継ぐ場合を除いて、農地の相続は「やっかい」になることが珍しくありません。
農地は、固定資産税評価額が低いのに、相続税評価額が高くなる傾向があります。つまり、毎年の固定資産税が「安い」と思って安心していると、「高い」相続税を請求されてしまうわけです。
市街地にある農地は、固定資産税評価額は低いけれど、相続税評価額は高くなりやすいので注意してください。
相続税申告は税理士に相談
相続が発生「しそうになったら」税理士に相談しましょう。
親や祖父母がまだ存命なのに相続の心配をするのは不謹慎、と思っていると、いざ相続の手続きに入ったときに混乱するかもしれないからです。
税理士は、相続人の心配ごとを熟知しているので、安心して相続前に相続の相談をすることができます。岩手県内の地元の税理士なら、地域の不動産に詳しい人が多いので、具体的なアドバイスがもらえるはずです。
岩手県の税理士情報
岩手県には東北税理士会の岩手支部連合会があり、2021年5月現在269人の税理士が在籍しています(*)。
岩手支部連合会には9の支部がり、税理士269人の内訳は次のとおりです。
各支部に所属する税理士の人数
森岡支部 | 129人 | 48% |
---|---|---|
花巻支部 | 39人 | 14% |
水沢支部 | 30人 | 11% |
一関支部 | 26人 | 10% |
大船渡支部 | 11人 | 4% |
釜石支部 | 10人 | 4% |
宮古支部 | 9人 | 3% |
久慈支部 | 7人 | 3% |
二戸支部 | 8人 | 3% |
合計 | 269人 | 100% |
【出典】東北税理士会
半数が盛岡に集中、税理士が少ない宮古・久慈・二戸の住民は早めにコンタクトを
ほぼ半数が盛岡支部に在籍しています。岩手県の人口は約123万人で、そのうち盛岡市の人口は23%にあたる29万人なので、税理士は盛岡支部に偏っていることがわかります。
一桁人しかいない宮古支部、久慈支部、二戸支部の周辺の市町村住民は、相続税に関する困りごとが発生してすぐに税理士に相談することが難しくなるかもしれません。そのため、いざというときに慌てないように、早めに相談しておきましょう。