1.岡山県の概要
東京から新幹線で約3時間、中国地方南東部に位置する岡山県。瀬戸内海に面した暖かな気候や桃太郎伝説でも有名です。中国地方と四国地方をの中間点に位置しており、2つの地域をつなぐ交通拠点としての役割も担っています。
岡山県は、快晴日数や降水量1mm未満の日数が全国最多であることから「晴れの国おかやま」を県のキャッチフレーズにしています。加えて、瀬戸内海へと続く3つの一級河川による水源と温暖で穏やかな気候。この3つの最高のコンディションによって、岡山県ではフルーツの育成が盛んに行われています。岡山県を代表する白桃やマスカット、ピオーネの生産量は全国1位で、どれも「もんげー美味しく」たくさんの人から愛されています。

岡山県南部にある倉敷市には、本州と四国を繋ぐ瀬戸大橋や白壁の町並みが残る倉敷美観地区などが知られており、観光地としても非常に高い人気を誇っています。古き良き町並みはタイムスリップしてきたかのような懐かしさが、なんとも心地よい景色です。
また、倉敷市の水島港には、西日本一の貨物取扱量を誇る国際コンテナターミナルが整備されています。自動車の組み立て工場などが複数立地されており、臨海工業地帯を形成しています。さらに、近年では太陽光発電やバイオマス発電などの自然エネルギーや再生可能エネルギーの普及・促進に積極的に取り組んでおり、ますます魅力が増えていく県。それが岡山県です。
では、地域によって魅力が変わる岡山県の相続税や税理士事情を確かめていきましょう。
相続税発生率は、中国地方では高い
中国地方に位置するのは、岡山県の他にも、鳥取県、島根県、広島県、山口県が該当しています。これらの県の中で比べてみると、相続税の課税件数・課税割合ともに、中国地方では広島県に次ぎ2番目です。
岡山県の課税割合は6.84%と全国18位で47都道府県の中ではやや上位に位置しています。一方で、一件当たりの納付税額は約980万円で全国34位で、それほど多くはありません。
岡山市、倉敷市など都市部では相続税は発生しやすくなりますが、税額は少ない傾向にあります。
2.課税データと市別の状況
税務署名 | 管轄地域 | 申告 件数 | 課税 件数 | 1件当り 納付税額 (万円) | 申告割合 | 課税割合 |
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岡山東 | 北区(※) 南区(※) 吉備中央町 | 285 | 231 | 1,253 | 12.93% | 10.48% |
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岡山西 | 北区(※) 中区 南区(※) | 382 | 314 | 1,051 | 12.59% | 10.35% |
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西大寺 | 東区(※) 瀬戸内市 | 112 | 97 | 465 | 6.44% | 5.57% |
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瀬戸 | 東区(※) 備前市 赤磐市 和気町 | 78 | 56 | 766 | 4.87% | 3.49% |
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児島 | 倉敷市(※) | 53 | 47 | 4,505 | 8.17% | 7.24% |
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倉敷 | 倉敷市(※) 総社市 早島町 | 446 | 365 | 626 | 10.65% | 8.71% |
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玉島 | 倉敷市(※) 浅口市 里庄町 | 132 | 106 | 1,306 | 12.35% | 9.92% |
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津山 | 津山市 美作市 鏡野町 勝央町 奈義町 西粟倉村 久米南町 美咲町 | 113 | 92 | 483 | 4.24% | 3.46% |
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玉野 | 玉野市 | 45 | 37 | 414 | 4.96% | 4.07% |
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笠岡 | 笠岡市 井原市 矢掛町 | 106 | 89 | 882 | 6.53% | 5.48% |
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高梁 | 高梁市 | 18 | 13 | 458 | 3.12% | 2.25% |
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新見 | 新見市 | 22 | 17 | 554 | 4.21% | 3.26% |
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久世 | 真庭市 新庄村 | 19 | 16 | 619 | 2.53% | 2.13% |
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岡山県計 | | 1,811 | 1,480 | 979 | 8.41% | 6.87% |
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以下は平成27年度データの解説になります。平成28年版は更新予定です。
(※)
平成27年国勢調査の人口比より死亡者数を推測
北区・南区の死亡者数については岡山東税務署と岡山西西税務署で半分に分割
2-1.岡山市の相続税事情
概況
県内で相続税申告の発生件数が最も多い地域は県庁所在地でもある「岡山市」です。岡山県全体での発生件数が1,764件であるのに対して、岡山市だけで847件(一部、他の自治体を含む)を占めているため、その多さが際立ちます。
岡山市の人口は県内で最も多いのですが、地区ごとに分けると最大の人口を誇るのが北区の約30万人と、北区が岡山市全体の人口の約半分近くを占めています。北区・南区は2つの税務署管轄に属しています。
税務署の管轄ごとに比べると、最も相続が発生しているのは、岡山西エリアの373件、次いで岡山東エリアの289件です。ただ、課税割合は岡山東が10.33%、岡山西が9.02%と岡山東のほうがやや高くなっています。
岡山市内で特に相続税が課税される可能性が高いエリア
岡山市内でも特に相続税が課税される可能性が高いと考えられる地域としては、世帯別年収などのデータから推測すると、岡山市北区および中区の周辺などいわゆる備前地域と備中地域の一部と考えられます。さらに細かく分析すると、北区の中でも比較的古き良き街並みが今なお残る番町、岡山大学がある伊島町、津島福居、津島本町、伊福町などが相続税課税の可能性が高いエリアとなります。また中区では、岡山城付近の住吉町、円山、原尾島などが相続税課税の可能性が高いと言えます。
2-2.倉敷市の相続税事情
倉敷市は、児島・倉敷・玉島の3つの税務署管轄に属しています。相続税発生件数は593件(他の自治体を含む)であり、県内の発生件数の約3分の1を占めています。課税割合で見てもやや高めです。
特に新倉敷駅周辺の玉島エリアの課税割合が10.33%と高く、全国平均をやや上回っています。新幹線の利便性もあり新倉敷駅周辺は倉敷市内で最も地価が高いエリアであり、その影響が考えられます。
3.岡山県内の相続税理士事情
3-1.税理士事務所が比較的多い傾向
相続税の発生率が高くなると、担当する税理士が多く必要になります。そのため、岡山県内にある税理士事務所も多くなっています。岡山県内で事業を行っている税理士事務所は「約270箇所」、従業員数は「約1200人」です。一方、最も相続税発生率が高い広島県では、税理士事務所数「約650箇所」、従業員数は「約2700人」となっています。
一見すると、この場合でも広島県の方が多く見えてしまいます。ですが、税理士事務所1箇所あたりの従業人数は、岡山県では「4.4人」、広島県では「4.1人」と僅かながら岡山県が上回っています。
さらに、被相続人1人あたり「2.7箇所」の税理士事務所があり、この数は全国5位の多さです。ですので、事務所の総数は少ないかもしれませんが、より手厚いサポートが受けられることが分かります。
3-2.岡山市と倉敷市に集中
岡山県内の相続税の特徴は、岡山市と倉敷市に集中していることです。このことから、相続件数が多く、何度も担当している岡山市エリア、倉敷エリアの税理士が経験豊富だと考えられます。
相続税額には土地の評価も含まれており、地価が高い中心部の岡山市内では相続税が高額になりやすいことも考えられますので、相続税に強い税理士への依頼が重要になってきます。
また、農地や広大地がある場合、その地域に根づいた税理士の方が他地域の税理士よりも納付税額を抑えられる対策がしやすくなり、結果的には大きな節税へとつながることもあります。
相続税の節税は、実力のある税理士を見つけることから始まっています。ですので、1個所に絞らず、できるだけ多くの税理士事務所に相談して、あなたが信頼して任せられる税理士を探しましょう。