和歌山県北部の沿岸部に位置知る海南市。古くからの紀州漆器の産地として、多くの人から愛されている地域です。そんな、海南市ではどのような相続が起きているのでしょうか?さまざまなデータを元に、海南市の相続事情を解明していきましょう。
1.海南市の相続事情
和歌山県海南市の相続税の申告件数は70件、実際に行われた課税件数は61件です。相続1件あたりの納付税額は約488万円、課税割合は6.62%となっています。和歌山県全体の平均データでは、1件あたりの納付税額は約1,000万円、課税割合は6.37%です。
平均データと比べてみると、海南市の相続は1件あたりの納付税額が低く、課税割合が高いことが分かります。また、他の地域の相続データと比べてみると、1件あたりの納付税額は県内で最下位でありながら、課税割合は2位と高い数字を誇っています。
つまり、海南市の相続の特徴として、相続税が課されやすい地域である一方で、課される相続税額は低いことが挙げられます。そして、この特徴からは、高額な遺産を相続している限られた世帯だけに相続税が課されているのではなく、多くの地域で同額程度の相続税が課されていることも読み取れます。
そのため、油断していると相続税の課税対象となり、高額な相続税を納めなければ池に状況に陥ってしまいます。どんな世帯でも相続税が課税される可能性がある海南市では、日頃から相続に対して関心を持ち、対策を講じておくことが大切です。
2.海南市の地価事情
それでは、海南市の相続データがどのようにして作られているのか、その秘密をまずは地価から探ってみましょう。
2-1.黒江
海南市の代表雨的な地域となる黒江。海南市は、元々黒江町や内海町、日方町など、幾つもの自治体が合併していできています。この海南市の前身となった黒江町を指す一体が、現在の黒江地区に該当しています。
海南市は古くから工芸の町として有名で、黒江では紀州漆器が製造されています。さらに、現在は漆器工芸を活かした観光産業にも力を入れています。作成体験や職人の技術を間近で見学できるツアーは人気を集めています。
黒江の地価平均は約4万8,000円です。黒江駅周辺には6万円を超えている地域もありますが、黒江は大半が住宅地として活用されています。そのため、駅周辺以外は地価が大きく下落しています。
特に、地域の鉄道駅は黒江駅しかありませんので、鉄道を利用する場合はバスなどの交通機関を使用しなければいけません。その結果、駅からの距離が遠のくほど地価の下落幅は大きくなり、地価の差も大きくなっています。
2-2.海南市の地価の特徴
海南市全体の地価平均は約4万9,000円で黒江の地価平均とほとんど変わりません。さらに、海南市の地価は和歌山県内では和歌山市に次いで2番目に高額な地価となっています。つまり、海南市は県内では非常に高額な地価の地域でもあるのです。
実は、市内では黒江よりも海南駅周辺の地価の方が高額になっています。駅の西口方向にはバスターミナルや駅前広場が整備され、東口方向は再整備によって市営駐車場が整備されました。こうした開発・発展により、利用者も黒江駅よりも多く、10万円を超える地価の地域も存在しています。
ただし、海南駅の利便性は向上しても、海南市の鉄道路線が紀州本線しかありません。そのため、駅周辺を離れると地価が大きく下がっています。市営駐車場の整備により、黒江よりも地価の下落幅は緩やかですが、それでも駅周辺地域の半額以下の箇所が多くなっています。
また、こうした交通機関の不便さからか、ここ20年以上は各地で地価が毎年下落しています。しかし、こうした地価の状況の場合、再開発により大きく地価が上昇したり、世帯あたりの持ち家面積が広くなったりする傾向があります。すると、相続対象となる遺産が高額になり、相続税も高額になる可能性がありますので、地価の動向などには十分に注意しなければいけません。
3.海南市の所得と富裕層
海南市の所得税の納税義務者数は約2万人、課税対象所得は約600億円です。1人あたりの所得を計算すると、約300万円となります。この金額は、県内で6番目に高額な所得となりますので、他の地域と比べると富裕層が多く生活しているといえるでしょう。
また、トップである和歌山市の所得は大きく飛び抜けていますが、2番目から6番目である海南市までの差は6万円と10万円もありません。つまり、所得の状況では団子状態となっており、所得金額の上位地域との差がほとんどないのです。
そのため、海南市は県内でも有数な高所得者が集まっている地域ともいえます。所得が高額になるほど相続財産が増え、課される相続税も高額化します。所得が高額な海南市では、所得の面で相続が課されやすい特徴を持っているのです。
また、地価も所得と同様に高額なほど相続税が課されやすい性質があります。所得も地価も高額な海南市では、より相続税が課される可能性が高いでしょう。他の地域に比べて課税割合が高いのは、地価や所得が高額なことが背景にあると考えられます。
4.海南市の税理士事情
さて、相続税対策で頼りになる税理士。海南市に在籍している税理士数は19名です。海南市の1年間の課税件数が61件であることから、海南市では相続税が不足していると考えても良いでしょう。
また、隣接している和歌山市の在籍税理士数は221名です。海南市を遥かに上回る税理士が在籍していますので、県の中心地域である和歌山市に集中していることが分かります。つまり、海南市で依頼できる税理士が見つけられない場合は、和歌山市に在籍している税理士へ依頼しなければいけません。
そのため、海南市と和歌山市、2つの地域で相続に強い税理士を探しておく必要があります。ただし、海南市内は鉄道での移動が少し不便です。相続は突然始まりますので、自動車でのアクセスが便利なことなども、依頼する税理士を決めるためには重要なポイントとなるでしょう。
そして、2つの地域で税理士探しを行わないといけないことから、依頼する税理士を探すだけでも時間がかかります。ですので、相続が始まる前から税理士探しを始めておき、いざという時のために早い段階から備えておきましょう。
【参考】海南市内の相続関連機関一覧
海南市内の相続に関連する各種機関の連絡先一覧をまとめました(2018年2月現在)。ただし、変更される可能性があることをご了承ください。
機関名 | 住所 | TEL |
---|---|---|
海南税務署 | 〒642-8555 和歌山県海南市名高255の4 | 073-482-0900 (代表) |
和歌山県税事務所 | 〒640-8585 和歌山県和歌山市小松原通1-1 (県庁南別館5階) | 073-441-3394 |
海南市役所 | 〒642-8501 和歌山県海南市南赤坂11番地 | 073-482-4111 (代表) |
和歌山地方法務局 本局 | 〒640-8552 和歌山県和歌山市二番丁3番地 | 073-422-5131 |
和歌山公証人合同役場 | 〒640-8157 和歌山県和歌山市八番丁11番地 日本生命和歌山八番丁ビル3階 | 073-422-3376 |
和歌山家庭裁判所 | 〒640-8143 和歌山県和歌山市二番丁1番地 | 073-422-4191 |
和歌山県司法書士会 | 〒640-8145 和歌山県和歌山市岡山丁24番地 | 073-422-0568 |
和歌山弁護士会 | 〒640-8144 和歌山県和歌山市四番丁5番地 | 073-422-4580 (代表) |