兵庫県の南西に位置し、県内でも指折りの都市圏を形成している姫路市。美しい姫路城の城下町として発展したこの地域には、どのような相続、税理士の特徴があるのでしょうか?
1.姫路市の相続事情
姫路市の相続税の申告件数は625件、課税件数は476件です。相続1件あたりの納付税額は約1,100万円、課税割合は8.29%となっています。兵庫県全体の平均データでは、1件あたりの納付税額は約2,000万円、課税割合は8.40%です。
平均データと比較してみると、姫路市の相続は1件あたりの納付税額は約半分、課税割合はやや低い程度になっています。つまり、課税される確率は平均的であるものの、課税額はそこまで高額ではないことが分かります。
ただし、注意したいのが兵庫県の相続税発生率です。兵庫県は全国屈指の相続税の発生地域です。1件あたりの納付税額は全国3位、課税割合は全国9位と非常に高い数字なのです。そのため、兵庫県は他の自治体よりも相続に関するデータも高水準になっています。
実際に、姫路市の相続データは兵庫県では平均よりも低いですが、他の自治体ではトップクラスの数字です。平均を下回っていると油断せずに、姫路市で生活している人は日常的に相続について考えておき、適切な対策が講じれるように準備しておきましょう。
2.姫路市の地価事情
それでは、姫路市の相続データの背景について、まずは地価との関わりから考えていきましょう。
2-1.姫路市の代表的な地域と地価
2-1-1.姫路駅周辺
姫路市の中心駅となっており、新幹線も乗り入れる姫路駅。多くの人で賑わう駅だからこそ、駅の周辺も大きく発展し姫路市の中心街を形成しています。さらに、駅ビルや地下街が形成されており、市街地以外にも飲食店や商店が多く存在しています。
また、姫路駅周辺は近年新しく整備されており、北口周辺は一般車両の侵入が負荷になりました。この整備により駅周辺の交通環境が快適になった他、景観が良くなったり導線が分かりやすくなったりしたため、より多くの市民が使いやすさの向上を感じています。
姫路駅周辺の地価平均は約20万円で、姫路市内では最も地価の高額な地域です。特に、駅周辺は平均を大きく上回っている地価の地域もあり、中には100万円を超えるところもあります。
姫路駅周辺は大きく発展し市街地化が進んでいますが、一方で駅の北部には姫路城が建っています。再整備によって、さながら現代版の城下町が形成されており、観光地としても人気を集めています。さまざまな魅力が詰まっている地域だからこそ、土地の需要が高く地価も高額化しているのです。
2-1-2.手柄
姫路駅から南へ進んだところにある手柄。姫路駅から続く市街地が形成されているのですが、住宅地としての活用が多くなっている地域です。そのため、どちらかというと落ち着いた印象を受ける地域でもあります。
手柄駅の西側には広大な土地を持つ手柄山中央公園が建設されています。公園内には温室植物園や水族館だけでなく、中央体育館や陸上競技場などのスポーツ競技施設が多く作られているのが特徴的です。
手柄の地価平均は約14万円で、姫路市内では2番目に地価が高額な地域です。中心部にある手柄駅は、無人駅で利用者は1日に1,000人前後とそこまで多いわけではありません。ですが、周辺には手柄山中央公園の他にも、姫路市中央卸売市場や姫路市役所などが建設されています。
手柄はそこまで注目されることは少ない地域ですが、市の重要な施設が多く建てられており、生活の要となる地域です。さらに、姫路駅からのアクセスも手軽に行えることから、他の地域よりも地価が高額になっていると考えられます。
2-1-3.亀山
手柄からさらに南へ行くとたどり着く亀山。大通りには市街地の名残は残っているものの、地域の大半が住宅地として活用されています。姫路駅からのアクセスは非常に手軽なため、市内中心部のベッドタウンとしての機能もあります。
中心となる亀山駅は、手柄駅と同じく無人駅で1日の利用客も1,000人程度です。しかし、亀山駅周辺には亀山本徳寺が建立されているものの、その他に目立った施設はありません。ですので、亀山駅は地域の交通の足として、ハブ駅でもある姫路駅や飾磨駅への移動に使用されていると考えられます。
亀山の地価平均は約9万円で、市内3番目の地価の高さを誇ります。繁華街ではありませんので、企業からの土地の需要は低い地域ですが、交通アクセスは非常に便利な地域です。生活の拠点としての人気が高く、その結果地価も高くなっているのでしょう。
ただし、ここ20年ほどは地価が連続して下がっており、駅からの距離近くなければ横ばいすら難しくなっています。実は、姫路市は自動車の普及率が高く、鉄道を利用しなくても問題なく生活できます。そのため、鉄道の利便性よりもその地域の発展度合いが優先されてしまい、繁華街以外では地価が伸びにくいのかもしれません。
2-2.姫路市の地価の特徴
姫路市全体に地価平均は約8万4,000円で、兵庫県内では9番目に高い地価の地域です。兵庫県には、高級住宅街である芦屋市や繁華街である神戸市などが存在しているため、姫路市の需要が伸びくく、県内では10位以内に入るものの、上位との差が大きい地域です。
市内の地価の特徴として、地価が高額な地域が姫路市駅周辺と手柄の2箇所に集中していることが挙げられます。さらに、地価が上昇傾向にあるのもこれらの地域で、他の地域では地価の下落が見られています。
また、兵庫県は自動車の普及率が高いことから、鉄道が交通の中心ではありません。その結果、駅に近いところよりも少し離れた地域の方が地価が上昇傾向にあり、需要が高いことが伺えます。
そのため、姫路市の地価の特徴として、発展している市街地に近い、駅周辺の騒がしさがない、といったことが需要に繋がっていると考えられます。特に、住宅地は駅からある程度離れたところの地価が高額になっており、思わぬところで高額な相続税が課される可能性が高い地域です。
3.姫路市の所得と富裕層
姫路市の所得税の納税義務者数は約22万6,000人、課税対象所得は7,330億円です。1人あたりの所得を計算すると、約324万円となります。この所得金額は、兵庫県内で10位の金額です。県内の自治体数は41箇所ありますので、全体の1/4以上に含まれており、富裕層が多い地域といえるでしょう。
ただし、兵庫県は関西の中でも屈指の商業地域であり、大阪などのベッドタウンとしても機能しています。その結果、所得の上位である芦屋市では600万円以上、宝塚市や西宮市では400万円以上の所得となっており、上位3つの地域がずば抜けて高額な所得を受け取っています。
そこで、これらの地域を取り除くと約362万円の三田市が最上位となります。そのため、姫路市の所得は決して安い訳ではなく、むしろ相続税への注意が必要なほど高額な所得を受け取っている地域といえるのです。
また、姫路市の地価は分かりやすい中心地域以外も高額な場所があります。ですので、繁華街から離れた住宅地で生活している人も、所得が高い場合はより高額な相続税が課される可能性がありますので、油断せずにしっかりと対策を講じましょう。
4.姫路市の税理士事情
相続税対策の要となる税理士。姫路市の在籍税理士数は260名です。姫路市の1年間の課税件数が476件ですので、やや不足していると考えられますが、実際に依頼できないことはないでしょう。
さらに、姫路市は都市部が限られていますので、効率よく税理士事務所を訪ねて相談できます。そのため、時間をかけるほど実力の高い税理士と巡り会える可能性が高く、余裕を持って相続に備えることで効果の高い対策が行えるでしょう。
ただし、近隣の市に在籍している税理士が少ない場合、その地域での税理士では賄えず、姫路市の税理士へ依頼することがあります。すると、姫路市で生活している人が地元の税理士に依頼できなくなってしまいます。
ですので、なるべく多くの税理士の元を伺い比較して、第2候補、第3候補の税理士まで決めておきましょう。姫路市は受け取っている所得が高く、意外な場所の地価が高くなっている地域です。自分は大丈夫だという安心は捨てて、しっかりと相続税への対策を行いましょう。
【参考】姫路市内の相続関連機関一覧
姫路市内の相続に関連する各種機関の連絡先一覧をまとめました(2018年2月現在)。ただし、変更される可能性があることをご了承ください。
機関名 | 住所 | TEL |
---|---|---|
姫路税務署 | 〒670-8543 兵庫県姫路市北条1丁目250番地 | 079-282-1135 (代表) |
中播磨県民センター 姫路県税事務所 | 〒670-0947 兵庫県姫路市北条1-98(兵庫県姫路総合庁舎) | 案件により異なる HP参照 |
姫路市役所 | 〒670-8501 兵庫県姫路市安田四丁目1番地 | 079-221-2111 (代表) |
神戸地方法務局 姫路支局 | 〒670-0947 兵庫県姫路市北条一丁目250番地 | 079-225-1915~7 |
姫路東公証役場 | 〒670-0948 兵庫県姫路市北条宮の町385番地 永井ビル3階 | 079-223-0526 |
神戸家庭裁判所 姫路支部 | 〒670-0947 兵庫県姫路市北条1-250 | 079-281-2011 (代表) |
兵庫県司法書士会 | 〒650-0017 兵庫県神戸市中央区楠町2-2-3 兵庫県司法書士会館 | 078-341-2755 |
兵庫県弁護士会 西播磨相談所 | 〒670-0947 兵庫県姫路市北条1丁目408-6 兵庫県弁護士会姫路支部会館内 | 079-282-8458 |