1.鎌倉エリアの相続事情
鎌倉市、逗子市、葉山町の3つの地域は、全て鎌倉税務署の管轄となり、相続税のデータなども全て統合されています。鎌倉エリアの相続税の申告件数は739件、実際に課税された件数は542件です。
相続1件あたりの納付税額は約2,368万円、課税割合が17.68%%となっています。神奈川県の平均的なデータでは、1件あたりの納付税額が1,839万円、課税割合が12.6%です。納付税額も課税割合も、平均を大きく上回っています。
また、神奈川県の他の地域とデータを比べてみると、1件あたりの納付税額は5位、課税割合は2位という高い数字です。つまり、鎌倉エリアの相続は、比較的高額な相続税の発生率が高いという特徴があります。
上記データは、令和元年のものを使用しています。
2.鎌倉市の地価事情
幕府が置かれた地として、歴史的にも観光地としても全国的に人気の鎌倉市。三方を山に囲まれており、自然や歴史のある寺社などが多く、都市部とは思えない風景が別荘地として人気の魅力となっています。
一方で、風情ある街並みを守る目的などから、オフィスビルや高層マンションが建てられないことから、ホテルや住宅などの土地利用がメインです。ただ、各種鉄道や道路の整備が急速に進んだ結果、各地域へのアクセスが手軽という大きなメリットもあります。
鎌倉市全体の地価平均は約24万円で、鎌倉市で最も地価が高額な地域が約34万円の鎌倉駅周辺です。鎌倉市内は、立地上観光業がメインとなっていますが、約4割の人が東京都の特別区や横浜市へ通勤しています。
つまり、鎌倉市は都市部のベッドタウンとしての役割が非常に強い傾向にあります。別荘地として人気を集める特徴が、生活の拠点としての魅力にも通じていることが、鎌倉市の特徴といえます。
3.鎌倉市の所得と富裕層
地価と並び相続税額に大きく関わってくる所得。ベッドタウンや別荘地として人気をを集める鎌倉エリアの所得にはどのような特徴がるのでしょうか?
自治体名 | 所得税の 納税義務者数 | 課税対象所得 | 1人あたりの 課税対象所得 |
---|---|---|---|
鎌倉市 | 約8万4,000人 | 約3,800億円 | 約450万円 |
逗子市 | 約2万8,000人 | 約1,200億円 | 約430万円 |
葉山町 | 約1万5,000人 | 約650億円 | 約441万円 |
鎌倉エリアの各自治体の所得は上記のようになっています。所得の多い順に並べると、鎌倉市、葉山町、逗子市で、実は、これが神奈川県内の所得ランキングの1~3位となります。地価のランキングでは、鎌倉エリアはトップを取れず、特に葉山町は中位に位置しているため、地価に比べて受け取っている所得が非常に高額なのが特徴的です。
ただ、それぞれの地域での経済活動はそこまで活発でありません。昼夜人口などを見ると、都市部への通勤率が高いことから、ビジネスの中心地で働く高所得者が生活の拠点として鎌倉エリアを選んでいることが、所得の引き上げにつながっていると考えられます。
また、横浜市内などは地価が高額なため、鎌倉エリアに自宅を構えるというのが、昔からの生活スタイルだったのかもしれません。地価の安さと交通の利便さ、豊かな自然との共存した街並みが、住みやすいベッドタウンや別荘地として人気を集めているのです。
そして、所得が高額であり住宅地が広い鎌倉エリアには富裕層が多く生活しており、高額な相続税が発生しやすいため、十分な節税対策が必須となるでしょう。
4.鎌倉市の税理士事情
住宅地としての高い人気と、高額な所得を受け取っている鎌倉エリアでは、高額な相続が発生しやすい要注意エリアです。そこで、相続税の負担を抑えるのに必須となる、鎌倉エリアの税理士事情を確かめていきましょう。
自治体名 | 在籍税理士数 |
---|---|
鎌倉市 | 118名 |
逗子市 | 25名 |
葉山町 | 6名 |
鎌倉エリアの各自治体ごとの在籍税理士数は上記のようになっており、全体で149名の税理士が在籍しています。年間の課税件数が542件であることから、鎌倉エリアでは税理士が非常に不足していることがわかります。
特に、所得が高額な葉山町の税理士が圧倒的に少なく、依頼できなくなってしまう可能性も高いでしょう。鎌倉エリアの在籍税理士数が少ない背景には、街並み保存などからオフィスの新設が難しく事務所を構えられないこと、アクセスが簡単なため横浜市内の税理士が対応可能なことなどが考えられます。
つまり、交通アクセスの良さが反対に働き、鎌倉エリア内で事務所を構える税理士が減ってしまったのです。ただでさえ少ない鎌倉エリアの税理士ですが、相続に強い税理士となればさらに限られます。頼りになる地元の税理士へ確実に依頼するためにも、いち早く相続税対策を行いましょう。
【参考】鎌倉エリア内の相続関連機関一覧
鎌倉エリア内の相続に関連する各種機関の連絡先一覧をまとめました(2017年10月現在)。ただし、変更される可能性があることをご了承ください。
機関名 | 住所 | TEL |
---|---|---|
鎌倉税務署 | 〒248-8501 神奈川県鎌倉市佐助1丁目9番30号 | 0467-22-5591 |
鎌倉市役所 | 〒248-8686 神奈川県鎌倉市御成町18-10 | 0467-23-3000(代表) |
横浜地方法務局 湘南出張所 | 〒251-0041 神奈川県藤沢市辻堂神台二丁目2番3号 | 0466-35-4620(代表) |
横浜地方法務局 横須賀出張所 | 〒238-8536 神奈川県横須賀市新港町1番地8 横須賀地方合同庁舎 | 046-825-6511(代表) |
横浜家庭裁判所 | 〒231-8585 神奈川県横浜市中区寿町1-2 | 案件により異なる HP参照 |
東京地方税理士会 鎌倉支部 | 〒248-0011 神奈川県鎌倉市扇ケ谷1-8-9 鎌工会ビル305号 | 045-715-6651 |
神奈川県司法書士会 横須賀支部 | 〒231-0024 神奈川県横浜市中区吉浜町1番地 | 045-641-1372 |
神奈川県司法書士会 横浜西支部 | 〒231-0024 神奈川県横浜市中区吉浜町1番地 | 045-641-1372 |
神奈川県弁護士会 | 〒231-0021 神奈川県横浜市中区日本大通9番地 | 045-211-7707(代表) |
神奈川県弁護士会 横須賀支部 | 〒238-0006 神奈川県横須賀市日の出町1-5 ヴェルクよこすか3階 | 046-823-2181(代表) |