1.小田原市の相続事情
神奈川県小田原市は小田原税務署の管轄地域です。しかし、小田原税務署では南足柄市や中井町なども管轄区域となっています。そのため、相続データには他の地域のものも含まれているため、小田原市単一のデータではありません。
小田原エリアの相続税の申告件数は580件、実際に課税された件数は447件です。1件あたりの納付税額は約1,025万、課税割合は10.55%となっています。神奈川県の平均データでは、1件あたりの納付税額は約1,839万円、課税割合が12.60%となっています。
神奈川県のデータと比べてみると、納付税額、課税割合とも低いことがわかります。
ただし、全国平均の納付税額は1,714万円、課税割合は、8.35%であるため油断してはいけません。しっかりと税理士による相続税対策を講じておき、少しでも多く遺産を相続しましょう。
2.小田原市の地価事情
2-1.小田原駅周辺
小田原市の中心駅として機能しており、西湘エリアを代表しているのが小田原駅周辺です。商業施設やオフィスビルの他にも、横浜地方裁判所や横浜検察庁の支部が建てられており、市政の重要地としての役割も担っています。
小田原駅は、JR東日本、JR東海、小田急電鉄、箱根登山鉄道、伊豆箱根鉄道の5路線が乗り入れるターミナル駅です。箱根へのアクセスの拠点にもなっていることから、観光拠点として位置づけられることもあります。
小田原駅周辺の地価平均は約21万円で、小田原エリア内で最も地価が高額な地域です。駅の西口はバスターミナルが整備されており、東口には繁華街が形成されています。そのため、東口側の方が商業施設などが立ち並んでおり、地価も高額になっています。
ただ、ここ数年は商業施設の撤退が相次いでおり、少しずつ街の発展に影響が出始めています。しかし、一度頓挫した再開発が現在再開し、2019年に完了する予定となっています。この再開発によって再び注目が集まれば、現在よりも地価が上がる可能性もあり、地価の動向には目が離せません。
2-2.鴨宮の地価
鴨宮駅を中心として形成されたこの地域は、駅前にはいくつかの商業施設などがあるものの、その数は少なく大半が住宅地として活用されています。これは、駅の北口南口のそれぞれに商店街が形成されているため、改めて多くの大型商業施設などを建設する必要性がなかったからだと考えられます。
また、鴨宮は東海道新幹線のモデル線の基地があったことから、新幹線発祥の地として知られています。もともと駅南口の地域では、鴨宮が新幹線発祥の地として認知されていましたが、現在では北口周辺の地域にも広がり、周辺一帯の地域が新幹線発祥の地としてのアピールを行っています。
鴨宮の地価平均は約14万円で、小田原エリア内で2番目に地価が高額な地域です。鴨宮駅は南北の発展度合いは似ているため、どちらの地域も同様の地価推移となっています。駅周辺は地価が高額になっているものの、それ以外の場所では地価の差に大幅な差がないのも特徴の1つです。
ただ、鴨宮はすでに完成された地域でもあるため、ここ数年は地価が減少傾向にあります。特に、上昇しているところは少なく、良くて横ばいの推移となっています。そのため、今後も地価の減少し続ける可能性はありますが、新たな再開発などによる地価の高騰には注意が必要です。
2-3.地価の特徴
小田原市全体の地価平均は約13万円で、神奈川県内では15番目に地価が高額な市です。そのため、県という広い点から見ると、特筆して地価が高い地域ではありません。これは県全体の地価平均が約24万円という点から見てみても分かります。
また、小田原市内で地価が高額な地域は小田原駅周辺や鴨宮、足柄といった地域です。しかし、地価平均では小田原駅周辺が頭一つ分出た金額となっており、他の地域では10万前後の地価となっています。
つまり、地価から考えると小田原駅周辺で生活している人は相続税が課税される可能性がより高いといえるでしょう。ただ、小田原市内では各地で地価の減少が起きています。
これは、神奈川県が東京都などのベッドタウンとして機能していたことにより、横浜を中心とした都心部が形成され、神奈川県自体も日本有数のビジネス地となったことが背景にあると考えられます。東京都と横浜に近い地域に需要が集中したことで、これらの地域の地価が大きく上がっています。
一方で、小田原エリアのような都市部から離れ、かつ観光業などが発展していない地域は需要が減り、地価が下がってしまたのです。小田原エリアは開発が再開したものの、まだその効果が現れていないため現在はまだ地価が伸び悩んでしまっています。
3.小田原市の所得と富裕層
小田原エリアの所得税の納税義務者数は約9万人、課税対象所得は約2,960億円です。1人あたりの所得は約330万円となっています。この金額は、神奈川県内でちょうど中位に位置しており、県の平均金額とほぼ同額の所得です。
また、世帯年収の割合を見てみると、300万円未満の世帯が最も多くなっていますが、全国平均の割合を僅かですが下回っています。反対に、300~1000万円未満の割合も全国平均を上回っており、全国的に見れば高額な所得を受け取っている世帯が多いのです。
そのため、小田原エリアは県内では平均的な所得ですが、十分富裕層が多い地域といえるでしう。そして、地価と合わせて考えてみると、1件あたりの納付税額が平均を下回っているのは地価が、課税割合が平均的なのは所得が影響しているのだと考えられます。
これは、小田原エリアの相続が所得による金銭の相続がメインとなっていることによるのでしょう。ただし、小田原エリアは所得差が広がっていないため、地価による影響も無視できません。ベースとなる所得が変わらないからこそ、地価の高低がそのまま課税される可能性に影響しますので、他の地域よりも地価の動向に注意が必要になります。
4.小田原市の税理士事情
小田原市に在籍している税理士は144名です。年間の課税件数が447件ですので、小田原エリアでは税理士が不足しているといえるでしょう。実は、神奈川県内では横浜に集中しており、その数は1,000名を超えるほどです。その結果、横浜以外の地域では税理士が不足しがちな状況になっています。
横浜は多くの人が集まるだけでなく、交通のターミナル駅となっているため、神奈川の各地へアクセスできます。そのため、横浜に在籍している税理士が神奈川県の各地で活躍できるのです。
ただ、その地域の地価を適切に判断するためには、再開発の情報などをどれだけ把握しているのかが肝となります。すると、地元の税理士の方がより専門的、具体的な相続税対策を打ち出せるのです。したがって、まずは地元で相続に強い税理士を探すことを目標としましょう。
そして、地元で信頼できる税理士を見つけられたら横浜の税理士探しを行い、もしもの時のための準備をしておくのです。この対応方法により、適切な相続税対策を打ち出せますし、なにより依頼できないという最悪の状態を防ぐことができます。遺産を少しでも多く相続するためにも、可能な限り早めに税理士探しを行い相続税に備えましょう。
【参考】小田原市の相続関連機関一覧
小田原エリア内の相続に関連する各種機関の連絡先一覧をまとめました(2018年2月現在)。ただし、変更される可能性があることをご了承ください。
機関名 | 住所 | TEL |
---|---|---|
小田原市税務署 | 〒250-8511 神奈川県小田原市荻窪440番地 | 0463-22-1400 (代表) |
小田原県税事務所 | 〒250-0042 神奈川県小田原市荻窪350-1 | 0465-32-8000 (代表) |
小田原市役所 | 〒250-8555 神奈川県小田原市荻窪300番地 | 0465-33-1300 (代表) |
小田原法務局証明サービスセンター | 〒250-8555 神奈川県小田原市荻窪300番地 小田原市役所7階 | 0463-70-1125 (横浜地方法務局西湘二宮支局) |
小田原公証役場 | 〒250-0011 神奈川県小田原市栄町1-5-20 大邦ビル2階 | 0465-22-5772 |
横浜家庭裁判所 小田原支部 | 〒250-0012 神奈川県小田原市本町1-7-9 | 0465-22-6586 |
神奈川県司法書士会 | 〒231-0024 神奈川県横浜市中区吉浜町1番地 | 045-641-1372 (代表) |
神奈川県弁護士会 小田原法律相談センター | 〒250-0012 神奈川県小田原市本町1丁目4-7 | 0465-24-0017 |
神奈川県弁護士会 県西支部 | 〒250-0012 神奈川県小田原市本町1-4-7 朝日生命小田原ビル2階 | 0465-22-5671 (代表) |