愛知県で国際相続に対応している税理士
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1.愛知県・名古屋の相続税申告の状況
1-1.申告・課税件数
平成28年度の名古屋国税局の相続税申告に関する統計データによると、愛知県の相続税申告件数は11,583件、そのうち課税件数は9,134件、1件当たりの相続税額は1,835万円となっています。
(相続税を申告しても、各種の特例を適用すると相続税がゼロとなるケースがあるため、申告件数と課税件数は異なります。)
相続税申告の件数については、東京都が約25,000件であるのに対し、愛知県の場合は約11,500件と半数以下になります。
ただし、大阪と比較すると、相続税の申告件数は愛知県のほうが25%程度多くなっています。
実は、名古屋圏は三大都市圏の中では、東京に次いで納税額が多い地域です。相続税の課税割合(死亡者数に対する課税件数)は14.0%であり、東京に次いで全国2位と、高い割合で相続税申告が発生しています。平成27年の基礎控除の引き下げにより、前年と比較して、課税割合は約2倍近くまで増加しました。
1-2.名古屋市だけでなく県内全域にわたる
愛知県の特徴は、名古屋市だけでなく愛知県全域にわたって満遍なく相続税が課税されている割合が高いことです。
東京や大阪では、課税割合が高い地域は中心部と沿岸部に集中し、そこから離れると一気に下がるのですが、愛知では、岡崎・豊橋・豊田・半田・春日井・一宮・碧南など幅広い地域で課税割合が高くなっています。
1-3.路線価の状況
愛知県は東京都と比較すると路線価の上昇率は劣りますが、それでも、平成29年の路線価の前年に対する上昇率は1.2%と、全国7位の上昇率を示しています。
特に名古屋駅周辺は路線価が総じて上昇しています。都心部に土地を所有している場合は、予想外に土地の評価額が高くなっていることもありますので、早めの相続対策が必要です。
1-4.貯蓄の状況
2016年の都道府県別の貯蓄高ランキングでは愛知県は全国第5位で約1,900万円であり、全国平均よりも約350万円ほど高いです。隣の三重県は全国第3位、岐阜県は第10位ですので、東海地方全体的に貯蓄に熱心な傾向があり、それが相続時には多くの人が課税される状況へとつながっているとも考えられます。
2.課税割合の詳細データ
平成28年度の、名古屋市および、それ以外の愛知県の課税割合データです。
税務署名 | 管轄地域 | 申告 件数 | 課税 件数 | 1件当り 納付税額 (万円) | 申告割合 | 課税割合 |
---|---|---|---|---|---|---|
千種 | 千種区 名東区 | 656 | 513 | 2,655 | 25.16% | 19.68% |
名古屋東 | 東区 | 133 | 103 | 6,082 | 20.52% | 15.90% |
名古屋北 | 北区 守山区 | 467 | 376 | 1,422 | 14.19% | 11.43% |
名古屋西 | 西区 清須市 北名古屋市 豊山町 | 541 | 423 | 1,384 | 19.06% | 14.90% |
名古屋中村 | 中村区 | 262 | 203 | 2,344 | 17.07% | 13.22% |
名古屋中 | 中区 | 186 | 134 | 2,173 | 26.76% | 19.28% |
昭和 | 昭和区 瑞穂区 天白区 日進市 長久手市 東郷町 | 1,003 | 777 | 4,343 | 22.89% | 17.74% |
熱田 | 熱田区 南区 緑区 豊明市 | 749 | 567 | 2,336 | 16.28% | 12.33% |
中川 | 中川区 港区 | 515 | 408 | 1,796 | 13.85% | 10.97% |
豊橋 | 豊橋市 豊川市 蒲郡市 田原市 | 1,121 | 896 | 1,621 | 16.55% | 13.23% |
岡崎 | 岡崎市 幸田町 | 619 | 502 | 1,145 | 20.03% | 16.25% |
一宮 | 一宮市 稲沢市 | 685 | 530 | 975 | 14.41% | 11.15% |
尾張瀬戸 | 瀬戸市 尾張旭市 | 260 | 208 | 1,133 | 13.45% | 10.76% |
半田 | 半田市 常滑市 東海市 大府市 知多市 阿久比町 東浦町 南知多町 美浜町 武豊町 | 841 | 673 | 961 | 15.69% | 12.56% |
津島 | 津島市 愛西市 弥富市 あま市 大治町 蟹江町 飛島村 | 482 | 400 | 1,248 | 15.97% | 13.25% |
刈谷 | 碧南市 刈谷市 安城市 知立市 高浜市 | 979 | 797 | 1,725 | 25.26% | 20.56% |
豊田 | 豊田市 みよし市 | 644 | 483 | 1,454 | 19.15% | 14.36% |
西尾 | 西尾市 | 312 | 237 | 944 | 19.29% | 14.66% |
小牧 | 春日井市 犬山市 江南市 小牧市 岩倉市 大口町 扶桑町 | 1,052 | 838 | 1,425 | 16.72% | 13.32% |
新城 | 新城市 設楽町 東栄町 豊根村 | 76 | 66 | 424 | 9.06% | 7.87% |
愛知県計 | 11,583 | 9,134 | 1,834 | 17.76% | 14.00% |
2-1.名古屋市内の相続税課税状況
名古屋市の状況については、名古屋市のページをご覧ください。
下記の市町村については、名古屋市内の税務署の管轄になりますので、名古屋市のページにて解説しています。
- 清須市、北名古屋市、豊山町 → 名古屋西税務署
- 日進市、長久手市、東郷町 → 昭和税務署
- 豊明市 → 熱田税務署
2-2.名古屋周辺市部の相続税課税状況
続いて、愛知県内にある名古屋市以外の市部の課税状況について解説していきます。
2-2-1.西尾市
愛知県の中央南部に位置し、三河湾に面している西尾市。全国でも有数の抹茶の名産地であり、三河の小京都とも呼ばれ観光客も多く訪れている街です。三河湾に面していることから、海苔や鰻の養殖が盛んで、抹茶以外にも洋蘭など花や植木の栽培も市の重要な産業となっています。
西尾市の相続一件あたりの納付税額は940万円、課税割合は14.92%です。一件あたりの納付税額は19自治体中18位とか税額が低いことが大きな特徴です。ただ、課税割合は平均をやや下回る程度であることから、課税がされる可能性が低いわけでなはなく、適切な相続税への対策が求められる地域です。
2-2-2.碧南市、刈谷市、安城市、知立市、高浜市
刈谷税務署の管轄地域となっている碧南市、刈谷市、安城市、知立市、高浜市。この地域は市の中央部に位置しており、名古屋市からの距離も比較的近い地域です。特に、刈谷市はトヨタ自動車の創業地であることから全国有数の工業地域となっており、この地域の中心都市となっています。
刈谷税務署の相続一件あたりの納付税額は約1,720万円、課税割合は20.99%です。一件あたりの納付税額は市部で最も高額で、課税割合は県内2位と高額な相続税が課税されやすい要注意地域です。そして、中心都市である刈谷市は所得と地価、どちらも県で5位以内に入る金額ですので、相続税への対策は必須といえるでしょう。
2-2-3.岡崎市
愛知県のほぼ中央に位置し、西三河を代表する都市である岡崎市。八丁味噌の産地としても有名で、市内にはいくつもの味噌蔵があります。ただ、豊田市と隣接している影響からか、岡崎市内にも工場が多く建設されており工業が市の主要な産業となっています。
岡崎市の相続一件あたりの納付税額は約1,140万円、課税割合は15.88%です。一件あたりの納付税額は12位とそこまで高額ではありませんが、課税割合は平均を超える高い数字となっています。
岡崎市は所得も地価も高い水準になっているため課税割合が高くなる傾向があります。また、事業を継承する可能性もありますので、特殊な相続にも対応できるように準備しておくことも必要です。
2-2-4.豊田市、みよし市
愛知県の北部に位置し、県内最大の面積を誇る豊田市と、隣接しているみよし市。どちらも豊田税務署の管轄となっています。豊田市はトヨタ自動車が本社を置いていることから、市内には多くの関連企業、工場が建設されており、みよし市にもその傾向が現れています。
豊田税務署の相続一件あたりの納付税額は約1,450万円、課税割合は14.64%です。意外にも、一件あたりの納付税額や課税割合は県の平均を下回る数字となっています。所得も地価も高い地域なのですが、豊田市は山間部の面積が広く居住地は限られています。
ですので、不動産への課税が行われにくいことが、課税割合などが低くなる要因だと考えられます。ただ、豊田市とみよし市は所得が高額であり、所得など財産への課税が高額になりやすいため、生前贈与などを含めた対策を講じる必要があります。
2-2-5.半田市、常滑市、東海市、大府市、知多市
愛知県の西南部に位置し、名古屋市の南部から続く、半田市、常滑市、東海市、大府市、知多市。この地域は全て半田税務署の管轄となり、この他にも知多半島にある全ての自治体が管轄となっています。
地域内は主に住宅地として活用されていますが、常滑市に中部国際空港が建設去れたことから、商業施設など建設が増加しています。また、常滑市は焼き物、大府市は健康や医療といった、市ごとに異なる特徴があるのも、この地域の魅力となっています。
半田税務署の相続一件あたりの納付税額は約960万円、課税割合は12.79%です。どちらも県内では低い数字となっており、地価と所得どちらもそこまで高くないことが、相続税にも影響していると考えられます。特に、この管轄地域は範囲が広いため、区域による違いも数字に反映されている可能性が高いです。
2-2-6.春日井市、犬山市、江南市、小牧市、岩倉市
愛知県の北東に位置し、名古屋市と岐阜県に挟まれた地域である、春日井市、犬山市、江南市、小牧市、岩倉市。この地域は全て小牧税務署の管轄となっています。地域の中心地は春日井市であり、小牧市と春日井市を跨ぐように県営名古屋空港のが建設されています。
小牧税務署の相続一件あたりの納付税額は約1,400万円、課税割合は13.70%です。この地域は名古屋市との距離が近いため、名古屋市のベッドタウンとして活用されることが多い地域です。そのため、住宅地として主に活用されていますが、市部では4位という高額な課税が行われています。
特に、隣接する春日井市は企業の本社も多数建設されており、ベッドタウンと工業地、どちらの役割を満たします。このことから、相続でも春日井市が中心となっている可能性が高いといえるしょう。
2-2-7.一宮市、稲沢市
愛知県の北西部に位置している一宮市と稲沢市。どちらも一宮税務署の管轄地域です。どちらも名古屋市へのアクセスが容易なことから、名古屋市のベッドタウンとして人気を集めており、特に一宮市は本社を置く企業も多く、一宮駅の周辺には商業地として発展しています。
一宮税務署の一件あたりの納付税額は約975万円、課税割合は11.48%です。県内で4ヶ所ある課税額が1,000万円を下回る地域の1つで、課税割合もそこまで高くありません。市内での所得、地価が高くないことから、課税額や課税割合が低くなっていると考えられます。
しかし、住宅地が多いことからどの地域でも課税される可能性があります。ですので、貯蓄や不動産の状況を確認し、相続税が課税される可能性がるかどうかをしっかりとチェックしておきましょう。
2-2-8.津島市、愛西市、弥富市、あま市
名古屋市の北西部に位置し、津島税務署の管轄となっている津島市、愛西市、弥富市、あま市。名古屋市のベッドタウンとして人気を集めた地域で、現在でも年々人口は増加傾向にあります。また、東名阪自動車道や名古屋第二環状鉄道が整備されているため、物流拠点としても注目されています。
津島税務署の相続一件あたりの納付税額は約1,240万円、課税割合は13.50%です。市部の中ではほぼ中位の課税額と課税割合となっています。この地域は住宅地として主に活用されていますが、企業の本社が置かれることも多いため、課税額や割合が高くなりやすいと考えられます。
2-2-9.新城市
愛知県の東部に位置している新城市。新城税務署の管轄は設楽町などにまで及んでいるため、静岡や長野県とも関わりが深い地域でもあります。農業を中心とした経済活動が盛んですが、豊田市などと隣接していることから、工業も発展しており新城市内では工業団地が形成されているほどです。
新城税務署の一件あたりの納付税額は約420万円、課税割合は7.76%です。どちらも県内最下位の数字で、直上の自治体と比較しても2倍近い差が現れています。この地域は自然が多いことから地価が低く、特に設楽町や豊根村などは人口減少が起きており大きく地価が下がっています。こうした価格が相続税にも影響し、県内で最も低い数字が現れているのです。
2-2-10.瀬戸市、尾張旭市
名古屋市の北東部に位置している瀬戸市と尾張旭市。尾張旭市は瀬戸市と名古屋市の中間に位置しているため、2つの市を結ぶ中継地として機能しています。また、瀬戸市は焼き物の街として知られており、県内だけでなく県外からも人気の製品が生産されています。
瀬戸市と尾張旭市を管轄に持つ尾張瀬戸税務署の一件あたりの納付税額は約1,130万円、課税割合は11.10%となっています。どちらの数字もそこまで高いものではありませんが、ここ数年マンションなどの建設が相次いでいます。そのため、今後ベッドタウンとして人気が集まれば地価が上昇する可能性があり、地価の動向には目が話せない地域です。
3.愛知県内で相続税に強い税理士を探す3つのポイント
3-1.名古屋市を中心とした税理士探し
愛知県に在籍している税理士は5,317名、事業所数は2,266名です。税理士一人あたり2.18件の相続を担当しています。実は、この内名古屋市内に在籍しているのは約3,500名となっており、愛知県内に在籍している税理士の60%以上を占めています。
また、愛知県は名古屋市を中心として鉄道路線が整備されている他、トヨタ自動車があることから自動車普及率が高く幹線道路などもしっかり整備されています。ですので、市内だけでなく周辺の市部にも対応している場合があるため、愛知県内では名古屋市を中心とした税理士探しが重要となっています。
(2)土地評価に強いことが税理士探しのポイント
愛知県内は比較的住宅地が多いですが、商業地や工業地、農地などさまざまな方法で活用されています。そして、商業地や工業地であっても住宅地に隣接していることが多いため、土地の活用状況は多岐に渡っています。ですので、正しく土地の状況を見極めて評価ができる税理士へ依頼することがポイントになります。
また、愛知県では名古屋市を筆頭に再開発が相次いで行われています。中には、再開発により人口が急増した地域もあり、地価の上昇率にも差が現れています。そこで、地元の土地開発などの情報をいち早くキャッチできる税理士なども頼りになりますので、土地評価などに強いことが愛知県内での税理士を比較するポイントになるでしょう。
(3)対応地域には要注意
さて、愛知県は各種交通網が整備されていますが、一方で東京都や大阪府と比較すると面積が広い県です。そのため、移動ができても名古屋市の税理士では対応できない場合があります。特に、名古屋市は愛知県の西部にありますので、中央部~東部の地域には対応していない可能性が高いです。
そこで、名古屋市内で税理士を探す場合には、しっかりと対応地域を確かめておかなくてはいけません。また、名古屋市内の税理士が対応していない場合、地元の信頼できる税理士へする必要があります。
愛知県は名古屋市へ税理士が集中しており、その他の地域では税理士が不足する可能性があります。ですので、名古屋市以外の地域では相続が始まる前など早くから税理士探しを行い、相続に強い税理士を見つけましょう。