1.市原市の相続税申告の特徴
市原市は房総半島の中央部、千葉市の南側に隣接しています。市域は368.17平方キロメートルもあり、県内最大の面積を擁しています。
東京湾に面する北部は京葉工業地域の中心的な位置にあり、国内最大級の石油コンビナートなど大規模な工場群から生産される製造品出荷額は、常に国内上位を誇っています。
南部は豊かな自然に恵まれた一大観光地で、ゴルフ場の数は32ヶ所で日本一です。
今回は、そんな市原市の相続税申告について解説していきます。
2.市原市の相続税申告状況
令和元年の相続税申告状況のデータによると、市原市を管轄している千葉南税務署の申告割合は9.24%、課税割合は6.98%、1件当たり納付税額は1,078万円となっています。
ただし、千葉南税務署の管轄エリアは市原市のみではなく、他にも中央区と緑区があります。特に中央区は千葉市の中心部であり、このエリアの相続税課税をけん引している存在です。市原市のみの数値は公表されていませんが、おそらくこの数値よりも低いと考えられます。
2-1.市原市と全国都道府県・千葉県との比較
次に、県内平均と全国平均と比較してみましょう。
千葉県全体の申告割合は11.06%、課税割合は8.50%、1件当たり納付税額1,395万円で、全国では申告割合10.71%、課税割合8.35%、納付税額1,714万円となっています。
千葉南税務署管轄エリアの平均値は、これらすべてを下回っており、相続税の課税についてあまり心配する必要のない地域であることが分かります。
しかし、市原市は市域が大きく、北部と南部で土地の様相が全く異なるため、エリアによっては相続税が課税されやすい点に注意しなければなりません。
申告割合 | 課税割合 | 1件当 納付税額 | |
---|---|---|---|
千葉南税務署 管轄エリア | 9.24% | 6.98% | 1,078万円 |
千葉県 | 11.06% | 8.50% | 1,395万円 |
全国平均 | 10.71% | 8.35% | 1,714万円 |
それでは次項から、市原市の特徴について詳しく見ていきましょう。
3.市原市の特徴
市原市は温暖な気候に恵まれた土地です。
市内にはJR内房線、小湊鉄道、京成千原線の3路線が乗り入れており、市原市の五井駅から東京駅までは、内房総線の快速を利用すると、乗り換えせずに1時間程度で行くことができる交通アクセスの良さから、首都圏のベッドタウンとして約27万人の人口を擁しています。
ベッドタウンとしての活用以外にも、北部は工業、南部は観光業、農業が盛んに行われており、市原市は様々な魅力を持っています。
3-1.市原市の中心地は北部
市の中心地は市の北部にある五井駅周辺で、沿岸部は工業地帯となっていますが、少し内陸に入ると住宅地になります。
千葉駅まで直通で約18分と好アクセスであること、駅周辺にはコンビニやドラッグストア、映画館や家電量販店が入っている大規模なショッピングモールもあることなどから、生活利便性が非常に高いエリアとなっています。
首都圏や沿岸部のコンビナートで働く人々のベッドタウンとして人気のエリアであり、高所得者も多く居住していると考えられます。
3-2.南部は自然豊かな田舎
市原市はゴルフ場の数が日本一であることからも分かるように、広大な市域の中には、自然豊かな場所も多くあり、北部から南下するほどに田舎風景が広がるようになります。
舞鶴公園、養老渓谷、市原ぞうの国、千葉こどもの国キッズダムなど、多くの観光地を有しており、日本全国から多くの人が訪れています。
車が必須のエリアになるため、ベッドタウンとしての人気は薄いエリアになりますが、都会の暮らしに疲れたIターン者や、老後を豊かな自然環境の中で過ごしたい富裕層などが好んで居住するエリアになります。
3-3.市原市に超富裕層はいない
市原市には、都心部に居住しているような超富裕層はいません。
その理由は、市原市のお隣にある緑区には、千葉県内では知る人ぞ知る高級住宅街である「あすみが丘」があり、市原市周辺に居住したい富裕層は、ブランドのある緑区に居住している場合が多いからと推察されます。
3-4.市原市の地価
市原市の平均地価は1㎡あたり4万円で、千葉県内全54位中18位です。
市内で最も地価が高いのは五井駅周辺で、1㎡あたり8万円と平均の倍額となっています。南部については自然豊かなエリアであることから、数百円から2万円台と低い金額です。
市原市の地価はどの地点においても高くはないことから、相続税については、不動産評価額よりも、預金などその他の財産に十分気を配る必要があります。
4.市原市の税理士情報
千葉県の税理士は千葉県税理士会に所属しており、その税理士登録者数は2,546人(令和3年12月末日現在)となっており、このうち市原市を管轄している千葉県税理士会千葉南支部にいる税理士は110人(令和2年3月末日現在)です。
市原市の税理士数は公表されていませんが、中央区と緑区がある千葉市に多くの税理士が分布していることは間違いないでしょう。
千葉南税務署の相続税申告数が453件であることから、支部の税理士110人に対する相続税申告1件当たりの税理士数は0.24人となり、税理士1人あたり年間4件の相続税申告をこなしている計算になります。
全国的には、税理士1人あたり年間に1、2件の相続税申告があるかどうかという話であることから、市原市の税理士不足は明らかです。
税理士不足は千葉県全体の問題ではありますが、千葉南支部の税理士数は県の平均値である0.36人よりもさらに少ないという点に留意しておかなければなりません。
4-1.市原市北部の税理士の探し方
市原市の税理士数は少なく、また市域が非常に広いことから、中心街の北部以外については税理士が点在している状況になっていると考えられます。
五井駅や八幡宿駅周辺の市街地に居住している場合には、地元の税理士だけではなく、千葉市や東京都の税理士も選択肢に入れて探しましょう。
4-2.市原市南部の税理士の探し方
中央部から南部にかけて居住している場合には、まずは相続税課税の有無が重要になります。このエリアは地価が低く、また地元産業に従事している人が多いことから、相続税の対象にならない可能性が高いため、まずは自身の相続財産の金額を把握し、相続税発生の有無を確認しましょう。
そして相続税が発生する可能性がある場合には、相続税に強い税理士を求めるため、東京都や千葉市の税理士を探しましょう。市域の広い市原市内で地元税理士を探すよりも、都心部も含めて探した方が効率的です。
【参考サイト】「税理士登録者数」 | 日本税理士会連合会、千葉県税理士会、千葉県税理士会 千葉南支部