1.浦安市の相続税申告の特徴
浦安市は千葉県の北西部、東京湾に面しています。言わずとも知れた「東京ディズニーリゾート」がある市で、全国のみならず世界各国から多くの観光客が訪れる市です。
市域が整った直線的な形状をしている理由は、市域の約75%が埋立地となっているためです。記憶に新しい東日本大震災では、大規模な液状化の被害を受けたエリアになります。
東京都に近く、高級住宅地としても有名な浦安市は、相続税課税が多く行われている市であることは容易に予想ができます。
今回は、浦安市の相続税申告について詳しく解説します。
1-1.浦安市の相続税申告状況
令和元年の相続税申告状況のデータによると、市川市と浦安市を管轄している市川税務署管轄エリアの申告割合は19.26%、課税割合は13.84%、相続1件当たりの納付税額は1,986万円です。
3つの数値すべてにおいて、千葉県内に14ある税務署の中で圧倒的なトップとなっています。
いずれの市も東京都に近く、高級住宅街があることから当然の結果といえるでしょう。
千葉県と全国の平均値も見ておきましょう。
申告割合 | 課税割合 | 相続1件当 納付税額 | |
---|---|---|---|
市川税務署管轄 エリア | 19.26% | 13.84% | 1,986万円 |
千葉県平均 | 11.06% | 8.50% | 1,395万円 |
全国平均 | 10.71% | 8.35% | 1,714万円 |
相続税申告は富裕層が集中して居住している東京都が突出して多く、全国平均を底上げしています。その証拠に、全国平均の課税割合8.35%を超えている47都道府県は12しかありません。
試しに市川税務署の課税割合13.84%を、その47都道府県の順位に当てはめてみると、2位の愛知県13.93%に次ぐ3位の位置にあたります。
浦安市は、全国有数の相続税が課税されやすいエリアであり、千葉県内においては市川市と並んで最も注意しなければならないエリアといえるでしょう。
2.浦安市の特徴
浦安市は、東と南側を東京湾に面し、西側は東京都江戸川区、北側は千葉県市川市と接しています。
市内にはJR京葉線、東京メトロ東西線、首都高速湾岸線などの交通網が充実し、東京都心部へ向かう足に不便がなく、首都圏のベッドタウンとして発展しています。
市内は大きく5つのエリアに分けられており、それぞれ様相が異なっているのが特徴です。
相続税課税への注意の払い方も異なってくるため、次項にて詳しく解説していきます。
- 元町エリア
- 中町エリア
- 新町エリア
- 工業ゾーン
- アーバンリゾートゾーン
2-1.元町エリア
浦安市の北部に位置する、当代島、北栄、猫実、堀江、富士見地区を元町エリアと呼びます。
浦安市はその昔は漁師町として発展していました。元町は、埋め立てによって市域が拡大する前からある元々の街であり、かつての漁師町の中心地です。
漁業権放棄をした現在でも釣り宿や貝類加工場など漁師町の面影は残っており、古くからの市街地を中心とした情緒ある街並みが広がります。
2-2.中町エリア
中町エリアは、海楽、美浜、入船、今川、富岡、東野、弁天、舞浜地区からなるエリアで、浦安市で1番最初に誕生した埋立地です。
市役所や商業施設、公園や学校、住宅地などが整備され、市の中心地として機能しており、特に新浦安駅周辺には、MONA新浦安やイオンスタイル新浦安といったショッピングモールやホテルがオープンし、近年注目のエリアとなっています。
2-3.新町エリア
新町エリアは、日の出、明海、高洲地区からり、中町の次に埋め立て造成されたエリアになります。
計画的に都市開発がすすめられたアーバンリゾート風の美しい街並みが特徴で、超高層住宅群やレンガで舗装された道には高級感が漂い、駅直結のタワーマンションは1億円以上とも言われています。
海側に進んでいくと、ヤシの木がある高級住宅街が広がります。ここには超富裕層と呼ばれる人たちが居住しているのでしょう。
新町エリアは、富裕層が集中して居住しているエリアであり、相続税課税の要注意エリアになります。
2-4.工業ゾーン
工業ゾーンは、市南部に位置する鉄鋼通り、千鳥、港地区のことをいい、見明川河口部には、敷地面積が108万平方メートルもある鉄鋼団地が形成され、鉄鋼流通基地として機能しています。
工業地としてだけではなく、海側の立地を生かしてマリーナも建設されており、魅力的なオーシャンフロントにもなっています。
2-5.アーバンリゾートゾーン
アーバンリゾートゾーンは舞浜地区からなり、東京ディズニーリゾートや、それに関連するリゾートホテルが林立するエリアです。
ディズニーのみからなるエリアかと思いきや、最寄り駅である舞浜駅の北口から徒歩5分ほどいくと、広い庭がある豪邸が並ぶ高級住宅街になります。
周辺に買い物施設はなく住むには不便な場所であることから、ディズニーリゾートに行くための別荘地にしている超富裕層もいるでしょう。
2-6.浦安市の地価と高級住宅街
浦安市の平均地価は1㎡あたり36万1800円で、県内54位中2位の金額となっています。1位はお隣の市川市で、1㎡あたり36万1854円とわずか54円の差であり、浦安市も1位同等と考えて良いでしょう。
最も高い地価は元町エリアにある浦安駅周辺で、1㎡あたり41万円となっています。民間事業者によって商業施設のリニューアルが進んでおり、今後も再開発の計画があることから地価は上昇傾向にあり、今後も続くでしょう。
南部に行くほどリゾート地や工業地となるため地価は低くなり、工業ゾーンでは1㎡あたり18万円と低いエリアもありますが、それでも他の市や他の県に比べると十分に高額です。
地価の最高平均地点が、市の平均値からそれほど離れていない点を見ても、浦安市はその全域で地価が高いといえます。
特に、高級住宅街がある新町エリアにある美浜の一部では1㎡あたり85万円という金額を叩き出しており、超富裕層しか居住できないエリアとなっています。
3.浦安市の税理士情報
千葉県の税理士は千葉県税理士会に所属しており、その税理士登録者数は2,546人(令和3年12月末日現在)となっています。
このうち浦安市の税理士は、市川市の税理士と共に千葉県税理士会市川支部に所属しています。所属している税理士数について正確な情報はないのですが、これだけ高い課税割合を記録しているエリアであることから、相当数の税理士がいると考えられます。
また、超富裕層が多く居住している浦安市の相続税申告は、財産数と財産額が多く、複雑な計算が必要となる申告ばかりであり、相続税に強い税理士が多くいると思われます。
3-1.浦安市の税理士の探し方
千葉県は全国的に見て税理士が不足している県であり、千葉県内における相続税申告1件当たりの税理士数は0.36人となっています。全国平均が1.9人であることを考えると、その不足状況が伝わるでしょう。
ただし、お隣の東京都には全国の税理士の3割にもなる約24,000人の税理士がいます。
もちろん相続税申告の件数も多いため、相続1件当たりの税理士数にすると1.3人となり、全国平均に比べると東京都も充足している状況とはいえませんが、1件の相続税申告に1人以上の税理士がいるため、千葉県の何倍もゆとりがあります。
また浦安市の立地から、浦安市に居住しながら、東京都で税理士業を行っているというケースも多いと考えられます。
相続税申告において特に土地の評価は重要なポイントであり、最終的な相続税額に大きく影響します。その面においては、その地域の土地の状況に詳しい地元税理士は非常に頼りになるのですが、それに固執してしまっても相続税に強い税理士に出会い辛くなってしまいます。
そこで浦安市の税理士探しは、地元情報に詳しい市内と市川市、相続税に強い税理士である可能性が高い東京都内を並行して探すと良いでしょう。
地元情報と相続税への強さを併せ持つ税理士に出会える可能性が格段に上がるからです。
【参考外部サイト】「税理士登録者数」 | 日本税理士会連合会、千葉県税理士会、千葉県税理士会市川支部