1.柏市の相続税申告の特徴
柏市は千葉県の北西部に位置している中核都市で、松戸市、流山市、野田市、我孫子市、白井市、鎌ヶ谷市、茨城県の守谷市、取手市の8市にぐるっと囲まれています。
このあたりに位置している市は、東京都と千葉市のベットタウンとして機能しており、柏市も例外なく、市域全体が住宅地として活用されています。
サッカーのJリーグチーム「柏レイソル」は、柏市を本拠地としていることで有名です。また、東京オリンピックで一躍注目された女子バスケットボールのWリーグ「JX-ENEOSサンフラワーズ」も柏市を中心に活動しています。
それでは、今回は柏市の相続税申告について、土地柄を踏まえながら詳しく解説していきます。
2.柏市の相続税申告状況
令和元年の相続税申告状況のデータによると、柏市を管轄している柏税務署の申告割合は13.66%、課税割合は10.63%、1件当たり納付税額は1,415万円となっており、千葉県内の16税務署内における課税割合の順位は3位を記録しています。
全国における平均値は、申告割合10.71%、課税割合8.35%、納付税額1,714万円、千葉県における平均値は、申告割合11.06%、課税割合8.50%、1件当たり納付税額1,395万円となっています。柏税務署は全国平均の納付税額以外すべてを上回っていることから、相続税の課税については、強い警戒が必要な市であることが分かります。
また、柏税務署は、柏市以外にも野田市と我孫子市を管轄している点に注意しましょう。
3市いずれもベッドタウンである点では同じですが、人口約15万人の野田市、約13万人の我孫子市に対して、柏市は約43万人の中核都市です。
最も東京都に近く、地価が高いのも柏市であり、相続税課税の中心地は柏市であると考えられます。柏市のみでの課税割合は、もっと高いであろう点には注意しなければなりません。
3.柏市の特徴
柏市の市域は約114平方キロメートル、海抜が最も低い地点で約5メートル、最も高い地点で約32メートルとなっており、高低差のない住みやすい土地です。
中心となる柏駅前は若者が集まる街として有名で、ストリートライブをする人などでとても活気があり、ショッピングビルやアーケードには、若者層をターゲットにしたお店が数多く並んでいます。そのため柏市は「千葉の渋谷」、「プチ渋谷」などと呼ばれています。
鉄道は、JR常磐線、東京メトロ千代田線、つくばエクスプレス、東武野田線が通っており、千葉市へよりも、東京都へのアクセスの方が優れています。東京都への通勤率は40%を超えており、都心のベッドタウンとして長年に渡って注目されています。
3-1.柏駅前は商業施設中心
柏駅周辺は柏市で最も栄えているエリアであり、千葉県北西部の中心的な商業地となっています。
駅の東口には、髙島屋ステーションモール、マルイ、モディ、ビックカメラ、ドン・キホーテなどの大型ショッピング施設や繁華街があり、賑やかな都市らしい景観が広がり、反対の西口は、銀行や証券会社などのオフィスビル、ホテルなどが多く並んでいます。
このあたりに戸建て住宅はなく、居住者は基本的にマンションになります。
柏駅から東京駅まで乗り換えなしで30分程度で行けてしまう交通アクセスの良さと、車なしで何でも揃う生活利便性の高さから、都心部へ通勤する人に人気のエリアであり、高所得者も多いと思われます。
3-2.駅周辺を離れると住宅地が広がる
柏駅周辺を見るとベッドタウンとしての様相を感じられませんが、駅から少し離れると郊外らしいのどかな風景が広がります。
柏市には、市川市や浦安市のような名だたる高級住宅街のような場所がありません。
かつては柏駅周辺に人口が集中していましたが、2005年に開通したつくばエクスプレスの影響によって交通利便性がさらに向上し、北部にも人口が分散しつつあります。
特に、つくばエクスプレス柏の葉キャンパス駅周辺は、その名称通り東京大学と千葉大学のキャンパスが誘致され、病院や大型集合住宅などが揃う、公・民・学が連携した街づくりが進められています。
タワーマンションも続々と建設されており、テレワークの増加も相まって、今後は高級住宅街に変化していくエリアであると予想されます。
3-3.柏市の地価
柏市の地価は1㎡あたり15万円で、県内54位中8位となっています。
最も地価が高いのは、柏駅周辺で1㎡あたり31万円、次いで柏の葉キャンパス駅周辺の18万円です。反対に、最も地価が低いのは、逆井周辺で1㎡あたり7万円となっています。
柏市の地価は、柏駅に近づくほど高くなりますが、今後は北部の柏の葉キャンパス駅周辺もその傾向が強くなっていくと予想され、相続税は、市の中央部から北部にかけて課税されやすくなっていくと考えられます。
4.柏市の税理士情報
千葉県の税理士は千葉県税理士会に所属しており、その税理士登録者数は2,546人(令和3年12月末日現在)となっています。
税理士会は支部に分かれており、柏市の税理士が所属しているのは千葉県税理士会柏支部になります。
柏支部には約300人の税理士が所属しており、そのうち柏市に事務所を置いている税理士は200人を超えていることからも、相続税以外にも税申告の中心を担っている市であることが分かります。
柏税務署の相続税申告件数は889件であったことから、相続税申告1件当たりの税理士数は0.33人となり、全国平均の1.9人と比較すると大変不足している状況にあるといえます。
4-1.柏市の税理士の探し方
柏市の税理士数は、野田市と我孫子市に比べて圧倒的に多くなってはいますが、人口数と相続税申告数を考慮すると、相続税申告1件当たりの税理士数は大差ないと考えられ、さらに相続税に強い税理士に限定すると、柏市内だけではなかなか見つからないのが現実でしょう。
柏市居住者の東京都への通勤者が40%を超えていることから考えると、東京都へ税理士を探しに行くことも容易に行うことができるということです。
反対に税理士の側から考えてみても、柏市までの距離程度であれば、都内の依頼を受けることと変わらないため、遠方だからということで断る税理士はほとんどいないでしょう。
また東京都の税理士競争は、他県に比べて桁違いに激しく、そこで長年事務所を構えている時点で、実力のある税理士である可能性が高くなります。
反対に、超富裕層がいない柏市の相続税申告は、東京都ほど複雑な申告にはならないでしょう。
地元税理士の心強さもありますが、置かれている環境の違いからも税理士のレベルは変わるため、東京都の税理士を第一候補とする考えも良いかもしれません。
【参考サイト】「税理士登録者数 」| 日本税理士会連合会、千葉県税理士会、千葉県税理士会 柏支部