茨城県の概要
茨城県といえば、まず思い浮かぶのは水戸の納豆ですね。茨城県は県北から県央にかけて那珂川が流れ、昔はこの川がよく氾濫していたことから水害が頻発し、その影響で早めに収穫できる小粒の大豆が栽培されていました。小粒の大豆は味噌や豆腐には不向きでしたが、ここで納豆が誕生し、茨城県の小粒納豆の起源となりました。現在、茨城県の面積のおよそ4,440ヘクタールが大豆の栽培に使われているそうです。
また、茨城県は農業全般が盛んで、れんこん、白菜、エシャレット、みずな、ピーマン、チンゲンサイなどは全国一の出荷量を誇っています。
茨城県内は主に5つの地域に分かれます。県北地域には日立市やひたちなか市があり、県央地域には水戸市があります。県南地域には学園都市として知られるつくば市があり、県西地域には古河市があります。そして、鹿島アントラーズでおなじみの鹿嶋市がある鹿行地域もあります。
茨城県は東京都心からのアクセスが非常に良く、宇都宮線や湘南新宿ラインを利用すれば1時間ほどで東京に到達できます。そのため、茨城県から東京に通勤するサラリーマンも多いです。
茨城県の相続税発生件数は北関東では1位
茨城県の相続税申告件数は、令和3年度の関東信越国税局の都道府県別相続税課税状況のデータによると2,720件です。
近隣の埼玉県や千葉県などと比べれば非常に少ない件数ですが、北関東だけで見ると、栃木県1,983件、群馬県2,372件であり、一番多い件数となっています。
死亡者のうち相続税を課税された割合を示す課税割合は6.61%:30位で、だいたい全国平均をかなり下回ります。北関東の中では一番人口が多いですが、地価は栃木県や群馬県よりも低く、相続税対象となる人の割合はそれほど多くはないといえます。
被相続人1人当りの納付税額は1,090万円:29位です。こちらも全国平均の約半分近い水準です。
税務署管轄別の課税データ
令和3年度の税務署管轄の課税データです。
税務署名 | 管轄地域 | 申告 件数 | 課税 件数 | 1件当り 納付税額 (万円) | 申告割合 | 課税割合 |
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水戸 | 水戸市 笠間市 小美玉市 茨城町 大洗町 城里町 | 489 | 394 | 929 | 8.77% | 7.07% |
日立 | 日立市 高萩市 北茨城市 | 255 | 218 | 1,289 | 7.88% | 6.73% |
土浦 | 土浦市 石岡市 つくば市 かすみがうら市 つくばみらい市 | 550 | 454 | 1,124 | 9.81% | 8.10% |
古河 | 古河市 坂東市 五霞町 境町 | 216 | 181 | 973 | 8.11% | 6.79% |
下館 | 筑西市 結城市 下妻市 常総市 桜川市 結城郡 | 280 | 240 | 1,028 | 6.80% | 5.83% |
竜ケ崎 | 龍ケ崎市 取手市 牛久市 守谷市 稲敷市 美浦村 阿見町 河内町 利根町 | 421 | 340 | 1,108 | 8.57% | 6.92% |
太田 | 常陸太田市 ひたちなか市 常陸大宮市 那珂市 東海村 大子町 | 346 | 269 | 1,063 | 7.83% | 6.09% |
潮来 | 鹿嶋市 潮来市 神栖市 行方市 鉾田市 | 163 | 138 | 1,391 | 4.96% | 4.20% |
茨城県計 | 2,720 | 2,234 | 1,090 | 8.04% | 6.61% |
茨城県の相続税データで特徴的なのは、その相続税発生件数の分布にあります。他の都道府県では県庁所在地を中心に相続税が発生しやすい地域に大きな偏りが発生するのに対し、茨城県内はこれと言った偏りがなく、比較的まんべんなく相続税が発生する可能性があると言えます。
いくつかの地域について、詳細を見ていきます。
土浦エリア
土浦エリアは、土浦市、石岡市、つくば市、かすみがうら市、つくばみらい市よりなる土浦税務署管轄エリアです。
土浦エリアは最も相続税申告件数が多く550件です。また、課税割合(死亡者数に占める課税された人の割合)は8.10%と、茨城県内でも最も多いです。
つくば市、つくばみらい市は、つくばエクスプレスが開通したことで地価が上昇し、現在ではそれぞれ、県内2位、3位です。つくば市の地価は1平方メートル約9万円台と、地方都市としては、県庁所在地並みの高さです。
水戸エリア
ついで、申告件数が多いのは、県庁所在地がある水戸エリアです489件となっています。水戸エリアは、水戸市、笠間市、小美玉市、茨城町、大洗町、城里町を含みますが、課税のほとんどは水戸市内です。
課税割合は7.07%でこちらも県内2位です。
水戸市の地価は県内4位ですが、平均5万円台/平方メートルと、県庁所在地としては、そこまで高い地価ではありません。
竜ケ崎エリア
龍ケ崎市、取手市、牛久市、守谷市、稲敷市、美浦村、阿見町、河内町、利根町より構成されるエリアです。
相続税申告件数は421件:県内3位、課税割合は6.92%:県内3位です。
つくばエクスプレスが開通したことで近年土地の値段が大幅に上昇したのが守谷市で、10万円台/平方メートルと、茨城県内で最も地価が高いエリアとなっています。
牛久市の地価は5位、取手市の地価は6位と、県内では比較的高めです。
茨城県は東京の税理士が対応可能なケースもある
茨城県内の税理士の人数は853人(令和5年9月末時点)です。相続税の申告件数は2,720件ですので、税理士1人当りの相続税申告件数は約3.19件です。相続税申告を受任しない税理士もいますので、実際には、1人の税理士がもっと多くの相続税申告を担当していると推測されます。
全国平均では、税理士1人当り1.89件ですので、茨城県内の税理士はかなり少ないといえます。
ただ、茨城県の龍ケ崎エリアや土浦エリアは東京都心へのアクセスが良いため、茨城県内で発生した相続税申告を東京の税理士に依頼することも可能です。県南部の地域では、そこまで茨城県内の税理士にこだわらなくても良いのかもしれません。
茨城県は全国的に見れば相続税発生件数が多いほうではないため、税理士についても相続税が得意な税理士とそうでない税理士の差が大きくなる傾向にあるでしょう。そのため、近隣に相続税に強い税理士事務所が見つからない場合は、思い切って東京の相続税経験が豊富な税理士に依頼するという手段もあります。
東京の税理士事務所でも、場所によっては茨城県内にも対応しているケースがありますので諦めずに探してみましょう。
【参考】相続税の申告に強い東京都の税理士