共済は相続対策に使えるのか?

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各種共済は通常の保険会社の商品より保険料が割安に感じられ、これで相続対策ができれば嬉しいですが、果たして可能なのでしょうか。主な共済商品について解説し、相続対策に向いているかを検証します。

1.共済とは

1-1.共済の概要

共済は、「組合員の相互扶助=互いに助け合う」ことを理念に、生活協同組合などが運営主体となっている保障事業制度です。「全労済」や「都民共済、県民共済」などのパンフレットを見たことがある人も多いでしょう。組合員があらかじめ掛金を拠出してプールし、万一の場合はそこから共済金が支払われる制度です。ひとことでいえば、「誰かが困ったときに、みんなで助け合う制度」といえるでしょう。

1-2.共済と保険(保険会社)の違い

共済そのものは保険と非常によく似た制度といえますが、次のとおり、明確な違いがいくつかあります。

1-2-1.営利を目的としない

共済と保険の最も大きな違いは、「共済は営利を目的としない」ことです。つまり、共済制度の運営主体である生活協同組合は、生命保険会社や損害保険会社とは異なり、非営利団体です。共済事業は組合員自らが運営し、組合員に対してサービスを提供することを目的に事業を行っています。よって、相互会社や株式会社の形態をとり、不特定多数の人を対象に事業に行いサービスを提供する保険会社とは異なります。

1-2-2.商品の保障内容と掛金が一律

もう一点、共済は、誰が加入する場合でも商品内容と掛金が一律になっている点も異なります。もちろん、特約の付加や、加入年齢によって保障内容が変わる場合がありますが、基本的な保障についてはパッケージ化され一律になっています。

1-2-3.出資金と加入資格

前述のとおり共済は組合員のための制度ですので、加入するためには出資金が必要になります。ただし出資金は1口数百円程度のことが多いです。そして、共済は、基本的には組合員以外は加入できません。(ただし、一部例外もあります)

1-2-4.共済用語(呼び方)の違い

共済用語には独特のものが多くあります。主なものは次のとおりです。

  • 掛金・・・保険では「保険料」です。
  • 共済金・・・保険では「保険金」です。
  • 割戻金・・・保険では「配当金」です。

1-3.共済のメリット

では、共済にはどのようなメリットがあるのでしょうか。主なものは次のとおりです。

1-3-1.掛金が安く、コストパフォーマンスが高い

共済の一番のメリットは、何といっても掛金が安いことでしょう。保険料の負担が心配な人にとっては助かりますね。そして、各共済の主力商品の保障内容を見ればわかりますが、保障範囲が広くかなり充実しており、コストパフォーマンスが高いといえます。
共済の掛金が安い理由は、保険会社のように営業職員による営業を行わず、パンフレット投函などに徹して人件費を抑えているからです。

1-3-2.加入時の手続きが簡単

共済は、加入時の告知など手続きが比較的簡単です。保険に加入する場合は、最初の告知もかなりの負荷になりますし、それで不十分な場合は詳細な再告知を求められることもあります。

1-3-3.割戻金がある

共済には割戻金があることも大きなメリットといえます。1年間の収支を締めて剰余が発生した場合は割戻金という形で還元されます。例えば東京都民共済生活協同組合が運営主体である都民共済の場合、主力の総合保障型、入院保障型および医療特約では、平成27年度の割戻金実績は「払込掛金の34.16%」となりました。掛金の34.16%が戻ってきたということで、実質の負担は65%強で済んだことになります。
なおもちろん、民間保険会社にも配当金はありますが、近年、保険料を抑えるために定期保険や終身保険、医療保険などで無配当の保険が増加しています。

1-4.共済のデメリット

では、共済にはデメリットはないのでしょうか。もちろんそんなことはありません。おもなデメリットは次のとおりです。

1-4-1.自分に合った保障を得られるとは限らない

「1-2-2.商品の保障内容と掛金が一律」の裏返しになりますが、共済の一番のデメリットがこれでしょう。商品が一律となっているため、民間の保険商品のように自分用にカスタマイズしたり、オーダーメイドで一から設計することはできません。

1-4-2.共済金の上限が低い

共済の保障額には上限があります。ですので、高額保障を望む人には向いていません。民間生保の保険商品にも保障額の上限はありますが、共済のそれと比べるとはるかに高いです。

1-5.主な共済実施組合と所管庁・根拠法令

主な共済の実施組合と所管庁・根拠法令等について、図にまとめています。

主な共済の概要と実施共済一覧
全労済都道府県民共済JA共済コープ共済
共済実施組合全国労働者共済生活
協同組合連合会
全国生活
協同組合連合会
全国共済農業
協同組合連合会
日本コープ共済
生活協同組合連合会
所管庁厚生労働省厚生労働省農林水産省厚生労働省
根拠法令消費生活協同組合法消費生活協同組合法農業協同組合法消費生活協同組合法
出資金1口100円1口200円農業協同組合(JA)
により異なる
生活協同組合(コープ)
により異なる
主な商品こくみん共済
せいめい共済
住まいる共済
生命共済
新型火災共済
終身共済
養老生命共済
建物更生共済
終身共済
定期生命共済
こども共済

全労済、都道府県民共済、JA共済、コープ共済は、その規模の大きさから一般的に4大共済とよばれています。
どの共済も、一度は耳にしたことのある人が多いのではないでしょうか。
それでは、これらの主要共済について詳しく見てみましょう。

1-5-1.全労済

全労済は、正式名称を全国労働者共済生活協同組合連合会といい、生協法に基づき厚生労働省の認可を受けて設立された生活協同組合です。出資金を1,000円以上(1口100円)払い込めば誰でも組合員になることができます。主に「人」、「住まい」、「くるま」、「賠償保障」を扱っています。主力商品の「こくみん共済」は取扱開始から30年以上を誇るロングセラー商品です。なお、たまに「全労災」と書き間違える人がいますのでご注意ください。

1-5-2.都道府県民共済

都道府県民共済は、生協法に基づき厚生労働省の認可を受けて設立された生活協同組合です。各都道府県の認可を受け、現在39の都道府県で共済事業を営んでいます。福井、山梨、鳥取、徳島、愛媛、高知、佐賀、沖縄の8県では事業を行っていません。都道府県民共済は、各都道府県の認可を受けた全国生活協同組合連合会(全国生協連)の会員生協に業務委託し、県民共済、都民共済、府民共済、道民共済、全国共済(神奈川県のみ)の呼称で実施しています。主力商品の「医療・生命共済」はコストパフォーマンスの高さで知られています。出資金は1口200円です。

1-5-3.JA共済

JA共済は、農協法に基づく農業協同組合(JA)の共済で、農家の組合員を対象に主に「ひと」、「いえ」、「くるま」の保障に関する共済を実施しています。組合員以外の人でも、出資金を払うことで准組合員になることで利用できるほか、場合によっては組合員にならずに組合員と同様に利用できる場合があります。出資金の額はそれぞれのJAによって異なります。

1-5-4.CO-OP(コープ)共済

CO-OP(コープ)共済は、正式名称を日本コープ共済生活協同組合連合会といい、生協法に基づき厚生労働省の認可を受けて設立された生活協同組合です。よくコープ共済連と略されます。主力商品の「CO-OP共済(たすけあい)」は、医療保障と死亡保障のバランスが取れた商品で、月掛金は3,000円と4,000円のコースがあります。出資金の額はそれぞれのコープによって異なります。

1-6.共済を巡る最近の動き

共済を巡る最近の動きとしては、次のようなものがあります。

1-6-1.加入件数の増加

各共済により異なりますが、全般に共済の加入件数は伸びています。例えば、都道府県民共済の2017年1月末の加入件数は約2,108万件に達しています。都民共済に限ってみても、204万件です。全労済は、2015年度末の加入件数は3,262万件です。各共済とも商品改善を進めているほか、デフレが長引き保険料節約・見直しの動きが広がったことで共済の相対的魅力度が増してきたことも背景にあるといえるでしょう。

1-6-2.共済ショップの増加

民間の生命保険では近年、来店型の保険ショップが急速に増加しましたが、共済においても同様のことがいえます。例えば全労済の共済ショップは、2017年4月27日現在、東京都内に19店舗あります。共済は申込書付の折込封筒,折込チラシを主とした自然加入方法を採っているところが多いですが、来店型共済ショップの積極展開によりさらなる加入件数増加が見込まれます。

1-6-3.保険法と共済

共済には保険業法は適用されませんが、保険法は共済と保険の両方に適用されます。以前、「無認可共済」が社会を賑わせたことを覚えている人も多いでしょう。無認可共済には根拠法がなかったため、一部の悪質な共済の出資金集めが社会問題に発展しました。
そのため、2010年より共済に保険法が適用されることになりました。現在ではこういった無認可共済はなくなっており、共済に対する安心感が増したといえます。

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2.共済の終身保障は相続(税)対策に使えるのか?

ここまで、共済の概要について見ました。では、共済の終身保障は相続(税)対策に使えるのでしょうか。

2-1.結論

共済の終身保障商品は相続(税)対策には使いづらく不向きです。ただし、完全ではありませんが、相続(税)対策に使える可能性がある商品が一部あります。

2-2.相続対策に使いづらい理由

相続対策に使いづらい理由はいくつかありますが、主なものは次のとおりです。

2-2-1.保険金額が小さい

まず、保険金額の小ささが挙げられます。前述の4大共済において、終身保障がある商品はいくつかありますが、そのうち、死亡共済金額が大きい商品でも2,000万円が上限です。これでは、富裕層や資産家の相続対策に使うことは難しいでしょう。

2-2-2.自分用にカスタマイズできない

そしてもう一点、前述のとおり、商品を自分用にカスタマイズできないことも理由です。相続の事情は、人により全く異なります。相続で生命保険を利用する場合、保険料や保険金額には細心の注意を払い設計することになりますが、共済ではそれができません。

2-3.全労済の「終身生命プラン・総合タイプ」を検証

全労済の「終身生命プラン・総合タイプ」を検証してみましょう。この商品は、死亡・重度障害共済金を基本契約とした終身保障商品です。基本保険金額は200万円~2,000万円で設定します。加入年齢は65歳までです。基本保険金額が最大でも2,000万円と小さく、加入年齢の上限も高くはないですが、状況によっては使えるかもしれません。

2-4.コープ共済の「ずっとあい 終身生命共済」を検証

コープ共済の「ずっとあい 終身生命共済」を検証してみましょう。この商品は、死亡・重度障害共済金を基本契約とした終身保障商品です。基本保険金額は100万円~1,000万円で設定します。加入年齢は70歳までです。基本保険金額が最大でも1,000万円(60歳まで加入の場合)と小さく、加入年齢の上限も高くはないですが、状況によっては使えるかもしれません。
なおもちろん、「2-3.全労済の、終身生命プラン・総合タイプ」も「2-4.コープ共済の、ずっとあい 終身生命共済」も死亡共済金は相続税の「死亡保険金額(共済金額)の非課税金額」の適用対象になります。

2-5.共済はどのようなときに使うべきか

共済はやはり、あくまで民間の保険商品の補完的位置づけで利用するのがよいでしょう。つまり、保険で足りない部分を共済でカバーするという考え方です。ただし、「家計に余裕がないが、最低限の保障は確保しておきたい」という人には向いています。

3.まとめ

共済と接する機会は多いと思われますが、詳しい内容は意外と知らないものです。できれば、4大共済についてメリット、デメリットや主力商品の保障内容を理解しておきましょう。相続に役立つ場面は少ないかもしれませんが、共済を賢く利用して、ライフプランニングにおけるリスクマネジメントに上手に役立てたいものですね。

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