相続税がゼロでも申告不要とは限りません!

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疑問

相続財産の課税価格が基礎控除額を下回った場合など、色々計算した結果、相続税がゼロ円になる場合があります。この場合、「税額が0円なら、申告も要らないのでは?」と、思う方も多いでしょう。

しかし、実は相続税がゼロ円の場合でも、相続税申告が必要なケースがいくつかあります

そこで今回は、相続税申告が必要な場合/不要な場合を解説します。

1.基礎控除額以下であれば相続税申告は不要

相続財産の課税価格申告が必要か
基礎控除を超える必要
基礎控除以下不要

相続税の申告が必要か/不要かを決める最も重要なポイントは、相続財産の「課税価格」が「相続税の基礎控除額を超えるかどうか」です。

相続税の基礎控除額を計算して、相続財産の課税価格がその金額におさまるような場合については、相続税は申告不要です。「計算した結果、基礎控除以内におさまりました」ということを、わざわざ税務署に報告する必要もありません。実際、これまで相続を体験したことがある人で、相続税申告をした記憶がない人は、この基礎控除額の範囲におさまっていたからであり、決して申告漏れではありません。

【用語】相続財産の課税価格
課税価格とは、本来の相続財産に、プラスすべきもの(みなし相続財産:死亡保険金など)を足しマイナスすべきもの(債務、葬式費用など)を引いた後の、価格です。
課税価格の計算方法はコチラ

基礎控除額は、下記計算式で算出されます。参考までに、法定相続人が5人の場合までを表で一覧にしているので、自分の場合どれに当てはまるか、チェックしてみてください。

【計算式】相続税の基礎控除
3,000万円+600万円×法定相続人の数

法定相続人の数基礎控除額
1人3,600万円
2人4,200万円
3人4,800万円
4人5,400万円
5人6,000万円

課税価格が基礎控除を超える場合は、越える部分について相続税が課税されます。そのため相続税申告が必要となります。

2.相続税がかからない=相続税申告不要ではない!

先ほどのように、相続財産の課税価格が相続税の基礎控除額の範囲におさまるケースであれば、相続税は申告不要となります。
ただ、相続税がかからないケースはこれだけではありません。

配偶者が財産を相続する場合は「配偶者の税額軽減」という特例があり、1億6,000万円か法定相続分のいずれか高い金額までは相続税がかかりません。よって、一般家庭においては配偶者についてはよほどのことがない限り相続税は課税されません。

【関連】相続税の基礎控除と税額控除・非課税制度のまとめ

ただし、「配偶者の税額軽減」の特例の適用を受けるには、その条件として「相続税の申告」をする必要があります
税務署に対して「配偶者の税額軽減を適用させてください」と申告しなければ、この特例は適用できないのです。
そのため、「配偶者の税額軽減の適用で相続税はかからないから、相続税は申告不要」と考えるのはNGです。

この他にも「小規模宅地等の特例」や「広大地の評価」なども、申告した上で評価額の減額を受ける事ができます。しかし、これらの特例が適用された結果相続税が免除される場合であっても、相続税申告は必要です。

これらを知らずに相続税申告をせずにいると、申告期限後に税務署から申告漏れを指摘される可能性があります。

3.生前贈与3年以内は課税対象

贈与した財産も相続税の対象に

当たり前のことですが、相続税は相続によって取得した財産の課税価格に応じて課税される税金です。ただ、この認識だけだと相続税が過少申告になってしまう恐れがあるため注意が必要です。

実は相続税は「相続によって取得した財産」以外の財産にも課税されます。
その財産とは「相続開始前3年以内の贈与によって取得した財産」です。この財産はあくまで相続ではなく贈与ですが、相続税の課税対象となるのです。
これいったいなぜでしょうか。

相続税対策は早めからの事前対策が重要、とはよく言われますが、実際に死亡する10年前からせっせと生前贈与をする計画的な人はごく一部に過ぎません。大抵は、本人の死期が近づいてから、慌てて始める事がほとんどでしょう。

相続税逃れの目的の贈与は認められない

例えば、それまで元気だった資産家のおじいさんが、老衰で入院し医師から余命1年と告げられたとします。こうなるとそれまで見てみぬフリをしていた相続税対策を大急ぎで始める事になります。おじいさんは資産家ですから、そのまま死んでしまったら、多額の相続税が課税されてしまいます。
これを回避するために、おじいさんが生きているうちに財産を親族にどんどん贈与によって移転させて、遺産を分散させようとするでしょう。
平たく言えば「相続税逃れのための生前贈与」が死期の直前になって急増することになるのです。

税務署としてはこれを見逃すわけにはいきません。
そこで、相続開始前3年以内の贈与については、「相続税に課税しますよ」という制度になっているのです。
「それじゃ、贈与税と相続税の二重取りでは?」
と思うかもしれませんが、贈与税の基礎控除額以上に贈与をして贈与税を納めている場合は、その贈与税額分は相続税から控除してくれますので、決して二重課税ではありません。
あくまで、相続直前での「駆け込み贈与」を防止するための制度なのです。

これらの点に関しては、身近に相続の経験者がいる場合や税理士に相談しなければ誰も教えてくれません。もちろんこういった知識は学校でも教えてはくれません。
ですが、「知りませんでした」で許してくれないのが税金の世界です。
これらの原理原則を知らずにいると、知らず知らずの間に税務調査の対象となってしまいますので、十分に注意しましょう。

4.相続税がかからない裏ワザ?孫への贈与

3年以内の贈与に課税されるのは、相続人や遺贈の場合のみ

ちょっと余談ではありますが、相続税の裏ワザ的な内容を紹介します。
相続開始前3年以内の贈与については相続税として課税されてしまうのですが、実は、相続税がかからない場合があります。それは相続人以外に贈与した場合です。

相続税がかかるということは、つまり、相続で財産を取得したということ。相続人や遺贈で財産を取得した人が該当します。裏を返せば、相続人でも遺贈でもなければ、たとえ相続開始前3年以内の贈与であっても、相続税はかかりません

代襲相続でない孫に贈与

相続人でない親族として一番身近なのが孫です。ただし、その孫の親である子が死亡していたら、代襲相続で孫自身が相続人になってしまいますので、親が生存している孫です。この孫に贈与すれば、いつ亡くなっても相続税の心配をする必要はありません。

孫への贈与はもう一つ利点があり、それは、一代飛び越えて財産を移すことができることです。もし、子供への贈与であれば、その子供が亡くなった時、再度、相続税の支払いが発生します。親→子→孫と二回相続または贈与が発生し、そのたびに相続税・贈与税を支払う必要があります。一方、親→孫への贈与であれば一回の相続または贈与ですみ、相続税・贈与税の支払いも少なくてすむのです。

まさに、相続税の裏ワザともいえる内容ですが、孫が複数人いる場合は孫たちの間で不公平が生じないように贈与をしたり、その孫の親(自分の子)にもちゃんと合意してもらったうえで行い、家族トラブルが起きないようにしましょう。まだ年齢の若い孫に大金を贈与するからには、ちゃんと管理するように孫への教育も必要かもしれません。

5.相続税申告の必要/不要のまとめ

相続税の免除(かからない)理由申告必要/不要
課税価格が基礎控除額以下
(特例や控除はまったく利用なし)
不要
配偶者の税額軽減を利用必要
小規模宅地等の特例を利用必要
その他の控除、特例を利用必要

何らかの特例を利用した結果、相続税が0円になっているケースでは、基本的には申告が必要だと考えたほうが良いでしょう。
詳しくは、税務署に問い合わせるか、最寄りの相続税に強い税理士にご相談ください。

相続税に強い税理士が問題を解決いたします

相続税申告は税理士によって力量の差がはっきりと現れます。
相続税について、下記のような不安・課題を抱えている方は、相続税に強い税理士にご相談ください。

  1. 相続税をなるべく安くしたい
  2. 税務調査が怖い
  3. 評価が難しい土地がある
  4. 相続関連のいろいろな手続きが面倒で困っている
  5. 生前対策をしたいが、何をしたら良いかわからない

相続発生前後を問わず、相続に関連する問題に対して、税理士はあなたの味方になりますので、まずは気軽に相談されることをオススメいたします。

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