親子間の贈与で贈与税がかかる場合/かからない場合

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親子間の贈与で贈与税がかかる場合/かからない場合

大学に通うための学費を負担したり、結婚を機にマイホームを購入する援助をしたりと、子供のために高額のお金を出してあげるケースは少なくありません。
親として子供に対してはできる限りのことはしてあげたいと思うのが親心ですが、注意しておくべきなのが税金です。
親子間であっても一定額以上の金品の受け渡し(贈与)があった場合には、贈与税として税金が発生してしまうので注意しましょう。

ここでは親子間の贈与と贈与税の関係について解説させていただきます。
子供のためになんらかの高額の出費を予定している方は参考にしてみて下さい。

1.贈与税が非課税となるもの

親子間で行われる金品の授受には、「贈与税のかかるもの」と「贈与税のかからないもの」の2種類があります。
贈与税のかかるものに関しては金額の大小が問題となりますが、贈与税のかからないものに関しては大きな金額のものであっても贈与税について心配する必要がありません。
親子間の贈与で贈与税のかからないものとしては以下のようなものがあります。

(1)生活費や学費

親の扶養下にある家族に対して支払った生活費や学費などには贈与税はかかりません。
基本的な考え方としては、親には子供を扶養する義務があるため、その義務を果たすために必要と考えられる出費に関しては贈与税はかからないことになります。

ただし、生活費として渡すお金の金額があまりにも大きい場合には贈与税が発生してしまうケースもありますので注意が必要です。
この判断基準については「社会通念上、適当と言えるかどうか」というややあいまいな基準が適用されることになります。

例えば、親が一人暮らしの大学生の息子に対して、毎月10万円程度の生活費を与えるというのであれば社会通念上適当と言えます。
しかし、毎月100万円を超えるような金額であったり、子供の方が親よりも収入が多いようなケースであったりした場合には贈与税のかかる贈与として判断されてしまう可能性があるということです。
この点に関しては税務当局が具体的なケースをみながら判断をすることになります。

(2)結婚費用や出産費用

子供の結婚費用や出産費用については、地域の慣習などによってはかなり大きな金額を援助するということも少なく無いでしょう。
多くの場合は結婚に際して渡すお金というのは結婚後の生活費としてあてることを想定しているものと思われますので、贈与税は発生しないことになります。

結婚費用としては結婚式の費用だけではなく、新居の入居費用や家電や家具の購入費用としてかなり大きな金額が必要になることもあります。
出産費用については検査のための費用や入院治療費なども含まれます。

子供に対してまとまったお金を渡したいのであれば、結婚や出産などに際して援助するという形をとれば贈与税の課税を避けることができます。

(3)年間110万円以下の贈与

贈与税には「年間110万円までの贈与であれば贈与税はかからない」というルールがあります。
例えば、年間120万円のお金を渡した場合には贈与税がかかりますが、109万円のお金を渡した場合には贈与税はかからないということですね。

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(4)法人経由で受ける贈与

例えば、親が経営する法人から子供に対してお金を渡したような場合には、贈与税は課税されません。
贈与税は「個人から個人への金品の受け渡し」に対してかかる税金ですので、法人から受け取ったお金に関しては贈与税は発生しないのです。

しかし、法人から個人に対して金品を渡した場合には、贈与税の代わりに所得税がかかりますので注意が必要です。
所得税はお金を渡した場合に限らず、不動産などの財産を渡した場合にも課税されますので注意しておきましょう。

2.贈与税が課税されるもの

次に、贈与税のかかる金品の授受についてみていきましょう。
贈与税のかかるものに関しては、分割して渡せるものであれば、数年間に分割して渡すなどの工夫をすると贈与税がかかるのを避けることができます。
贈与税が課税されるものには、以下のようなものがあります。

(1)贈与されたお金を使わないケース

上で、親が子供に対して渡した生活費に関しては贈与税がかからないという話をしました。
しかし、子供が生活費としてもらったお金を使わずに貯金していたような場合、贈与税が課せられてしまう可能性がありますので注意しましょう。

お金 ローン

(2)親子間での金銭貸借での債務免除

貸したお金を「もう返さなくて良い」とすることを法律用語では「債務免除」と呼びます。
法律上、この債務免除は同額のお金を新たに贈与したのと同じとみなされます。
例えば、100万円を貸した相手に借金の免除をしてあげることと、新たに100万円を無償であげることは、お金を借りる側としてはまったく同じことだからです。

親が子供に対して貸したお金の返済を免除した場合にもこの債務免除に該当し、通常の贈与と同じように金額が年間110万円を超える場合には贈与税が発生することになります。
ただし、子供の多額の借金を負い、どうしようもなくなって親が肩代わりしたような場合には、例外的なケースとして贈与税は発生しません。

(3)親子間で時価より安値で売買

親が所有しているものを、市場価格よりもかなり安い値段で売り渡したような場合には、その安くした金額の分だけ贈与があったものと判断される可能性があります。
例えば、本来は時価で300万円の価値がある宝石を、親が子供に100万円で譲ったような場合には、300万円-100万円=200万円分だけ贈与があったものとみなされます。

(4)住宅ローンを肩代わりで返済

借金の肩代わりをすることは、その肩代わりした相手に対してお金を渡すのと同じ効果があるため、贈与とみなされる可能性があります。
親子間で多いのは子供の住宅ローンを親が肩代わりするケースです。
住宅ローンの返済が滞るとマイホームから立ち退かなくてはならなくなるため、世間体などを考えて親が援助をするというケースは決して少なく無いのです。

この場合、親が肩代わりした金額が贈与税の非課税枠(年間110万円)を超える場合には贈与税がかかってしまいます。
これを避けるためには、親が子供に対して新たにお金を貸したという扱いにすることが考えられます。
その場合、親子間であっても金銭貸付の契約書などをきちんと作成しておくことが大切です。

3.不動産と贈与

先祖代々受け継がれてきた土地や家屋など、親子間で不動産が受け渡しされることは珍しくありません。
また、子供が結婚したのを機にマイホーム購入の資金を一部負担してあげるというケースも少なくないでしょう。
ここでは親子間で不動産の贈与を行うときの注意点について確認しておきましょう。

(1)土地、住宅、マンションなどの贈与

親が子供に対して土地や住宅、マンションなどの贈与を行った時にも通常通り贈与税が発生します(年間で110万円以上の贈与に贈与税がかかります)。
ただし、親子間での贈与では後で解説させていただく「相続時精算課税制度(そうぞくじせいさんかぜいせいど)」という特例を使えることがありますので、贈与税をかからないようにすることも可能です。
相続時精算課税制度については後の項目でくわしく解説させていただきます。

(2)住宅取得等資金の特例

子供のマイホーム購入資金の一部を親が負担するというように、親子間で住宅取得のための資金の受け渡しがあった場合には、一定金額以内であれば贈与税が非課税となる「住宅取得等資金の特例」というルールがあります。

贈与税が非課税となる贈与金額は、贈与を行う年によって異なります。
平成29年3月現在、非課税となる住宅取得資金はいわゆる「省エネ住宅」の購入資金の場合は1,200万円、それ以外の住宅購入の資金である場合は700万円が上限となっています。

注意点としては、この場合に非課税となるのは、住宅の新築、購入、またはリフォームのための「資金」のみであることです。
親が子供にマイホームを建てさせるために自分の「土地」を贈与したような場合にはこの住宅取得等資金の特例は使うことはできませんので注意してください。

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(3)住宅の使用貸借

例えば、親が所有している賃貸アパートの一室に、子供が賃料を負担せずに居住するような場合には、賃料を毎月贈与しているのと同じ効果があります。
贈与税の原則通りに考えると賃料の時価が年間で110万円を超えるような場合には贈与税が課税されそうですが、免除している賃料が社会通年上適切であるような場合には贈与税は発生しないものと考えられます。

ただし、親が借金して購入した高級マンションにすでに独立している息子夫婦が無償で入居していると言ったような場合には贈与税が課税される可能性があります。
また、親が不動産投資のために法人名義で所有しているアパートの一室に息子が無償で済むというような場合には、現物給与(金銭以外の現物を与えること)として所得税が課せられることもありますので注意しましょう。

(4)土地の使用貸借

ある人が所有している土地の上に、別の人がマイホームを建てるような場合、土地の借地料という形でお金を渡すのが一般的です。

親子間ではこの借地料をとることなく無償で親が土地を使わせるということも少なくありませんが、この場合には土地の使用貸借(使用貸借というのは無償でものを貸すことを言います)として贈与税が発生する可能性が有ります。
この場合、土地の借地料としては土地のある地域でどのぐらいの借地料が通常設定されているのかなどを参考に贈与税がかかるかどうかを判断することになります。

4.親子間の贈与税の特例

ここまで解説させていただいたケース以外にも、他にも注意しておくべき親子間の贈与があります。
具体的には親が亡くなったときに問題となりやすい相続時精算課税(そうぞくじせいさんかぜい)や、結婚資金・教育などの問題があります。

(1)相続時精算課税制度

相続時精算課税制度とは、親が生きている間に子供に対して渡した財産と、亡くなった時に子供に対して相続させた財産を合算して、相続税を計算するルールのことです。
相続時精算課税制度を使うと、2,500万円までの財産であれば親が生きている間に渡した財産を贈与税非課税とすることができます(その代わり、親がなくなったときにはその2,500万円までの財産を相続財産に含めて相続税を計算します)

相続時にかかる相続税は「3000万円+相続人の数×600万円」までの非課税枠がありますので、この制度を上手に使うことにより贈与税と相続税のトータルでの負担を小さくできる可能性があります。
相続時精算課税制度を利用するためには、贈与があったその年に贈与税の申告を行う必要があります。

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(2)結婚、子育て資金の贈与についての非課税枠

平成27年4月以降、親が子供の結婚や子育て費用(つまり孫の生活費用)にあてさせるために一括してお金を渡す場合には、子1人あたり1,000万円(結婚費用の場合は300万円)までであれば非課税となる制度がスタートしています。
なお、この制度を利用するためには、金融機関経由で「結婚、子育て資金非課税申告書」を税務署に対して提出する必要があります。

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(3)教育資金の贈与についての非課税枠

親が子供の教育費用のために一括してお金を渡す場合には、子1人あたり1,500万円まで非課税となる制度があります。
上記同様に、金融機関経由で「教育資金非課税申告書」を税務署に提出する必要があります。

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まとめ

親子間で財産を受け渡しする場合の贈与税の扱いについて解説しました。
子供の人生に節目ごとに親がお金を渡すことは珍しいことではありませんが、できれば負担するお金は税金などを引かれずに子供に全て渡したいものですよね。

紹介した親子間での贈与税の特例については、利用のために贈与税の申告が必要になるケースもありますので実際に利用する際には税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

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