今なぜ外貨建て生命保険がホットなのか?生保会社の思惑と実際

外貨 為替

日本は現在、日本銀行によるマイナス金利政策の影響もあり、超低金利が続いています。定期預金では利息がほとんど期待できないといえるでしょう。そのため、外貨建て保険に興味がある人も多いのではないでしょうか。

実際、高齢者が加入する例も多く見られ、生命保険各社もこのところ、特に外貨建て保険に注力しています。
外貨建て保険の概要や、メリット、デメリット、相続に使えるのかなどについて解説します。

1.外貨建て保険とは

外貨建て保険とは、保険料の払い込みや、死亡保険金や満期保険金、解約返戻金などの受け取りを、円ではなく外貨で行う保険のことです。
外貨、いわゆる円以外の通貨はたくさんありますが、主に米ドル、ユーロ、豪ドルなどが一般的によく使われています。

外貨建て保険は、終身保険や養老保険、個人年金保険などでよく見られますが、最近では3大疾病(がん、急性心筋梗塞、脳卒中)や介護保障に備えることができる保険もあります。

外貨建て保険のポイントは、何といっても、保険料や保険金、解約返戻金などを円に換算する場合、金額が為替相場により変動することです。
一般的に「為替リスク」と呼ばれており、耳にしたことのある人も多いでしょう。為替変動により差損が発生するリスクです。ただし、為替相場によっては、その逆で為替差益が発生する場合もあります。

2.生命保険各社が外貨建て保険に注力している理由

2-1.長らく続く超低金利

バブル崩壊以降、日本は長らく金利の低下傾向が続いています。
例えば、長期金利(新発10年国債の流通利回り)は、27年前の平成2年9月26日には8.735%まで上昇(債券の価格は大幅に下落)しましたが、日本銀行によるマイナス金利政策の導入の影響もあり、昨年2016年7月8日には▲0.3%まで低下(債券の価格は大幅に上昇)しています。その後上昇傾向にありましたが、直近(2017年9月1日)では▲0.005%と、再度利回りがマイナスに突入しています。

これまで最も重要な投資対象であった債券(国債)がこのような状況で、大きな収益を見込めないため、生命保険会社はどこも資産運用に苦慮しており、円建ての終身保険や養老保険、個人年金保険、学資保険など、いわゆる貯蓄性のある商品の販売を手控える傾向が続いています。
そのため、日本より相対的に高い金利を享受することのできる外貨建て保険に注力する保険会社が増えています。

2-2.標準利率の改定

長らく続く超低金利に加え、2017年4月の標準利率の改定も追い打ちをかけました。標準利率とは、生命保険会社が責任準備金を計算するための利率のことです。
金融庁が定めており、生命保険会社は、この標準利率を参考にして、保険商品の予定利率を決定します。月払いなどの平準払いの商品は、一年に一度標準利率が見直され、2017年4月に標準利率が改定されました。

このため、多くの生命保険会社において、前述の終身保険、養老保険、年金保険、学資保険など、いわゆる貯蓄性のある保険の保険料率が改定され、保険料がアップしました。
3月末までの駆け込み需要の反動もあり、4月以降、これらの保険の販売は急速に鈍っています。この標準利率の改定も、生命保険会社各社が外貨建て保険に注力するようになった大きな理由です。

2-3.米FRBの利上げ

もう一点、米FRB(連邦準備制度理事会=米中央銀行の最高意思決定機関)は、2015年12月以降、継続的に利上げを行っています。
利上げとは、政策金利である米FF金利(フェデラルファンド金利)の誘導目標を引き上げることをいいます。

そして、米FRBのイエレン議長はこの利上げについて、経済指標などのデータ次第ではあるものの、2017年、2018年と継続して行うことを示唆しています。
つまり、アメリカの金利、特に短期金利は将来的に上がる可能性が高く、その場合、一般的には金利高=ドル高となることが予想されます。
この米FRBの利上げも、外貨建て保険、特に米ドル建て保険に関心が集まっている理由です。

2-4.生命保険会社各社の最近の動き

次に、生命保険会社各社の外貨建て保険に関する最近の動きを見てみましょう。

2017年6月22日には、大手生保の明治安田生命が外貨建て保険への参入を発表しました。8月から、銀行の窓口で米ドルあるいは豪ドル建ての一時払い終身保険と、米ドル建ての一時払養老保険を販売しています。

太陽生命も、7月より三菱東京UFJ銀行の窓口で個人年金を販売しています。
また、日本生命も10月より子会社の三井生命の外貨建ての一時払養老保険を販売します。
このように、各社の活発な動きが続いています。

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3.外貨建て保険のメリット

では、外貨建て保険のメリットを見てみましょう。

3-1.海外の高い水準の金利を享受することができる

何といっても、これがまず一番のメリットです。日本と比較して相対的に高い海外の金利を享受することができるので、高い収益性が期待できます。

3-2.保険料が安い

外貨建て保険は比較的保険料が安い場合が多いです。外貨ベースの予定利率が、円ベースのそれより相対的に高いので、その分保険料が割り引かれ、安くなるからです。

3-3.資産分散効果・インフレヘッジ

生命保険は、株式や投資信託、債券などと並ぶ重要な資産です。もし、自身のポートフォリオが全て円建ての資産で構成されている場合、外貨建て保険を組み入れることで資産分散が図れます。また、将来のインフレに対するヘッジにもなります。

3-4.為替相場によっては、為替差益を得ることも可能

外貨建て保険には為替リスクがありますが、為替相場によっては為替差益が生じることもあります。

4.外貨建て保険のデメリット

では、今度は外貨建て保険のデメリットを見てみましょう。

4-1.為替リスクがある

先ほども触れましたが、外貨建て保険の最大のデメリットは、保険料や保険金を円に換える時に、その時の為替相場により変動して目減りしてしまう可能性、いわゆる為替リスクがあることです。
外貨建て保険を敬遠する人は、ほぼ間違いなくこの点を嫌います。確かに、円ドル相場を見ても、動きは大きいです。特に、為替は相場予測が難しく、短期間に一方向に急激に動くことも珍しくありません。

4-2.コスト(手数料)がかかる

外貨を買ったり売ったりする場合、手数料がかかります。
例えば外貨建て保険では、米ドル建ての保険料等を円に換算して払い込む場合の為替レートと、保険金や解約返戻金等を円で受け取る場合の為替レートは異なります。

為替レートには、具体的には、以下の3つがあります。

  • TTS(対顧客電信売相場)銀行が個人に外貨を売る(円を外貨に換える)場合に用いる為替レート
  • TTM(対顧客電信相場の仲値)銀行が個人に為替を売買する際の基準レート
  • TTB(対顧客電信買相場)銀行が個人から外貨を買う(外貨を円に換える)場合の用いる為替レート

つまり、外貨を売ったり買ったりする場合の為替レートは「TTM±○円」となります。そして、この「±○円」の部分がコストになります。

4-3.通貨に対する知識が必要

前述のとおり、外貨は変動が大きく、短期間に一方向に急激に動くことも珍しくありません。そのため、全く知らない国の外貨建て保険に加入することは危険といえます。
やはり、その通貨に対する一定程度の知識が必要です。また、定期的にその通貨についての情報を収集したほうがよいでしょう。

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5.外貨建て保険の税務

外貨建て保険の税務ですが、基本的には円建ての生命保険と同じです。

5-1.保険料

払い込む保険料については、円建ての生命保険と同様、生命保険料控除の対象となります。

5-2.保険金や年金

受け取る保険金や年金についても、基本的に円建ての生命保険と同じ扱いになります。
なお、申告や納税は円に換算して行いますが、その際に用いる為替レートは契約時の各種書類(「ご契約のしおり」など)に記載があるので確認しましょう。
ただし、通常、生命保険会社から、円換算した金額で通知が来ます。

6.外貨建て保険はどのような人に向いている?

見てきたように、外貨建て保険にはメリットもデメリットもあります。では、どのような人に向いているのでしょうか?一般的には、以下のような人に向いているといえます。

  • 余裕資金があり、為替リスクを取ってでも高い収益を目指したい人
  • ポートフォリオがほとんど円建てで、外貨建てのものが入ってない、あるいは少ないため、資産分散を図りたい人
  • ポートフォリオが元本保証のある安全性資産ばかりだが、リスク許容度があり多少の為替リスクも取れる人、
  • 将来、その外貨を使う可能性がある人(例えば、海外旅行、ロングステイ、子どもの海外留学等の予定がある人)
  • 将来のインフレに備えたい人
  • 若い人(運用期間が長いため)

7.外貨建て保険は相続対策として使える?

では、外貨建て保険は相続対策として使えるのでしょうか?外貨建て保険には、一般的に相続に適しているといわれる終身保険や養老保険が多く、使えるように見えます。

しかしながら、外貨建て保険は相続には不向きと言わざるを得ません。やはり、為替リスクがあるからです。
相続はいつ発生するかわからないため、納税資金対策、遺産分割対策、相続税軽減対策のいずれの場合でも、予定していた資金を円ベースできちんと確保できることが最も重要になりますが、為替リスクはそれを阻害してしまいます。

外貨建て保険は、相続対策としてはやはり使わないほうがよいでしょう。

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8.外貨建て保険の商品例

では、外貨建て保険はどのようなものなのでしょうか。実際の具体的な商品で見てみましょう。

8-1.米ドル建て終身保険(無配当):ソニー生命

この商品には、次のような特徴があります。

  • 死亡・高度障害状態に対する保障が一生涯継続する。
  • 米ドル建ての保険料を円に換算して払い込み、死亡保険金または高度障害保険金は米ドルと円のいずれかを選択して受け取ることができる。全期前納の場合は、米ドルで保険料を払い込むこともできる。
  • 為替リスクがあり、保険金や解約返戻金を円で受け取る場合は、為替相場の変動によりその金額が増減する。
  • 契約時の保険金額が50,000米ドル以上の場合、保険料の高額割引が適用され、さらに保険料が安くなる。
  • 付加できる特約には、円換算払込特約(必須)、円換算支払特約(必須)、リビング・ニース特約、ナーシング・ニーズ特約、5年ごと利差配当付年金支払特約などがある。
  • 契約者貸付を受けることもできる。
  • 契約年齢範囲は0歳~79歳。

8-2.米国ドル建リタイアメント・インカム(米国ドル建年金支払型特殊養老保険):ジブラルタ生命

この商品には、次のような特徴があります。

  • 老後の年金準備や万一の死亡保障を確保できる。年金支払期間は20年あるいは40年から選ぶことができ、長期間に渡り、決まった米ドル建ての年金を受け取ることができる。
  • 予定利率(2017年4月現在)は、年金開始前は2.75%、年金開始後は2.25%と、円建ての予定利率と比べて魅力的な水準である。
  • 万一、年金受取前に死亡した場合でも、死亡保険金を受け取ることができる。年金に代えて満期保険金として、一時金で受け取ることもできる。
  • 米ドル建ての保険料を円で払い込みでき、死亡・高度障害保険金および年金を米ドルで受け取ることができるので、多様な資産形成が可能になる。
  • 付加できる特約には、円換算払込特約(必須)、特定障害不担保特約・特別条件付保険特約、リビング・ニーズ特約、指定代理請求特約、疾病障害による保険料払込免除特約などがある。
  • 契約年齢範囲は0歳~60歳。

9.まとめ

以上見てきたとおり、外貨建て保険にはメリットもデメリットもあります。当然ながら、全ての人に向いているわけではありませんが、商品としては、実はさほど難しくはありません。
もし、外貨建て保険に興味がある場合、為替リスクを中心に、自分のリスク許容度を客観的に判断して向き・不向きを決めましょう。

外貨建て保険は、商品により内容がかなり異なります。また、加入時に何らかの制約のある場合も多いので、わからないことがあれば、保険会社や保険代理店、ファイナンシャル・プランナーなどの専門家に相談したほうがよいでしょう。

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