1.和泉市の相続税申告の特徴
和泉市は大阪府の南部、大阪市と堺市に程近い位置にあり、ベッドタウンとして発展しています。
都会への利便性や、大規模なショッピングモールがある都会でありながら、南部には和泉山脈が広がっており、穏やかな里山風景が残っている「トカイナカ」を積極的にプロモーションしています。
既に完成された住宅都市ではありますが、再開発や観光振興、子育てサービスなど様々な分野の改善に力を入れており、人口増加率の高い人気都市となっています。
ここでは、そんな和泉市の相続税申告について詳しく解説していきます。
1-1.和泉市の相続税申告状況
令和元年の相続税申告状況のデータによると、和泉市を管轄している泉大津税務署、大阪府、全国における相続税申告状況は次の通りとなっています。
申告割合 | 課税割合 | 相続1件当 納付税額 | |
---|---|---|---|
泉大津税務署 管轄エリア | 10.10% | 8.17% | 1,429万円 |
大阪府平均 | 10.65% | 8.40% | 1,881万円 |
全国平均 | 10.71% | 8.35% | 1,714万 |
1-2.泉大津税務署の数値は決して低くない
泉大津税務署の3つの数値は、大阪府と全国の平均値を若干下回る結果となっており、相続税の課税が少ないエリアだと勘違いしてしまいがちですが、決して少ないわけではありません。
特に大阪府の課税割合8.40%は、全国47都道府県ランキングでは12位に位置しています。単に平均値が高いのです。
次に、泉大津税務署の8.17%を同ランキングに当てはめてみると14位の位置になることから、比較的相続税の課税が起こりやすいエリアであることがお分かりいただけると思います。
1-3.和泉市の課税割合は泉大津税務署の数値相当
泉大津税務署は和泉市以外にも、泉大津市、高石市、忠岡町を管轄しており、上記の数値はこれら3市1町の平均値となります。
これらの中で最も地価が高く、富裕層が多く居住しているのが高石市です。
一方、和泉市、泉大津市、忠岡町については一般的な所得者層が多く居住するエリアとなっており、泉大津税務署の課税割合をけん引しているのは高石市であると考えられます。
和泉市のみでの課税割合は公表されていませんが、恐らく、泉大津税務署の8.17%相当か、若干下回る程度ではないでしょうか。
2.和泉市の特徴
和泉市は、面積約84.9平方キロメートルの南北に細長い形をしており、大阪府内5番目に広い都市となります。
和泉山脈がある南東から北西方向に向かって低くなっており、中部から北部の丘陵地には住宅地、北西部の平地には市街地が主に広がっています。
高度経済成長期から大阪都心部のベッドタウンとして開発され、現在の人口は約18万人と全国有数の住宅都市に発展しています。
その立地の良さと、商業施設が充実していること、治安の良さなどから、子育てをしやすい街として人気を得ており、ニュータウンの造成によって若い世代の獲得が進んでいます。
それでは、和泉市の詳しい特徴とそれが相続税課税へどのように影響しているのかを見ていきましょう。
2-1.リモートワークにぴったりな都市
市内にはJR阪和線と泉北高速鉄道線が走っており、天王寺まで20分、難波まで30分、新大阪駅、大阪駅まで40分、関西空港は20分で行くことができます。
「ららぽーと和泉」、「コストコ」などの大型商業施設が複数あり、生活の利便性は抜群といえるでしょう。
近年のリモートワーク増加などによって、都市部に居住する必要がなくなった現代では、和泉市のような、都心から程よい距離、日常の買い物に不便がない、自然が感じられる街は理想的であり、今後の需要増加が期待できます。
特に駅近マンションよりも、山手側の広い戸建てへの人気が高まっていくと予想されます。
都心部に住める富裕層が流入する可能性が大であり、相続税の課税も増えていくのではないでしょうか。
2-2.中心駅は和泉府中駅
市街地の中心は泉大津市側にある和泉府中駅で、周辺には市役所や図書館などの公共施設が集中しています。
商店街「ロードインいずみ」、「イオン和泉府中店」、「府中病院」も立地しており、生活に必要な施設が駅周辺にすべて揃っている利便性の高いエリアです。
2015年には、15年に渡って行われてきた駅前再開発が完了し、駅の橋上化、歩行者デッキや駅前広場などの都市基盤整備など、洗練された都会的な雰囲気となりました。
マンションはそれほど多くはなく、駅から徒歩圏内に戸建て住宅が広がっています。
2-3.和泉中央駅周辺は注目のニュータウン
和泉中央駅周辺は新しく開発されたニュータウンとなっており、若い家族が多く活気ある街となっています。
駅の北側には、新しいマンションがずらりと並んでおり、ベッドタウンの様相が感じられる景色が広がっています。
今後数十年後には、相続が頻繁に発生するエリアになるでしょう。
2-4.和泉市の高級住宅街
和泉府中駅の南東側にある弥生町は高級住宅街として知られており、特に2丁目と3丁目には超富裕層が多く居住しています。
その他、いぶき野、黒石町、青葉台、はつが野、みずき台、緑ヶ丘などは、高級住宅街とまでではいきませんが、富裕層が多く居住している優良住宅街となっています。
どれも和泉府中駅と泉中央駅周辺に集中しており、相続税の課税はこの2駅を中心に起こっていると考えられます。
2-5.和泉市の地価
和泉市の平均地価は1㎡あたり8万3,216円で、大阪府全43位中29位となっており、大阪府内では低いエリアになります。
泉大津税務署が管轄している他市町の順位は次の通りとなっており、和泉市は最下位です。
ただ、和泉市の場合には南部に山があるため、地価の平均金額を下げていることを考慮すると、山林部以外の地価は、泉大津市や忠岡町と同程度と考えて良いでしょう。
市名 | 1㎡当り | 大阪府での ランキング |
---|---|---|
高石市 | 13万71円 | 18位 |
泉大津市 | 10万7,955円 | 24位 |
忠岡町 | 8万3,771円 | 28位 |
和泉市 | 8万3,216円 | 29位 |
市内で最も地価が高いエリアは中心駅となる和泉府中駅で、1㎡あたり10万円となっています。
中でも駅がある地点が最も高く19万円となっており、駅から離れるにつれて地価は下がり、駅から2キロメートル離れると7万円程になります。
ニュータウンがある泉中央駅は8万円で、まだ発展途上であることが伺えます。優良住宅街として挙げた「いぶき野」は14万円となっており、地価変動率も0.71%のプラスであることから、今後の地価の変動には十分注意しましょう。
反対に最も地価が低いエリアは北信太駅周辺で、1㎡あたり8万となっています。
和泉府中駅周辺は10万円ですが、それ以外のエリアは8~9万円台となっており、市街地の住宅地では地価にそれほど大きな差がないことが分かります。
3.和泉市の税理士情報
全国には令和4年3月末日時点で80,163人の税理士がおり、そのうち近畿税理士会(大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県、滋賀県)には15,219人の税理士が所属しています。
そして、和泉市が管轄されている近畿税理士会泉大津支部の会員数は121人で、そのうち和泉市に事務所を構えている税理士は50人となっています。
泉大津税務署の令和元年における相続税申告件数は319件であり、税理士1人あたりの相続税申告数は0.33件になります。
大阪府全体での0.95件(日本税理士会連合会 平成30年5月発行税理士界)であることから、このエリアの税理士不足の状況が心配になりますが、大阪府のベッドタウンの多くはこのくらいの数値が多いです。
また、税理士が多い大阪市や堺市に近いことから過度な心配は不要です。
それでは、和泉市ではどのように税理士を探すのが良いのでしょうか。
3-1.大阪市で探す
大阪市には、近畿税理士会の税理士15,191人の3分の1にもなる5,000人を超える税理士がいます。
それだけ多くの仕事があるから集中しているのであり、相続税においても複雑で高額な申告が多発しているでしょう。
税理士の競争も激しく、優秀でなければ生き残っていけません。大阪市で相続税専門税理士として長年、看板を掲げている税理士であれば、ほぼ間違いなく相続税に強い税理士であるといえます。
3-2.堺市で探す
大阪市より近い堺市も、税理士探しの地としておすすめです。
堺市は大阪市に次ぐ大阪府第2の都市であり、「大美野」など数多くの有名な高級住宅地を擁しています。あらゆる規模において大阪市の縮小版をイメージすると良いでしょう。
堺市には371人の税理士がおり、大阪市と比べるとかなり少なくなりますが、和泉市の50人からすると7倍以上です。相続税に強い税理士の数もその分比例し、精度はより高くなります。
相続財産が少ないなど、大阪市の膨大な税理士の中から選ぶまでする必要がないという場合には、近くて程よい規模感の堺市がおすすめです。
【参考サイト】「税理士登録者数」 | 日本税理士会連合会、近畿税理士会HP、近畿税理士会泉大津支部HP