1.柏原市の相続税申告の特徴
柏原市は大阪府の東部に位置するベッドタウンです。
生駒山系と金剛山系の山々が連なり、市域の3分の2を山間部が占めています。市の中央部には、一級河川の大和川が東西に流れ、多彩な自然環境が魅力です。
その反面、大阪都心部からわずか20キロメートル圏に位置しており、大阪市までは電車で15分程度です。「仕事は都会。プライベートは田舎暮らし。」という生活が叶う街となっています。
今回は、そんな柏原市の相続税申告について詳しく解説していきます。
1-1.柏原市の相続税申告状況
令和元年の相続税申告状況のデータによると、柏原市を管轄している八尾税務署、大阪府、全国における相続税申告状況は次の通りとなっています。
申告割合 | 課税割合 | 相続1件当 納付税額 | |
---|---|---|---|
八尾税務署 管轄エリア | 11.13% | 9.13% | 1,442万円 |
大阪府平均 | 10.65% | 8.40% | 1,881万円 |
全国平均 | 10.71% | 8.35% | 1,714万円 |
1-2.八尾税務署は相続税課税の多いエリア
八尾税務署の課税割合は、全国と大阪府の平均値を1%弱上回っています。
大阪府の課税割合8.40%というのは、全国47都道府県ランキングおいて12位となっており、同ランキングに八尾税務署の9.13%をあてはめてみると、7位にあたります。
八尾税務署エリアは、大阪府のみならず全国的に見ても、特に相続税の課税に注意しなければならないエリアとなっています。
1-3.柏原市のみの課税は八尾税務署の数値を下回る可能性
八尾税務署は柏原市をはじめ、松原市、八尾市も管轄しており、上記の数値は3市の平均値です。
いずれも都心部のベッドタウンとして機能している都市ではありますが、松原市と八尾市には富裕層が居住している優良住宅地が複数あります。
特に、八尾市には高級住宅街もあることから、超富裕層も居住しているでしょう。
反対に、柏原市は自然の多い田舎の住宅都市という雰囲気で、2市とは少し異なります。高級住宅街や優良住宅街などもなく、一般的な所得者層が多い街となっています。
柏原市のみでの課税割合は公表されていませんが、3市の平均値を下げる側にあると考えられることから、柏原市のみの課税割合があるとすれば、八尾税務署の9.13%よりも低い可能性が高いでしょう。
2.柏原市の特徴
柏原市は面積約25.33平方キロメートル、人口6万人弱のベッドタウンです。
平坦地である北西部を中心に市街地が広がり、東西に流れる大和川が市域を南北に分断しています。北部、南東部は市域の3分の2を占める山地が広がり、その山麓にはブドウ畑が多く、柏原地ワインは市の名産品として知られています。
それでは、柏原市の特徴とそれが相続税課税へどのように影響しているのかを詳しく見ていきましょう。
2-1.柏原市の充実した交通アクセス
市内にはJR関西本線、近鉄大阪線、道明寺線が走っており、9つの駅があります。
難波駅まで約30分、天王寺区までは約15分となっており、里山風景が広がる田舎から行けるとは思えない近さです。
路線と駅は市街地がある北西部に集中しており、沿線を中心に住宅地が広がっています。
ベットタウンのため大阪市に近い程需要が高くなる傾向があり、最も近い法善寺駅周辺は、中心駅でもなく決して賑わっているとはいえませんが、閑静な住宅地が広がるエリアとして人気が高いようです。
2-2.柏原市の中心駅は柏原駅
市の中心駅は法善寺駅からほど近い位置にある柏原駅で、1日の乗降客数は3万人近くにのぼります。
駅周辺には再開発によって建設された商業施設とマンションが一体になった「アゼリア柏原」があり、日常の買い物はここで済ませることができます。
周辺にはマンションも多く、都心部へ通勤するサラリーマンの多くが居住していると思われます。
2-3.柏原市の相続税が課税されやすいエリアは特定できない
柏原市には高級住宅街や優良住宅街はなく、富裕層が集中して居住しているエリアはありません。
柏原市に移り住む理由は様々ですが、Iターンの場合にはその自然環境に魅せられた人が多いのではないでしょうか。
よって、柏原市に居住している富裕層は、山が好きなら山手側、川が好きなら川沿いなど、色々な場所に点在していると考えられ、相続税課税が課税されやすいエリアは特にないのでしょう。
2-4.ぶどう畑への不動産課税に注意
柏原市では、市域の3分の2が山間部という自然豊かな環境を生かし、デラウェアを筆頭としたぶどう栽培が盛んに行われています。
夏から秋にかけてはぶどう狩りを行っている観光農園がたくさんあり、市の名物になっています。
またワインづくりも行われており、「柏原地ワイン」は全国的な知名度も高まってきている名産品です。
ぶどう栽培がなぜ相続税課税に関係あるのか、それはぶどう畑にしている土地などの事業用資産が相続財産になるからです。
ぶどう畑は山麓に作られることが多く、地価は低いエリアにはなりますが、広大な場合には十分な注意が必要です。
2-5.柏原市の地価
柏原市の平均地価は1㎡あたり9万9,838円で、大阪府全43位中25位の金額となっています。
なお、八尾税務署と同じ管轄内にある八尾市は13万円で16位、松原市は11万円で20位となっており、ほぼ等間隔で並んでいます。
地価の観点からも、八尾税務署エリアの相続税が課税されている中心は八尾市であり、柏原市は平均値を下げる側になっているでしょう。
市内で最も地価が高いエリアは法善寺駅周辺で1㎡あたり11万9,000円、柏原駅は11万5,633円で僅差での2位となっています。
なお、この2駅に程近い場所にある「堅下駅」は3位で11万3,950円でした。地価の高いエリアは北西部に集中していることが分かります。
反対に最も地価が低いエリアは南東部の河内堅上駅周辺で、1㎡あたり3万円となっています。
大阪府にしては低い金額ではありますが、山に囲まれたエリアの土地で3万円というのは、見方を変えると高額ではないでしょうか。
広大な土地を所有している場合には油断できません。
3.柏原市の税理士情報
全国には80,163人(令和4年3月末日時点)の税理士がおり、大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県、滋賀県の近畿2府4県の税理士が所属する近畿税理士会には、その2割近くにもなる15,219人がいます。
そして、柏原市、八尾市、松原市を管轄している近畿税理士会八尾支部には83人が所属しており、内訳は次の通りとなっています。
近畿税理士会豊能支部 内訳 | 人数 |
---|---|
柏原市 | 12人 |
松原市 | 17人 |
八尾市 | 54人 |
合計 | 83人 |
八尾税務署の令和元年における相続税申告件数は556件であったことから、税理士1人あたりの相続税申告数は0.14件です。
大阪府全体の0.95件(日本税理士会連合会 平成30年5月発行税理士界)と比較すると、びっくりするほど少ない結果であり、大阪市のベッドタウンになっている周辺都市と比較しても、非常に少なくなっています。
それでは最後に、柏原市での税理士探しについて解説します。
3-1.市外での税理士探しがおすすめ
近畿税理士会八尾支部の税理士数は83人と少ないうえに、八尾市にほとんどの税理士が集中している状況です。
柏原市の税理士は12人ということで、市内に限定しての税理士探しはあまり考えない方が良いでしょう。
3-2.大阪市が最もおすすめ
大阪市には大阪府の超富裕層が集中して居住しており、相続税課税の発生数も周辺都市とは比べ物になりません。その内容も複雑で、それに対応している税理士は相続税に強い税理士であるといえるでしょう。
大阪市には5,000人を超える税理士がおり、それに占める相続税に強い税理士の数も比例して多くなります。
また、税理士の腕が磨かれる環境にあることから、相続税への強さも随一の税理士が揃っています。
3-3.年間10件以上の相続税申告数が最低ライン
ただ、柏原市の相続税課税では、地価の状況から不動産課税が少ないと考えられ、大阪トップクラスの税理士に依頼するまでもないという人も多いでしょう。
その場合においても、どの税理士でも良いというわけではありません。
税理士も人間なので、相続税申告を行っていなければ忘れてしまいます。税理士の中には、年間1件の相続税申告を行うかどうかという人もいるため、そのような税理士に依頼してしまうと、相続税対策はもちろんのこと、基本的な計算すら誤る可能性があります。
税理士に拘りがない場合でも、年間10件以上の相続税申告を行っていることを目安に税理士を探すと良いでしょう。
大阪市でここまで条件を下げると税理士の選択肢は膨大になり、より探しやすくなります。
【参考サイト】「税理士登録者数」 | 日本税理士会連合会、近畿税理士会HP、近畿税理士会 八尾支部HP