1.豊中市の相続税申告の特徴
豊中市は大阪府の北部、大阪市に隣接したベッドタウンで、大阪府の中でも大きな市として知られています。
南側に大阪市、西側に兵庫県尼崎市、北側に箕面市と池田市、東側に吹田市と多くの市に囲まれており、どこに行くにも交通利便性が整っている都市です。
豊中市は、教育にも力を入れている文教都市でもあります。文京都市には、高所得である教育熱心な親が集まるため、相続税の課税が起こりやすい環境にあるといえます。
それでは今回は、そんな豊中市の相続税申告について詳しく解説していきます。
1-1.豊中市の相続税申告状況
令和元年の相続税申告状況のデータによると、豊中市を管轄している豊能税務署、大阪府、全国における相続税申告状況は次の通りとなっています。
申告割合 | 課税割合 | 相続1件当 納付税額 | |
---|---|---|---|
豊能税務署 管轄エリア | 16.91% | 12.95% | 2,134万円 |
大阪府平均 | 10.65% | 8.40% | 1,881万円 |
全国平均 | 10.71% | 8.35% | 1,714万 |
1-2.相続税の要注意エリア
上記でお分かりの通り、豊能税務署の数値は、全国と大阪府を大きく上回っており、納付税額についても高額となっています。
大阪府の数値はほぼ全国平均並みの数値となっていますが、全国47都道府県での課税割合の順位は12位、納付税額に至っては東京の3,029万円に次ぐ2位です。
全国平均と聞くと47都道府県中、真ん中あたりかとイメージしてしまいがちですが、相続税申告状況においては東京都の数値が突出して高いことから、全国平均の数値を押し上げている結果となっています。
全国平均相当だと十分に上位にある点に注意しましょう。
そのうえで豊能税務署の12.95%という数値を見ると、非常に高いということがお分かりいただけるでしょう。
豊能税務署の課税割合を全国の順位に当てはめてみると、東京都、愛知県に次ぐ3位にあたり、相続税課税においては全国トップクラスとなるエリアです。
1-3.豊中市のみの課税割合はもっと高い
ただし、豊能税務署は、豊中市 池田市 箕面市、豊能町、能勢町を管轄しており、上記の数値はこれらの平均値となります。
これらの市町が属している大阪府北部は「北摂エリア」と呼ばれ、住みやすいと定評がある人気のエリアになります。
その中でも豊中市は大阪市に隣接しており、富裕層に特に人気の街となっています。
豊中市のみでの課税割合は公表されていませんが、豊能税務署の12.95%よりも高いことが予想されます。
2.豊中市の特徴
豊中市は36.39平方キロメートル、人口は約40万人を擁し、大阪市、堺市、東大阪市に次ぐ府内4位の中核都市です。
大阪市都心部から約15キロメートル圏内にあることから、ベッドタウンとして発展しています。富裕層や転勤族が多く暮らしているためか、街に品があり、落ち着いた雰囲気が漂う閑静な住宅街が広がっています。
各駅周辺には商店街やスーパー、飲食店などが揃い、周辺都市のショッピングの中心地としても機能しており、暮らしやすい環境が整っている街です。
それでは、豊中市の特徴とそれが相続税課税へどのように影響しているのかを見ていきましょう。
2-1.全国有数の交通利便性がある豊中市
豊中市最大の魅力は、全国各地までカバーできる抜群の交通網です。
まず鉄道は、市域の中央を縦断する阪急宝塚線、東部を縦断する北大阪急行電鉄、北部を横断するように大阪モノレールの3本が走っており、市の全域で電車を利用することができます。
大阪駅まで15分程度で行くことができ、ベッドタウンとしての需要が高い点もうなずけます。
次に道路は、阪神高速11号池田線、中国縦貫自動車道、名神高速道路、国道176号、国道423号などが市域を縦横に走っており、バスも網羅されているため、どの駅で降りても不便はありません。
そして北西部には大阪国際空港があり、全国各地、さらに世界各国へ行く際にも便利です。
2-2.豊中市のベッドタウン千里ニュータウン
豊中市のベッドタウンの中心は、日本初の大規模ニュータウンである「千里ニュータウン」です。
豊中市と吹田市にまたがって開発され、その面積は1,160ヘクタールに及びます。そのうち340ヘクタールが豊中市に属しており、市域の9.3%を占めています。
1950年代、大阪への上京者や出生ラッシュによる人口増加への対応策として計画され、1962年にまちびらきされた千里ニュータウンは、2022年で60周年を迎えます。
当時、まちびらきと共に30歳で入居したとすると2022年で90歳、現在頻繁に相続が発生していることが予想されるエリアとなっています。
2-3.豊中市には高級住宅地がある
大阪府は近畿地方の経済の中心地であり、大阪市のベッドタウンとして機能している豊中市には富裕層が多く集まります。
中でも、「東豊中」、「緑丘」、「上野」は大阪北部を代表する高級住宅地であり、広い敷地の豪邸が立ち並んでいます。
2-4.豊中市は教育都市としても有名
豊中市には、大阪大学、大阪音楽大学などがあり、公立小中学校では「豊中型国際教育」という国内外の学校との協働学習に取り組むなど、レベルの高い教育が行われています。
進学塾や学習センターも十分な数が点在しており、子供の教育環境が整っている街となっています。
ファミリー層の流入を促進するため、子育て支援にも力を入れており、赤ちゃんから大学までサポートしています。
教育熱心な親は高所得である場合が多く、豊中市は富裕層が集まる条件が揃っているといえます。
2-5.豊中市の地価
2022年最新の公示地価によると、豊中市の平均地価は1㎡あたり25万2,371円で、大阪府全43位中3位の金額となっています。
1位の大阪市は83万円と圧倒的な金額を誇っていますが、この金額は大阪府24区の平均になります。
しかし、大阪市の中でも12区は24万円台以下と豊中市の金額以下となっており、豊中市の地価の高さが分かるでしょう。
豊中市内で最も地価が高いエリアは、市の北部にある北大阪急行電鉄と大阪モノレールの交差点となっている千里中央駅周辺で、1㎡あたり51万円となっています。
千里ニュータウンの玄関口でもあり、近年は大規模な再開発が進んでいるエリアになります。地価の上昇も著しく、今後もその傾向は続くと思われます。
反対に最も地価が低いエリアは、大阪空港駅周辺で1㎡あたり14万となっており、市内では突出して低い金額となっています。
出張や旅行が多く、大阪国際空港をよく利用する人には便利なエリアですが、大阪駅まで40分程度かかることから、居住地としては需要が低いようです。
3.豊中市の税理士情報
全国には80,054人(令和4年2月末日時点)の税理士がいます。
そのうち大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県、滋賀県の近畿2府4県の税理士が所属している近畿税理士会には、15,191人の税理士がいます。
そして、豊能税務署と同じ3市2町の税理士を管轄しているのが近畿税理士会豊能支部で、約350人が所属しています。
豊能税務署の令和元年における相続税申告件数1,048件で、税理士1人あたりの相続税申告数を計算すると0.33件になります。
大阪府全体での同数値は0.95件(日本税理士会連合会 平成30年5月発行税理士界)であることから、豊中市は税理士不足の状況にあるといって良いでしょう。
それでは最後に、そんな豊中市での税理士探しについて解説します。
3-1.豊中市の税理士探しは大阪市で
豊中市のお隣、大阪市には5,000人を超える税理士がいます。
令和元年における相続税申告数が2,686件であったことから、大阪市の税理士1人あたりの件数は0.53件となり、豊中市よりも税理士数にゆとりがあります。
大阪市は大阪府の中心であり、桁違いの富裕層が多く居住しています。市内には高級マンションが林立し、特に北区には3億円近い億ションがあるほどです。
相続税申告においても、多くの相続財産と多額の相続税が発生する場合が多く、それに対応している税理士の腕は間違いないでしょう。
3-2.豊中市内の税理士は生前の早いうちから
豊中市の税理士が悪いというわけでは決してありません。
豊中市は大阪府の中でも屈指の高級住宅地であり、富裕層も多く居住している都市であるため、相続税専門税理士の腕は高いものがあるでしょう。
また、相続税申告における不動産の評価計算は、税理士の土地勘が影響するため、地元税理士の方が大阪市の税理士より有利な相続税申告を行える場合もあります。
ただし、豊中市は周辺都市を入れてもわずか約350人の税理士しかいない環境であり、相続税に強い税理士に限定すると軽く50人を切るのではないでしょうか。
地元税理士に依頼したい場合には、生前のできるだけ早いうちから税理士探しを行い、相続税に強い税理士を確保することがカギになります。
【参考サイト】「税理士登録者数 」| 日本税理士会連合会、近畿税理士会HP、近畿税理士会豊能支部