1.八尾市の相続税申告の特徴
大阪を代表する盆踊り音頭「河内音頭」の発祥地である八尾市。
大阪府の中央部に位置し、西側は大阪市に隣接している恵まれた立地から、大阪市のベッドタウンとして発展しており、優れた利便性はもちろんのこと、自然と歴史を共存させている点が人気住宅地の理由となっています。
富裕層も数多く生活しており、高級住宅街もあることから、大阪府の中でも多くの相続税課税が多く起こっていることが予想されます。
今回は、八尾市の相続税申告について詳しく解説していきます。
1-1.八尾市の相続税申告状況
令和元年の相続税申告状況のデータによると、八尾市を管轄している八尾税務署、大阪府、全国における相続税の申告状況は次の通りとなっています。
申告割合 | 課税割合 | 相続1件当 納付税額 | |
---|---|---|---|
八尾税務署 管轄エリア | 11.13% | 9.13% | 1,442万円 |
大阪府平均 | 10.65% | 8.40% | 1,881万円 |
全国平均 | 10.71% | 8.35% | 1,714万 |
1-2.全国・大阪府平均を上回っている
八尾税務署の課税割合は、全国と大阪府の平均値を1%弱上回っています。
軒並み10%を超えている北摂エリアほどではありませんが、それに匹敵する数値となっています。
全国47都道府県の課税割合のランキングで9%を超えるエリアは7都府県しかなく、八尾市は相続税課税について全国トップクラスの注意を払わなければならない市であることが分かります。
1-3.八尾市の課税割合はもっと高い
八尾税務署は八尾市、松原市、柏原市を管轄しており、上記の数値は3市の平均値となっています。
この3市は、いずれもベッドタウンとして機能している市になりますが、柏原市は大阪市から少し離れていることから、相続税課税の中心は八尾市と松原市になるでしょう。
八尾市のみでの課税割合は公表されていませんが、八尾税務署の9.13%より高いと考えられます。
2.八尾市の特徴
八尾市は面積41.72㎢の中核市で、人口は約26万人、大阪府内43市町村中9位の多さとなっています。
西側は大阪平野が広がり、中心となる市街地が形成されています。反対の東側は生駒山系の自然が広がり、高安山はハイキングスポットとなっています。
ものづくり、農業の街としても知られており、全国有数の生産品を数多く出荷しています。
それでは、八尾市の特徴とそれが相続税課税へどのように影響しているのかを見ていきましょう。
2-1.八尾市内全域をカバーする交通網
大阪市の東側に隣接していることから、充実した交通網が張り巡らされており、大阪市内へはもちろんのこと、近隣市や奈良県など、どの方面へのアクセスも充実しています。
市内には、JR大和路線・おおさか東線、近畿日本鉄道近鉄大阪線・近鉄信貴線、Osaka Metro 谷町線の鉄道5路線が発しており、11もの駅が点在しています。
ベッドタウンなので各駅周辺に住宅地が広がっていますが、これだけの駅があることから、人口は市域全体に分散されています。
2-2.八尾市西部は中心となる市街地
大阪市に近い西部は、中心駅となる近鉄八尾駅もある市の中枢エリアです。
駅周辺には「西武百貨店」や「アリオ八尾」など大規模な商業施設がいくつもあり、市役所や図書館などの公共施設も集中しています。
その利便性から居住地としても人気があり、都心部での高給取りサラリーマンの多くが居住していると考えられます。
JR関西本線の久宝寺駅周辺は積極的な再開発が進行しており、現在、市内で最も注目されているエリアとなっています。
大型商業施設の誕生、新線開通などを控え、周辺には新築マンションや新興住宅地が増えていくと予想されます。
再開発はそのエリアの地価を大きく左右する傾向が強く、再開発途中で不動産を購入すると、相続時に跳ね上がっている可能性があります。定期的な試算が重要です。
2-3.八尾市中部は高級住宅街を含む住宅地が広がる
中心市街地から少し離れる中部は、中心部を玉串川が流れる良好な住環境が広がっています。マンションよりも戸建て住宅が多いエリアです。
近鉄大阪線の河内山本駅や高安駅の周辺は高級住宅街として知られており、龍華町、山本高安町、山本町、山本町南あたりは、富裕層が多いエリアです。
特に、山本町2~5丁目と山本町南4、5丁目は、超富裕層クラスが数多く居住するブランドのあるエリアとなっています。
2-4.八尾市東部は農地などの自然エリア
奈良県との県境がある東部は、生駒山系の緑とため池などが多く残っているエリアで、農地では枝豆や八尾若ごぼうの栽培が盛んに行われ、市の特産品となっています。
市内では地価の低いエリアになりますが、それでも1㎡あたり3万円以上はするため、農業を営むなどで広大な土地を所有している場合には、相続税の課税対象となる可能性があります。
2-5.八尾市南部は工業エリア
南部は住宅地と、中小企業を中心とした工業地帯になっています。
八尾市は高度な技術力と製品開発力を持っており、歯ブラシ生産では全国トップシェアの出荷額となっています。
その他にも、金属製品や電子機器など最先端技術に至るまで幅広い製品づくりがなされており、製造品出荷額は大阪府内4位の規模を誇ります。
小さな工場も多いことから、個人事業形態で事業を行っている人も多いと考えられます。工場機械などの事業用資産は、高額なことも多く、相続税の課税時には、思いのほか高い評価額になることがあります。
2-6.八尾市の地価
八尾市の平均地価は1㎡あたり13万5,260円で、大阪府全43位中16位の金額となっています。
市内で最も地価が高いエリアは中心駅である近鉄八尾駅周辺で、1㎡あたり17万円となっています。
駅の直近では30万円を超えている地点もあることから、駅近マンションの評価額には注意しましょう。
またエリア平均では3位となっている河内山本駅周辺では、高級住宅街がある山本町南に21万円の地点があります。100坪で7,000万円を超える計算になり、居住者のほとんどで相続税課税が起こっていると考えられます。
反対に最も地価が低いエリアは東部の山に近い服部川駅周辺で、1㎡あたり7万円となっています。
市内では田舎になりますが、駅があることからそれほど低い地価にはなっていません。
農地が多いエリアになるため、田んぼや畑の相続税評価額には注意しましょう。
3.八尾市の税理士情報
全国には80,163人(令和4年3月末日時点)の税理士がいます。
そのうち大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県、滋賀県の近畿2府4県の税理士は、近畿税理士会に所属しており、その総数は15,219人にものぼります。
そして、八尾市、松原市、柏原市を管轄している近畿税理士会八尾支部には83人が所属しています。
近畿税理士会 八尾支部内訳 | 人数 |
---|---|
八尾市 | 54人 |
松原市 | 17人 |
柏原市 | 12人 |
合計 | 83人 |
八尾税務署の令和元年における相続税申告件数は556件であったことから、税理士1人あたりの相続税申告数は0.14件になります。
大阪府全体では0.95件(日本税理士会連合会 平成30年5月発行税理士界)であることから、八尾税務署の管轄エリアでは、桁違いに税理士が少ないことが分かりますが、大阪市と隣接していることから、過度な心配は不要です。
それでは最後に、八尾市での税理士探しについて解説します。
3-1.八尾市内での税理士探しは早めが肝心
八尾市には54人の税理士がおり、近畿税理士会八尾支部に所属する税理士の大半がいることになります。
高級住宅街があること、八尾市のみでの課税割合は10%を超えている可能性があることなどから、八尾市は相続税に強い税理士が十分に育つ環境であり、税理士探しの候補地にして良いでしょう。
ただ、母体数が少ないことに違いはないため、人気のある税理士は奪い合いになる可能性が高いです。
勝ち取るポイントは「早めに動く」しかありません。早いうちから計画的に探し出しましょう。
3-2.基本的には大阪市で
八尾市のお隣大阪市には、5,000人を超える税理士がいます。
数多くの高級住宅街を有し、大阪府の超富裕層が集中して居住している大阪市では、高額な相続税が発生する相続税申告が多発するため、相続税に強い税理士の数は八尾市の比になりません。
距離は遠くなるかもしれませんが、現在は「zoom」などを利用したネット会議が当たり前に行われる時代になっており、打ち合わせに活用している税理士事務所もあります。
【参考サイト】「税理士登録者数」 | 日本税理士会連合会、近畿税理士会HP、近畿税理士会 八尾支部HP