1.大阪市の相続税申告の特徴
令和元年の相続税申告状況のデータによると、大阪市の申告割合は9.13%、課税割合は7.28%、1件当たり納付税額2,142万円となっています。
全国平均は、申告割合10.71%、課税割合8.35%、納付税額1,714万円であり、大阪市は、納付税額以外が全国平均を下回っています。
また、大阪府全体を見ると、申告割合10.65%、課税割合8.40%、1件当たり納付税額1,881万円となっており、意外にも中心部である大阪市のみの数値が低くなっています。
1-1.大阪市の課税割合が低い理由
大阪市の課税割合が以外にも低い理由は下記の表を見ると分かるように、大阪市の中でも区によって課税割合が大きく異なる点が1つ目の理由です。
都心だからと市全域の課税割合が高いわけではなく、行政区であっても周辺の市町よりも低いエリアが多数あり、市の平均値を押し下げる結果となっています。
大阪市では、相続税の課税について注意しなければならない地域は限定的といえるでしょう。
もう1つの理由としては、大阪府は大阪市のみが突出して発展しているわけではないという点です。特に、相続税が課税されやすい高級住宅街は、大阪市以外にも箕面市、豊中市、吹田市、高槻市、堺市などにも点在しており、富裕層が大阪市に固まっているわけではありません。
税務署名 | 管轄地域 | 申告件数 | 課税件数 | 1件当たり 納付税額 (万円) | 申告割合 | 課税割合 |
---|---|---|---|---|---|---|
東 | 中央区 | 89 | 69 | 3,213 | 27.47% | 21.30% |
天王寺 | 天王寺区 | 135 | 111 | 2,081 | 23.48% | 19.30% |
北 | 北区 | 64 | 54 | 2,980 | 21.33% | 18.00% |
南 | 中央区 | 64 | 53 | 2,502 | 21.26% | 17.61% |
阿倍野 | 阿倍野区 | 197 | 156 | 2,282 | 17.81% | 14.10% |
大淀 | 北区 | 88 | 73 | 2,203 | 14.64% | 12.15% |
西 | 西区 | 96 | 72 | 3,137 | 15.07% | 11.30% |
旭 | 都島区 旭区 | 234 | 193 | 1,204 | 10.70% | 8.82% |
東住吉 | 東住吉区 平野区 | 367 | 301 | 2,962 | 8.95% | 7.34% |
東成 | 東成区 | 71 | 57 | 1,799 | 8.67% | 6.96% |
浪速 | 浪速区 | 56 | 46 | 1,065 | 8.13% | 6.68% |
東淀川 | 東淀川区 淀川区 | 279 | 220 | 1,868 | 8.20% | 6.47% |
大阪福島 | 福島区 此花区 | 116 | 84 | 3,246 | 8.58% | 6.21% |
城東 | 城東区 鶴見区 | 223 | 169 | 1,899 | 8.14% | 6.17% |
住吉 | 住吉区 住之江区 | 246 | 195 | 1,454 | 7.57% | 6.00% |
生野 | 生野区 | 117 | 92 | 2,148 | 7.42% | 5.83% |
港 | 港区 大正区 | 111 | 86 | 1,206 | 5.93% | 4.59% |
西淀川 | 西淀川区 | 54 | 44 | 2,351 | 5.29% | 4.31% |
西成 | 西成区 | 79 | 68 | 1,951 | 3.06% | 2.64% |
大阪市計 | 2,686 | 2,143 | 2,142 | 9.13% | 7.28% |
それでは次項にてそれぞれの区の特徴を見ていきましょう。
2.各区の特徴
大阪市は、東京都、名古屋市と共に日本三大都市の1つで、市は、24の行政区からなります。
それでは、それぞれの区について相続税の課税状況、街の特徴や地価などを詳しく見てみましょう。
2-1.中央区
中央区は大阪府庁や大阪府警察本部などの官公庁や、オフィス街が区域の大部分を占めており、大阪市のみならず大阪府の中枢的な役割を担っています。
大阪城やミナミの繁華街など、The大阪なイメージの観光地は中央区にあります。
地価は1㎡あたり305万円と非常に高額で、万人が居住できるエリアではなく、居住しているのは富裕層が中心になります。
特に、高麗橋、伏見町、本町、心斎橋筋、北新町などの高級タワーマンションには、超富裕層が多く居住しているようです。
中央区のみを管轄している東税務署の課税割合は21.30%で市内1位、納付税額は3,213万円で2位と、いずれの数値も非常に高いことがわかります。
このエリアの居住者の多くを富裕層が占めており、大阪市内において、最も相続税に注意しなければならない区となっています。
2-2.天王寺区
天王寺区のターミナル駅になるJR天王寺駅周辺には、2014年にグランドオープンした「あべのハルカス」を中心とした大規模な商業施設があり、区内の中心エリアとなっています。
市内屈指の文教地区で、大阪府立天王寺高校や大阪星成学院高校など、実績のある有名な進学校が多数あります。
また、商業施設と教育機関が揃った環境は、住宅地としても高い人気があり、中でも「真法院町」は高級住宅街として知られています。
天王寺区のみを管轄している天王寺税務署の課税割合は19.30%で市内2位、納付税額は2,081万円となっています。
地価は1㎡あたり74万円万円で、課税割合1位の中央区よりも大きく下がっているにもかかわらず、僅差での2位につけていることから、高所得者が多く居住していると予想されます。
2-3.北区
北区は大阪市の中核であり、梅田駅周辺を中心に、JR、私鉄、地下鉄など12路線が集結する大阪有数のターミナルとなっており、「阪急百貨店梅田本店」をはじめ、西日本最大の地下街、オフィスビルなどが建ち並ぶ大規模な繁華街が広がっています。
北区は2つの税務署が管轄しており、北税務署の課税割合は18.00%で、納付税額は2,980万円となっています。地価は、1㎡あたり335万円と市内トップの金額です。
区の性格上、戸建ての住宅街は少なく、居住する場合には、基本的にマンションになります。富裕層でなければ手が出せない高級マンションも多く、賃貸では家賃100万円、新築分譲では2億円などという物件も多数あります。中央区と同様に相続税に注意が必要なエリアでしょう。
ただ、もう1つの管轄税務署である大淀税務署の課税割合は12.15%となっており、区内でも地域差が顕著であるという特徴があります。
2-4.阿倍野区
阿倍野区は「あべのハルカス」の誕生によって、全国的に知られるようになりました。
商業エリアや高級住宅街から下町まで多様な雰囲気を味わえる街であり、住吉区に近い「帝塚山」には市内でも指折りの高級住宅街があるかと思えば、そこから10分も歩けば商店街や文化住宅が並んでいます。
阿倍野区は、阿倍野税務署が管轄しており、その課税割合は14.10%、納付税額は2,282万円で、課税割合は大阪市平均の倍近い数値です。
大阪市内で注目の区でもあることから地価も高く、1㎡あたり79万円で市内4位となっています。新型コロナウイルスの影響によって、大阪市内の地価は軒並み下落に転じましたが、阿倍野区は下落地点や下落幅が比較的少ない特徴がありました。
高級住宅街を中心として相続税に注意しなければならないエリアであり、今後も相続税の課税の増加が予想されます。
2-5.西区
西区は中央区の西側に隣接し、北区にも程近いことから利便性に長けていることから、近年ではマンション建設が相次ぎ、毎年人口が増え続ける人気の区となっています。
中でも「堀江」は大人のお洒落タウンとして知られており、高層住宅地として再開発が進んでいます。新築分譲マンションの中には1億円台の物もあり、セレブの街となってきています。
西区を管轄する西税務署の課税割合は11.30%、納付税額は3,137万円となっています。その立地と需要から地価も高くなっており、1㎡あたり114万円と中央区に次ぐ3位の金額です。
課税割合は中心部の割に低い印象ですが、納付税額は非常に高額となっています。相続財産を把握しておくことが重要になります。
2-6.都島区
都島区は西側に北区、南側に中央区と接していることから、南部の京橋駅周辺には商業施設が密集し、繁華街を形成しています。反対に中央部から北部にかけては、交通の利便性が高い理想的な住宅地として発展しています。近年では高層マンションの建設が相次いでおり、若い世代の流入が増えています。
都島区は旭区と共に旭税務署が管轄しています。2区の課税割合は8.82%、納付税額は1,204万円となっており、課税割合は全国平均を少し超える程度となっています。
地価は1㎡あたり35万円で市内9位で、同様の立地にある西区と比較すると低い金額です。相続が起きにくい若い世代が多いことも相まって、都心部の割には低い課税割合と納付税額となっています。
2-7.旭区
大阪といえば元気で活気のあるイメージがありますが、旭区は大都市にありながら静かに暮らせる住宅街が広がっています。
梅田へ地下鉄を使って10分程度と通勤通学に便利な街であり、幅広い世代が居住しています。特に高齢者の住みやすい地域づくりに力を入れており、高齢者の割合は市内で3番目に多い区となっています。
地価は1㎡当たり24万円で市内14位でそれほど高くはありません。高齢者が多い分、相続税の課税が発生しやすいエリアですが、相続財産自体は多くないため、納付税額は少なくなっています。
2-8.東住吉区
区域のほぼ全域が閑静な住宅地となっており、駅周辺には商店街が広がっています。地域密着型の商店街は活気があってお財布に優しく、1人暮らしの学生やサラリーマンに人気のエリアになっています。
東住吉区と平野区を管轄する東住吉税務署の課税割合は7.34%、納付税額は2,962万円となっています。地価は1㎡あたり24万円で市内15位と中盤より低い金額であるため、賃貸物件の家賃相場も安くなっています。
課税割合は高くありませんが、納付税額が高いことから、相続税の課税の有無をチェックしておくことは必須のエリアです。
2-9.平野区
平野区も東住吉区と同様に区域のほぼ全域が住宅地として活用されており、市内で最も人口が多い区となっています。北部は工業地帯、南部に行くほど新興住宅地が多くなっていきます。
地価は1㎡あたり19万円万円で市内22位、下から3番目と低く、家賃相場も市内で1、2位を争うほどの安さです。
お手頃なエリアであるため富裕層は少なく、同じ管轄の東住吉区よりも相続税課税は少ないと考えられます。
2-10.東成区
東成区は城東区、東大阪市、生野区、中央区、天王寺区と隣接しているため、都市部へ出やすいことからベッドタウンとして人気の区です。
古くから住み続けている住民も多く、近隣住民の結びつきがある温かい街です。近年では再開発が盛んに進められており、新築戸建てやマンションなどの建設によって若い世代の流入も増えています。
東成税務署の課税割合は6.96%、納付税額は1,799万円となっており、地価は1㎡あたり26万円で市内の中盤程度の金額であり、相続税については特段の対策が必要な区ではありません。
2-11.浪速区
浪速区は大阪市の中央に位置する、日本で最も面積の小さい行政区です。大阪の観光名所として有名な「通天閣」があり、中央区にまたがる繁華街「ミナミ」は全国的に知られています。
繁華街のイメージが強いですが、早くから区画整備が行き届いており、スーパーやコンビニ、ホームセンターなど生活に必要な施設も充足しています。近年の再開発によって以前より治安が良くなり、さらにマンション建設が相次いでいることから、人口も増加傾向にあります。
浪花税務署の課税割合は6.68%、納付税額は1,065万円となっています。特に納付税額は市内最下位の低さであり、都心部の3分の1ほどの金額で、相続が発生しても大きな相続税にはなりにくい区です。
中央区や西区に隣接していることから、富裕層は高級住宅街のあるそちらに居住していることが理由でしょう。
2-12.東淀川区
東淀川区は大阪市の北東部に位置しており、JRや私鉄、地下鉄が縦横にはしているため、梅田や難波などの都心部へアクセスがしやすいことから、ベッドタウンとして発展しています。公営住宅も多く、市内2位の人口を擁します。
東淀川区は淀川区と共に東淀川税務署が管轄しており、課税割合は6.47%、納付税額は1,868万円となっています。
地価は1㎡あたり23万円で市内17位で、相続税に大きな心配がある区ではありません。
2-13.淀川区
淀川区の東部には「新大阪駅」があり、大阪の陸の玄関口として機能しています。新大阪駅周辺は大きな幹線道路沿いに大手企業の本社などのオフィスビルや飲食店が林立し、毎日多くの人で賑わっています。
交通至便の地として住宅地の造成も進んでおり、JR沿線エリアは小さな子育て世代が多く住んでいます。
副都心として機能している淀川区の地価は比較的高く、1㎡あたり59万円と市内8位です。東淀川区と同管轄であることで課税割合と納付税額が低くなっていますが、淀川区単体で見るともう少し高いと考えられます。
2-14.福島区
福島区は大阪の都心部である梅田にほど近く、自転車や徒歩でも行くことができます。
区の中心となるJR福島駅や阪神野田駅の周辺には、オフィスビルや大規模な商業施設などが集まり、北区、中央区などと共に大阪都心6区の1つに数えられます。
近年では住宅整備にも力を入れており、国道2号線沿いには高層マンションが年々増えています。
福島区と此花区を管轄する大阪福島税務署の課税割合は6.21%と低いですが、納付税額は3,246万円で中央区を超えて市内1位の金額です。
地価は1㎡あたり68万円で市内7位と比較的高額で、さらに大阪市内では地価が上昇している数少ない区になります。
また、福島区は、マンションでの生活が中心となるため、高級住宅街はありませんが、北区に近い東部には高級タワーマンションもあることから富裕層も居住していると考えられます。
此花区との平均値になるためこの数値でとどまっていますが、福島区単体で見るともっと高いと考えられ、納付税額には十分注意しなければなりません。
2-15.此花区
此花区は大阪市の西部、大阪湾に面した位置にあり、市域は市内2番目の面積を誇ります。
大阪港の周辺には工場が多く、阪神工業地帯の一角を担っています。また、大規模テーマパークのユニバーサルスタジオジャパンをはじめ、人工島の舞洲と夢洲など観光地としても常に賑わいを見せています。
一方で東部は昔ながらの住宅地が広がっています。地価は1㎡あたり18万円と市内で下から2番目の低さであり、行政区でありながら新築戸建て住宅の夢が叶うエリアです。
その分、相続税についての過剰な心配は不要な区であるといえます。
2-16.城東区
城東区は交通網が発達しており都心部に出やすい位置にあるため、ベッドタウンとして多くの住宅が集まっています。人口密度が市内で最も高く、賑やかな活気ある街です。
高層マンションの建設も進んでおり、今後も人口が増えていく注目エリアです。
城東税務署の管轄エリアは、城東区と鶴見区となっており、2区の課税割合は6.17%、納付税額は1,899万円となっています。
城東区の地価は1㎡あたり26万円で市内12位、ちょうど真ん中の順位になります。
相続税の心配は低い区になりますが、同じ管轄内にある鶴見区よりは相続税は課税されやすいでしょう。
2-17.鶴見区
鶴見区は区全体が住宅地として活用されており、区の中心となる片町線放出駅周辺には、イオンモールなどの商業施設や高層マンションが建ち並び賑わいを見せています。
都心部へ電車を使って10分程度でアクセス可能な点、大きな緑地公園もある点などからファミリー層に人気があり、人口は増加傾向にあります。
地価は1㎡あたり23万円で市内16位で高くはなく、比較的高い再開発エリアは若い世代が多い点からも、この管轄エリアにおける相続税課税の中心はもう一方の城東区であると考えられます。
2-18.住吉区
住吉区は大阪市の南部に位置する緑豊かで閑静な住宅地で、都心部のベッドタウンとして活用されています。
市内の高級住宅街として有名な帝塚山があり、住吉区では「帝塚山中」、「帝塚山東」、「帝塚山西」が該当します。歴史の古い住宅街であり、代々に渡って居住している富裕層が多いのが特徴です。
住吉区は、住之江区と共に住吉税務署が管轄しており、2区の課税割合は6.00%、納付税額は1,454万円となっています。高級住宅街のあたりの地価は高いですが、区の平均としては1㎡あたり28万円で市内10位の金額です。
小さな子を持つファミリー世帯も多く居住している区であるため、相続税についての数値はそれほど高くありません。
2-19.住之江区
住之江区は市の南西部、大阪湾に面しており、市内最大の面積を誇る広い区です。
大阪南港にはフェリーターミナルが整備されており、日本有数の貿易港としてはもちろんのこと、観光客の発着地点としても活用されています。
「アジア太平洋トレードセンター」という大規模な複合商業施設があり、日常の買い物やレジャーには困ることはなく、大阪市の端にありますが交通至便も良好です。
地価は1㎡あたり21万円で市内18位と低く、都心部から遠いためベッドタウンとしての活用も控えめです。またお隣の住吉区に高級住宅街があることから、富裕層も少ないと考えられ、相続税の心配は少ないエリアです。
2-20.生野区
生野区の最大の特徴は人口に対する外国人の割合の高さです。人口約12万人のうち、約3万人が外国人にあたります。観光地としても有名なコリアタウンには、多くの韓国人も居住しています。
その一方で、個人商店や町工場なども軒を連ねており、行政区でありながら下町の雰囲気を残す区です。
生野区は生野税務署が管轄しており、課税割合は5.83%、納付税額は2,148万円です。地価は1㎡あたり19万円で市内21位と低く、庶民の街という感じです。
個人事業を行っている場合には、事業用財産が、予期せぬ高額な相続財産になる可能性があるため注意しましょう。
2-21.港区
港区は北側が此花区に隣接している湾岸エリアです。此花区のユニバーサルスタジオジャパンに並んで、海遊館や天保山マーケットプレースなどの観光地として賑わっています。
一方で、閑静な住宅地が広がる住みやすいエリアでもあり、観光地でありながら目立った犯罪が少なく、女性の単身でも安心して暮らせる区です。
近年は磯路や夕凪に高層マンションが建つようになり、移住者が増えています。
港区は大正区と共に港税務署が管轄しており、2つを合わせた課税割合は4.59%、納付税額は1,206万円となっています。注目エリアが多く、需要があることから1㎡あたりの地価は25万円で市内13位とそれほど低くはありませんが、これらの新しいエリアに移住してくるのは若い世代が多いと考えられることから、相続税が課税される割合が低くなっているのでしょう。
2-22.大正区
南部は水都と呼ばれる大阪にふさわしく、区域の三方すべてを河川と海に囲まれています。南部は大阪港の一角として工業地帯が広がり、西部は昔ながらの商店街が多く残る住宅の密集地となっています。
また大正区は人口約7万人のうち沖縄出身者が約4分の1を締めており、「リトル沖縄」と呼ばれています。
大正区の地価は1㎡あたり20万円で市内19位と低く、相続税課税は活発に行われていないと予想できます。港税務署自体、相続税課税が少ない方ですが、どちらかといえば港区の方が多いでしょう。
2-23.西淀川区
西淀川区は阪神工業地帯の一角を擁していますが、梅田に近く自然環境も多く残されていることから、近年では大阪市内のベッドタウンとしての人気も高まっています。
かつては労働者の街というイメージがありましたが、新築分譲マンションが建ち並ぶ新しい街へとイメージを変えています。
西淀川区は、西淀川税務署が管轄しており、課税割合は4.31%、納付税額は2,351万円となっています。地価は1㎡あたり19万円で市内20位で、相続税の心配は低い区です。
2-24.西成区
西成区には、あいりん地区や釜ヶ崎などがあり、数多くの路上生活者や、住所不定の日雇い労働者が多く居住していること、多数の暴力団事務所があることなどから日本一治安が悪い街と長年いわれてきました。
近年では、難波と天王寺の間にある立地の良さから、観光客向けに再開発する動きがあり、バックパッカーなどの外国人観光客が安価で利用できる宿泊施設が増えてきています。
しかしながら、古くから根付いたイメージは簡単に払拭されることはなく、西成区にわざわざ居住したい日本人は少ないのが現実です。当然ながら富裕層はさらに避ける区であり、西成税務署の課税割合は2.64%、地価は1㎡あたり17万円でいずれも市内最下位となっています。相続税課税の心配は限りなく低い区です。
3.大阪市の税理士情報
大阪府には税理士が8,620人(平成30年3月31日現在 日本税理士会連合会 平成30年5月発行税理士界)おり、近畿税理士会に所属する税理士15,146人(令和3年11月1日現在)の半数以上が大阪府にいることになります。
そのうち大阪市にいる税理士数は5,000人を超えており、令和元年における相続税の申告数が2,686件であったことから、税理士1人あたりの件数は約0.53件になります。全国平均は約1.9件であるため、大阪市の税理士は十分に足りているといえるでしょう。
富裕層の多い都会の相続税申告は財産評価の種類が多く、金額も高額になりやすいため難易度が高くなります。したがって、自然と相続税に強い税理士が多くなるのですが、大阪市の場合には税理士が供給過多の状態にあるため、経験に乏しい税理士も多くいると思われます。
相続税は計算する税理士によって税額に数百万円の差が出ることもあるため、税理士探しは早いうちから慎重行うことが重要になります。