遺産分割のやり直しで贈与税・不動産取得税が発生!

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遺産分割を完了すると通常はそれで確定しやり直すことはできませんが、新たな財産が発見されたとか、分割内容に明らかに間違いがあったという場合には、相続人全員が合意をすれば遺産分割をやり直すことはできます。ただし、一度特定の相続人の手にわたった財産を、遺産分割をやり直して、別の相続人に渡しますと、税法的には贈与とみなされ贈与税がかかります

遺産分割のやり直しについて、また、なぜ贈与税がかかってしまうのかを簡単に確認します。

遺産分割のやり直しについて

遺産分割はやり直しができる場合と、そうでない場合とがあります。

「やり直し可能」な遺産分割

やり直しが可能な遺産分割は「遺産分割協議」によって成立した遺産分割に限られます。遺産分割の方法として、遺言による指定、協議、調停、審判という方法がありますが、この中でやり直しが可能な遺産分割は「協議による遺産分割」(遺産分割協議)だけです。遺産分割協議でやり直しをする方法を「合意解除」といいます。

合意解除とは「相続人全員が遺産分割のやり直しに合意する」ことです。もし、相続人の一人でもやり直しに合意しない場合には、遺産分割協議をやり直すことができません。

また、単に相続財産の一部が遺産分割出きていなかった場合にもやり直しはできません。この場合は、分割がまだ済んでいない財産を分割する手続きだけとなります。

「やり直し不可能」な遺産分割

やり直しが不可能な遺産分割には「遺産分割調停」と「遺産分割審判」があります。これらは、家庭裁判所による調停または審判の結果、遺産分割が成立していますので、遺産分割をやり直すのが当然だと考えられるような特別な事情がない限り、やり直しはできません。

ただし、例外的に下記のようなケースで、無効・取消要件に該当する場合は、調停や審判でも遺産分割のやり直しができることがあります。

  • 何らかの理由で、相続人以外の者が参加して成立した遺産分割
  • 何らかの理由で、相続人全員が参加せずに成立した遺産分割

遺産分割のやり直しで、贈与税や不動産取得税がかかる!

民法上は、相続人全員の合意があれば、遺産分割協議をやり直すことは可能です。ただし、税法上は、一度遺産分割を行うと「既に相続が完了した」として扱われ、遺産分割のやり直しに関わる財産の移動は、贈与または譲渡とみなされますので注意が必要です。

遺産分割のやり直しの実際例

遺産分割のやり直しで贈与税を課税された実際のケースをご紹介します。

兄弟同士のAさんとBさんは父親から土地を相続しましたが、その土地は分割不可能なため、Aさんが土地を相続するかわりに、Bさんに代償として現金を渡すという遺産分割を行いました。Aさんは土地を売却しその代金の一部をBさんに渡すつもりでしたが、その土地を予定していた価格で売却することができず、相続税の納税すら困難な状況となりました。
相続税の納税においては、他の相続人が滞納している場合、自分が受け取った財産の範囲内で連帯して納付しなければなりません。Bさんは代償としての現金を受け取ることができなかっただけでなく、Aさんの分まで相続税を納税する義務を負いました。

【参考】連帯納付義務とは?他人の相続税まで

そこで、Bさんは代償分割を解消すれば、Aさんの相続税の連帯納付を免れると考え、Aさんと合意のうえで遺産分割をやり直し、Bさんの相続分はゼロとすることにしました。ところが、税務署からは、Bさんが相続で受け取ったはずの財産をAさんに全額贈与したことになるとみなされ贈与税を課税されました。
不服に思ったBさんは課税の取り消しを求めて裁判を起こしましたが、取り消しは認められませんでした。判決では、遺産分割協議の内容がその通り行われなかっとしても、それで遺産分割が無効とはいえないという結論です。

遺産分割やり直しの注意点…「贈与税が発生する」

税法上では、一度目の遺産分割協議で相続行為は完了したとして扱われますので、遺産分割協議のやり直しでは「贈与」または「譲渡」として判断されます

贈与として扱われるということは、相続人の間で財産移転が行われれば「贈与税」の課税対象になります。そして、一般的に贈与税額は相続税額よりも高いため、予想しなかった高額の納税を迫られる可能性があります。「譲渡」とみなされれば、「譲渡所得税」がかかります。
したがって、遺産分割協議のやり直しをする場合には、税理士に一度相談をするのが好ましいでしょう。

遺産分割やり直しの注意点…「名義変更が発生する」

遺産分割協議のやり直しをすると、相続人の間で財産移転が発生します。登記が必要な資産の移転においては「名義変更」が必要です。
不動産の名義変更を行うと、相続ではなく売買または譲渡で不動産を取得したときと同様に、不動産取得税が課税されます。また、名義変更登記にかかる登録免許税も発生します。
ただし、相続開始後4か月後の再分割では不動産取得税は課税されなかったという例がありますので、詳細は税理士にご相談ください。

遺産分割の無効・取消

遺産分割の無効・取り消しが認められる場合には、遺産分割をやり直しても贈与とはみなされず、相続税の更生を行うことができる場合があります。

無効な遺産分割とは?

遺産分割が無効となるケースにはいくつかありますが、代表的なものを掲載します。

相続人以外の者が参加した遺産分割

たとえば夫が亡くなり、妻と子で遺産分割をしましたが、親子関係不存在の訴訟の確定により子は相続人ではなくなり、相続人は妻と両親になった場合です。相続人ではない子が遺産分割に参加していましたので、その遺産分割は無効となります。

新たな財産が発見された場合

遺産分割後に新たな財産が発見され、その財産だけ分割することができない場合は、当初の遺産分割は無効となります。

意思表示に問題があった場合

詐欺や強迫などで相続人の意思表示に問題があった場合、その遺産分割は無効となります。

遺産分割の無効・取消では、相続税申告もやり直し

遺産分割が無効・取消となった場合は、遺産分割自体が法律上、成立していなかったこととなりますので、税務上も相続税申告のやり直しができる可能性があります。ただし、相続税の更正を行うためには手続きが必要ですので、税理士にご相談ください。

遺産分割のやり直しを防ぐには?

遺産分割のやり直しでは、税法上の問題が大きくからんでくるため、可能なかぎり、やり直しをするような事態にならないことが望ましいです。一部不明な点や不安な点があるけれど、とりあえず遺産分割をしてしまい、後からやり直せば良いと考えていると大変な目にあいます。

相続人の間で意見がまとまらなければ速やかに弁護士に相談して解決することが求められますし、地域の開発計画の要因で土地価格が大きく変動することが予想されるという場合には、その土地だけいったん保留にして残りの財産の遺産分割を行い、後で状況が確定した時点で土地の遺産分割を行うことが良いでしょう。

遺産分割のやり直しで贈与税・不動産取得税がかかることのまとめ

民法上では、相続人全員が合意すれば遺産分割のやり直しをすることは可能ですが、税法上は、すでに相続が完了したとみなされ、遺産分割のやり直しで、新たに贈与税や不動産所得税が発生します。もし遺産分割のやり直しをする場合には、税理士等の専門家に相談をすることをお勧めします。
そして何よりも、遺産分割のやり直しをしなくてすむように、慎重によく考えて遺産分割を行うことが重要です。

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