連帯納付義務とは?他人の相続税まで負担!

鎖

家族が亡くなって、葬式やら遺産分割やらで大変だったけれど、自分の相続税を申告・納税したらもう一安心と思いたいところですが、実は、他人の相続税まで負担しなければいけないケースがあることをご存じでしょうか?これを「連帯納付義務」といいます。

本来であれば、自分の分だけ相続税を払えば良いはずなのに、なぜ他人の分まで納付する必要があるのでしょうか?

相続税の連帯納付義務とは?

まずはじめに、連帯納付制度の概要や成立背景を解説します。

連帯納付義務の概要

日本の相続税制度では、「ある被相続人が亡くなった場合、その相続人が相続分に従って相続税を負担する」制度となっています。したがって、相続した人は、控除などの理由がない限り、相続税の納付義務を負います。

さらに、「他の相続人が滞納している相続税額まで、連帯納付しなければならない」と義務付けられています。これが「連帯納付義務」です。

連帯して納付義務を負う理由ですが、裁判所が「相続税徴収を確保するため、各相続人に特別の責任を課す必要がある」と考えているからです。その結果、同じ被相続人から相続をしている相続人が滞納すれば、他の相続人がその滞納分を連帯納付しなければなりません。

なお、納付義務は「相続により取得した財産の価額を限度額にしている」ため、それ以上の徴収はありません。あくまでも、自分が取得した財産の金額の範囲内でのみ連帯納付義務が発生します

連帯納付義務の目的と解釈

連帯納付義務の目的は「相続税を円滑に徴収する」ことにあります。現行、日本の相続税制度は遺産取得税方式を採用していますが、かつては遺産税方式を採用していました。

遺産税方式であれば、相続財産に相続税が課されるため、税の徴収漏れが少なくなります。しかし、戦後の税制度改革で遺産取得税方式に移行しました。遺産取得税税方式では税の公平化が図れる一方、徴収漏れなどが起きる可能性があります。

【関連】遺産取得課税方式、遺産課税方式

そこで、民法上の連帯保証制度と類似の「連帯納付義務」を設けることになりました。相続人は相続財産を相続できる代わりに、「連帯納付責任を負うことが当然の義務」と決まりました。基本的には相続財産を取得した相続人が納税の義務を負いますが、国税当局は、相続人の誰にでも相続税の納税を命じることができるようにしたのです。

連帯納付義務の問題点

連帯納付義務は、国税当局からすれば非常に有効な手段です。一方、自分の納税分を完納した相続人からしてみれば、滞納者の分まで納税するのには納得がいかないでしょう。ここに大きな問題をはらんでいます。

この問題をめぐって定期的に、連帯納付義務に関する「不服申立て」が起きています。しかし、基本的には訴訟を起こしても敗訴してしまうのが実情です。なぜなら、「連帯納付義務は、法律上当然生じる義務」としてみなされるからです。

ただし、平成24年度改正により「解除要件」が認められるようになりました。また、延滞による罰則規定が緩和されたりもしています。ただ、連帯納付義務は未だに存在する義務ですので覚えておく必要があります。

連帯納付義務の制度内容

対象者:相続人全員が連帯納付義務を負う

ある被相続人から遺産を相続した相続人が、複数人いる場合は、その相続人が相互に「連帯納付義務」を負います

基本的には、相続人が申告・納付期限までに相続税を納税していれば連帯納付をする必要がありません。しかし、誰か1人でも滞納をすると、その時点で国税当局は連帯納付の請求を行うことができます。

負担の範囲:相続人に平等に課される

連帯納付義務の負担範囲は、相続人の間で特約がある場合にはこれに従います。特約がない場合で承継した事業などがある場合は、その事業から得られる利益割合に応じて負担の範囲が決まります。なお、利益割合に差がない場合には、相続人が平等に連帯納付義務を負います

基本的に、連帯納付義務に関する特約をすることは珍しいでしょう。したがって、ほとんどの場合、相続人は「利益割合」もしくは「平等」に連帯納付義務を負うことになります。

負担の程度:利子税を加えた相続税滞納額

他の相続にが相続税の納税を滞納した場合、罰則として「利子税4.3%」を加えた金額を納税しなければなりません。
かつては、この罰則として「延滞税14.6%」が課されていました。しかし、あまりにも負担が大きいことから、平成24年度の制度改革にて「延滞税から利子税へ」と切り替えられ、ペナルティの税率も下がりました。

また、注意点ですが、通常の相続税の納税と異なり、連帯納付では延納は認められません

手続き:管轄税務署より督促状にて通知される

税務署は相続人が滞納している旨を、連帯納付義務者に「督促状」にて通知されます。この督促状には、下記のような内容が記されています。

・他の相続人が滞納している旨
・督促状の受取人が連帯納付の義務を負う旨
・税務署の担当者名

したがって、連帯納付義務の督促状を受けた場合には、管轄税務署の担当者にすぐに確認を取るべきです。また、滞納している相続人にも連絡がつく場合には、確認を取ることが重要です。

解除要件:連帯納付しなくてもよくなる2つの要件

平成24年の連帯納付義務の制度改正により、連帯納付義務の解除要件が定められました。その要件は具体的には、下記の2つです。

(1)申告期限から5年が経過した場合
ただし、申告期限から5年以内に、税務署から連帯納付の督促を受けている場合は、引き続き連帯納付義務を負います。

(2)納税義務者が延納、納税猶予を受ける場合
納税義務者が納税の意思を見せて延納または納税猶予の手続きをすることにより、連帯納付義務者には責務を問わないものです。
納税猶予には、農地に関する納税猶予と、非上場株式に関する納税猶予(事業承継税制)があります。

これら2つの要件のうちどちらかを満たせば、連帯納付をしなくてもよくなります。

注意事項:連帯納付義務は納税するまで続く

連帯納付義務は、「相続税が納付されるまで」続く義務制度です。したがって、滞納された納税額が完納される、または解除要件を満たさなければ、国税当局から納付するように通知が来ることになります。

連帯納付義務のまとめ

相続税の連帯納付義務について、あまり注目されることはありませんが、「相続した場合には、連帯納付の義務が課される」とされていますので要注意です。本来であればそれぞれの相続人が自分で納税するのが筋ですが、他の相続人が納税しなかった場合には、連帯納付義務者として他の相続人の分まで納税しなければなりません

申告期限から5年以内は連帯納付義務がありますので、まずは他の相続人がきちんと納税したのか確認しておくのが良いでしょう。もし納税できていないのであれば、その理由を聞いて、納税するように促したり、場合によっては、お金の調達方法をアドバイスすることも必要かもしれません。一番良いのは、遺産分割する時点で、それぞれの相続人が相続税を納税できるように考慮して、遺産を分割することです。現預金の持ち合わせがない相続人には、少なくとも納税用の現金を取得するようにさせます。

ただし、現金が入ったからといって有頂天になって使い込んでしまい、相続税を納税できなくなったというケースもあります。やりにくいかもしれませんが、お金の管理ができずすぐに浪費してしまう人には、なるべく相続させない工夫も必要といえます。

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