相続は選択できる!相続の承認と相続放棄

相続承認

お母さんお母さん
「私の実家のお父さん、田舎で飲食店を経営しているんだけど、最近は大手のレストランに押されて厳しいみたい。心配だわ・・・。」

 

お父さんお父さん
「厳しい時代だよね。この前、実家に行ったとき、確か銀行からお金を借りなきゃいけないとか話をしていたよね。もし、将来、相続するとき借金があったらどうしようか。」

 

相続おじいちゃん相続おじいちゃん
「相続は必ずしなければいけないわけではなく、相続するかしないか自分で選択できるんじゃ。もし借金が多いようだったら、放棄するという手もあるぞ。」

 

おばあちゃんおばあちゃん
「放棄というと何か悲しい気がするわ。でも、親の借金を背負うわけにはいけないし、仕方ないわよね・・・。」

 

1.相続の承認と相続の放棄

財産にはプラスの財産(現金・預金、不動産、株式など)とマイナスの財産(借金)があります。相続では、プラスとマイナスの両方の財産を受け継ぎます。

最近は経済的に厳しい時代ですが、一方で、消費者金融がたくさんあって簡単にお金を借りることができる時代でもあり、借金をする人も増えています。

もし、相続財産の中にマイナスの財産(借金)があって、プラスの財産より多かったらどうなるのでしょうか?相続した家族は、一生、その重荷を背負って生きていかなければいけないのでしょうか。いくら親がしたこととはいえ、ちょっと酷すぎますよね。

そこで、現代では、相続するかしないかを自分で選択できるようになっています。

相続するほうを選択することを、「相続の承認」といい、マイナスの財産(借金)も含めて財産を受け継ぐことになります

相続しないほうを選択することを、「相続の放棄」といい、プラスの財産も含めてすべての財産を受け継がないことになります。もし、親の借金が多くて大きな負担になることがわかったら、相続の放棄をすれば良いのです。

ただし、マイナスの財産(借金)だけ放棄して、プラスの財産だけもらうことはできません。全部もらうか、全部あきらめるか、どちらか、選んで下さいということです。

2.プラスの財産、マイナスの財産

財産の種類にはいろいろありますが、大きく二つに分けると、プラスの財産マイナスの財産があります。

プラスの財産とは、現金・預金、不動産、株式など、自分が持っている権利がある財産です。
マイナスの財産とは、簡単にいえば借金で、返さなければいけない財産です。

遺産相続をすると、通常は、プラスの財産とマイナスの財産の両方を受け継ぐことになります。実際の財産の金額は、プラスの財産の金額からマイナスの財産の金額を引いた残りになります。

プラスとマイナスの財産

もし、プラスの財産よりマイナスの財産のほうが多かったらどうなるでしょうか?

たとえば、亡くなった人に貯金が2000万円、借金が4000万円あって、子供二人で相続したら、それぞれ、貯金1000万円、借金2000万を相続することになり、プラスの財産とマイナスの財産を合計すると、マイナス1000万円になってしまいます。つまり、相続したことで、自分の財産が減ってしまうんです。これは一大事ですね。

実は、マイナスの財産を受け継がなくていいように、相続することをやめたり、一部だけ相続することができます。

それなら安心かというと、実は、そうともいえません。自分が借金をしていることは家族でも知られたくないものであり、その人の死後に発覚することも多いからです。親の相続について話し合いが終わり、いざ実際に相続の手続きをしようとしていたら、隠れた借金が見つかって大騒ぎなんていうこともよくある話です。

借金をしないで生活を送ることができれば一番いいのですが、もし借金してしまった場合には、なるべく家族で共有することが大切です。話しにくいことも互いに話せる雰囲気を家族で作って、よくコミュニケーションをとることが、幸せな相続のための一番の秘訣です。 

3.相続の選択には期限がある

また、相続の選択には期限があって、相続の開始を知った時、つまり相続される人が亡くなったことを知った時から3ヶ月以内です。期限を過ぎてしまうと手遅れになります。

さらに相続の承認には2種類あり、相続される人のプラスの財産もマイナスの財産も無制限に受け継ぐことを「単純承認」、相続される人のプラスの財産の範囲内でマイナスの財産を受け継ぐことを「限定承認」といいます。

通常、何も手続きをしなければ、単純承認となります。一般的に相続と言われているのは、単純承認です。
相続される人に借金がある場合には、単純承認をしてしまうと、その借金をすべて負担しなければならなくなってしまいますので、その借金の程度に応じて、限定承認、または相続の放棄をします。

4.相続の承認・放棄までの期間

相続の承認または相続の放棄は、自分が相続人になったことを知った時から3ヶ月以内に行う必要があります。単純承認以外の、限定承認放棄は、家庭裁判所に申し出をする手続きが必要ですので、3ヶ月というのは、この申し出をしなければならない期間を示しています

自分が相続人になったことを知った時から3ヶ月ですから、他の人が知っていても自分だけ知っていなかったら、他の人の選択に関わらずに、相続するかしないか自由に選択することができます。

それでは、単純承認をした後に、実は相続される人(被相続人)に借金がたくさんあったと知ったときには、どうなるのでしょうか?相続人になったことを知った時から3ヶ月経過後に、借金を知った場合には、放棄できないのでしょうか?

4-1.後で被相続人の借金を知ったときは?

たとえば、当初、被相続人の財産を調査して特に借金はなさそうでしたが、しばらく経った後に、被相続人にお金を貸していた人が借用証書を持って現れお金の返還を請求してきたというのは、よくある話です。単純承認をしてしまったら、まさかそんな借金があるとは思わなかったと悔しがるでしょう。

この場合、実際には、相続人が被相続人のマイナスの財産を知った時、または知ることができるようになった時から3ヶ月以内に、承認または放棄の申し出をすれば良いとされています。被相続人に借金があることがわかったら、その時点で、限定承認か放棄の申し出をすれば良いのです。

ただ、被相続人に借金があることを知っていながら3ヶ月経過してしまうと限定承認や放棄ができなくなります。被相続人に借金があることを示す通知書が自宅に内容証明郵便で届いていたのに、受け取って中身を見ないまま机にしまって忘れていたという場合には、後で申し出てをしても、受理される可能性は薄いと考えられますのでご注意ください。
ですので、相続が発生してからしばらくは、重要な通知が届いていないかどうか毎日念入りにチェックするようにしましょう。

また、3ヶ月という期間には延長される特例もあります。相続の利害関係を持っている人(相続人、被相続人の債権者など)、または検察官の請求があったときは、家庭裁判所は妥当性を検討したうえで期間を延ばすことができます。

5.相続の承認・放棄の取り消し

相続人が、相続の承認または放棄をしたときには、3ヶ月以内の期間であっても、基本的には取り消すことはできません。ただし、以下にあげるように、その承認・放棄が正しく行われなかった場合は、その承認・放棄を取り消すことができます。

  • 未成年者が法定代理人の同意を得ないでしたもの
  • 詐欺または強迫によってさせられたもの
  • 成年被後見人がしたもの

ただし、追認できる時から6ヶ月以内に取り消さなかった時(その人に代わって正しい行為かそうでないか判断できる人が、相続人の承認・放棄の事実を知ってから6ヶ月以内に取り消さなかった時)、また、相続の承認・放棄をした時から10年経つと時効で取り消しできなくなります。

6.相続の承認

6-1.単純承認

プラスの財産もマイナスの財産も全部受け継ぐ場合を、「単純承認」といいます
プラスの財産がマイナスの財産より多ければ、全体としてプラスになりますが、もし、マイナスの財産がプラスの財産より多ければ、全体としてマイナスになります。つまり、自分の財産を食いつくしてでも、亡くなった人の借金を無制限に負担することになります。

通常のパターンがこの単純承認です。特に何もしなければ、自動的に、単純承認したとみなれます

6-2.限定承認

プラスの財産の範囲内で、マイナスの財産も受け継ぐことを、「限定承認」といいます。条件付きの承認です。
プラスの財産がマイナスの財産より多ければ、全体としてプラスになりますが、もし、マイナスの財産がプラスの財産より多ければ、全体としてゼロになります。つまり、受け継いだプラスの財産の範囲内で、亡くなった人の借金を負担します。

亡くなった人の財産が、プラスのほうが多いのかマイナスのほうが多いのかわからないときは、限定承認をすると安全です。

限定承認をするためには、相続する人が全員で合意して一緒に限定承認をする必要があります。一人でも自分は単純承認だという人がいたら、限定承認することはできません。

理由ですが、もし一人だけ限定承認をしてしまうと、その人は借金の一部だけ負担すれば良いのに、他の人は無制限に負担しなければならず、不公平になってしまうからです。

具体的には、自分が相続する人になったことを知ったときから3ヶ月以内に、遺産の内容を書いた財産目録を作成したうえで、家庭裁判所に「相続の限定承認の申述書」を提出します。家庭裁判所で申し出を受理する決定がされると、限定承認が成立します。

相続の承認

7.相続の放棄

7-1.相続の放棄の手続き

プラスの財産もマイナスの財産もすべて受け継がない、つまり、まったく相続しないことを、「相続の放棄」といいます。

相続の放棄をするためには、家族に、「私は相続を放棄する」と口で言っただけではダメで、相続放棄の手続きが必要です。

具体的には、相続を放棄したい人は、自分が相続する人になったことを知ったときから3ヶ月以内に、家庭裁判所に相続放棄申述書を提出します。他に相続する人がいても、自分一人で自由に行うことができます。

相続放棄の申し出をすると、家庭裁判所では、この相続放棄申述書が他の人が勝手に偽造したものでないか、また、本人が本当に相続を放棄する意思があるかどうかを確かめたうえで、受理する決定をします。

相続の放棄が成立すると、特別な理由がないかぎり、相続の放棄を取り消すことはできません。そのかわり、親の借金の負担をする義務もなくなります。

7-2.相続の放棄をした結果

相続の放棄があった場合には、その放棄をした人が、はじめから相続人ではなかったとみなされます。つまり、その放棄をした人はもともといなかったとみなされるのです

その結果、相続を放棄した人に子供がいても、その子供が相続することはできません代襲相続はありません)。

相続欠格、相続人の廃除の場合には、相続できなくなった人に子供がいればその子供が相続できましたが(代襲相続)、その場合とは違いますので、ご注意ください。

また、同じ優先順位で相続する人が複数いる場合、相続の分け前は複数の人で均等に分けることになっていましたが、相続の放棄をした人を除いて計算することになります。

次の相続一家の例ですと、もしお父さんが相続を放棄した場合、その子供である男の子は相続することができません。

また、相続の分け前について、もともと、おばあちゃん(妻)が2分の1、子供の分け前2分の1をお父さん(長男)とおじさん(次男)の二人で分けて、それぞれ4分の1ずつ、相続することになっていました。しかし、お父さんがいなくなったので、おじさんが子供の分け前2分の1を全部相続することになります。

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